未着工区間及び長崎新幹線が見直しの対象に

 前の記事の続編みたいな記事です。

 民主党政権になり、あらゆる事業が見直しの対象になってきます。整備新幹線も例外ではありません。東北・北海道新幹線八戸-新函館間など、すでに着工されていて、おおよその開業時期も決まっている区間については見直しの対象にもならず継続されますが、北海道新幹線新函館-札幌間などの未着工区間については、見直しの対象になります。未着工区間が建設を希望するときは、地元が需要予測をしないといけません(これまでは国が行っていました)。また、長崎新幹線については、すでに着工されている武雄温泉-諫早間についても見直しの対象となり、長崎新幹線で導入される予定であるフリーゲージトレインについても再検討されます。

 ただ、整備新幹線の未着工区間は建設する価値がある区間です。北海道新幹線の場合は、スピードアップが前提ですが、羽田-新千歳間の航空機にも対抗できます。北陸新幹線は、需要の多さが魅力。関西と北陸の間を9両編成(多客期は12両もあり)の「サンダーバード」「雷鳥」が1時間に1~2本走っています。在来線時代の「あさま」とほぼ同等の数字です。北陸新幹線は西に行けばいくほど需要が増えますので、金沢止まりにするほうがもったいないのです。北海道新幹線や北陸新幹線(大阪までの全線をつくることが前提ですが)は、国の骨格となる新幹線。国も地方の需要予測作りに協力をする必要があります。これまでの整備新幹線の予測は、厳しい目にさらされ、適切なものになっていますから。失敗したものはありません。

 長崎新幹線も5~6両編成の「かもめ」が1時間に1~2本とそれなりに多いですが、部分的な建設にとどまるため、所要時間の短縮はそれほどでもありません。実現が疑わしいフリーゲージトレインの導入を前提としているのも大きなマイナスです。北海道新幹線や北陸新幹線とは違い、「幹」から外れているのも低い評価にとどまる原因です。

 新幹線が開業すると在来線の乗客が減ることを否定的にとらえる民主党議員もいますが、在来線の利用者が減るのは当たり前のことです。もともと在来線は、特急の利用者で稼いでいたのです。普通列車は採算の取れない部門です。その普通列車だけで採算を取ろうとすると、どうしても運賃が上がってしまいます。ちょっとのお金を出せば、新幹線に乗れるのです。たとえば、盛岡-八戸間のIGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道の運賃は2960円。これに対して、新幹線は特急料金(立席、空いていれば座ることができます)を加えても3410円です。たった450円しか変わりません。盛岡-二戸間で比較しても、両者の差は870円です。長距離の客は、まず新幹線に移行します。在来線をJRのまま維持したければ、運賃を値上げして、新幹線利用者にも薄く広く負担してもらうしかないのです。長野新幹線の場合、在来線の賃率を幹線から地方交通線に値上げすれば、在来線はJRのままで維持できた、という話もあります(特殊な区間の横川-軽井沢間はともかくとして)。この場合、営業キロが在来線のものをそのまま利用したとしても、東京-長野間の新幹線の運賃の上昇はありません。ルートの都合上、新幹線のほうが若干遠回りであることと、営業キロの区切りの関係からです。

 結論としては、(1)北海道新幹線・北陸新幹線は、全線開業を前提に建設を進める。北陸新幹線金沢暫定開業で不便になる大阪方面については、特急の富山までの直通は維持する。(2)長崎新幹線は、オリンピックが来ない限り、(1)が完成するまでの間、建設はしない。オリンピック招致に成功したら、フル規格で急いで建設する。 この方針でよいのではないでしょうか?
(参考:47NEWS http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102001001037.html、NIKKEI NET http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091023AT3S2301123102009.html、asahi.com http://www.asahi.com/politics/update/1023/TKY200910230268.html、「未来鉄道2020年 新線鉄道計画徹底ガイド 西日本編」 川島令三著、山海堂)

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整備新幹線、新函館止まりや金沢止まりでいいのか?

