メンテナンス不足で危険な橋が増える?

 一度つくったものは、永久に使えるわけではありません。適度なメンテナンスが施されて、長く使えるようになるのです。メンテナンスをしても改善されないものは、新たにつくりかえる必要が出てきます。

 橋も例外ではありません。時間が経つにつれ、コンクリートの劣化や鋼材の腐食が進みます。崩壊する前に危ない橋を見つけ、メンテナンスや使用停止(本来は、使用停止になる前に問題個所を見つけておく必要があるのですが)の処理をしないといけません。

 国内には、全長15メートル以上の道路橋が約15万基あります。しかし、国交省が橋の大半を管理する都道府県や市区町村に報告を求めたところ、崩壊を引き起こす危険性が見つかったために通行禁止となった橋が121基、25トン以上の大型車の通行を禁止した橋が680基あることがわかりました(数字は2008年4月現在)。これらの橋の大半は、橋の寿命とされる50年に達していません。それなのに、このような危険な橋が出てきたのは、大型車が予想以上に多かったこと(橋を重い車が通ることによって金属疲労が生じます。特に日本の場合、トラックやバスなどの大型車の通行量が全体の30%以上と、諸外国より高い数字になっています。橋に与えるダメージは大きいです)、点検や補修が十分に行われていないこと(背景には費用や職員の不足が考えられています)が挙げられます。

 事態はこれからもっと悪くなります。高度成長期以降、たくさんつくられた橋がこれから寿命を迎えるからです。2006年では建設されてから50年以上経った橋は全体の6%しかありませんでしたが、20年後の2026年には47%になると言われています。このような現象が早くに起こったアメリカの場合、州が管理する道路の補修費がどんどん増えていきました。1970年代では約7000億円でしたが、2001年では3兆円を超えました。財源を賄うため、ガソリン税を引き上げて補修費を確保したのです。

 日本では補修費をいくら確保すればいいのかわかりませんが、こういうことを考えると、マニフェストにあるからといって、揮発油税等を減らす余裕はないかもしれません。地方に無駄な道路をつくるどころか、補修にすら手が回らない事態になるかもしれません。鉄道なら利用の少ないローカル線は廃止にすることができますが(使わないくせに「廃止反対」と叫ぶのは多いですが、それでもまだ何とかなります)、道路はそういうわけにはいきません。

 どうしても選挙を考えると、減税やら補助金やら甘い話をしてきます。しかし、将来を考えると甘い話だけでは何ともなりません。次の世代に使える資産を引き継ぐためには、自らそれなりの負担する必要があるのです。
(参考:朝日新聞11月4日朝刊 14版)

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「天空」でChange of mode(3)

 この時間に高野山に行っても遅いので、すぐに折り返しの電車(極楽橋14:12発)に乗る。九度山で途中下車。

 九度山は、関ヶ原の戦いで負けた真田昌之・幸村が流されたところ。大坂冬の陣、夏の陣までの約15年間を九度山で過ごした。真田親子の住んでいたところは、「真田庵」と言われ、寺になっている。

 また、九度山は高野山への入口であった。九度山という地名は、空海が月に九度、九度山に住む母のもとを訪ねたからだと言われている。母の住んでいた慈尊院までは駅から歩いて25分程度。

 帰りは予定より一本早い電車に乗ることができると思ったが、あと少しのところで発車してしまった。次の電車まで40分以上あるので、戻ってゆっくりと散策する。晩御飯も買っておこう。もちろん、ここは柿の葉寿司だ。

 逃した電車は、2300系。橋本以南でしか乗ることができない電車だ。せっかくだから乗っておきたい。時刻表を見ると、次の高野山方面は16:18発。難波方面は16:24発。高野下ですれ違うのだ。16:18発が運よく2300系なら、目標達成だ。高野山方面のホームで待っていると、2300系の2両編成がやってきた。「スルッとKANSAI 3dayチケット」を持っている強みだ、迷わずに転換クロス車に乗った。

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「天空」でChange of mode(2)

 橋本を出て九度山あたりまでは平坦な里の光景。「天空」にとっては足慣らし、といったところ。小さな駅でも駅員が出てきて(交換できない下古沢以外は駅員がいるようだ)、「天空」を見送ってくれる。「スルッとKANSAI」や「PiTaPa」が使え、駅員もちゃんといるというのは大手ならではの余裕か。車両も2300系が登場するまでは利用者が少ない橋本以南でも安全上の理由からか4両で運転され、ワンマン運転はなかった。

