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南三陸の現状を見る(3)

 列車は柳津止まり。ここからはBRTになる。22分の接続だが、ディーゼルカーに乗っていた十数人の客はみなバスに乗り込んだ。柳津を11:37に発車。しばらくは国道を走るが、なぜか大阪市バスの門真南行きとすれ違った。

 南三陸町に入ると様子が大きく変わる。かなり陸地のほうまで、建物がないのだ。あるのは土台ぐらい。バスは陸前戸倉から専用道に入る。震災前まで鉄道だったところだ。気仙沼線のBRTは専用道区間とそうでないところを繰り返す。南三陸町の中心は志津川。ここは役場も駅も津波の被害に逢い、駅は少し奥にある仮設の商店街のあるところに移っている。役場は小高い山の上、ベイサイドアリーナに移っている。ベイサイドアリーナのあたりには水産会社の工場のほか、銀行やコンビニ、住宅まである。BRTは朝晩の一部を除き、ベイサイドアリーナに立ち寄る。

 気仙沼線は比較的新しい路線のため、トンネルが多く、気仙沼近くになるまでは道路との交差(鉄道時代の踏切)は少ない。BRTの先行事例のひとつでもある、かしてつとは違う。バスは柳津から乗ったメンバーがほとんど変わらないまま走る。1時間2本に増える本吉から乗降が見られるようになったが、日中の利用者は多いわけではない。すれ違うバスを見る限り、乗客はいずれも数人。このバスも列車の接続がなければ、ガラガラのバスになっただろう。バスは混雑する気仙沼市内を走り(役所や大型のスーパーなど、需要がありそうなところなら、既存の駅にこだわらず、臨時駅を増設すればよいと思われる)、定時に気仙沼駅に着いた。

 行程を考えると、ここで一本落として、気仙沼でお土産を買っておきたい。しかし、気仙沼の駅前には店は少ない。駅前のレンタサイクルで自転車を借り、「お魚いちば」でお土産を買う。ここで遅いがお昼にしようと思ったが、時間がないので、「復活バーガー」なるものを買う。バンズの中にフカ(サメ)のカツが入っている。大船渡線のバスの車内で食べたが、何も知らなければ白身魚だ。

 気仙沼14:52発の陸前高田行きに乗る。大船渡線も気仙沼-盛間はBRTだ。気仙沼線のBRTは、専用道区間が短く(9月28日からは大幅に増えるが、それでも気仙沼-陸前高田間は全くない)、鉄道とは全く違うところを走る箇所もある。自動車専用道を走る区間(鹿折唐桑-長部間)もある。高速道路ではないので、路線バス用の車両でも問題ない。

 5分ほど遅れて臨時駅、奇跡の一本松に着いた。途中下車する。BRTでも、鉄道との合算距離が100キロを超えたら、途中下車できるのだ。高田の松原は7万本もあることで知られていたが、津波でたった1本を残して流されてしまった。その1本の松を人々は「奇跡の一本松」という。実はその一本松、塩水で根が枯れてしまったが、樹脂などを入れて、モニュメントとして残すそうだ。ただ、その奇跡の一本松のあたりには店はほとんどない。仮設の売店が2~3あるだけだ。近くには道の駅があったが、津波の被害に逢い、廃虚となっている。少し周りを歩いたが、ダンプカーなどのトラックがひっきりなしに走るのみ。砂ぼこりがひどい。次のバスは16:50発、まだ40分近くある。次のバスが来るまでの間、仮設の売店で時間をつぶす。

 次のバスも5分ほど遅れてやってきた。陸前高田の中心部は津波で壊滅的な被害を受けたので、役所などは高台に移っている。しばらくは高台を走る。とても地震まではバスが走るとは思わなかったところだ。バスはこれまで一般道を走り続けていたが、ようやく小友駅近くになって専用道を走る。しかし、それも駅を過ぎたところまで。再び一般道に戻る。とてもバスが通るとは思えないような細い道を登っていく。なお、9月28日のダイヤ改正からは終点盛まで専用道を走り続けるので、スムーズな走行が期待できる。盛のひとつ手前の大船渡から専用道を走る。右側に線路がやってきて、しばらく並行するといきなり盛駅。鉄道時代のホームをそのままBRTに転用している。

 盛から先は第三セクターの三陸鉄道。吉浜までは復旧し、残る区間の復旧作業が行われている。18:00発の吉浜行きは1両。クウェートの援助によってできた新車だ。ボックスシート主体で、真ん中にはテーブルがある。全体が木目調にまとめられ、温かみがある。定刻に盛を発車。しばらくはBRTのバスと並走する。三陸鉄道は震災の影響で時速45キロに抑えて走っているので(私が訪れた翌日の9月14日にダイヤ改正があり、最高速度が90キロとなった)、ほぼ同じ速さだ。最初は十数人いた乗客はだんだん減り、吉浜に着いたときは8人ほど。高校生は駅に着くとすぐに車に乗り込む。迎えが来ているようだ。明るいが無人の待合室を一歩出ると、自販機のほかに明るいものはない。1時間ほど待てば釜石への路線バスもあるが、日程の都合でここで折り返す。運転士は折り返しの間、時刻表の取り替えをしている。帰りの便に乗る人は私ひとりのみ。途中でひとり乗ったが、どこかで降りていった。

 今晩は盛から夜行バスに乗る。盛の停留所はサンリアというショッピングセンターにあるが、駅から歩いて5分ほどのところ。夕食を食べ、バス停に戻ると8人ほどが待っていた。岩手県交通の夜行バス、「けせんライナー」は21:20の発車時刻を過ぎてやってきた。3連休の前日のためか、今日は2台での運行。前のバスに乗り込む。余談だが、この「けせんライナー」、途中での休憩はない。車内にトイレと飲み物の用意はあるが、揺れる車内で歩きたくはない。いろいろ事情はあるだろうが、車外に出ることができる休憩はあるほうが望ましい。三陸側ではこまめに停まる「けせんライナー」だが、東京は池袋1か所のみ。事前のアナウンスがあるかと思ったら、何のアナウンスもなく、いきなり池袋に着いた。(続く)

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