リニア全線開業後も「のぞみ」は消えず

 リニアのメリットのひとつに、リニアを整備することによって、「のぞみ」中心の東海道新幹線に「ひかり」や「こだま」を増やすことができることができる、ということが挙げられます。今は「のぞみ」中心のダイヤにせざるを得ないため、静岡県内に停まる便は少ないのですが、リニアが開業すれば、「のぞみ」の利用者がリニアに移行し、「ひかり」や「こだま」を増発する余地が出てきます。リニアの駅ができない静岡県にとっては、これがリニアのメリットとなります。

 ただ、静岡県内の三島、静岡、浜松の3駅に設置されたパネルによれば、リニアが新大阪まで全線開業しても、「のぞみ」が全廃されることはないようです。以前のとは違い、名古屋暫定開業のときはともかく、新大阪まで開業しても「のぞみ」は残るのです。東京から山陽新幹線の岡山、広島に直通する客、あるいは名古屋から山陽新幹線の岡山、広島、博多に行く客のことを考慮しているのでしょうか?
(参考:中日新聞ホームページ https://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/tokai-news/CK2018022802000093.html)

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長崎新幹線、2020年度の概算要求見送りへ

 未着工の長崎新幹線新鳥栖-武雄温泉間について、与党の検討委員会はフル規格新幹線でつくる方針です。しかし、未着工区間のある佐賀県はフル規格新幹線の建設に強く反対しています。

 フル規格新幹線をつくるための前段階として、環境アセスメントがあります。これをするには、当然お金がかかり、予算に盛り込まないといけません。国交省は当初、2020年度予算の概算要求で環境アセスメント費用の計上を求めていましたが、フル規格新幹線に強く反対する佐賀県に配慮して、これを見送る方針です。金額を明示しない事項要求もしません。

 もっとも、環境アセスメント費用はそれほどかからないため、今後協議がまとまれば、年末の予算編成の段階で、追加で要求することもできます。ただ、そもそも佐賀県がフル規格新幹線を求めていない以上、簡単に協議がまとまるとは思えません。フル規格新幹線の効果は絶大であり、佐賀県の考えが近視眼的と非難することはできても、新幹線が佐賀県を通る以上、どうしようもないのです。

 長崎新幹線で最も望ましいのは、全線フル規格です。都市間輸送の場合、高速道路を走る車を圧倒するスピードでないと、お金を払って鉄道に乗ってくれません。そして、最悪の姿は、「リレー方式」の固定化。「リレー方式」により、博多-長崎間の所要時間が今より26分短い、1時間22分になりますが、武雄温泉での乗り換えが発生します。いずれ全線フル規格になって乗り換えが解消されるならやむを得ませんが、永久に固定されるのは困りものです。何のために新幹線をつくったか分からないです。しかし今の長崎新幹線は、その道を進もうとしています。

 佐賀県の考えを改めさせるのが最善の策ですが、そうならなかったときは、長崎新幹線武雄温泉-長崎間の開業を遅らせてでも、狭軌につくり変えないといけないでしょう。長崎新幹線武雄温泉-長崎間の開業時期は、北陸新幹線金沢-敦賀間と同じ2022年度とされているので、観光客の誘致のためにも多少遅らせたほうが良さそうです。
(参考:毎日jp mainichi.jp/articles/20190823/k00/00m/010/286000c、産経新聞ホームページ sankei.com/region/news/190824/rgn1908240015-n1.html)

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余市-小樽間の輸送密度

 北海道新幹線が全線開業すれば、函館線函館-小樽間が並行在来線とされ、JRから分離されます。現在(2017年度)の輸送密度は函館-長万部間で3712人、長万部-小樽間は652人ですが、前者は特急の利用者も含んでいますので、北海道新幹線が開業すると激減します。