 しかし、九度山を過ぎると山の中に入り、高野下からは半径100メートルのカーブと50パーミルの勾配で山を登っていく。「天空」はもともと高野山直通用の車両としてつくられた車両。しかし、高野山直通用の車両といっても、2両編成のほうは三日市町以北(橋本まで線路改良が完成したのちは橋本以北)の増結用なので、高野山まで行くことは基本的にはなかった。そういう慣れない、過酷な道を「天空」はたどる。

 急カーブと急勾配で登ってきたが、さすがに高野山までは無理。極楽橋からはケーブルカーの力を借りることになる。極楽橋の周辺には何もない。ケーブル乗り換えのために存在する駅だ。(続く)

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「天空」でChange of mode(1)

 「天空」の始発駅は橋本。1面2線のホームで上下の電車をさばくため、あわただしい。昔のように急行も高野山まで直通していたころはこれで十分だったが、橋本で分断された現状では厳しい。ホームを前後に分けて、ひとつの線路を難波方面の電車と極楽橋方面の電車で分け合う。しかも、特急「こうや」のように、高野山直通の電車も時々あり、常時ホームを2分割して使うわけにもいかない。ダイヤづくりは至難の業だ。

 「天空」に乗るには、車内で買えばよい途中駅(学文路・九度山)からの乗車の場合を除いて、橋本(極楽橋行き)あるいは高野山(橋本行き)の窓口で、発車10分前(高野山の場合はケーブル発車の10分前)までに、買わないといけない。予約も受け付けているが、主要駅や旅行会社では対応していない。電話予約のみ受け付けている。しかも、受け付け開始は乗車の10日前から。運が悪ければ(それ以前に受け付けている)団体客で埋まってしまうこともある。人気列車なので、電話をかけてもなかなかつながらない。30回以上も電話をかけ、ようやく電話がつながり、予約することができた。

 「天空」は高野山直通用だった2200系を改造してつくった2両編成の車両。新型車両の導入により高野線を追われ支線用に回されたが、「天空」の登場により呼び戻されたものである。車端部を除いて、高野山に向かって右側に座席がセットされている。山が迫ってくる左側と違い、右側は谷が多く、渓谷美が楽しめる。もともとは2扉の車両であったが、2両とも橋本側のドアが撤去され、展望スペースになっている。特に橋本側の車両は、オープンデッキとなっている。余談だが、「天空」の車両番号は、高野山と橋本にちなんで、「2258」と「2208」となっている。

 先ほども述べたとおり、「天空」は2両編成だが、後ろに転換クロスの2300系2両を連結している。こちらは自由席なので、指定券がなくても乗ることができる。ホームには先発の13:17発高野下行きの各停が停まっている。「高野下」と「高野山」が紛らわしいためか、誤乗を防ぐためのアナウンスがなされている。高野下行きの発車後、ようやく「天空」がホームに到着し、乗車開始。乗り終わったと思ったら、すぐに発車。13:22発だから、時間はない。確かに橋本はJRとの共同使用駅であり、スペースに制約があることは分かっているが、余裕が欲しいところである。発車時間のかなり前から何もない駅のホームで待たされているだけに。(続く)
(参考:南海ホームページ http://www.nankaikoya.jp/tenku/index.html)

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「天空」でChange of mode(0)

 昨日(3日)、「俗世間から精神世界へと『Change of mode』できる乗り物」というコンセプトのもとでつくられた南海の観光列車、「天空」に乗ってきました。

 明日から何回かに分けて、そのときの旅行記を書いていきたいと思います。
(参考:南海ホームページ http://www.nankai.co.jp/company/news/pdf/090327_3.pdf)

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地方空港の廃止はやむを得ず

 JALが経営不振に陥った原因のひとつに、全国あちらこちらに空港をつくり続けた国の要求に応じて、地方空港への路線をつくり過ぎたということもあります。

 つまり、JALの経営改善のためには不採算のローカル線の整理が避けられません。しかし、それをやると、設備があるのに航空機が飛んでこない空港が出てきます。そういう空港を抱える地元自治体にとっては死活問題です。何とかして路線の存続を願いたいところです。そういう声に押されてなのか、前原国土交通省大臣は10月31日、JALが撤退することにより定期便がなくなる地方空港の路線について、一定期間ではありますが国費を投入して維持する考えを示しました。

