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LCCの参入効果分析

 LCCは世界各地で急成長しており(2012年現在、東南アジアでシェアは50%を超えています)、しかもヨーロッパ(2012年のシェアは39%)の事例を見ても、FSC(レガシーキャリア、LCC以外の航空会社)の需要は落ち込んでいません。日本ではそのような会社はこれまでなかったのですが、2012年3月にPeachが運航を開始して以来、国内にも徐々にLCCが普及してきています。2014年3月現在でのシェアは7.5%です。それでは、LCCの参入により、国内の旅客交通はどうなったのでしょうか? 国交省の国土交通政策研究所が「LCCの参入効果分析に関する調査研究」という名のレポートを5月に書いています。

 まず最初にLCCの定義をしておきましょう。ここでは、Peach、バニラ・エア(旧エアアジア・ジャパン)、ジェットスター・ジャパンの3社をLCCとしています。そして、この分析はインターネットでのアンケートにより行っています。2013年11月に、過去1年間にLCC利用経験のある旅行者、LCC利用可能区間でFSC、高速バス、鉄道での旅行経験がある旅行者に聞いています。調査内容は、過去1年間の航空機、高速バス、鉄道の利用経験を聞き、この調査で対象となるトリップを抽出します。そこで、LCCを利用した(しなかった理由)と、LCC利用者にはもしLCCがなかったらどうしたかを聞きます。調査数はLCC利用者、FSC利用者、高速バス利用者、鉄道利用者それぞれ300ずつ。地域別では、首都圏と近畿圏居住者がそれぞれ75、その他地域が150です。

 まず利用者の年齢ですが、LCCと高速バス、FSCと鉄道とで似通った傾向にあります。つまり、前者は若く、後者は高齢者が多いです。職業を見ると、前者は学生が多く、後者は無職が多いです。年齢から考えると、年金生活者のことでしょう。その他の働いている世代(会社員、自営業など)は大きな差はありません。移動目的で見ても、LCCや高速バスは仕事での利用は少なめです。

 LCC利用者が重視する項目は、運賃の安さ、所要時間、発着ダイヤです。逆に座席の快適性、手荷物持込、遅延や欠航の少なさに関しては重視していません。LCCの特徴が分かっていて乗っているのです。逆に、FSC利用者になぜLCCを利用しなかったか聞くと、利用したい時間帯になかったから、座席が狭そう、安全性に不安がある、遅れの心配があるというところが上位となっています。イメージで拒絶されている可能性があります。高速バス利用者や鉄道利用者にLCCを利用しなかった理由を聞くと、空港までが不便だというのが多いですが、これはある程度FSCにも当てはまる話です。LCCを認識していない人も多かったです。夜行がある高速バス、本数が多くて定時制に優れている鉄道との比較で選ばれなかったということもあります。

 LCCを利用した人に、もしLCCがなかったらどうしたかを聞いたところ、58%がFSCを利用すると回答しましたが、16%は旅行しなかったと回答しました。ある程度需要を誘発したといえます。例えば、京阪神-福岡県間では鉄道と航空機とのシェアが2011年度の88:12に対して、LCC参入後の2012年度は84:16となっています。ところが鉄道の利用者数はほとんど変わらず、航空機だけが4割近く増えているのです。九州新幹線が開業して鉄道と航空機のシェアが(2010年度の13:87から)2011年度の35:65に大きく変わった京阪神-鹿児島県間でも、LCCの参入によって2012年度は28:72に押し戻しています。

 また、LCCの利用者は、片道だけの利用者もそれなりにいます。往復ともにLCCを使うのは71%ほどで、これは55%の高速バスに次ぐものです。83%の鉄道、89%の航空機とは違った傾向です。LCCの増加によってほかの交通モードの利用を増やすこともあるのです。
(参考:国交省ホームページ http://www.mlit.go.jp/pri/kouenkai/syousai/pdf/research-p140528/05.pdf)

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