« リニア、ようやく2045年に全線開業 | Main | 暫定税率廃止&高速無料化は時期尚早 »

JR四国、高速無料化で廃線の危機?

 JR四国は、高速道路を無料化した場合、44億円の減収になると試算しています。2008年度のJR四国の鉄道収入は252億円。しかし、今年春からの高速道路の1000円乗り放題で、2009年度は14億円の減収が見込まれています。景気の低迷などの高速以外の減収要素(10億円)もあるので、今年度の鉄道収入は228億円を見込んでいます。もし、高速道路の無料化が実現した場合、他の要素を無視しても、鉄道収入が198億円に減少します。もとの規模を考えたら、大きな数字です。9月30日に行われた同社の記者会見でも、危機的状況をはっきりと述べています。

 ところで、今回の1000円乗り放題の割引は、いわゆる「埋蔵金」、財政投融資特別会計の積立金を使っています。この積立金は本来、国債の償還に充てるためのものです。これを高速道路に使うことによって、国債の償還がその分だけ遅れます。つまり、国債を発行して大幅な割引を行っているのです。道路特定財源ならばまだ、車のユーザーのお金で成り立っているといえますが(もっとも、新たな区間の建設費や本四架橋などの特殊な区間の料金引き下げではないのに、民営化した高速道路会社に税金を投入して、料金を下げることに対することの是非はありますが)、それですらないのです。自動車交通は大量輸送には向かず、資源を浪費するので(省エネ技術は進むでしょうが、道路を必要とすることには変わりません)、実際の受益以上の過重な負担を課してもよいと考えられます。道路特定財源で以て、鉄道などの公共交通の整備に充てたりするのも容認できます。

 道路を優遇した、その結果がJRの不振。ほかにも旅客の分野では、バス会社やフェリー会社が被害をこうむっています。公共交通を税金で邪魔しているのです。

 JR四国は2両編成を1両だけにするなど、普通列車の長さを短くして対応していますが、その努力もいつかは限界が来ます。そのうち本数が減り、最終的には廃止に追い込まれる危険性もあります。廃止になるのは、高速道路に並行している路線ではありません。それなりに特急が通り、減るとはいっても需要はあるからです。廃止になるのはローカル線。ローカル線をJRで維持すべきかという話はともかくとして(個人的には、特急の通らない地方のローカル線は、JRで維持すべきではないと考えています)、高速道路無料化の犠牲になるわけです。

 特にJR四国はJRグループで唯一、開業している新幹線も建設中の新幹線もありません。車に対抗するためには、車よりはるかに速いスピードが必要ですが、そのような抜本的な改良策はありません。四国新幹線ができればよかったのですが、その計画も消えてしまいました。明石海峡大橋が鉄道に対応していないためですが、それなら次善の策として瀬戸大橋に新幹線を通して、岡山から松山に新幹線をつくってもよかったですね。この区間なら「しおかぜ」が1時間に1本通りますから、それなりの価値はあるでしょう。
(参考:四国新聞社ホームページ http://news.shikoku-np.co.jp/kagawa/economy/200910/20091009000087.htm、Business Media 誠 http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0908/07/news021.html)

|

« リニア、ようやく2045年に全線開業 | Main | 暫定税率廃止&高速無料化は時期尚早 »

鉄道」カテゴリの記事

JR四国」カテゴリの記事

Comments

それにしても役人の知能指数と鉄道・公共交通への
理解度ってまったく比例していませんよね・・・

または自分がよければいいのか!?

Posted by: すぎうら あきのり | 2009.10.16 10:12 AM

これからの超高齢化社会に逆行する車優遇政策。
そもそも、強者から弱者へ還元するのが「政策」じゃないでしょうか?
それが、交通の強者である車に減税、無料化と一方的に力を与え、弱者である地方鉄道は完全無視。
そして割を食うのが車を運転できない社会の弱者(高齢者、子供たち)で、交通の格差社会の出来上がりですね。
来年度には高速道路無料化が開始されるとのことで、民主党には一刻も早く、国民7割が反対している「世紀の愚策」を見直してもらいたいものです。

Posted by: juggernaut | 2009.10.17 08:33 PM

 すぎうら あきのりさん、おはようございます。

* それにしても役人の知能指数と

 人気取りに走る政治家のほうが問題でしょう。役人なら、償還しきっていないのに無料化にする発想は出てこないです。

 ともかく、公共交通に対する認識は薄いですね。

Posted by: たべちゃん | 2009.10.19 04:40 AM

 juggernaut さん、おはようございます。

* それが、交通の強者である車に減税、無料化と

 鉄道を弱者のものと定義づける必要はありません。きちんと投資すれば、自動車を運転できる人も使ってくれます。競争力の強化が大切なのです。

 目指すは、コミュニティバスのような、弱者しか使えないような乗り物ではありません。日本はまだ治安がいいからいいですが、国によっては怖くて乗ることができないものになってしまいます。

* 民主党には一刻も早く、

 マニフェストに固執する必要はありません。現状に合わせて、修正をかけるのは是認できます。

Posted by: たべちゃん | 2009.10.19 04:58 AM

 高速道路の無料化と、大気中に放出される二酸化炭素の排出量を25%削減と明らかに矛盾するけど、大丈夫なのでしょうか?
 マッ、私の仕事じゃないし、政策の失敗は、あの人が辞めれば、済むことだし。

Posted by: アーバンライナー | 2009.10.21 12:22 AM

 アーバンライナーさん、おはようございます。

* 高速道路の無料化と、大気中に

 単純に一般道を走っている車が高速道路に移行するだけなら、むしろ環境にはプラスですが、鉄道など公共交通機関からの移行がありますからね。

* マッ、私の仕事じゃないし、

 総理大臣が辞めれば済む話ではありません。子孫まで影響を及ぼします。小さくても、声をあげていく必要があるでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2009.10.22 04:39 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference JR四国、高速無料化で廃線の危機?:

» JR四国、役員、管理職の手当てをカット、高速道路千円に対抗できず [日々のたわごと]
大幅減収で社長、役員などの報酬カット。 この先高速道路無料になったら...? 高 [Read More]

Tracked on 2009.10.16 12:33 AM

« リニア、ようやく2045年に全線開業 | Main | 暫定税率廃止&高速無料化は時期尚早 »