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新千歳の発着枠拡大しても「エアポート」の輸送力増強はせず

 2017年春から新千歳空港の日中の発着枠が3割増えます。ということは、新千歳空港の利用者が増え(2015年の利用者は年間2045万人)、新千歳空港駅の利用者(2015年の利用者は1065万人)も増えると考えられます。国交省が2011年度に調査した内容によれば、新千歳空港を利用するためのアクセス手段としてもっともよく使われるのは鉄道、51%と過半数を占め、自家用車の22%、空港バスの11%を大きく上回っています。評価されているポイントは速さ。札幌-新千歳空港間はJR北海道の快速「エアポート」だと最速37分、夏でも1時間前後かかる空港バスを圧倒しています。そのため、現在でも時間帯によっては混雑しているようです。

 ところが、JR北海道は新千歳空港の発着枠拡大に合わせて、快速「エアポート」の増便などの輸送力増強はしません。車両の新造やシステム改修などの設備投資が必要だからです。その理由は次の通りです。快速「エアポート」が通る千歳線は貨物列車も走ります。増便するには札幌貨物ターミナルを出た貨物列車が千歳線に合流する地点を立体交差化したり、信号システムを改修したりする必要があります。数十億円かかります。

 車両の増結も新千歳空港駅のホーム延長が必要になります。新千歳空港駅は6両編成の列車しか対応できないのです。JR北海道は2階建て車両の導入も考えましたが、乗り降りに時間がかかるなどの理由で見送られました(個人的には、2階建て車両を指定席にし、しかも途中駅での乗降はさせないことでこの問題をクリアできると考えています)。1時間に2~4本ある普通列車を減便する方法は沿線住民に不便を強いるため、できないと考えています。

 結局のところJR北海道が行った輸送力増強策は3月のダイヤ改正で特急型車両の使用をやめたことです。快速「エアポート」は721系(定員762人、座席数279)と2014年に加わった733系(定員821人、座席数288人)で賄います。これでも1日当たりの輸送力が1割増えました。貨物や普通に迷惑をかけるわけにもいかないですから新千歳空港駅のホーム延長を行うのがベストでしょうが、当面は733系への置き換えを進めるぐらいしか方法はないでしょう。とは言ってもJR北海道には置き換えをしなければならない車両がたくさんありますから、721系の置き換えを行う余裕はないのが現状です。
(参考:北海道新聞ホームページ http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0267121.html)

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Comments

増便に掛かる費用が数十億円程度なら北海道"庁"が出して立体交差化やシステム改修を行った方が経済効果は高いでしょう。道庁がこれからJR北海道に関わっていく費用が数十億円程度なら。

Posted by: 日置りん | 2016.05.08 at 09:24 AM

 日置りんさん、こんにちは。

* 増便に掛かる費用が数十億円程度なら

 北海道がお金を出して幹線の改良を行うのが望ましい方向ですが(個人的には新千歳空港駅のホーム延長を行うのがよいと考えています。15分間隔なら悪くはない水準でしょう)、現実にはバスで十分なローカル線すら引き取ろうとしません。JR北海道に押しつけるだけです。

Posted by: たべちゃん | 2016.05.08 at 11:18 AM

たべちゃん様

はじめまして。
この路線は新千歳空港への利用だけでなく、札幌から恵庭、千歳、苫小牧までの都市間輸送にかなり使われていて、エアポートを2階建てにして指定席化しても空港輸送しか解決しないです。しかも北海道では珍しく、沿線の恵庭も千歳もその先苫小牧市沼ノ端地区も人口増加中で平均年齢も若いため、今後、需要はますます増えていくことが予想されます。

問題解決のためには、空港線の新千歳空港ー千歳線間の延伸や地下鉄東豊線の延伸(札幌ドームへ向かう需要も多いので)を含めた複々線化など抜本的な見直しが必要なのですが、多額の費用がかかります。北海道、札幌市など沿線自治体、国の協力が不可欠で、jr北海道だけではどうしようもないと思います。

Posted by: 2tak | 2016.05.08 at 05:16 PM

 2takさん、こんばんは。

* この路線は新千歳空港への利用だけでなく、

 それを考えると、「エアポート」の増結による輸送力増強が一番手っ取り早いでしょう。新たに線路を敷くのは難しいですから、苫小牧へは特急で対応させるしかありません。

* 北海道、札幌市など沿線自治体、国の協力が不可欠で、

 バスで十分なローカル線はバスに任せ、こういう需要の多いところこそ鉄道がその本領を発揮すべきところです。国や地方自治体の財政的協力も欠かせません。

Posted by: たべちゃん | 2016.05.08 at 10:47 PM

たべちゃん様

コメントありがとうございます。
苫小牧へは特急、というのが料金面で沿線住民に完全に嫌われていて、高速バスに完敗しているんですよね‥。北海道にはめずらしく優良企業が多いので、それなりに特急利用者が見込めるというのもあって。

ローカル線や観光列車に投資する余裕があるならば、人口が多く輸送が見込めるところにきちんと投資してほしいと、私も思います。

Posted by: 2tak | 2016.05.09 at 01:12 AM

 2tak さん、こんばんは。

* 苫小牧へは特急、というのが

 実は「乗車券往復割引きっぷ」と「すずらんオプション特急券」を組み合わせると、片道運賃に20円を足すだけで「すずらん」に乗ることができます。

 問題は「すずらん」が少なく、普通もそうなのですがパターンダイヤになっていないことです。

 快速「エアポート」に苫小牧発着の3両編成を併結するという方法もあります。この場合は「関空快速」同様、外国語付きの誤乗防止対策を取らないといけません(詳しくは http://tabechan.cocolog-nifty.com/note/2015/11/post-85e3.html を参照してください)。

Posted by: たべちゃん | 2016.05.09 at 09:57 PM

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