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滋賀県「米原ルート」での東海道新幹線乗り入れを提案へ、京都府は「舞鶴ルート」の費用対効果1以上を主張

 北陸新幹線敦賀以西のルートには3案ありますが、最有力とされる「小浜-京都ルート」以外の2案についての話です。まずは「米原ルート」から。

 「米原ルート」は米原で東海道新幹線に接続するもの。建設する距離が短いため建設費が安く、費用対効果が高いのですが、致命的な欠陥があります。それは、米原で乗り換えを迫られること。北陸新幹線の全線開業がリニアの全線開業後であるにもかかわらず、国交省の北陸新幹線調査結果では、乗り換えを前提にした結果しか出されていません。リニアが開業しても「米原ルート」なら、北陸新幹線は新大阪に直通しないのです。そこで滋賀県はこの致命的な欠陥をクリアするため、5日の与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームの検討委員会で北陸新幹線が東海道新幹線に乗り入れることを提案します。

 それではなぜ「米原ルート」が米原乗り換えになったのでしょうか? 北陸新幹線、そして東海道新幹線を運営するJR西日本とJR東海は、東海道新幹線の過密ダイヤと接続に伴う運行システムの違いなどから乗り入れは困難だと表明しました。そのため与党の検討委員会は4月の段階で、「米原ルート」の場合は米原で乗り換えることを前提にしたのです。

 滋賀県は運行システムの問題は解決できるとしていますが、肝心のJR2社が乗り気ではないですし、北陸新幹線のシステムはJR東日本のものがベース、東海道新幹線のシステムはJR東海のものがベースでは、解決できない危険性が十分にあります。犬猿の仲の2社ですから、確実に新大阪直通が確約できる状況でないとリスクは高いでしょう。滋賀県は国交省の試算において、米原駅の乗り換え時間が長いなどと指摘していますが、たとえ東海道新幹線に合わせて北陸新幹線が発着するという都合のいい状況でも、滋賀県の主張のように5分では無理でしょう。10分はかかります。ですから、国交省の15分という前提も、決して厳しすぎるものではありません。「サンダーバード」の実績から最速列車は敦賀を通過するという設定もあり得ますし(国交省は敦賀を通過、滋賀県は敦賀に停車)、列車速度も最高速度が260キロであることを考えると、国交省の時速200キロが妥当なところでしょう(滋賀県は165キロとしています)。

 さて、「舞鶴ルート」については、採算性が問題視されていますが、山田京都府知事は30日に行われた与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームの検討委員会において、「舞鶴ルート」でも費用対効果が1以上にあるという独自の試算を示しました。利用者便益のほかに地域活性化や企業立地の促進といった地域経済効果を加味すれば、費用対効果は1以上になるというのです。京都-新大阪間で学研都市を経由した場合、費用対効果は1.6になるというのです(経済効果は1兆円を上回ります)。「小浜-京都ルート」の1.5を上回るというのです(学研都市経由の場合)。ちなみに、「舞鶴ルート」でも京都-新大阪間で「北回り」のルートをとった場合、途中に駅ができないため費用対効果は1.0にとどまってしまいます。うまくできた数字です。それほど良いのならば、京都府が山陰線の改良をしたほうが良いでしょう。ちなみに、国交省によれば、「小浜-京都ルート」でも山陰方面への高速化が果たせるとされています。

 最後に本命視されている「小浜-京都ルート」ですが、一番便利であるものの、どうしても建設費が高くなります。京都-新大阪間の建設費が高くなりますので、この部分の建設を後回しにすべきだという社説(東京新聞)での主張もあります。確かに米原とは違い、京都で乗り降りする需要は多く(大阪府内でも高槻などは北陸新幹線を京都で乗り降りするでしょう)、最悪ではないでしょうが、後回しになる新大阪までの全線開業が難しくなるので、できるだけ避けたいところです。
(参考:中日新聞ホームぺージ http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20161129/CK2016112902000028.html、http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20161201/CK2016120102000038.html、東京新聞ホームぺージ http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016120102000144.html、日本経済新聞ホームぺージ http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10027950Y6A121C1LDA000/、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161130-00000019-kyt-l26)

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Comments

福井県や富山県だけでなく,石川県も小浜京都ルートに方針転換して北陸3県の意向がそろい,大阪府も"小浜京都で決定なら歓迎"と1月ごろに言っていたり,JR西日本や経済団体も小浜京都ルート支持で採算性もOKなわけですからやっぱり小浜京都にするべきでしょう. 京都府と滋賀県は最後の悪あがきをしているようにしか見えません.とはいえ,京都府も従来の亀岡駅経由の小浜ルートのように京都駅を経由しないのならなら”嫌だ”というのもわかりますが,小浜京都ルートで京都駅を通る以上大きなメリットがあるわけですから拒否はできません.舞鶴ルートは京都府の言うように採算が取れたとしても,ルート的な合理性が低く選ばれるべきではありません.乗り換えなしという点で"米原よりはマシ"という程度でしょうか...
また,滋賀県の試算は米原のみ採算性OKで他のルートを採算割れと結論付けるために,需要を過小評価して,速度も遅くするという,意図的な試算としか思えません.
京都までの先行開業も最悪ではないものの,やはり新大阪まで一気に開業するべきだと思います.

あとは,ルートの工夫によってコストがかさむ大深度地下区間を1cmでも短くし,京都駅も島式2面4線ではなく,少し広めの1面2線にする,京都市内はなるべくJR西日本の在来線の下の大深度ではなくある程度の深さのところを通すなどして少しでも安くするような工夫をすることが望ましいと思います.(在来線の下を通せない区間は,大深度にするしかないでしょうけど...)これについては自分のブログで詳しく書きましたので,ぜひご覧ください.
http://84axgd8-6dm7-grd0.cocolog-nifty.com/blog/

Posted by: 84axgd86dm70 | 2016.12.05 at 11:25 AM

 84axgd86dm70さん、こんばんは。

* 小浜京都ルートで京都駅を通る以上大きなメリットがあるわけですから

 「小浜-京都ルート」は京都駅に乗り入れるのですから、メリットがないとは言えません。ターミナル駅に乗り入れるのですから、悪い話ではないでしょう。

* また,滋賀県の試算は米原のみ採算性OKで他のルートを

 こんなことをしても「米原ルート」が選ばれるわけではありません。新大阪までに直通できる保証がないことが低い評価となる原因なのです。

* あとは,ルートの工夫によってコストがかさむ大深度地下区間を

 実際の建設に当たっては、京都市内や大阪市内のコスト削減が重要な課題となります。

Posted by: たべちゃん | 2016.12.05 at 10:37 PM

滋賀県はシステムの違いは解決できると言ってますが,むしろ最大のネックはシステムの違いだと思います.リニア開業後に東海道新幹線のダイヤが少しは空くし,JR東海とJR西日本の収益に関してもその気になって利益配分について協議すれば解決できないとは言い切れません.リニア開業後も乗り入れ不可ということは,やはりシステムの違いこそが最大の問題と考えられます.

ということは,米原で乗り入れ不可なら一部で言われている京都からの乗り入れも同じく不可ですので,小浜京都ルートでちゃんと新大阪まで一気に作るしかありません.

Posted by: 84axgd86dm70 | 2017.01.08 at 12:52 PM

 84axgd86dm70さん、こんにちは。

* 滋賀県はシステムの違いは解決できると言ってますが

 口先ではだめで、事業者からの保証がないと意味がありません。「新幹線は開通しました、でも乗り換えが必要です」では、JRの駅員が利用者から文句を言われるだけでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2017.01.08 at 01:07 PM

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