 今月15日に締め切られた来年度の概算要求において、整備新幹線については、今年度と同額の706億円を要求しています。予算案となり、国会を通過するまでまだ時間があるので、これで確定したわけではないのですが、少なくても前年と同額を維持しているということは、公共事業の中では恵まれた部類でしょう。今建設中のところは、北陸新幹線など問題のあるところもありますが、順調にいきそうです。

 しかし、北海道新幹線新函館-札幌間など、未着工区間には厳しいものとなっています。昨年の段階で、北海道新幹線長万部-札幌間など、未着工区間の一部について今年度に着工するというがありました。しかし、来年度の概算要求では新規着工区間の調査費(7億円)は盛り込まれなかったのです。政権が変わったので、自民党時代に行われた話は消えてしまったのです。これらの区間を着工するかどうかは、年末の予算編成までに結論を出すようです。自民党時代なら、いずれは着工されるでしょうが、今は民主党の時代。今までの「常識」は通用しません。でも、新幹線が新函館止まりや金沢止まりのままでよいでしょうか?

 確かに自民党時代の計画はあまりにも細切れでした。長万部-札幌間だけをつくって、新幹線を走らせるとは誰も思っていません。そのうちに、新函館-長万部間も着工され、新函館-札幌間が一気に開通するというシナリオが簡単に予想されます。

 しかしこのことは、北海道新幹線を否定する理由になりません。北陸新幹線にも当てはまることですが、どちらも新幹線をつくるだけの需要があるのです(詳しくは次の記事で書きます)。北海道新幹線に話を戻しますが、途中にそこそこの規模の町がない以上、一気に札幌までつくるしか解はあり得ないのです。しかも、望まれるのはスピードアップ。盛岡-札幌間を時速260キロでチンタラ進んだら、東京-札幌間が5時間近くかかってしまいます(宇都宮-盛岡間は時速320キロ運転)。しかし、盛岡以北を時速320キロ運転すれば東京-札幌間は4時間30分程度、大宮以北を時速360キロ運転すれば東京-札幌間を3時間50分程度で結んでしまいます。世界有数の利用者を誇る航空機の羽田-新千歳間に対抗できます。まさに「革命」です。整備新幹線を時速360キロ対応にできるか、資金をどうやって出すか(国? JR?)、など課題はたくさんありますが、やってみる価値はあるでしょう。スピードアップした分だけ、北海道新幹線の価値は増えます。

 北陸新幹線も、終点が福井や敦賀にとどまるうちは、東京と北陸を結ぶだけのローカル新幹線。しかも、敦賀あたりになると、以前にも書いたとおり、所要時間短縮のメリットはありません。ブレイクスルーは、大阪まで伸ばして発生します。北陸からは、東にも西にも需要があります。それを上手に取り込むには、大阪までの全線開通が欠かせません。どちらも中途半端ではいけないのです。
(参考:時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/zc?k=200910/2009101501114)

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リニア、ようやく2045年に全線開業

 東京(品川)と名古屋を結ぶ予定のリニア新幹線。2025年に名古屋まで開業しますが、誰の目にも中途半端なのは明らかです。せっかくリニアをつくるなら、大阪(新大阪)までの全線開業が欠かせません。その新大阪まで開業したときの予測は、8月末に出るといわれていましたが、なかなか出ませんでした。

 13日になって、待ちに待ったその予測が出ました。今回も、7月に出されたものと同じように、木曽谷、伊那谷、南アルプスの3つのルートを想定し、それぞれリニアと通常の新幹線の2つの方式について検討しています。なお、運転本数は、(新大阪まで伸びることによって需要が増えるため)増えると想定しています。名古屋のみに停まるノンストップ便が1時間に7本、各駅に停まるものが1時間に1本運転されるとしています。リニアの駅は、名古屋以西も各県1駅の原則が維持されるようです。名古屋-新大阪間の途中の駅は、亀山とけいはんなあたりでしょうか?