 離島なら話は分かりますが、国土の大部分は高速道路や新幹線などの鉄道でカバーされています。地元自治体がお金を出すならともかく、そういうところにあえて国が航空機を補助金つきで飛ばす意味はないでしょう。航空機の果たす役割は他の交通機関では無理な、外国への路線、国内でも長距離路線や離島への路線です。国際空港や離島空港はともかく、それ以外の地方空港を維持する必要はありません。JALの撤退によって事実上廃止になる地方空港が出ても仕方がないでしょう。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/politics/update/1031/TKY200910310263.html)

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暫定税率廃止と「環境税」の創設はセット商品

 税制というものは毎年変わっていきます。特に来年度は、政権が変わったこともあり、今までの自民党政権では出来なかったこともできるようになります。

 そのひとつがいわゆる「環境税」。自民党政権では経済界に配慮してできないものでしたが、そういうしがらみがない民主党政権なら可能です。毎年「環境税」の創設を要望していた環境省にとっては大きなチャンスです。

 温室効果ガスの削減は地球の将来のためにも避けては通れません。目標は2020年の段階で、1990年に比べて25%の削減です。これを税金で行おうと思ったら、2兆円規模のものになるようです。これだけの規模の税金はなかなかありません。そこで出てきたのが、揮発油税等の暫定税率を「環境税」(「地球温暖化対策税」という名称が考えられています)に振り替えるというアイデア。暫定税率が2.5兆円なので、規模的には良く似ています。「環境税」の創設に強く反対している経団連でさえ、暫定税率を振り替えるかたちでの「環境税」の創設は容認しています。負担がトータルで変わらないことから、企業活動への影響が小さいからです。それなのに鳩山総理は、このようなかたちでの「環境税」創設には否定的な考えを示しています。

 暫定税率を「環境税」に振り替えるということは、暫定税率を廃止するという民主党のマニフェストに合致します。税収の維持が図れます。道路に使わなくても良いので(いくら一般財源化したとはいえ、過去の経緯から道路と関係のない分野だけに投入することは難しいでしょう)、道路の整備の抑制が図れます。ガソリンの値段が変わらないことから、環境対策にもなります(揮発油税の暫定税率撤廃と高速道路無料化の組み合わせは、温室効果ガスの増大を招き、環境に逆行します)。揮発油税の暫定税率の来年度廃止にこだわるなら、いい案です。

 確かに、増税は国民の理解が必要だ、という鳩山総理の考えは正論かもしれません。しかし、暫定税率の廃止だけが先行し、後になってから「環境税」を創設してガソリン代を元に戻すのは、困難を伴います。多額の公債残高を抱えている現状では、増税に頼らずに財政の再建はできません。それを解決するために消費税の増税の必要性が叫ばれていますが、選挙を恐れて先延ばしにされ、なかなかできません。増税には膨大なエネルギーが必要なのです。特に民主党は、暫定税率の廃止のほかに、「子ども手当」の創設など、新しい施策があります。社会保障も増加の方向に進むので、歳出は膨らむ一方です。新しい施策を行うなら、増税やら今までの事業の中止など、何らかの財源を確保しないと公債残高は膨らむ一方でしょう。

 それを考えれば、暫定税率の廃止と「環境税」の創設はセット商品です。どうしても来年度に暫定税率を廃止したいなら、不完全でも「環境税」は実施しないといけません。「環境税」を国民の理解を得た後で、ガソリン以外にも幅広く課税(ガソリン以外の化石燃料にも幅広く課税)したいのなら、暫定税率は当分維持したほうが良いでしょう。

(追記)
 小沢環境相は、来年度からの導入を要望していた「地球温暖化対策税」(いわゆる「環境税」)について、来年度からの導入を見送る考えを示しました。

 いったん暫定税率を廃止し、ガソリンが安くなったことを実感させてから、国民の合意を得たうえで「地球温暖化対策税」を導入するという考えですが、そんな悠長なことでよいのでしょうか? それなら、暫定税率を維持したほうがよっぽどマシです。野党時代のように、人気取りに走っている暇はありません。
(参考:朝日新聞10月31日朝刊 13版、時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2009103000393、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091105-00000044-san-bus_all)

