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「交通ユニバーサル税」でローカル線を維持するのは無駄

 今日の記事は、昨日の新聞のオピニオン欄を基にしています。3人の識者がJR北海道のトラブルの原因について探っています。トラブルが生じる真の原因は何なのかということです。

 JR北海道にトラブルが頻発した真の原因として、経営状況の厳しさが挙げられます。JR北海道にはややこしい労使関係もあるようですが、それもお金で解決できるところがあるようです。その苦しい経営状態の解決のため、一部の政治家からはJR東海にJR北海道を買わせるという話もあります。しかし、JR東海がJR北海道を買うメリットはありません。単なるお金の無駄遣いとなり、株主代表訴訟で訴えられるだけです。むしろ隣のJR東日本のほうがJR北海道を買い取ってくれるかもしれませんが(幸い、JR東日本とJR北海道との関係は良好のようです)、そのまま不採算路線を含めてJR北海道を買い取れば、同じように株主代表訴訟で訴えられます。買い取るにしても、不採算路線を切り離して、必要な路線だけに絞ることは十分に考えられます。一部の識者から出ている、本州のJR3社に出資させるという案も同様です。単なるお金の無駄遣いです。

 「交通ユニバーサル税」というものをつくり、大都市の利用者から一定の金額を徴収し、それを地方ローカル線の維持に充てるという話も一部の識者から出ています(先ほどの本州のJR3社に出資させる案を出した人と同一人物です)。大都市鉄道の運賃を1%値上げするだけで年間350億円を生み出すことができます。それなりの財源となります。

 しかし、利用者の少ない鉄道を無理に維持する必要はありません。公共交通の維持なら、鉄道でなくても、バスで十分です。第三セクターなどで地元が負担する鉄道ならともかく、JRや大手私鉄は赤字路線の地元からの補助なく経営しないといけません。黒字路線の利用者にお金を出させようというのは、単なる甘えです。利用者の少ないJRや大手私鉄の路線は、まず切り離して、採算がある程度取れる適正な運賃を徴収することが先決でしょう。足らない分は、鉄道を欲しがっている地元が負担すればいいのです。

 鉄道の利用者から税金を取るというアイデアそのものは悪いことではありません。運賃の10%ぐらい徴収してもよいでしょう。「交通ユニバーサル税」の問題は、使い道です。正しい使い道は、(単にお金をどぶに捨てるだけの)ローカル線ではなく、新幹線などの幹線や大都市の通勤路線など、鉄道としての特性を活かすことができる路線に投入することです。はっきり言って、鉄道の財源は少なく、整備新幹線もなかなか整備が進みません。そのため、在来線のまま残るところもたくさんありますが、時速130キロでは車に勝つことは難しいです。鉄道が交通手段の一つにすぎない以上、不得意な分野まで手を出す必要はなく、得意な分野に資源を投入しないといけないのです。そうでないと、現状では得意な分野となっているところもだんだん縮小していくことでしょう。自分たちで何とかやっていこうというところはともかく、黒字路線の利用者に甘えるだけのローカル線に見切りをつけない限り、鉄道の未来は暗くなります。
(参考:朝日新聞10月25日朝刊 中部14版)

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Comments

記事は読めませんでした。堀内重人・梅原淳または角本良平・あと一人といった面子の予想が外れたとだけ分かりました。国鉄OBを2人入れてきたのは朝日なりに現実に即した解決策を模索しているとの現れなのでしょうか。

Posted by: 日置りん | 2013.10.26 at 09:18 AM

 日置りん さん、こんにちは。

* 国鉄OBを2人入れてきたのは

 JR北海道の改革には、内情をよく知る、国鉄(JR)OBならではの視点も必要なのでしょう。ただ、私はそのうちの一人をバッサリと切り捨てていますが。

Posted by: たべちゃん | 2013.10.26 at 02:11 PM

JR北で存続可能な採算が取れる路線は札幌から4方向:小樽、旭川、当別、苫小牧(良くて室蘭)まででしょうか?