 ここにおいても南アルプスルートの優位性は明らかです。南アルプスルートの場合、品川-新大阪間の所要時間は67分(リニアの場合、途中名古屋のみに停車。以下同じ)。これに対して、伊那谷ルートは74分と余計に7分かかります。輸送需要量も416億人キロと392億人キロで、南アルプスルートのほうが良い数字です。工事費(車両費を含む)は、8.4兆円と9.1兆円で南アルプスルートのほうが安いです。維持運営費、設備更新費も南アルプスルートのほうが安いです。南アルプスルートしかありえません。

 リニアが大阪まで開業したらどのようになるのでしょうか? まず考えられるのが、航空機から鉄道への転移。リニアの輸送需要量のうち、6割強の257億人キロは東海道新幹線から転移しますが、航空機からも30億人キロが転移します(数字は南アルプスルートでリニア方式にてつくった場合)。これにより、現在、首都圏と近畿圏の交通機関別のシェアは、2007年度の新幹線:航空機=81:19から、89:11に変わります。

 リニアによる品川-新大阪間の所要時間の短縮は、山陽方面にも影響を与えます。新大阪での乗り換えは15分かかると考えられるため、品川-岡山間は2時間7分、品川-広島間は2時間42分、品川-博多間でも3時間45分で結ばれます(山陽新幹線はN700系の「のぞみ」のスピードで算定。停車駅は、新神戸・岡山・広島・小倉)。新大阪での乗り換えはありますが、かなりの所要時間短縮です。1時間あまりも短縮されるのですから。このことにより、岡山や広島でも、航空機からリニア+新幹線に乗り換える人が出てきます。JR東海は、現在航空機を利用している人のうち、2割強がリニア+新幹線に転移すると考えています。

 さて、気になる全線開業の時期は今から36年後の2045年。気が遠くなる数字です。ここまでは既存の東海道新幹線に頼らざるを得ないですから、少なくとも名古屋以西では大改修はできません。開業から80年は東海道新幹線一本に頼ることになります。名古屋暫定開業の段階では、乗り換えの手間もかかり、JR東海が狙っている航空機からの転移は進まないでしょう。

 暫定開業の段階では、名古屋での乗り換え設備は充実させておく必要がありますが、新大阪まで伸びればほとんど使われなくなります。名古屋に近接して車庫をつくる必要もありません。新大阪までの全線開業を2045年としたのは、10年と見込んでいる新大阪駅の建設期間のほかに、建設に伴う債務の償還を考えてのことです(JR東海は、名古屋以西も全額自己負担で建設するようです)。でも、リニアは大阪までの全線できて効果を発揮するもの。名古屋までの暫定開業では、既存の東海道新幹線からの転移だけで、それほどの価値はありません。大阪まで一気につくるに越したことはありません。一時的には国からの融資を受けてでも(整備新幹線方式? 無利子融資?)、大阪までの全線開業の時期を早める必要があるのではないでしょうか?
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000006377.pdf、朝日新聞10月14日朝刊 14版)

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北陸新幹線、沿線県が意見対立

 整備新幹線の建設が進むと、軌道、電気、駅舎などの設備工事(追加工事)が必要になってきます。国は沿線自治体(県)に意見を聞き、この追加工事への認可を出します。普通、新幹線が欲しい沿線各県はこの追加工事には同意します。北陸新幹線の場合、長野・富山・石川はすでに同意しています。ところが、新潟はまだなのです。そのため、国や長野など3県は、新潟県に対して、開業が遅くなるのを防ぐために、軌道などの追加工事に同意するよう求めてきました。新潟県がなぜ同意しないのかといえば、建設負担金の増額(約220億円)などに異議を唱えているからなのです。新潟県は、県内の駅にすべての列車を停めることを求めていますが(5番目のコメントです)、いい返事がもらえないことも面白くないようです。