 それでは、普通列車だけの輸送密度はどれぐらいでしょうか? 8年前という古いデータですが、北海道は旅客流動調査を行っています。このデータを基にすると、函館-小樽間の普通列車だけの輸送密度は395人、函館-長万部間だと326人、長万部-小樽間だと467人になります(前述の2017年度の輸送密度との差が大きい理由は分かりません)。函館-長万部間は特急がなくなると9割も減ってしまいます。北海道新幹線新青森-新函館北斗間開業によって分離された江差線(五稜郭-木古内間)の輸送密度、760人の半分程度です。明らかに利用者が少ないのです。駅別の乗車人員を見ても、普通列車で100人以上の乗車がある駅は、函館-七飯間の各駅、森、八雲、ニセコ、倶知安、仁木、余市、小樽だけです。将来もお先は真っ暗です。2035年(この調査が行われたとき、北海道新幹線は2035年に全線開業するとされていました)の函館-小樽間の輸送密度は263人、2045年は224人と推計されています。沿線の人口が減るのが主な要因です。いくら地元が負担する第三セクターでもやっていける数字ではなく、函館-長万部間でも貨物が新幹線船(苫小牧発着)に移行して撤退すれば、存続させる必要はなくなります。残っても貨物線ということもあります。仮に鉄道を存続させるとすれば、2018年度から2037年度までの20年間で、端やトンネルなどの大規模修繕や更新の費用として、函館-長万部間で57億円、長万部-小樽間で64億円を要し、その後も赤字区間のために穴埋めのためのお金が毎年必要となります。2017年度の収支は函館-長万部間で62億円の赤字(特急がなくなるとさらに悪化すると言われています)、長万部-小樽間で24億円の赤字です。

 ただ、細かく区間を分けると、それなりに利用されているところもあります。2011年の旅客流動調査を基にしたデータでも、函館-七飯間だと1766人、函館-渡島大野(現:新函館北斗)間だと1515人、函館-森間だと734人です。小樽側だと、余市-小樽間が1599人、仁木-小樽間だと1434人、倶知安-小樽間だと870人です。また、この数字には北海道新幹線を利用するためにアクセス列車を利用する人は含まれていません。函館-新函館北斗間の輸送密度はこれらの推計より多くなると思われます。ですから、函館側で言えば、少なくとも函館-新函館北斗間は存続すると考えられます。

 では、小樽側はどうでしょうか? 利用者が増え始める倶知安のある倶知安町は、「倶知安町新幹線まちづくり整備構想」をつくっていますが、並行在来線が存続した場合と廃止した場合の2つのパターンをつくっています。並行在来線が廃止されたら高速道路(2020年代後半までにできる予定です)と市街地を結ぶアクセス道路も平面でつくることができます(並行在来線が廃止されてからアクセス道路を完成させるのでしょうか?)。並行在来線が残ったら立体交差にしなければならず、その分費用がかさむのです。倶知安と余市の間にある仁木町もバス転換を容認しています。並行在来線をどうしても残したいのは余市町ぐらいなので、小樽側で残るのは余市-小樽間だけかもしれません。ただこの区間だけが残った場合、余市町は財政負担を覚悟しないといけません。

(追記)
 北海道は6年後までに、並行在来線を鉄道として存続させるかバスに転換するかを判断する予定です。
(参考:北海道ホームページ pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/ob01_resume1.pdf、タビリスホームページ tabiris.com/archives/hakodatesenheiko/、JR北海道ホームページ https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/mi/senkubetsu/29senkubetsu.pdf、NHKホームページ https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190817/7000012865.html)

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リニアの名古屋開業が遅れたら、大阪までの全線開業も遅れる?

 2027年に品川から名古屋まで開業する予定のリニアが、静岡県内で着工の目途が立たないことを理由に遅れる危険性があるということは以前に記事にしましたが、影響はそれだけに留まりません。名古屋までの開業が遅れたら、早ければ2037年とも言われている新大阪までの全線開業も遅れる危険性があると言うのです。

 リニアがその効果を発揮するのは、新大阪までの全線が開業してからです。品川-名古屋間だけの段階では、有料試運転みたいなもので、リニアが当てにしている航空機の利用客を奪うことはできません。下手をすると、乗換を嫌う客が航空機に逃げてしまいます。

 それを考えると、品川-名古屋間の開業が遅れることは仕方ないものの、新大阪までの全線開業を遅らせることをしてはいけないと言えるでしょう。
(参考:MBSニュース https://www.mbs.jp/news/kansainews/20190807/GE000000000000029031.shtml)

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長崎新幹線は全線フル規格&佐賀駅経由の方向

 長崎新幹線は先端の武雄温泉-長崎間は完成に近づいていますが、中ほどの新鳥栖-武雄温泉間は未着工で、しかもどのように整備するか決まっていません。この長崎新幹線の整備方式については迷走を続け、参院選後に先送りされていましたが、与党の検討委員会は整備方針を決めました(5日に行われる会合で示されます)。

 それは全線フル規格。しかも、佐賀空港を通る南回りのルートや長崎道沿いの北回りルートを取らず、佐賀駅を経由するルートにします。このルートは旧国鉄が1985年に公表し、1986年に環境アセスメントをまとめたものであり、これまで国交省がフル規格の試算をするときに用いられてきたルートです。JR九州も長崎県も佐賀駅を通るルートを前提に考えています。

