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奈良線複線化事業、合意へ

 以前に書いた記事の続報です。

 奈良線の利用者は伸びています。東福寺-上狛間で見た場合、1990年には1日平均約2.1万人の利用がありましたが、2011年度には約2.5倍の約5.2万人が利用しています。JR西日本発足当時に比べると、約3倍に増えています。国鉄末期の電化から始まり、快速の運転や部分複線化といった輸送改善の成果が表れていると言えます。

 しかし、踏切の多さやホームの混雑といった、安全面での課題は多いです。また、複線と単線が入り混じることにより、一旦輸送障害が生じると、ダイヤの乱れが増幅されて回復に時間がかかるという問題もあります。

 そこで、奈良線の複線化区間を伸ばすという話が出てきました。京都府及び関係市町(京都市、宇治市、城陽市、木津川市、井手町、宇治田原町)とJR西日本はこの第二期事業(第一期は2001年3月に完成した、京都-JR藤森、宇治-新田間の複線化事業等です)について、おおむね合意に至りました。今後、協定等の締結を行い、速やかに事業の着手ができるようにします。

 第二次事業ではすでに書いたとおり、JR藤森-宇治、新田-城陽、山城多賀-玉水間(合計約14キロ)を複線化するとともに、京都駅、六地蔵駅構内の改良、棚倉駅の一線スルー化等を行います。これにより京都-城陽間が完全複線化され、線区複線化延長は22.2キロ、複線化率は64%となります。事業費は369億円で、そのうち京都府と関係市町はそれぞれ138億円を補助します。JR西日本の負担は93億円です。事業期間は協定締結後おおむね10年間で、2022年度開業を目標としています。なお、関係市町は、複線化に併せて駅のバリアフリー化など駅及び駅周辺整備を推進します。

 この第二次事業で複線化以外にどのようなことを行うのでしょうか? ひとつは、踏切の安全対策です。踏切の障害物検知装置について、従来はレーザー光線を使って、「線」で障害物を検知していました。しかし、今回の事業で、新たに一定のエリアの障害物を検知する「3次元レーザーレーダー式障害物検知装置」を10か所程度に導入する予定です。踏切警報時間の制御についても改善します。従来は、列車が接近すると、通過・停車の区別なく、踏切警報装置が作動して遮断していました。今回新たに10か所程度で導入するのは、通過列車と停車列車を区別することによって、踏切警報時間を短くするというものです。通過列車と停車列車で踏切が鳴り始める場所が異なるのです。国交省で「賢い踏切(通称)」という名前を付けているものです。これらの取り組みによって、踏切の保安度向上による安全性向上や、安定輸送の確立といった効果が期待でき、異常時でのダイヤの回復が飛躍的に早くなると考えられています。嵯峨野線の複線化によって、遅れる列車の割合が23%から8%に減少しました。同様に奈良線でも遅れる列車の割合が1/3程度に減少するとみられています。

 京都駅(奈良線ホーム)と六地蔵駅の改良についても説明します。京都駅では、7番線と8番線の間にある中線をつぶすことによって8、9番ホームの幅を4~5.5メートル拡幅します。8、9番ホームからは橋上駅舎にまっすぐ移動することができるよう、橋上駅舎につながるエスカレーター・階段を新設します。エレベーターも新設する予定です。現在、8、9番ホームから橋上駅舎まで移動するのに約130秒を要していますが、改良後は約70秒に短縮されます。ホームの拡幅と合わせて、混雑の緩和がなされます。六地蔵駅についていえば、現在は急カーブ上にホームがありますが、複線化により、それを(直線区間の)京都方に移設します。ホームが拡幅され、ホームと列車との間のすき間が縮小されます。今はすき間を埋めるために櫛状のゴムをホームにくっつけていますが、その必要がなくなります。ホームの傾斜が緩和され、傾いた電車から乗り降りする必要がなくなります。

(追記)
 京都府は8月13日、JR西日本及び関係市町との間で、奈良線のうち14キロを新たに複線化する内容の基本契約書を締結したことを発表しました。2022年度に複線化される予定です。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/2013/06/page_3962.html、京都府ホームページ http://www.pref.kyoto.jp/koho/kaiken/documents/25061401.pdf、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/region/news/130814/kyt13081402250001-n1.htm)

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JR西日本の奈良線は、京都から木津を結ぶ路線で、その名前に反して奈良県内は全く通らず京都府内で完結する路線となっています。 民営化直後は全線単線で105系や113系の普通列車のみ ... [Read More]

Tracked on 2013.06.27 at 07:08 PM

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