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名松線の部分バス化はやむを得ず

 2年ぶりに日本に上陸した台風18号。この台風は、松阪と伊勢奥津とを結ぶJR名松線に大きな被害を与えました。松阪-家城間は被害が小さかったこともあり、1週間ほどで復旧しましたが、家城以遠の被害状況はかなりのものでした。そこでJR東海は、家城-伊勢奥津間の鉄道での復旧をあきらめ、今後もバスによる運行を続ける方針です。

 もともと名松線は、松阪と名張とを結ぶ目的で建設された路線でした。しかし、建設途中の1930年に、大阪と伊勢とを結ぶ参宮急行電鉄(今の近鉄大阪線・山田線の一部)が開通。最新鋭の電車が名張と松阪とを通りました。こうなると名松線の建設の意義を失います。結局、名松線は伊勢奥津で止まってしまい、名張まで全線開通することはありませんでした(伊勢奥津-名張間は三重交通のバスが運行)。

 国鉄末期には大きなピンチがありました。輸送量が極めて少ないため、廃止の対象になりましたが、並行する道路が整備されてなかったことから廃止をまぬがれました。しかし、1日5.5往復運転される家城-伊勢奥津間の代替バスが、鉄道とほとんど変わらない時間(便によっては、鉄道よりも速いものもあり)で走ることを考えれば、JRになってからの20年間で道路が整備されたということになります。「並行する道路がないから鉄道を残さないといけない」という理屈は成り立たなくなったのです(このような区間は名松線だけではありません。ほかのローカル線にも見られます)。名松線家城以遠は、地形が厳しいこともあり、安全を確保するため、急カーブや急勾配ではスピードを落とし、1時間に20ミリの雨で運転を見合わせていました。幹線ならちゃんと整備をするのですが、その必要性がなかった区間でした。多額の費用をかけて復旧したとしても、また同じように被害にあう可能性があり、復旧するだけの効果がありません。

 名松線の利用者は減り続けています。JRになってからの20年余りで、名松線全区間では約60%減りました(1日当たりの各駅の乗車人員の計は700人)。特に家城以遠の落ち込みは大きく、約80%減っています(1日当たりの各駅の乗車人員の計は90人)。細かく見ると、JR発足後10年ほどは、名松線全区間も家城以遠も同じように減り、利用者は1987年に比べてほぼ半減しました。しかし、ここ10年は、全区間でみるとほぼ横ばいであるのに対して、家城以遠はまた半減しています。バスで輸送できることは明らかです。わざわざ大金をかけて復旧させる価値はないでしょう。バスでも運賃水準が変わらない以上、赤字でしょうが、それでも復旧にお金を投じる必要がないだけ安上がりだと思われます。維持費も減ると思われます。

 鉄道での運行を止める家城以遠も、運賃は現状のものが維持されます。鉄道車両が来ないとはいえ、JR東海の一路線でありますので、正式には「廃止」に当たらないとも考えられます。名松線の厳しい現状を考えると、部分バス化はやむを得ない状況でしょう。正式に廃止され、JRから切り離され、運賃が値上げされるよりかは良いと思ったほうがよいでしょう。冷静に考えると、このようなローカル線の部分バス化に反対することはできません。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/nws000410.html、「全国鉄道事情大研究 名古屋都心部・三重篇」 川島令三著 草思社)

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年末は「1000円乗り放題」なし

 今年春から実施された、休日の高速道路1000円乗り放題。通常ならば、年末の土日(12月26日、27日)もその対象なのです。

 しかし、国土交通省は、高速道路会社に、26・27の両日をその対象から外すように要請しました(年内は23日が最終日です)。年末は物流の需要が多く、これに加えて不要不急の乗用車が殺到すると渋滞がさらに激しくなるからです。代わりに平日の1月4、5日を1000円乗り放題の対象とします。正式に決定したわけではありませんが、これが実現すれば、片道は(正月になってから戻らない限り)1000円乗り放題の恩恵を受けることができません。

 高速道路が1000円乗り放題になり、高速道路の渋滞はさらに激しくなり、鉄道などから移行したことから環境にも悪いです。1000円乗り放題の効果を半減させる、この施策は素直に歓迎したいと思います。