 将来の都市間鉄道のありかたを考えた場合、フル規格新幹線でないと将来はありません。在来線特急ぐらいのスピードでは高速道路を走る車と大して変わらず、ジリ貧になっていくだけです。しかし、長崎新幹線には問題があります。未着工区間の新鳥栖-武雄温泉間は全て佐賀県内を通りますが、その佐賀県が新幹線を求めていないのです。

 しかも、事態は単純ではありません。先ほども述べたように、長崎新幹線武雄温泉-長崎間の完成が近づいているのです。ここはフル規格でつくられるので、このままでは誰にとっても得にならない飛び地の新幹線になってしまいます。佐賀県を説得してフル規格にできるのなら一番良いシナリオなのですが、その見込みがないのなら長崎新幹線の整備を諦めて、武雄温泉-長崎間のみを狭軌のスーパー特急にするのがセカンドベストでしょう。狭軌で敷き直す分、武雄温泉-長崎間の開業時期は少々遅れるでしょうが。

(追記)
 5日の与党検討委員会で、長崎新幹線新鳥栖-武雄温泉間もフル規格でつくるのが良い、との結論を出しました。しかし、佐賀県内に佐賀駅を通ることに対して反対の声もあるため、佐賀駅を経由することは明記されませんでした。

 ただ、ルートが決まらなかったことにより、2020年度の環境アセスメント関連予算の計上は難しくなりました。
(参考:佐賀新聞ホームページ https://www.saga-s.co.jp/articles/-/408137、西日本新聞ホームページ https://www.nishinippon.co.jp/item/n/533033/)

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並行在来線になる長万部-小樽間、存廃の判断を前倒しへ

 北海道新幹線が札幌まで全線開業すると、函館線の函館-小樽間が並行在来線として分離されます。このうち、問題となるのは貨物列車が通らない長万部-小樽間。この区間は(新函館北斗-長万部間もそうですが)普通列車の旅客需要が少なく、しかも貨物列車がないので、鉄道として存続させる意義が薄いのです。

 函館線長万部-小樽間の存廃についてはこれまで延伸の5年前に判断する予定でしたが、北海道(正確に言えば北海道が事務局となっている北海道新幹線並行在来線対策協議会)は、7月22日の後志ブロック会議で、その判断を前倒しすることにしました。8月下旬以降、後志ブロックを2~3の地区に分けその地区ごとに公共交通の利用実態などを元に考え、10月の幹事会で今後の対応などを検討します。

 旅客需要が少なく、しかも貨物輸送がない函館線長万部-小樽間で問題となるのは、函館線が貨物輸送の迂回路として使われる可能性があると言うことでしょう。現に2000年の有珠山噴火のときには室蘭線が使えなくなり、函館線を貨物列車などが迂回運行しました。有珠山は噴火する可能性が高く、そのときに備えて函館線を残しておかないといけないという考えもあります。貨物列車が新幹線を通るようになればこの問題は解決しますが(こうなったら思い切って新函館北斗-小樽間をバス転換することもできます)、そうで無い限りは難しい判断を迫られます。
(参考:北海道新聞ホームページ https://www.hokkaido-np.co.jp/article/327810)

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黒岩神奈川県知事、リニア車両基地への回送線の旅客化を求める

 リニアの神奈川県内の車両基地は、相模原市緑区の鳥屋地区というところにできます。リニアの駅も同じ相模原市内にできますが、かなり離れています。

 そこで黒岩神奈川県知事は、この車両基地への回送線の旅客化を求めています。車両基地の近くには宮ケ瀬湖などの観光地があり、車両基地を活用することで地域振興につなげたいとしています。

 もっとも、旅客化するためにはお金が必要です。JR東海とそのあたりの調整は行っているのでしょうか?
(参考:カナロコ https://www.kanaloco.jp/article/entry-175681.html)

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北陸新幹線南越駅のまちづくり計画は開業後に先送り

 北陸新幹線は2023年春に金沢-敦賀間が開業します。途中にいくつか駅ができますが、新しくできるのは南越駅だけで、残りは在来線駅との併設です。

 在来線と併設する駅は現在でも特急停車駅であり、今と同じところに行けば新幹線に乗ることができます。しかし、南越駅は今までと全く違う、新しいところにできます。新幹線開業後に武生駅や鯖江駅に行っても、普通列車が来るだけです。不便なところもありますが、考えようによっては何もないところからまちづくりができるという長所もあります。