新幹線札幌開通後に貨物列車を青函トンネルで構想中のトレイン・オン・トレインで新幹線で運べれば、在来線は函館-苫小牧間ですらバス転換されそうです。

ローカル線のうち釧網線はSLやトロッコで観光に活路を開く(五能線化)として日高線や留萌線や函館山線は将来はバス転換でしょうか・・・

問題はその中間で特急も走るが輸送密度が一日1000-2000人/km以下で将来全廃されてもおかしくない根室・石北・宗谷線です。沿線人口も少なく末端部分では一日数百人しか利用客もいません。並行高速道も完成間近です。

しかしこの3路線全廃!?となると都市間輸送は全て高速バスと飛行機だけに・・・それはあまりに不便です。こうした「赤字だけど廃止は望ましくない路線」存続のためなら交通ユニバーサル税は創設・投入されても良いと思います。

Posted by: miyahara | 2013.10.27 at 04:11 AM

 miyaharaさん、おはようございます。

* JR北で存続可能な採算が取れる路線は

 確かにかなりの部分は不採算路線でしょう。函館線は新幹線が開通し、貨物も「トレイン・オン・トレイン」方式で新幹線に移行できれば、廃止できないことはありません。

 もちろん、第三セクター方式で地元が負担するのは歓迎です。

* 問題はその中間で特急も走るが

 こういうところは頭が痛いです。普通列車はまず廃止して(特急だけにする)、運賃もそれなりに値上げする必要があります。

Posted by: たべちゃん | 2013.10.27 at 05:52 AM

初めまして。
調べものをしていて、ここに辿り着きまして。

ここでの“たべちゃんさんの意見”を見ていると――つくづく、「パーク&ライド」が実現しない所以を感じますね……。

確かに、地方の鉄道路線は、赤字経営が多いです。
収支上も利用の密度を見ても、確かにそのケースが多いです。

ただ――ここに、盲点が有ります。
その手の赤字ローカル線が走る地域に限り、車社会化が進み切り、それが、鉄道&バスの経営を揺るがしている事に気が付いていない――と言う事です。

車社会化で利用が減ってしまうから交通事業者は“守り”に入らざるを得なくなり、不便さが残ったままになるから、更に車社会化が進む――この繰り返しが、赤字ローカル線が増えていった理由でもありました。

一番必要なのは、
「駅で、鉄道&自家用車との乗り換えがスムーズに出来れば、ある程度は経営の改善に繋がるのに」
――と言う事です。
実際、その好例もあるからです。

福岡県は、筑後を走る甘木鉄道。
1986年に、国鉄甘木線を3セク化して誕生した路線ですが、開業当初から、刮目すべき政策を実施し続けてきました。

一番大きな者は、各駅前に駐車場を設け、自家用車との乗り換えを便利にした事です。
その次に、国鉄時代は一日7往復しか無かった本数を32往復(開業当時)に増やして、乗車機会を増やしました。
そして、小郡駅を、西鉄大牟田線の駅に近付けて乗り換えを便利にしました。

――これらの施策が功を奏し、開業した年から黒字経営が続いています。

問題は、これを、何故JRや大手私鉄が出来ないのか――と言う事。
それを、早くから実施出来ていれば、ここまで鉄道利用が落ち込む事は無かったのでは?――と思えるのです。

ところが、こう言う“利用しやすさ”は、数字には出てこない為に、なかなか気が付きにくい――これ故、“ローカル線は、廃止すべき”と機械的に言わせているのなら、ちと不安を感じます。

何故ならば、“乗り継ぎの改善”の問題は、“黒字の鉄道”でも課題となっている話であり、実は、ローカル線の問題と共通する課題だからです。

しかも、“乗り易くした”事が、甘木鉄道みたいに“赤字→黒字”に繋がったケースがある事から、余計にそう思うのです。

別に、鉄道だから残せとは言いませんが、もっと勉強してもらいたいな――と、感じますね。

長くなりましたが、それでは、またです。

Posted by: Masaya | 2013.12.25 at 08:41 PM

 Masayaさん、こんばんは。

* 福岡県は、筑後を走る甘木鉄道。

 ここを参考例とするのは誤っているでしょう。それなりの立地条件があるにもかかわらず、経営のまずさから第三セクターになったところです。

 私が問題とするのは、1日に数本しか普通列車がなく(もちろん特急はない)、ただ単に新幹線や大都市圏の路線に寄生しているような路線です。明らかに車のほうが速くて便利です。岩泉線や三江線でパークアンドライドをやっても意味はないでしょう。

