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「伊予灘ものがたり」と「予土線3兄弟」に乗る(2)

 伊予大洲から「宇和海9号」に乗って宇和島に行く。意外とアップダウンが多く、パワーに任せて坂を登ったところからみかん畑越しに見る宇和海はなかなかの絶景だ。「宇和海9号」は終点宇和島に11:31着、接続の予土線は11:37なので、少々急いで乗り場に行く。

 宇和島と窪川を結ぶ予土線は四国一のローカル線と言ってもいいだろう。通常の普通列車だけでは誰も利用してくれない。何か変わった列車がいる。そのため、国鉄末期からトロッコ列車の運行を始め(2013年秋にリニューアルされ、「しまんトロッコ」となる)、2011年からは沿線にある海洋堂ホビー館とタイアップした、「海洋堂ホビートレイン」の運行も行っている。それに加えて今年3月15日からは「鉄道ホビートレイン」というものも走り始めた。キハ32を0系風に改造した車両で、窪川方には0系を象徴する丸い先頭部がついている。ほかのJR旅客鉄道会社には新幹線が走っているか、もしくは近いうちに走る。しかし、JR四国だけはその予定もない。ローカル線をトコトコ走る、日本一遅い新幹線だ。「しまんトロッコ」「海洋堂ホビートレイン」「鉄道ホビートレイン」という3種類の観光列車は、「予土線3兄弟」と言われる。話を宇和島11:37発に戻す。宇和島11:37発の普通列車は予讃線との分岐駅である北宇和島を過ぎると、ぐんぐん坂を登っていった。宇和島から数えて3駅目の伊予宮野下で対向列車の交換待ち。来たのは「鉄道ホビートレイン」だ。この列車もそれなりには乗っているが、さすがは「鉄道ホビートレイン」、かなり乗っているように見受けられる。

 宇和島から乗り続けること約1時間、江川崎に到着。このまま乗り続けてもよいのだが、気分転換に降りてみる。江川崎は平日と土曜日の日中は駅員がいるが、今日(9月14日)は日曜日。駅員はいない。食券みたいなペラペラの切符を出す券売機があるのみだ。駅の横に四万十川ふるさと案内所があり、そこでパンフレットをもらって散策に出かける。駅を出てしばらく歩くと小さな集落がある。今、江川崎のあたりも市町村合併で四万十市となっているが、かつては西土佐村というところだった。その役場が置かれたのが、ここ江川崎である。そのため休日であっても開いている店が少ないとは言え、ある。ぶらぶら歩いていると、地元の農産物を売っている、「ふる里市」があった。弁当もあったが、すでに夜の分まで買っていたのでパス。小さなドレッシングを買い求める。

 散策は30分ほどで終了。次の宇和島行きが来るまでの間にと、ホームで「鯛めし弁当」を食べていたところ、窪川方から時刻表にはない列車がやってきた。サイクリング愛好家用の臨時列車で、江川崎にはトイレ休憩のために停まったようだ。車内には自転車が見える。自転車を持ってきていない客が乗ることはできず、そのまま見送る。次の宇和島行きがやってきた。江川崎14:22発のこの列車は、「海洋堂ホビートレイン」である。キハ32を改造した車両で、車両の内外に恐竜などが描かれている。天井も床も例外はない。宇和島方にはショーケースがあり、フィギュアが展示されていた。座席の模様は恐竜だ。人気列車のため車内は混んでいて、座れない。

 松丸で下車。ここで降りたのは、温泉に入るため。今日もホテルには泊まらないのだ。入ったのは「ぽっぽ温泉」、駅に隣接している温泉だ。というより、駅の2階が温泉。ここでしばらく休み、駅に戻る。窪川方から黄色い車両がやってきた。「しまんトロッコ」だ。本当はこれに乗りたかったのだが、「e5489」で事前に予約を入れていなかったため、指定券を手に入れることができなかったのだ。やむなくここ松丸で見送るのだ。

 「しまんトロッコ」を見送って20分ほど経つと、反対の宇和島方から新幹線がやってきた。「鉄道ホビートレイン」だ。中に入る。「海洋堂ホビートレイン」と違って天井には何も描かれていないが、床は蒸気機関車の設計図が描かれている。ショーケースには新幹線や四国で活躍した車両の模型が飾られ、座席の模様は鉄道車両だ。「鉄道ホビートレイン」ならではのものは窪川方にある転換クロスシート。0系のシートを再現したものだが、座席は窪川向きに固定され、向きを変えることはできない。あと、「鉄道ホビートレイン」もワンマンカーなので、運賃表示器があるが、予土線の駅名と並んで、東京から新大阪まで、東海道新幹線開業当時の駅名が書かれてあった。ただし、東海道新幹線各駅からの運賃は表示されない。先頭に立って前方を見る。0系を象徴する丸い先頭部はメッシュとなっていて、運転席からもさほど視界を妨げないようになっている。「鉄道ホビートレイン」は江川崎を過ぎ、ここからスピードが上がる。昨年夏に通ったときはゆっくりと走っていたように感じたが、それもそのはず、昨年乗ったのはトロッコの「清流しまんと号」だったのだ。トロッコと比べることがそもそも誤りなのだ。江川崎から先は1974年に開業した区間なので、ローカル線であるにもかかわらず、速く走ることができる。「鉄道ホビートレイン」は四万十川を遡る格好で走り、終点の窪川に着いた。

 窪川の売店は閉店間近だった。明日の朝食用として近くのパン屋がつくっているパンを買う。ここ窪川でしか買えないパンだ。窪川18:24発の「あしずり10号」に乗る。特急だが、たったの2両編成、グリーン車はなく、指定席が半両あるだけだ。しかし、2両でも空席は多い。外は暗くなり、闇の中を「あしずり10号」は進む。高知で同じディーゼル特急の「しまんと8号」に乗り換え。同じホームでの乗り換えなので、負担は小さい。前から2両目の6号車に乗ったが、この「しまんと8号」、7両編成ではない。前2両が「しまんと8号」、後ろ3両が「南風28号」の5両編成なのだ。4号車、5号車は欠けている。「南風28号」はグリーン車半両、指定席1両、自由席1両半の3両編成、「しまんと8号」は指定席半両、自由席1両半の2両編成だ。宇多津で岡山行きと高松行きに分かれるまで一緒に走る。車内で朝、松山駅で買った駅弁、「醤油めし」を食べたのだが、6号車を見る限り、こちらも空いている。それにしても気になるのは、無人駅の多いこと。大杉や大歩危はともかく、いくら夜間とは言え、後免、土佐山田、琴平が無人になっているとは思わなかった。高松近郊を除いては、駅員がいるのは阿波池田ぐらいのようだ。宇多津で切り離され、2両編成になってひと駅、坂出に到着。

 今夜の宿は、「サンライズ瀬戸」。個室の寝台を予約しようとしたが、発売初日の夕方に「みどりの窓口」に行ったところ、「ノビノビ座席」ぐらいしか空いていなかったのだ(さすがに当日はよく乗っていた)。でも、「ノビノビ座席」もいいもの。普通車指定席と同じ値段で横になることができるのだ。当然ながら寝台券はいらない。カーペットなので硬いが、横になれることには違いない。枕はないが毛布はついていて、頭の部分には隣が見えないように仕切りがある。520円で横になれるのは、申し訳ないぐらいだ。手元にある分厚い本、時刻表を枕にして寝ることにする。

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