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只見線会津川口-只見間の営業係数は6700

 以前に書いた記事の続報みたいなものです。

 2011年7月の新潟・福島豪雨でJR東日本の只見線会津川口-只見間27.6キロが不通となっていますが、この区間について話し合う「JR只見線検討会議」の初会合が1月22日に開かれました。その中でJR東日本が提示した資料がありますが、それは只見線の厳しい現状を改めて浮き彫りにするものでした。

 すでにJR東日本は、全線の年間収入が1.7億円(2010年度)に過ぎない只見線に対して、10年分以上の約19億円を支出しています。内訳は、復旧工事費が会津坂下-会津川口間で約5億円、只見-大白川間で約2億円です。そして、運休を続けている会津川口-只見間には桁撤去費として約12億円を支出しています。

 会津川口-只見間の復旧には約85億円を要すると見込まれています。第5只見川橋梁が約2億円、第6只見川橋梁が約13億円、第7只見川橋梁が約11億円、第8只見川橋梁が約45億円、その他斜面・軌道・信号通信設備等に約15億円を要します。只見線全収入の50年分に匹敵する数字です。

 只見線が利用者の多い路線ならそれでも復旧させないといけませんが、現状はそれに遠く及ばない数字です。2010年度の輸送密度は廃止になった岩泉線(29人、脱線事故が起こる前の2009年度は46人)に続いて低い数字の370人。JR全体で見ても9番目に低い数字です。また、分割民営化直後(1988年)の只見線の輸送密度は634人で、長期的に見て減少傾向にあります。通学定期の利用者は1割も減っていませんが(283人→264人)、通勤定期(29人→10人)と普通運賃等のそれ以外(322人→96人)の減少度合いが著しいです。以前にも書いたので詳しくは書きませんが、区間ごとに分けていくと、さらに会津川口-只見間の悲惨さが見えてきます。輸送密度はたったの49人(岩泉線とほぼ同等)、分割民営化直後(1988年)の数字は184人なので、20年あまりの間に1/4程度に減ったことになります。

 それでは、代行バスの利用状況はどうでしょうか? 2013年4月から12月の実績が紹介されています。代行バスは1日5往復運転され(2012年10月に5.5往復になりましたが、列車との接続が改善されたことから2013年3月のダイヤ改正で5往復に減っています)、2012年12月に停留所が3か所増設されています。所要時間は鉄道時代が44分、バス50分で遜色なく、2012年4月から2013年12月までの運休率はわずか1.7%、同期間における只見-小出間の6.2%、会津若松-会津川口間の2.4%より良い数字です。しかし、利用は振るわないのが現状です。1日平均の利用者数は平日が33.3人、休日が27.7人で、1便当たりにすると平日でも3.3人です。一番利用者の多い朝始発の会津川口行きでも(只見7:10発会津川口8:00着)、平日の利用者は11.3人にすぎません(休日は5.3人)。中には休日のほうがよく乗っている便もありますが、それは会津川口でも只見でも接続がよく、鉄道ファンが通しで乗っているものと思われます。反対に接続が悪い便だと1人も乗っていないものもあります(最低で0.2人)。

 復旧した只見-大白川間(輸送密度は54人)の状況にも触れておきましょう。1日に3往復している同区間の1日平均の利用者数(2013年4月~12月)は平日が26.0人、休日が43.1人で、休日のほうが多くなっています。便別に検討すると、只見や会津川口での接続がよい小出13:11発只見14:28着の利用者が一番多く、平日で10.0人、休日だと15.1人います。駅ごとの利用状況を見ても明らかなように、只見付近では定期券以外の利用者数はほぼ40人程度で安定しています。通学などの日常的な利用ではなく、鉄道ファンあたりの通しで乗る需要が多いようにも見えます(つまり、只見などで途中下車して食事などでお金を使ってくれることは期待しにくいです)。いくら冬季には代替の道路がないとはいえ、鉄道を復旧させる意味があったかは疑問がもたれるところです。線路敷に道路をつくればいいのですから。

 さて、只見線の収支状況についてみていきましょう(数字は2009年度のものです)。区間ごとに分けてみると、全線で135.2キロある只見線のうち、たった21.6キロの会津若松-会津坂下間で6割以上の収益を上げています。営業収益の額は1.16億円、当然ながら赤字ですが、営業係数は約390と、ローカル線にしては悪くはありません。輸送密度も1000人以上あり、第三セクターにして本数を増やせばそれなりに使えそうなところです。会津坂下-会津川口間の営業係数は約1600、大白川-小出間は約2560と続き、只見-大白川間は約5650、会津川口-只見間は約6700です。売り上げはたった500万円なのに、営業費が3.35億円もかかるのです。地元に払う固定資産税(1200万円)のほうが高いのです。2005年度からの5年間を見ても、営業係数は4770~6700の範囲にあり、慢性的な傾向です。国鉄時代、超赤字路線として有名だった美幸線の廃止直前3年間の営業係数は4101、それを大きく上回ります。もちろん、営業係数は計算の方法で変動して正確な数字ではありませんが、大赤字路線であることには間違いないことでしょう。

 この現状を踏まえて、JR東日本サイドは、仮に工事費用を全額負担してもらっても厳しいという見解を出しています。国交省も、現行の制度では国が復旧を支援することはできないとしています。福島県と会津地方の市町村は復旧費用(85億円)の1/4を負担するとしていますが(4年間で基金として積み立てます)、このような状況で復旧工事をするならば、JR東日本は残りの3/4を負担しないといけません。正直言って、バスで十分な区間に巨額の支出をする意味は国にとってもJRにとってもないでしょう。地元自治体は鉄道として残したいならば、無茶な要求はせず、自らが負担する姿勢を見せないと、廃止になっても文句は言えないでしょう。今までの実績が悪すぎますから。
(参考:JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/railway/pdf/20140122tadami.pdf、タビリスホームページ http://tabiris.com/archives/tadami/、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/articles/CMTW1401240700002.html)

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