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留萌線留萌-増毛間は100円の収入を得るのに4161円かかる

 11月6日、JR北海道は2016年3月期第2四半期決算(4~9月)を発表しました。

 昨年同時期も赤字ローカル線の状況が発表されていましたが、今回も発表されています。今回は前回にはなかった、営業係数も発表されています。営業係数が公表されるのは、分割民営化後初めてのことです。100円の営業収益を稼ぐのに営業費用がどれだけかかるかという数字です。

 営業係数が一番悪いのは、廃止の具体的な話がある留萌線留萌-増毛間。2014年度の輸送密度は39人で、1975年度の1199人と比べて約1/30にも減っています。収支は収入が5百万円であるのに対して、営業費用は212百万円。営業損失は207百万円です。営業係数は4161円で、只見線会津川口-只見間の約6700円よりは良いものの、国鉄時代に超赤字路線として有名だった美幸線と同等の数字です。

 このほか、輸送密度500人未満の線区を輸送密度の少ない順にあげてみると、札沼線北海道医療大学-新十津川間の2014年度の輸送密度は81人、1975年度の輸送密度は582人、営業収益は16百万円、営業費用は307百万円、営業損失は291百万円、営業係数は1909円です。石勝線新夕張-夕張間の2014年度の輸送密度は117人、1975年度の輸送密度は2318人、営業収益は14百万円、営業費用は172百万円、営業損失は158百万円、営業係数は1247円です。根室線富良野-新得間の2014年度の輸送密度は155人、1975年度の輸送密度は6271人(後述する根室線滝川-富良野間同様、当時は石勝線が未開通で、帯広・釧路・根室方面へのメインルートは富良野経由でした)、営業収益は60百万円、営業費用は856百万円、営業損失は796百万円、営業係数は1430円です。留萌線深川-留萌間の2014年度の輸送密度は177人、1975年度の輸送密度は2245人、営業収益は46百万円、営業費用は605百万円、営業損失は559百万円、営業係数は1316円です。宗谷線名寄-稚内間の2014年度の輸送密度は405人、1975年度の輸送密度は1878人、営業収益は487百万円、営業費用は2649百万円、営業損失は2161百万円、営業係数は543円です。根室線釧路-根室間の2014年度の輸送密度は436人、1975年度の輸送密度は1879人、営業収益は247百万円、営業費用は1089百万円、営業損失は842百万円、営業係数は441円です。根室線滝川-富良野間の2014年度の輸送密度は460人、1975年度の輸送密度は6608人、営業収益は120百万円、営業費用は996百万円、営業損失は876百万円、営業係数は827円です。釧網線東釧路-網走間の2014年度の輸送密度は466人、1975年度の輸送密度は1817人、営業収益は334百万円、営業費用は1739百万円、営業損失は1405百万円、営業係数は520円です。これらの線区の営業損失を合計すると7294百万円にもなります。JR北海道の鉄道事業の営業損失は41467百万円ですので、これらの線区をすべて廃止することができれば、営業損失を17.6%減らすことができます(実際には、このような単純計算はできないでしょうが)。

 しかし、この数字には1月の高波による線路被害のため、一部区間を除いて運休している日高線の数字は含まれていません。日高線苫小牧-様似間の2014年度の輸送密度は298人、1975年度の輸送密度は2164人、営業収益は143百万円、営業費用は1462百万円(バス代行の経費、列車の回送にかかる経費を含んでいます)、営業損失は1319百万円、営業係数は1022円です。この状況を考えると、少なくとも30億円かかる復旧が難しいのは明白でしょう。20年分の営業収益をかけて、今後も赤字を垂れ流していくのですから。今でも鉄道が動いている鵡川まで存続すればいいところです。根元に近い苫小牧-鵡川間なら、もう少し数字はいいでしょう。

 さて、先ほど述べた輸送密度500人未満の線区をよく見れば、同じ赤字ローカル線でも、二種類に分かれます。留萌線、札沼線北海道医療大学-新十津川間、石勝線新夕張-夕張間、根室線富良野-新得間とそれ以外です。前者のほうが輸送密度はより低く、営業係数は悪いです。枝線で、廃止になっても幹線鉄道網を傷つけるということはありません。後者も赤字であることには変わりありませんが(距離のある路線が多いため、営業損失の額は多くなっています)、宗谷線のように特急があるところもあり処遇に頭を悩ませるところです。前者のように、第三セクターでも無理で、バス転換以外に方法がないというところではありません。とりあえずは、前者と災害で大半が運休している日高線あたりが当面の廃止路線候補と言ってもよいでしょう。これまで根室線滝川-新得間としてまとめて発表されてきたのが、富良野で分割されているのも、その現れかもしれません。ちなみに、すでに2016年度中の廃止方針が示されている留萌線留萌-増毛間の場合、留萌市議会が市民を対象に行ったアンケートによれば、廃止を容認するのは約80%もいました。留萌-増毛間を利用しているのは11%に過ぎず、廃止になっても地域経済にほとんど影響がないとしたのも30%いました(大きな影響が出ると考えているのは10%)。この区間は路線バスもあるので、代替交通手段に問題がないからでしょう。むしろ、地元が懸念しているのは、留萌から鉄道が全くなくなる、留萌線の全線廃止のほうです。
(参考:JR北海道ホームページ http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/151106-1.pdf、北海道新聞ホームページ http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0199198.html、http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0198978.html)

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Comments

>>留萌-増毛間を利用しているのは11%に過ぎず、廃止になっても地域経済にほとんど影響がないとしたのも30%いました(大きな影響が出ると考えているのは10%)。この区間は路線バスもあるので、代替交通手段に問題がないからでしょう。

皮肉を言うと、今は確かに路線バスはあっても永久にあるとは限らないだろう。聞いている人間は、マイカー中心の人だけだと思うし、マイカー中心の人なら、鉄道はもちろん路線バスも乗車していると思えないし。
おそらく、自治体の補助金(税金)でなんとか維持しているだけだと思う。その補助金も出せなくなれば、その路線バスも廃止されるだろう。路線バスも乗車率が悪いからだ。

鉄道の廃止もそうだが、それ以上に路線バスの方の廃止がとてつもなく多い。鉄道からバス転換しても好転せず、バス転換からさらにバス転換もしくは、廃止されている。


Posted by: たかちゃん | 2015.11.08 at 08:58 PM

 たかちゃんさん、こんばんは。

* 皮肉を言うと、今は確かに路線バスは

 もちろん、路線バスにも廃止のリスクがあります。ただ、それだからと言ってJRに甘えることは許されませんし、留萌の沿岸バスにとっては増毛への路線は主要路線になっているとも考えられます。

Posted by: たべちゃん | 2015.11.08 at 09:21 PM

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Tracked on 2015.11.08 at 11:07 AM

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