 そのような状況の中、8日、長野・新潟・富山・石川の4県の知事が、前原国土交通相大臣と意見交換を行いました。意見交換の内容は北陸新幹線に関してのものですが、長野・富山・石川の各県と新潟県は立場が違いました。長野など3県は北陸新幹線長野-金沢間の2014年度末の開業に必要な追加工事を進めることを求めたのに対し、新潟県はそれに対して否定的な立場をとりました。 結局、前原大臣は9日、北陸新幹線の追加工事を認めました。これに対して、泉田新潟県知事は、追加工事認可の撤回を申し入れたり、予算の執行の凍結(2009年度の未執行分は104億円)をしたりすることを検討するようです。

 新潟県が整備新幹線沿線であるにもかかわらず、北陸新幹線を歓迎していないのは、特有の事情があるからです。富山県や石川県は、北陸新幹線の成否は県を左右します。(すでに「長野新幹線」のかたちで長野まで開業している)長野県についても、北陸新幹線ができれば、便利になります。金沢まで増えれば、(北陸へ行く分だけ)新幹線の本数が増えます。大宮-長野間をノンストップで結ぶ便も増えるでしょう。

 これに対して新潟県にとって北陸新幹線は、県の西のほうを少しかすめるだけの線。県内の大部分にとっては重要ではありません。メインはあくまでも上越新幹線です。しかも、北陸新幹線が開業すると上越新幹線の地位が低下します。今は上越新幹線には北陸へのアクセス機能もありますが(反対に長野新幹線は長野へのローカル新幹線)、北陸新幹線の開業後は単に新潟(+山形県庄内地方)に行くだけのローカル新幹線です。地位が逆転するのです。今まで「はくたか」で黒字であった北越急行が(新幹線開業によって)経営が悪くなる問題や、並行在来線の問題も抱えます。北陸新幹線ができなければ、こういうややこしい問題は発生しません。

 これだけをみると、新潟県の行動はわがままなようにも見えますが、(敦賀から先のルートが確定していない現状では)北陸新幹線は単なる東京と北陸を結ぶだけのローカル新幹線。同じ整備新幹線でも東北・北海道や九州と違い、「幹」にはなりえません。日本海側へのアクセスとして役立った上越新幹線のほうが価値は高いです。大阪までできない限り、北陸新幹線が単なる一地域の利便性のためのローカル新幹線であるという評価は変えられないでしょう。

 それを考えたら、新潟県の行動はマクロ的に見ればよいことかもしれません。急ぐべきは札幌までを結ぶ北海道新幹線。北陸新幹線がまず最初にしなければならないことは、大阪までの全線開業への道筋をつけることなのです。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091010-00000007-san-l15、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091010-00000069-mailo-l15、毎日jp http://mainichi.jp/area/niigata/news/20091009ddlk15010009000c.html?inb=yt)

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「我田引鉄」は政権交代の世に似合わない

 確か、リニア新幹線が大阪まで全線開通した時のデータは、先月末に出される予定でしたが、一向に出てきません。ひょっとして次のことが影響しているのかもしれません。

 民主党の鳩山内閣で防衛大臣になった北澤氏は、長野県選出の参議院議員。3期目のベテランです。その北澤氏が、リニア新幹線について、諏訪に迂回するルートを主張しているようです。当然、駅は飯田のほかに、諏訪にも建設を求めています。リニア新幹線が実際に着工に移されるためには、政権与党の同意を得ておく必要があります。北澤氏が諏訪への迂回を主張すると、リニアの当初計画(「南アルプスルート」)通りの実現が難しくなる恐れもあります。

 JR東海の試算によれば、諏訪に迂回することによって、所要時間が7分伸び、建設費は6400億円増えます。甲府から一直線に飯田に向かう、「南アルプスルート」のほうが優位なのは、誰の目から見ても明らかです。諏訪地方の利便性のために、ほかの利用者すべてが犠牲になるのは許されません。しかし、北澤氏によれば、まったく逆の結論になります。一直線で結ぶのは、長野県を犠牲にしていることになるようです。工業が発達している諏訪を経由することにより、産業が発展することを考えたら、迂回によって費用が増えてもそれは十分安いと考えているようです。

