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「(在来線は)新幹線よりはるかに大切な生命線」とは言うけれど

 今日の題材は7日の朝日新聞社説。最初は九州新幹線の全線開通で新大阪-鹿児島中央間が最速3時間45分で結ばれたという明るい話題で始まります。しかし、この社説のテーマは厳しい経営が続く並行在来線。2004年の九州新幹線新八代以南の開業により誕生した肥薩おれんじ鉄道は、赤字続きです。

 ただ、社説では在来線は通勤や通学の足となっているため、新幹線よりはるかに大切な生命線であると言っています。しかし、鉄道としては利用者が少なく、維持するのがやっとというのが現状です。ローカル輸送の少なさは新幹線が開業する前からあったはずなのですが、そのときは特急輸送でお化粧されていましたので、問題にならなかっただけです。新幹線開業により、ローカル輸送の現状が明らかになっただけです。並行在来線はむしろ貨物の輸送のほうが盛んです(ただ、貨物が少なければトラックに代行させるという手はありますが)。廃止にさせるわけにもいかず、難しい問題です。

 社説では富山のLRTを例に挙げて、在来線の活性化策を出しています。しかし、富山ライトレールは、富山市内を走る路線のためそれなりの需要があったにもかかわらず、JRの枠内にあったため積極策がとれずにいた路線なのです。こういうところなら、JRから外れることによりそれほど採算性を追求せずにせみ、住民の利便性を考えた方策を採ることができます。「安かろう、悪かろう」路線からの脱却です。大都市圏で特急が走らない、しかも人口がそれなりにある路線に、広がってほしい動きです。

 ローカル線で難しいのは、採算性の問題。ローカル線の中には、バスで十分代替できるところがたくさんあります。そのような話にならないローカル線でも、JRになっていれば、大都市圏や新幹線の黒字で補てんされるため、廃止にならない限り問題にはなりません。もっとも、ローカル線の利用者以外にとっては、将来の見込みのないローカル線を維持するためにお金をつぎ込むのは、何のメリットもない話ですが。そんなお金があるなら、幹線に投資するほうがはるかに有用です。結局は、地元自治体が負担しないと何も解決しないでしょう。
(参考:6月7日朝日新聞朝刊 中部14版)

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Comments

たべちゃんさん、こんにちは。
赤字ローカル線の経営について、強力な都市間需要が新幹線に移行した現状では、非常に難しいと思います。
肥薩おれんじ鉄道は輸送密度がかなり低く、一日あたり900人/キロ程度です。(東洋経済2010年7月臨時増刊号「鉄道 完全解明」より抜粋)1時間に1本でも数人~10人程度の乗車と思われます。バス転換のほうが整備費などを含めて安いと思います。
たしかにその地域(ここでは水俣や出水や阿久根など)に居住する人にとっては、通勤通学買い物に利用してもらい、路線維持に務めたいところでしょうが。
鉄道輸送は地球環境に優しいといわれますが、乗客が少なく経営が苦しい状況では、むしろバスなどの手段のほうが整備費や人件費も安く済み合理的だと思います。
東北地方では、津波でやられた沿岸路線の復旧は非常に困難でしょう。山口県の美祢線も1年近くバス代行で通していますし。

Posted by: かずちゃん2011 | 2011.06.11 at 02:57 PM

 かずちゃん2011 さん、おはようございます。

* 肥薩おれんじ鉄道は輸送密度がかなり低く、

 ただ、ここの問題は、貨物列車があることです。そのため、電化設備も残っているのです。

* 鉄道輸送は地球環境に優しいといわれますが、

 まさにその通りで、鉄道はある程度量がないと効果が発揮できないですね。

Posted by: たべちゃん | 2011.06.12 at 07:02 AM

並行在来線は全部貨物輸送の幹線であり続けるという他の三セクとは違う問題があるんですよね。

おれんじ・しなの・青い森…と並べていくと青い森とIGRは三沢・野辺地・浅虫温泉と利用客が多かったらしいので、新幹線接続を改善すれば少しはましになるような気がしますが。

