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JR東日本、津波で流された三陸3路線をバス専用道路化?

 東日本で大きな被害を受けたJR東日本の路線。八戸線など全線再開の動きもありますが、常磐線は原発の影響が重く、仙石線や石巻線も全線再開はまだ先です。

 JR東日本はこれらの被災した路線をすべて復旧する意向を示していますが、新しい動きが出てきました。気仙沼線(柳津-気仙沼間)、大船渡線(気仙沼-盛間)、山田線(釜石-宮古間)の合計154キロについて、鉄道を敷きなおすのではなく、従来の鉄道の路線敷に専用道路をつくり、バスを運行させる「バス高速輸送システム」(Bus Rapid Transit、BRT)で復旧させる案が出てきたのです。BRTは一般道と分離した専用道路にバスを走らせる新交通システムで、路線バスのように渋滞の影響を受けることがありません。日本では正確な意味でのBRTはありませんが、鹿島鉄道の代替バスや名古屋の基幹バスがそれに近い存在と言われています。

 BRTのメリットは、鉄道を敷きなおすよりも早く整備することが可能なうえ、整備費用も半分以下で済むこと。運休している気仙沼線、大船渡線、山田線の154キロを原状復帰させるだけでも400億円近くかかります。レールを敷く必要もなく、駅もバス停のような簡単な設備で済みます。ルートも鉄道の路線敷にこだわる必要がありません。学校や病院に寄ったり、高台にできた新市街地に寄ったりすることもできます。鉄道の橋脚が津波で流された場所では、一般道を借りることもできます。

 被災地の現状は、代替バスが運行されてはいますが、朝夕の時間帯には通勤や工事の車両で渋滞します。早期の復旧が望まれていますが、新市街地が決まらないのでルートが確定しません。これが確定しない限り、鉄道での復旧はできません。「鉄道の廃止」と言えば地元からの批判を受けそうですが、今回BRTが検討されている区間は、もともと需要が少なく、バスでも困らないレベルなのです。大船渡市での事例のように新たな負担を嫌ってか、廃止を求める声もあるぐらいなのです。気仙沼市でも、鉄道に代わる乗り物を検討していて、鉄道にこだわるわけではないようです。

 BRT化した路線を誰が運営するのか(参考にした記事に書かれているようにJR東日本が直営で運営するなら、「廃止」には当たりません)、2014年に復旧する三陸鉄道との整合性などの問題があります。ただ、バスでも十分なローカル線を(第三セクターではなく、株式を公開し、利益を追求しなければならない)JRが運営する必要はありません。BRT化は現実的な方法でしょう。

(追記1)
 JR東日本の里見取締役仙台支社長は、24日に仙台市内で開いた記者会見で、東日本大震災で被災し、復旧の方法が決まっていない気仙沼線、大船渡線、山田線の復旧方法として、BRTやLRTによる方法もあることを発言しました(ただ、ここは私見ですが、以前の記事でも指摘したようにLRTが富山ライトレールみたいなものを指すのかは疑わしいところですが。これらの路線は需要の少ない、潜在需要も見込まれないローカル線ですから、LRTをつくっても需要が増えるわけではありません)。

 もっとも、具体的にどの路線にどのような交通手段を導入するかは、JR東日本が主体的に決定するのではなく、沿線自治体や東北運輸局などとつくる復興調整会議に委ねるようです。

(追記2)
 JR東日本は、12月27日に開かれた気仙沼線復興調整会議において、現在運休している気仙沼線柳津-気仙沼間の仮復旧方法としてBRTを考えていることを明らかにしました(ただし、JR東日本の担当者がその後の記者会見で明らかにしているように、このことは最終的には鉄道を復旧させることを確約したしたわけではありません)。なお、運賃は鉄道並にするようです。

 BRTのメリットは経済性。国交省によれば、全線鉄道だと復旧に数百億円かかりますが、全線BRTだと数十億円ですみます。BRTは鉄道に比べて速達性や定時性に難があるものの、運行頻度・工期・ルート変更の柔軟性・津波避難のしやすさに優れているようです。

 ただ、沿線自治体は最終的に鉄道として復旧することを望んでおり、自治体に持ち帰って、次回2012年2月の会議でその結果を報告するようです。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20111120-OYT8T00075.htm?from=popin、河北新報 http://www.kahoku.co.jp/news/2011/11/20111125t71010.htm、http://www.kahoku.co.jp/news/2011/12/20111228t11009.htm)

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Comments

やはりバス化・・・仕方ないとはいえ淋しいです。これで仙台から気仙沼まで快速南三陸や黄金ふかひれ号が直通することは永遠になくなります。一関経由で鉄路が残る気仙沼市はともかく南三陸町は開業から30年強で鉄道地図から再び消滅します。

ただ山田線のようにもはや鉄道としての存在意義を失った区間(盛岡-宮古プラス岩泉線区間)が引き続き鉄道として残り、それなりに鉄道需要のあった沿岸区間(宮古-釜石)がバス化されるというのはちょっと疑問です。

復旧作業が開始された三陸鉄道に「バス化」圧力がかからないか心配です。三鉄復旧費用100億円は他の復興事業へまわせという声が地元から出てもおかしくないです。北リアス線は久慈・宮古でJR接続は維持されますが心配なのは盛でJR接続がなくなる南リアス線です。