 さらに言えば、環境税などの車の利用にかかる税金の整備を行うまで、高速道路の割引は通勤割引程度にとどめ、無料化は先送りしたほうがよいですね。この週末から打ち切るのは無茶ですが、12月末か3月末で打ち切るのは可能ですね。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091026-00001015-yom-soci)

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未着工区間及び長崎新幹線が見直しの対象に

 前の記事の続編みたいな記事です。

 民主党政権になり、あらゆる事業が見直しの対象になってきます。整備新幹線も例外ではありません。東北・北海道新幹線八戸-新函館間など、すでに着工されていて、おおよその開業時期も決まっている区間については見直しの対象にもならず継続されますが、北海道新幹線新函館-札幌間などの未着工区間については、見直しの対象になります。未着工区間が建設を希望するときは、地元が需要予測をしないといけません(これまでは国が行っていました)。また、長崎新幹線については、すでに着工されている武雄温泉-諫早間についても見直しの対象となり、長崎新幹線で導入される予定であるフリーゲージトレインについても再検討されます。

 ただ、整備新幹線の未着工区間は建設する価値がある区間です。北海道新幹線の場合は、スピードアップが前提ですが、羽田-新千歳間の航空機にも対抗できます。北陸新幹線は、需要の多さが魅力。関西と北陸の間を9両編成(多客期は12両もあり)の「サンダーバード」「雷鳥」が1時間に1~2本走っています。在来線時代の「あさま」とほぼ同等の数字です。北陸新幹線は西に行けばいくほど需要が増えますので、金沢止まりにするほうがもったいないのです。北海道新幹線や北陸新幹線(大阪までの全線をつくることが前提ですが)は、国の骨格となる新幹線。国も地方の需要予測作りに協力をする必要があります。これまでの整備新幹線の予測は、厳しい目にさらされ、適切なものになっていますから。失敗したものはありません。

 長崎新幹線も5~6両編成の「かもめ」が1時間に1~2本とそれなりに多いですが、部分的な建設にとどまるため、所要時間の短縮はそれほどでもありません。実現が疑わしいフリーゲージトレインの導入を前提としているのも大きなマイナスです。北海道新幹線や北陸新幹線とは違い、「幹」から外れているのも低い評価にとどまる原因です。

 新幹線が開業すると在来線の乗客が減ることを否定的にとらえる民主党議員もいますが、在来線の利用者が減るのは当たり前のことです。もともと在来線は、特急の利用者で稼いでいたのです。普通列車は採算の取れない部門です。その普通列車だけで採算を取ろうとすると、どうしても運賃が上がってしまいます。ちょっとのお金を出せば、新幹線に乗れるのです。たとえば、盛岡-八戸間のIGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道の運賃は2960円。これに対して、新幹線は特急料金(立席、空いていれば座ることができます)を加えても3410円です。たった450円しか変わりません。盛岡-二戸間で比較しても、両者の差は870円です。長距離の客は、まず新幹線に移行します。在来線をJRのまま維持したければ、運賃を値上げして、新幹線利用者にも薄く広く負担してもらうしかないのです。長野新幹線の場合、在来線の賃率を幹線から地方交通線に値上げすれば、在来線はJRのままで維持できた、という話もあります(特殊な区間の横川-軽井沢間はともかくとして)。この場合、営業キロが在来線のものをそのまま利用したとしても、東京-長野間の新幹線の運賃の上昇はありません。ルートの都合上、新幹線のほうが若干遠回りであることと、営業キロの区切りの関係からです。

 結論としては、(1)北海道新幹線・北陸新幹線は、全線開業を前提に建設を進める。北陸新幹線金沢暫定開業で不便になる大阪方面については、特急の富山までの直通は維持する。(2)長崎新幹線は、オリンピックが来ない限り、(1)が完成するまでの間、建設はしない。オリンピック招致に成功したら、フル規格で急いで建設する。 この方針でよいのではないでしょうか?
(参考:47NEWS http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102001001037.html、NIKKEI NET http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091023AT3S2301123102009.html、asahi.com http://www.asahi.com/politics/update/1023/TKY200910230268.html、「未来鉄道2020年 新線鉄道計画徹底ガイド 西日本編」 川島令三著、山海堂)

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«整備新幹線、新函館止まりや金沢止まりでいいのか?