頭一つ抜けておれんじが厳しそうですね。

Posted by: 日置りん | 2011.06.13 at 02:09 AM

 日置りん さん、おはようございます。

* 並行在来線は全部貨物輸送の幹線であり続けるという

 そこがややこしい問題です。撤退するわけにはいきません。旅客部分は地元の負担ですが、貨物部分は国策で支えないといけないでしょう。

* 頭一つ抜けておれんじが厳しそうですね。

 ただここは南端の鹿児島に近いため、貨物をトラック代行させるという奥の手があります。

Posted by: たべちゃん | 2011.06.13 at 04:58 AM

当該社説を検索していたら新幹線が地域の活性化に(?)貢献した、と書いてあって驚きました。

今「真夏の夜の悪夢」の真っ只中じゃないんかい!? (これも検索で知った)

ただ部分開業時に阿久根の人が「新幹線は何ももたらさない(か、奪っていくだったかな?)」ときつい目を送っているそうなんで、「真夏の夜の悪夢」はまだ覚めきってない、とは言えるでしょうね。
もっとも阿久根に関してはおれんじ鉄道が新幹線接続を改善すれば今は博多まで乗り換えなしになるんですが。
佐敷や日奈久は特急が止まってたといっても2、3本だったしまあいいか、と割りきれるものかどうか。

Posted by: 日置りん | 2011.06.13 at 11:49 PM

 日置りん さん、おはようございます。

* ただ部分開業時に阿久根の人が「新幹線は

 場所によっては新幹線の恩恵がなく、デメリットばかりのところもありますが、総体では新幹線は効果があったと言えるでしょう。阿久根に寄るとかなり遠回りになります。

* もっとも阿久根に関してはおれんじ鉄道が

 肥薩おれんじ鉄道に新幹線とのフィーダー機能が果たせるかどうかは怪しいところですね。新幹線の駅まで車で行ってしまうでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2011.06.14 at 05:00 AM

ごぶさたしております。以前コメントしたmiyaharaです。

今回の震災では青い森&銀河鉄道や磐越西線など並行在来線やJRローカル線が被災地向け石油貨物輸送に大いに貢献しました。

他地方でも震災時の貨物代替輸送ルートとして在来線ネットワークは「国策」としてある程度残すべきだと思います。

その維持の為には我々の税金から年百億円くらい出しても良いと思います。地震大国日本では全国どこでも震災の被災地になり得るわけですから・・・

Posted by: miyahara | 2011.06.17 at 05:24 AM

 miyahara さん、おはようございます。

* 他地方でも震災時の貨物代替輸送ルートとして

 貨物を輸送できるのはそれなりの路線なので(磐越西線クラスは要ります)、赤字の穴埋めではなく亜幹線の強化でお金がもらえるといいですね。日ごろからそれなりに使える路線にするためにも。

* その維持の為には我々の税金から年百億円くらい出しても

 鉄道に関する予算はあまりにも少ないです。鉄道の重要性を考えると。

Posted by: たべちゃん | 2011.06.17 at 05:58 AM

2009年だったか、道路が10兆5千億円、鉄道が4千億円らしいですね。

それだけ差があるなら1兆5千億円ぐらい道路から鉄道に移してもいいんじゃないですかね。

大隅も都城〜志布志で自動車専用道路作りよるし。都城から末吉まで高速繋げれば鹿児島〜宮崎も短縮されるのに。

Posted by: 日置りん | 2011.06.17 at 07:07 AM

 日置りん さん、おはようございます。

* 2009年だったか、道路が10兆5千億円、鉄道が4千億円

 鉄道の果たす役割を考えたら、あまりにも小さな数字ですね。

* 大隅も都城〜志布志で自動車専用道路作りよるし。都城から末吉まで

 鉄道が廃止されたような区間に高速道路をつくってどうするのでしょうか? 地元の方には失礼ですが、高速道路は不要でしょう。

 お話の通り、末吉財部から都城に伸ばせば、宮崎-鹿児島間の短絡ルートとなり、効果が発揮できると思われます。

 話は変わりますが、コメントもかなり増えてきましたので、今日の23:59で締め切りとさせていただきます。ご了承ください。

Posted by: たべちゃん | 2011.06.23 at 06:22 AM

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