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大阪市交通局、民営化の素案がまとまる

 昨年末のことですが、2012年12月、大阪市交通局は「地下鉄事業民営化基本方針(素案)」等を策定しました。これは2012年6月に府市統合本部が出した方針(地下鉄は上下一体の民営化、バスは地下鉄とは完全に分離して運営、かつ民営化)に沿ったものであり、8月から交通局内の民営化推進室で検討してきたものです。年内に間に合ったことになります。民営化によりこれまで一般会計の補助金で成り立っていた交通事業が、固定資産税などを納める企業になるのです。

 現在、大阪市営地下鉄の終電はJRや私鉄に比べて30~40分早いのですが、2013年3月から回送列車を活用して終電の延長を行います。御堂筋線や四つ橋線で最大26分、今里筋線で最大30分の延長を行います。阪急と相互直通運転をする堺筋線でも、ダイヤの調整を行ったうえで終電の延長を行う予定です。

 運賃の値下げについては2014年4月から、初乗り運賃を10円引き下げて190円とします。当初は20円下げる案もありましたが、消費税の増税や経営状況を考え、10円の値下げにとどめます。その後は民営化後の経営状況も勘案し、2015年10月をめどに近距離区間でさらなる値下げを行います。1.5キロ以内の区間は180円に、(現在230円の)3~4.5キロの区間は220円になります。地下鉄の乗客の半数は4.5キロ以内の利用なのです。反対に消費税の増税をカバーするため、2014年か2015年に中長距離の区間では10~20円の値上げを行います。値下げと値上げを同時に行い、システム改修などの経費を節減します。2014年の値下げでは17億円、2015年の再値下げでは59億円の減収が見込まれますが、職員の削減や給与のカット、新規事業の増収で賄います。

 そして、肝心の民営化については、受け皿となる新会社を2014年度半ばに設立し、移行手続きを始めます。2014年度中に市営地下鉄事業を廃止して、2015年度より新会社の営業を始めます。新会社には本社機能のほか、運輸、メンテナンス、関連事業、事務などのカンパニー制による組織となります。人員は4500人規模を目指します。現在より800人ほど減ることになります。上下一体方式で資産と運営をまとめて移管される新会社は当面、大阪市が100%出資する株式会社(大阪都への移行により大阪市が消滅した場合は、大阪市を引き継いだ特別区が株を所有)となりますが、将来的には上場を目指します。

 今後解決すべき課題は、企業債・補助金の取り扱いや職員の処遇についてです。民営化に伴い約6100人の職員が退職することとなるため、大阪市は退職金約1020億円の調達をする必要があります。また、地下鉄とバスの企業債残高が2011年度末で約6130億円あります。このうち、約5300億円は大阪市が金融機関などで資金調達をして繰り上げ償還する予定です。大阪市交通局では、今回策定された「地下鉄事業民営化基本方針(素案)」についてもさらなる議論を行い、以前にも書いたように平成25年度予算案を上程する時期に民営化基本方針(案)として取りまとめる予定です。もっとも、後で述べるバスについても言えますが、民営化のためには地下鉄、バス事業の廃止を議決する必要があります。2/3以上の賛成が必要なので、かなり条件は厳しいです。また、市バス運転士やゴミ収集作業員といった現業職員の給与については、労働組合の団体交渉で給与が決められます。官民給与の比較(大阪市の場合は約400社)で決まる一般行政職員とは違うのです。これについても橋下市長は、2012年12月25日に市の人事委員会と意見交換会を開き、官民比較により給与の適正化を求めました。

 大阪市交通局は、バスについても民営化の基本方針の素案を発表しています。ただし、黒字事業である地下鉄とは違い、バスについては、厳しい見方をしています。何しろ過去10年間で乗車人員が約4割、運輸収益は約5割減少。給与削減で退職者が増えたこともあり、2011年度決算は43億円の経常赤字。1983年度以来29年連続の赤字です。10年間で累計326億円が一般会計から繰り入れられてきましたが、それでも累積欠損金は638億円に上ります。大阪市交通局は公営企業として破綻状態にあると判断しています。

 ただ、それだからと言って、バスを全面廃止にするわけにもいきません。高齢者人口はますます増え、バスの需要もある程度はあると考えられます。そこで、持続可能なサービスを提供するため、バス事業の運営を民間にゆだね、経営の合理化及びサービスの向上を図るとともに、採算が取れないものの市民生活に必要なものについては大阪市が民間事業者を支援することとします。

 大阪市交通局のバス路線は現在132系統ありますが(数字は以前の記事と多少違います)、民間事業者が独立採算を目指す「事業性のある路線」62系統と、採算性の確保が困難である「地域サービス系路線」70系統に分けます。このうち「事業性のある路線」については重複系統を集約して59系統とし、効率性を高めたうえで民間による経営に委ねます。

 「地域サービス系路線」については、住民のニーズを踏まえて効率的で利便性の高い路線に再構築を図り、民間に運営を委ねます。赤字路線ばかりですので、民間には補助金を支給します。70系統のうち、「赤バス」のうち26系統を廃止し、残る44系統(「赤バス」から移行する3系統を含みます)を29系統に集約します。廃止される「赤バス」26系統については、地域の実情に合わせた移動手段を検討します(すでに検討が行われているところもあります)。バスを民間に譲渡することにより、2011年度で23億円(コミュニティ系バス運営費補助15億円を含みます)を出している、バス事業への一般会計からの補助金については、10億円未満に抑えられる見込みです。なお、現在のサービス水準を維持するため、5年間は路線、ダイヤ、運賃を変えないように求めます。

 バスについては、2013年2月にバス事業民営化基本方針(案)を策定、3月に市議会で市営バス事業廃止の議決を行います。2013年4月にはバス事業者を公募、7月には譲渡事業者を決定し、2014年4月から民間による運行を始める計画です。

(追記)
 大阪市交通局は29日、労働組合と交渉を行い、市バス職員約800人の給料について、2013年度は20%削減することで合意しました。削減額は当初の9億円から7億円に減少します。「赤バス」廃止に伴い人員を140人削減することや夏季休暇を廃止することでも合意しました。

 また、市営地下鉄の係長以下の職員約5400人については、2013年度は5~12%の削減となります。
(参考:マイナビニュース http://news.mynavi.jp/news/2012/12/27/013/、http://news.mynavi.jp/news/2012/12/30/006/、毎日jp http://mainichi.jp/select/news/20121226k0000m010139000c.html、http://mainichi.jp/select/news/20121226k0000m040069000c.html、http://mainichi.jp/area/osaka/news/20130130ddlk27010349000c.html、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/politics/update/1225/OSK201212250266.html、大阪日日新聞ホームページ http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/121228/20121228029.html、Sankei Biz http://www.sankeibiz.jp/business/news/121225/bsd1212251541002-n1.htm、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/region/news/130123/osk13012302020002-n1.htm、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130129-00000133-san-bus_all)

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