 パークアンドライドが成り立つのは通勤利用の見込める路線か、特急需要のある路線ぐらいです。得手不得手は何事にもあり、どこでも成功するものではありません。

Posted by: たべちゃん | 2013.12.25 at 10:31 PM

ご返事、有難うございます。

どうも、伝わらなかったみたいで……。
言いたいのは――。

「ローカル線と言っても、路線によって条件が違う。
殆どの人が、“存続レベル以下の路線”ばかりに注目する傾向があり、これでは、“立地条件の良い路線”をも巻き添えにして、潰してしまう可能性が高い」

――と言いたいのです。

“ローカル線”と言うと、たべちゃんさんの様に三江線や岩泉線を連想する人が多いんですねぇ――と言っても、地方路線は総じてローカル線化している事で、“線引き”がしにくいのかも知れませんが。

確かに、甘木鉄道を参考にするのは“間違い”なのかも知れません。

でも、仰る様に、
「それなりの立地条件があるにもかかわらず、経営のまずさから第三セクターになった」
――のならば、なぜ、国鉄時代は常に後手に回ったのか?
これこそが、“立地条件の良い、可能性を持つ路線”に於いても乗客減少に苦しみ続ける大きな要因なんでしょうに。

甘木鉄道の成功例を“参考にするのは間違い”と言う事は、
「立地条件の良い路線を、廃線の危機に追い込んでも気にしない」
……と言ってるのと同じなんですがねぇ。
こんな考え方をする人が多いのなら、車社会化が進むのも当然だなぁ……と、感じます。

このブログの片隅には、「FREIND'S HOMEPAGE」が有りますが、その中には、『堺LRTの早期実現をめざす会』も入っているのは良いのですが。

でも、これを見て、何故、堺市にてLRTが頓挫してしまったのか――たべちゃんさんのコメントを見ていると、それが見えてくる気がします。

仰る事は解るけれど、「パラドックス」に気付けよ……と言いたいですね。

それでは、またです。

Posted by: Masaya | 2013.12.25 at 11:14 PM

 Masayaさん、おはようございます。

* ――のならば、なぜ、国鉄時代は

 それなりに需要のある路線が活性化されることは望ましいのですが、今の現状ではどうにもなりません。これを踏まえていないと、意味のない話になります。ただ単に当blogをみて、「ローカル線を廃止したがっている」と読む理解の浅い人もいるようですが。

 国鉄にしろ、JRにしろ、ローカル線にまでは手が回りません。特に本州のJRは株式を上場しているので、ローカル線については赤字を抑えるだけの汲々とした経営になってしまいます。「安かろう、悪かろう」の状態です。

 この状態を抜け出すには、何度も書いていますが、採算を気にしないといけないJRから分離されないとどうにもなりません。やる気のある沿線自治体が、自ら負担をすることによって活性化を図っていくのです。新幹線や大都市圏の鉄道に甘えていては、なにも変わりません。JRでやっていけるのは、新幹線をはじめとする特急がたくさん走る路線か大都市圏の通勤鉄道ぐらいです。

 どうにもならない路線は廃止、それなりの需要のある路線はJRや大手私鉄ではなく(採算をあまりに気しなくてもよい)第三セクター等で対応、というのが望ましい方向性でしょう。

Posted by: たべちゃん | 2013.12.27 at 05:55 AM

甘木鉄道にしても、国鉄時代と比較すれば大進歩でしょうが、現状毎時2本程度の運転です。
甘木中心部からは博多駅行き直行バスが毎時2本程度あるし、西鉄朝倉街道方面なら毎時4-5本もバスがあります。

甘木鉄道を使って、西鉄小郡や基山で乗換えるより便利です。


Posted by: かにうさぎ | 2013.12.27 at 10:14 PM

 かにうさぎさん、おはようございます。

* 西鉄朝倉街道方面なら毎時4-5本もバスがあります。

 バス路線は目立たないものの、知っていればかなり便利な路線もあります。

 話は変わりますが、コメントもかなり増えてきましたので、今日の23:59で締め切りとさせていただきます。ご了承ください。

Posted by: たべちゃん | 2013.12.30 at 05:06 AM

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