三鉄は震災後数日で一部区間を無料で再開させ地元の被災者を勇気づけました。できれば鉄道として存続してもらいたいです。沿線人口は少なくても観光路線として生き残る道はありそうです。

Posted by: miyahara | 2011.11.21 at 04:02 PM

 miyaharaさん、おはようございます。

* ただ山田線のようにもはや鉄道としての

 どちらもよく似たものでしょう。盛岡-宮古間には都市間交通の需要があり、それをうまく取り込めたらよかったのですが、バスに完敗しました。

* 復旧作業が開始された三陸鉄道に

 そういう悪影響はありますね。

Posted by: たべちゃん | 2011.11.22 at 04:40 AM

JRと三陸鉄道の運営形態が異なるとはいえ、どちらも国鉄がルーツの路線なのに復旧国から多額の費用が出る三陸鉄道と比べて不平等という意見がありますね。
そこでJRが「国から補助金を得るため」に(もっともらしい理由を並べて)BRT化の話を出しているだけ、という説が有力のようですね。

Posted by: うえしょう | 2011.11.27 at 02:20 PM

 うえしょう さん、こんばんは。

* JRと三陸鉄道の運営形態が異なるとはいえ、

 確かに首都圏や新幹線の利益で、将来性が望めないローカル線の復旧をしなければならないとは厳しいですね。

* そこでJRが「国から補助金を得るため」に

 確かに補助金でも貰わないとやっていけないでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2011.11.27 at 08:41 PM

岩手日報に陸前高田市の復興計画案の記事があり「休止中のJR大船渡線については、現位置よりも北側の再生市街地側に移設する方向でJRと検討しているとした。(気仙沼駅―陸前矢作駅間の早期開通を要請する)と一部区間の早期再開を求める文言も盛り込んだ。」とありました。

www.
iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20111201_11

自治体ごとに温度差もあるようで、当面決着はつかないでしょうね・・・

Posted by: miyahara | 2011.12.01 at 08:27 PM

 miyaharaさん、おはようございます。岩手日報の記事は見ました。

* 岩手日報に陸前高田市の復興計画案の記事があり

 自治体ごとの考えかたに違いがあり、まとまるまではまだ時間がかかりそうですね。

Posted by: たべちゃん | 2011.12.02 at 04:16 AM

コメントはこれで最後にします→こんな記事もありました。

大船渡線の早期復旧を 大船渡市、市議会がJRに要望
www.
iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20111202_6

 東日本大震災の津波により一部区間で運休が続くJR大船渡線について、大船渡市と同市議会(佐藤丈夫議長)は1日、JR盛岡支社(福田泰司支社長)に早期復旧と線路に防潮機能を持たせることなどを要望した。

 提出は非公開。戸田公明市長と佐藤議長が盛岡市盛岡駅前通の同支社を訪問。市長、議長の連名で▽早期の全面復旧▽(かさ上げして)「第2線堤」として防潮機能を持たせる▽安心安全な路線としての復旧-などを求めた要望書を福田支社長に手渡した。

 戸田市長は提出後、取材に対し「決してまちづくりのためだけでなく、JRの安全運行のためでもあると伝えた」と話した。戸田市長によると、福田支社長は「(沿線の)陸前高田市、気仙沼市とも協議し進めていきたい」などと回答したという。

 大船渡線は津波で駅舎や線路が流失するなどし、気仙沼(気仙沼市)-盛(大船渡市)間で運休が続いている。 (2011/12/02)

***********

津波で車もお金も流され新車も買えず不自由している人も大勢いるでしょうから、バスでも何でもいいから早く定時運行できる公共交通機関が復旧するといいですね。

Posted by: miyahara | 2011.12.03 at 07:19 AM

 miyahara さん、おはようございます。

* 大船渡線の早期復旧を 大船渡市、

 大船渡市はJRの復旧に関して、消極的姿勢が伝えられている( http://tabechan.cocolog-nifty.com/note/2011/10/post-3bb1.html )だけに、鉄路での復旧を希望する意思をはっきり伝えておかないといけないですね。

Posted by: たべちゃん | 2011.12.04 at 08:09 AM

すいません!これで本当に最後のコメントにします。

追記にある「LRT」というのは、道路と併用軌道にして復旧費を抑えるという意味と、それから車両もJR標準の20m車をやめて小型化する(さすがにDMVよりは大型でしょうが)という意味なのでしょうか?まさか電化はしないでしょうが・・・。

Posted by: miyahara | 2011.12.07 at 03:28 AM

 miyaharaさん、おはようございます。

* 追記にある「LRT」というのは、

 追記の中でも指摘していますように、「LRT」と言っても富山ライトレールのようなものではない可能性は十分にあります。本来の意味では使っていないでしょう。単に道路上を従来の鉄道車両が走る可能性が高いとみています。

 話は変わりますが、コメントもかなり増えてきましたので、今日の23:59で締め切りとさせていただきます。御了承ください。

Posted by: たべちゃん | 2011.12.07 at 04:33 AM

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再び読売新聞の報道ベースのニュースになりますが、こういうニュースが掲載されていました。 流失3路線、バス専用道路に…JR東が検討(読売新聞Webページ) 記事によると、 ... [Read More]

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