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長崎新幹線フリーゲージトレイン、国交省も新大阪直通をあきらめる?

 長崎新幹線は武雄温泉-長崎間を建設中ですが、2022年度に「リレー方式」で完成してもほかのフル規格新幹線とつながらない、離れ小島の新幹線になります。博多-武雄温泉間を整備しない限り。そこで博多-武雄温泉間の整備のありかたについて議論されていますが、3月30日、国交省から参考となる資料が出されました。以前、があったものです。

 博多-武雄温泉間の整備方法は3つあります。(1)フリーゲージトレイン (2)フル規格新幹線 (3)ミニ新幹線(単線並列、複線三線軌の2パターン。狭軌が乗り入れできるようにしています。なお、鳥栖-佐賀間の輸送密度が31420人(2016年度)と山形新幹線や秋田新幹線に比べて大きいことから、列車を完全に運休して施工することは考えていません) です。この3つについて費用、投資効果、収支採算性等について検討していきたいと思います。「リレー方式」による整備以降に追加で必要になる費用は、(1)博多で新幹線と在来線のホームをともに利用する場合は800億円、博多で新幹線ホームのみを使う場合は1400億円 (2)6000億円 (3)単線並列なら1700億円、複線三線軌なら2600億円(単線並列なら5年、複線三線軌なら9年の改軌期間中は単線での運行となり、普通列車を中心に所要時間が伸びたり、ラッシュ時には運行本数の減少が必要になったりします。仮線を設置し、複線で運行しながら改軌を行えば、その分費用はかかります。単線並列なら2900億円、複線三線軌なら3400億円です) です。工期と開業見込みは、(1)約9年、2027年度 (2)約12年、2034年度 (3)単線並列なら約10年、2032年度。複線三線軌なら約14年、2036年度。フリーゲージトレインも車軸のメッキ厚の増加等の新たな対策を施せば、技術的には問題ないようです。2019年度に着工することができるフリーゲージトレイン以外は環境アセスメントが必要なことから、2023年度にならないと着工できません。山陽新幹線への乗り入れは、(2)、(3)なら可能です。つまり、国交省自身が、フリーゲージトレインなら山陽新幹線に乗り入れできないことを認めたのです。

 博多-長崎間の所要時間は、「リレー方式」なら1時間22分(最速、以下同)のところ、(1)1時間20分 (2)51分 (3)単線並列なら1時間20分、複線三線軌なら1時間14分 です。新大阪-長崎間は、「リレー方式」なら4時間のところ、(1)3時間53分 (2)3時間15分 (3)単線並列なら3時間44分(ここには表れていませんが、待ち合わせがあるため特に普通列車で所要時間が伸びています)、複線三線軌なら3時間38分 です。投資効果を計算すると(「リレー方式」との比較)、(2)は3.3、(3)は単線並列なら3.1、複線三線軌なら2.6です。(1)の試算は今回、なされていません。なお、新大阪のホームはすでに逼迫しているので、九州方面からの折り返し用に地下に新たなホームをつくることも考えているようです(九州新幹線と併合して16両で乗り入れたら、地下にホームをつくる必要はなさそうですが)。この費用は計算には入っていませんが、便益には含まれています。そのため、実際の値は低くなることが予想されます。ただ、貸付料の参考となる収支改善効果(年平均)は、(1)-20億円 (2)88億円 (3)単線並列なら9億円、複線三線軌なら2億円 です。フリーゲージトレインは技術的な問題が解決しても、経済的には採用できないのです。

 どう考えても最良の解はフル規格新幹線建設です。フリーゲージトレインは問題外ですし、ミニ新幹線も建設費は安いですが、時間短縮効果はフリーゲージトレインと変わらず、橋梁が多い等の理由で改軌の手間がかかります。ただ、今回の試算によってこれまで約800億円とされてきた佐賀県の負担はさらに膨らみ、約1100億円となります。現在の仕組みでは佐賀県に大きな負担がのしかかり、全体から見て望ましくないことですが、拒否することもできてしまいます。今回の結果を見れば、フル規格新幹線でない限り、新しい幹線鉄道をつくる価値がないことは明白ですが、佐賀県に拒否されたときのことを考え、武雄温泉-長崎間を狭軌でつくったときの試算をしておくべきでしょう。
(参考:国交省ホームぺージ http://www.mlit.go.jp/common/001229421.pdf、日本経済新聞ホームぺージ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2882546030032018LX0000/)

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