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「土管」の中を走るリニア新幹線

 以前にも書きましたが、リニア新幹線東京-名古屋間約286キロのほとんどがトンネルで、地上部分は全体の約13%、約38キロしかありません。しかも、その数少ない地上区間も「土管」のようなコンクリート製のフードですっぽり覆われるため、車内から景色を見ることができないのです。富士山もリニアからは見ることができないのです。地上からリニアの走っている姿を見ることができないのです。ただコンクリートの塊が横切っているだけです。

 リニアの軌道がコンクリート製のフードで覆われるのは、最高速度約500キロで走るため、風切り音が大きく、騒音対策が必要なためです。JR東海の話によれば、新幹線の騒音の環境基準(住宅地で70デシベル以下)を満たそうとするなら、コンクリート製フードで覆うのが最も合理的としています。

 フードをつくるなら、透明なものにすればいいとの声もありますが、JR東海側は騒音防止効果に加え、土砂崩れのときの安全性、メンテナンスの問題から否定的です。ただ、JR東海は車内からの視界を確保するため、コンクリート製フードの側面に小窓を設置する研究を進めています。それぞれの窓から見える景色の残像がつながり、アニメーションやパラパラ漫画と同じ原理でひとつの風景に見えるのです。すでに実験線の一部区間で研究しています。

 地元自治体は駅の構造があまりにも簡素であることにも不満を持っています。以前にも書きましたが、駅の出入り口は1か所、エレベーターやエスカレーターでホームに直結するようになっています。トイレはありますが、待合室はありません。専任の営業要員はいないため、切符売り場もありません。ローカル線の無人駅ならともかく、新幹線の駅としては今の常識では考えられない簡素な構造です。JR東海の思い描いている姿と現在の常識があまりにもかけ離れているため、対立を招いているのです。

 JR東海がこれほどまでに駅を簡素化しようとしているのは、リニアが国の公共事業ではなく、自前で建設する事業であるため。東京-名古屋間の建設費は約5.4兆円。中間駅の建設費は当初、地元に負担させる予定でしたが、結局はJR東海が全額負担することになりました。どうしてもコストを圧縮したいというのがJR東海の考えなのです。

 ただ、JR東海が自前での建設にこだわっているために、いびつな姿を招いているとも言えます。名古屋でいったん区切り、大阪まで同時に完成させないのもその表れです。JR東海には柔軟な姿勢が求められます。

(追記1)
 リニアは大半が地下を走ります。ほぼ地下40メートル超の大深度地下を走る愛知県内の場合、トンネルの直径は13メートル、約5キロおきに事故や災害時の避難、換気に使う非常口を設けます。地上に出る階段とエレベーターのほか、走行時の騒音や衝撃波を防ぐ消音設備や多孔板などを備え付けます。

(追記2)
 地元からの要望を受け、甲府盆地では、車内から富士山や南アルプスを眺めることができるように、フードを設けないことを検討しています。
(参考:MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/130706/wec13070612000001-n1.htm、日テレNEWS24 http://news24.jp/nnn/news8882937.html、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/area/aichi/articles/MTW1307172400006.html、朝日新聞9月19日朝刊 中部14版)

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Comments

「約5キロおきに事故や災害時の避難、換気に使う非常口を設けます。地上に出る階段とエレベーターのほか」>南アルプスを貫く長大トンネル内は一体どうなるんでしょう?たぶん「5キロおきに非常口」は設置できないと思うのですが・・・

将来M8程度の直下型地震なども予想される地域なので、安全策はちゃんと立てられるのか不安です。少し遠回りでも諏訪の方を迂回すれば同じ長大トンネルでも浅いですから、非常口は多数設けられますが・・・

Posted by: miyahara | 2013.07.23 at 01:58 AM

 miyaharaさん、おはようございます。

* >南アルプスを貫く長大トンネル内は一体どうなるんでしょう?

 地上に避難しても山の中なら、そこからの救出が必要になります。険しい山を歩くことのできる健脚ばかりではありません。

* 少し遠回りでも諏訪の方を迂回すれば同じ長大トンネルでも浅いですから、

 諏訪周りの重大な欠点は建設費がかかるとともに、駅の設置を巡って、もめることでしょう。南アルプス越えなら、飯田付近だけで済みます。

Posted by: たべちゃん | 2013.07.23 at 05:43 AM

地上に避難しても山の中なら、そこからの救出が必要になります>そうですかあ・・・怖いですねえ。飛行機の方が安全かもww

ただ地下部分を多くして明かり部分も土管で覆うと、富士山噴火時に他の東名高速や新幹線が火山灰で止まっても、リニアだけが運行継続可能になるかも知れませんね。JR東海はそこまで考えて明かり区間の土管の覆いを計画してるのかな?

Posted by: miyahara | 2013.07.24 at 12:45 AM

 miyahara さん、おはようございます。

* 地上に避難しても山の中なら、

 そこは鉄道の厳しいところです。

* JR東海はそこまで考えて明かり区間の土管の覆いを計画してるのかな?

 そういう話は今のところ聞いていませんが、真相はわかりません。

Posted by: たべちゃん | 2013.07.24 at 05:07 AM

通常新幹線方式で設計時速375km/hの方がよいと思います。

北陸新幹線関西延長問題にも関わりますが、
JR旅客6社は東日本と西日本の2社にした方がよかったと思います。

宮城県選出の大物政治家Mが『本州2分割だと東海道新幹線が西日本になり東日本の収益が西日本を下回る』と猛反対したから東海ができたと聞いています

Posted by: 福屋 | 2013.07.31 at 12:48 PM

 福屋さん、こんばんは。

* 通常新幹線方式で設計時速375km/hの方

 リニアよりも採算が厳しいので( http://tabechan.cocolog-nifty.com/note/2010/11/post-85e8.html )、どうしてもリニアに技術的な問題がない限りは新幹線方式は採用されないでしょう。

* 北陸新幹線関西延長問題にも関わりますが、

 JR東海の存在が話をややこしくしている可能性は十分にあります。

Posted by: たべちゃん | 2013.07.31 at 08:59 PM

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