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長崎新幹線ができても博多-佐賀間の短縮時間はたったの2分

 長崎新幹線は、武雄温泉-長崎間のみをフル規格でつくり、残る新鳥栖-武雄温泉間は在来線をそのまま利用、博多-新鳥栖間は九州新幹線に乗り入れます。標準軌と狭軌を行き来するため、フリーゲージトレインが前提で、2022年度に開業する予定です。博多-長崎間は、今より30分近く短い、1時間20分で結ばれます。それでは、途中の県庁所在地駅、佐賀まではどうなるのでしょうか?

 これまで、博多-佐賀間は新鳥栖で九州新幹線に乗り入れることにより、5分短縮するといわれていました。しかし、改めて計算した結果、2分しか短縮されないようです。

 その原因は、博多-博多南間で時速120キロしか出していないこと。この区間は、JR西日本が博多南線として運行している区間でもあります。真偽のほどはわかりませんが、他の新幹線と同じように時速260キロ運転をしたら、在来線扱いができなくなり、100円という安い特急料金が実現できなくなります。もともと回送列車の活用という側面で始まった博多南線ですが、今ではかなりの人が利用しています。九州新幹線ができたからと言って、簡単に(料金が上がる)新幹線扱いにできるわけではありません。よって、JR西日本は博多-博多南間で速度を向上させる予定はないようです。

 そして、肝心のフリーゲージトレイン。計画では、31往復中、14往復が新大阪まで直通すると試算しています(新大阪-長崎間の所要時間は今より28分短縮し、4時間ちょうどになるとしています)。その前提を基にすれば、長崎新幹線の投資効果(費用対効果)は1.09で、開業後の収益にあたる収支採算性は年間20億円です。しかし、このフリーゲージトレインの新大阪乗り入れには、JR西日本が難色を示しています。JR西日本の佐々木社長は、運行指令システムなどの新たな設備をつくる必要があり、また博多駅の容量が足りないことを問題として挙げています。一番の問題は、フリーゲージトレインが遅いこと。山陽新幹線は「のぞみ」「さくら」などが時速300キロ運転を行っています。「こだま」でも時速285キロの車両です。これに対してフリーゲージトレインは時速270キロ。遅いので、ダイヤを組むうえで大きな制約になります。「こだま」として各駅停車で新大阪に行っても意味がありませんから。

 それでは、新大阪直通の本数を減らしたり、ゼロにしたりすればどうでしょうか? その場合の試算もあります。1日7往復しか乗り入れなかったときは1.06、まったく乗り入れがなかったら1.02です。山陽新幹線に乗り入れることができなくても収益の見通しが立っています。1を下回ることはないようです。しかし、依然として、フリーゲージトレインがないと話にならないという事実には変わりません。北陸新幹線のようにもしフリーゲージトレインが実用化しなくても何とかなるところとは違います。フリーゲージトレインができなかったときに備えて、全線狭軌のスーパー特急方式(最高速度160キロ)のときの試算はしているのでしょうか? 諫早-長崎間新規着工前の試算はありますが。

 長崎新幹線にはほかの課題もあります。博多駅の新幹線ホームは3面6線しかなく、朝夕など混雑する時間帯は対応できない危険性があります。今でも小倉や新下関に乗り入れる便はありますが、それを増やして、博多駅のホーム不足を緩和させないといけないのかもしれません。また、料金政策も重要です。九州新幹線でも、博多に近い熊本では高速バスとの競争が激しく、高い料金で稼ぐということができません(鹿児島ぐらい離れれば、スピードで圧倒的に優位に立つため、比較的高くても利用してくれます)。長崎の場合、距離やフリーゲージトレインを使うことを考えると、熊本のケースに類似すると考えられます。高い建設費をかけて新幹線をつくっても、安売り競争に巻き込まれ、本来欲しい料金収入が得られない危険性があります。長崎新幹線は、新大阪まで直通しない危険性もありますので、熊本以上に厳しい状況です。
(参考:佐賀新聞ホームページ http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2174215.article.html、http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2171477.article.html、http://www.saga-s.co.jp/news/sinkansen.0.2152052.article.html、西日本新聞ホームページ http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/296692、国交省ホームページ http://www.mlit.go.jp/common/000189661.pdf)

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Comments

そうか、九州特有の現象かもしれない高速バスと新幹線の本格的競争があるんですね。
熊本でさえ圧倒的時間差が埋まるほどバスの利用がある(更に増えたんでしたっけ?鉄道側の新たな隙が上手くバスで埋まったようですが)くらいだからここまで新幹線の予想時間短縮効果が目減りすると、長崎新幹線はもう整備新幹線計画を以てしても駄目かもしれませんね。

個人的には要不要の議論は対博多の場合であって、現に工事が進んでいる今は対新大阪を睨んだ議論ももっと起こすべきだと考えていました。
しかしFGTに黄信号が付かなくても実は大して速くならないと地元が認識すれば、

・在来線博多〜鳥栖の更なる線路容量の空きの確保(→筑後方面に列車を回せる)
・肥前山口〜諫早の複線化(実は在来線の複線化だと補助制度の関係で少なくとも県負担の費用は上がって時短効果は落ちる…とどこかで見たような?)