 さて、南越駅の場所は北陸道の武生インターチェンジのあたりです。国道8号線にも近く、農地が広がっています。こういうところに新幹線の駅がポンとできると、無秩序な開発がなされることは目に見えています。そこで駅一帯を都市計画法に基づく特定用途制限地域に定め、乱開発を制限しています。

 その後、南越駅周辺をどのように整備するつもりでしょうか? 南越駅周辺のまちづくり計画を決める越前市の策定委員会は、2023年の駅開業時は最低限のものしか整備せず、駅周辺の開発は2030年ごろ、あるいは北陸新幹線新大阪開業時に先送りすることにしました。2023年の段階ではコンビニ、喫茶店、宿泊施設、レンタカー店などを整備するだけです。先送りというとマイナスのイメージがあり、また2023年の開業時には寂しい駅前となることは確実ですが、新幹線だけの駅なので人の流れがどうなるか分かりませんし、下手にやって失敗するよりはいい、ということでしょう。

 なお、奈良越前市長は南越駅の南側にAI産業を誘致するとの考えを持っています。越前市の得意とする製造業をさらに強化するという狙いもあるようです。
(参考:福井新聞ホームページ https://this.kiji.is/506743401881699425?c=296807156262126689、https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/880267)

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長崎新幹線の整備方式、参院選後に先送り

 整備方針を巡って佐賀県と長崎県が対立を続けている、長崎新幹線。話が前に進みません。この長崎新幹線をどのように整備するかは6月ごろに決定する予定でしたが、まとまる気配がありません。そこで、与党の検討委員会も21日、整備方式の決定を7月に行う予定の参院選後に先送りすることにしました。

 与党の検討委員会は環境アセスメントのための費用を2020年度予算の概算要求に盛り込むため、佐賀県の理解を得て、遅くとも8月末までに整備方式を決めたいようです。しかし、参院選後1か月程度でまとまるとは思えません。

 しかも、ずっと先送りしていいわけではありません。武雄温泉-長崎間の完成が近づいているのです。部分的にフル規格の新幹線ができるのですから、全線をフル規格でつくるのが理想的です。しかし、佐賀県の理解を得ないといけません。最悪なのは、武雄温泉で乗り換えを迫られる「リレー方式」。いずれ全線フル規格になるのなら一時的な措置ということで我慢できますが、永久に乗り換えを迫られるなら客が逃げるだけです。福岡-長崎間はバスでも2時間余りで走り、本数も多いので、乗り換えがいる鉄道の代わりの手段になり得ます。佐賀県の反対でフル規格新幹線ができないのなら、武雄温泉-長崎間の開業を遅らせても狭軌でつくり直してそこで打ち切るしか仕方が無いでしょう。
(参考:産経ニュース https://www.sankei.com/region/news/190622/rgn1906220007-n1.html)

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静岡県、リニアの見返りを要求

 少し前、リニア中央新幹線の静岡県内の工事が止まっているために、開業に遅れが出る危険性があるという趣旨の記事を書きました。その続報です。

 これまで静岡県は、リニアの建設工事でトンネル内に出た湧き水を大井川に戻し、環境への影響を抑えることを求めてきました。確かにそれは考えないといけないことでしょうが、ところが11日の記者会見で川勝静岡県知事は別の要求を出してきました。静岡県内にリニアの駅ができないことから、何らかの見返りを求めるというのです。その見返りの額は、沿線の県にJR東海が自ら負担してつくる中間駅相当の金額。数百億円にも上ります。とは言ってもリニアは静岡の山奥を通りますから、リニアの駅をつくっても仕方ありません。推測の話ですが、狙いはJR東海から冷たい態度を取り続けられている静岡空港駅をつくらせることでしょうか?

 リニアと静岡県の話では、もうひとつあります。静岡県はリニア沿線の都府県でつくる建設促進期成同盟会への加盟を求めています。もしこれへの加盟が認められない場合、静岡県はリニアのルートを変更し、静岡県を通らないルートにすることを求めます。先ほどの見返りは金では解決できますが(お金持ちのJR東海なら、数百億円の負担は誤差の範囲でしょう)、これはそのレベルを超えた難問です。静岡県内を通らないようにするためには、前後を含めた大幅な変更が必要となります。すでに着工しているので、建設中のトンネルなどを放棄する必要に迫られることにもなります。頭の痛い話です。
(参考:読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20190614-OYT1T50213/、静岡新聞ホームページ https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/644630.html)

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