という新幹線建設の数少なそうな効果も省みられることもなくなる…。今と同じですかね?更に風辺りが強くなるくらいでトンネルが埋まるでもなし。

それにしても長崎県庁と佐賀新聞はもはや宿敵同士と呼んでもいいですね。お互い必死なのは分かりますがどちらが先に中央省庁とマスコミ、両方を制するものやら。

Posted by: 日置りん | 2012.04.29 at 12:30 PM

 日置りん さん、おはようございます。

* そうか、九州特有の現象かもしれない高速バスと

 高速バスと新幹線との競争はほかの場所でもあるでしょうが、九州ほど激しい場所もないでしょう。

 新幹線があまりにも速ければ強気の勝負に出ることができますが、そうでなければ価格競争に巻き込まれてしまいます。

* 個人的には要不要の議論は対博多の場合であって、

 フル規格やミニ新幹線なら(それなりに強気の勝負に出ることができる)新大阪まで考えることができるでしょうが、技術が確立していないフリーゲージトレインを採用するので、新大阪まで直通するのは難しいと考えざるを得ません。

* それにしても長崎県庁と佐賀新聞はもはや

 佐賀は博多に近いので、新幹線がなくても困らないのでしょう。一応は新幹線のある県ですから。

Posted by: たべちゃん | 2012.04.30 at 05:45 AM

西九州ルートの話は別にして、博多南線は120km運転なんですね。
在来線扱いというなら、ほくほく線あたりで認められている160km運転でも良さそうな気がしますが(極端な話、「新幹線の定義」未満となる199km運転でも)。
そうすれば、現状の鹿児島方面でも所要時間が1~2分は短縮でき、JR西日本にとっても根元利益でメリットがあります。

さて、話を戻しまして、西九州ルート。
いよいよミニ新幹線方式を検討しないといけない段階ではないかと思います。
そもそも、新大阪に直通しないと意味が無い新幹線ですし、博多駅のホーム容量問題も解決できます(「みずほ」「さくら」と博多で併結すればいいだけなので)。

まあ、県合併や道州制で佐賀県が消滅すれば、フル規格の可能性も出てきますが。

Posted by: つばめ800 | 2012.04.30 at 09:00 AM

 つばめ800 さん、おはようございます。

* 在来線扱いというなら、ほくほく線あたりで

 確かにそれは思いますね。200キロ出さなければいいのですから。

* いよいよミニ新幹線方式を検討しないといけない

 ミニでもいいから新大阪に直通できないと、長崎新幹線の価値は落ちるでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2012.05.01 at 04:29 AM

>真偽のほどはわかりませんが、他の新幹線と同じように時速260キロ運転をしたら、在来線扱いができなくなり、100円という安い特急料金が実現できなくなります。

九州新幹線は、博多南駅には止まらないのだから、関係ない話だと思います。

青函トンネルでもそうですが、整備新幹線は無駄という世論を起こさせるためのイチャモンの類ではないでしょうか。

Posted by: かにうさぎ | 2012.05.03 at 11:26 AM

 かにうさぎ さん、おはようございます。

* 九州新幹線は、博多南駅には止まらないのだから、

 確かに、真偽のほどはわかりません。もともと、回送線としてつくっているので、騒音対策などが要るのでしょうか?

* 青函トンネルでもそうですが、整備新幹線は

 「整備新幹線は無駄」とよく言いますが、新幹線がなければどうするのでしょうか?

Posted by: たべちゃん | 2012.05.04 at 06:43 AM

長崎新幹線ができても博多-佐賀間の短縮時間はたったの2分

というのであればフル規格で造りますか?佐賀にはそのような財政状況ではないからではないですか。長崎を切って捨てることはやめていただきたい。

Posted by: さくら | 2012.08.11 at 07:18 AM

 さくらさん、おはようございます。

* というのであればフル規格で造りますか?

 佐賀県とは違い、長崎県のほうは新幹線をつくるメリットはあるのですから、長崎県がお金を出してフル規格でつくるのはありでしょう。フル規格なら、新大阪にも何の問題もなく乗り入れることができます。

Posted by: たべちゃん | 2012.08.12 at 06:53 AM

フリーゲージによる長崎新幹線は、「安物買いの銭失い」の典型でしょう。
武雄温泉-新鳥栖のわずかな区間を繋げれば、全線フル規格になる。
新大阪から長崎まで直通できるし、フリーゲージを佐世保線特急に導入すれば、佐世保方面へもメリットがあるはずなのに。

現状の計画でも、肥前山口-武雄温泉間の複線化が必要。さらに、新大阪に直通させるには、新鳥栖-武雄温泉間の改軌か3線化が必要となれば、建設費の安さというメリットも減殺される。

Posted by: かにうさぎ | 2012.08.24 at 10:57 PM

 かにうさぎさん、こんばんは。

* フリーゲージによる長崎新幹線は、

 時速300キロ走行ができるフリーゲージトレインができるならともかく、そうでない限りはメリットは小さいです。新大阪まで直通しにくいですから。

 話は変わりますが、コメントもかなり増えてきましたので、明日の23:59で締め切りとさせていただきます。ご了承ください。

Posted by: たべちゃん | 2012.08.25 at 09:13 PM

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