 しかし、長野県に2つの駅を設けると、ほかの県も黙っていないでしょう。新都留、新小淵沢、新多治見などが出ても拒否できません。長野県でも、伊那地方が駅を求めてくるかもしれません。もうひとつ、重要な問題があります。中央東線と並行してしまうのです。中央東線は「あずさ」などが通る主要幹線ですが、リニアが開業すると、乗客は移転します。JR東日本としては最低でも営業補償、できれば経営分離したいところです。中央西線でも、塩尻-中津川間の扱いが問題になるかもしれません。リニアを諏訪に迂回することは、長野県にとって新たな問題を引き起こす危険性すらあるのです。

 かつて、自分の地盤に国鉄路線を引っ張ってくるということがよくありました。いわゆる「我田引鉄」です。しかし、これらの路線はどうにもならない赤字ローカル線ばかりで、国鉄の赤字の元凶となりました。国鉄の経営資源を浪費してしまったのです。さすがに国鉄の赤字が問題になった後は「我田引鉄」は減りましたが、高速道路や空港の誘致は今なお続いています。めったに車が通らない地方の高速道路や、数だけ多い空港。本来なら幹線高速や国際空港の整備に注ぐべきところが、変なところに使われています。

 昔はそうやって鉄道などを引っ張ってくるのが、力の証だったかもしれません。しかし、今、戦後の日本政治では画期的な政権交代が行われ、新たな時代が始まろうとしています。その新しい時代に、「我田引鉄」は似合わないですね。リニアは東京と大阪をできるだけ一直線に結ぶものです。その原則に立てば、自ずからとるべき行動は決まるでしょう。
(参考:朝日新聞9月16日朝刊 14版)

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民主党政権で交通政策はどうなるのか?

 あと半月で選挙になります。今回は、「自民党中心の政権がよいか、民主党中心の政権がよいか」という選択が大きな課題となっています。自民党政権の場合はこれまでの継続でしょうが、もし、民主党が政権を取った場合、交通政策はどのようになるのでしょうか?

 今、マニフェストや街頭演説などで公表されているもので考えた場合、自動車のユーザーにとっては歓迎することが多いです。揮発油税等に課されている暫定税率がなくなり、ガソリン代が安くなります。高速道路が無料化され、車でのお出かけのコストが減ります。

 これに対して、鉄道に対しては関心がないのか、主だった記述はありません。ただ、公共投資でなされるものについては、すべて見直しの対象になるようです。ということは、(今まで失敗した例がないのになぜかマスコミに叩かれる)整備新幹線も見直しの対象になります。現在、着工している北陸新幹線金沢までは遅れずに開業させるでしょうが、それ以降は開業が遅れたり、凍結されたりする危険性もあります。もっと危ないのは北海道新幹線。岡田幹事長は、5月下旬に帯広で演説をしましたが、そのときに北海道新幹線の無理解さを示す発言をしました。今は新幹線で北海道に行くことは考えられませんが、たとえ盛岡以遠を時速260キロとトロトロ走っても、5時間で札幌まで着くのです。直通需要はなくても、東京-新函館、仙台-札幌という需要を積み重ねることは可能でしょう。

 公共事業の見直しは結構なことですが、整備新幹線は今まで失敗した例はないですし(在来線は利用者が減ったのですが、あれはあくまでも特急がなくなることによってローカル線に転落しただけです。貨物さえなければバスでも十分なところもあります)、現状計画されている路線は1時間に1本以上の特急があるため、失敗はないと考えられます。整備新幹線の推進は当然のこととして、むしろ建設のペースを速めるのが正しいでしょう。鉄道が便利になれば、車から鉄道へのシフトが起こり、これまた民主党が推進している温室効果ガスの削減に貢献します。

 高速道路の無料化も、理想論としては正しいでしょうが(参考となる記事はここ)、環境が整わない限りは延期してもよいでしょう。つまり、道路特定財源としての揮発油税等はやめますが、その代わりに環境税を設定し、今の暫定税率以上の負担をさせるのです。一部は道路建設に充てられますが、それ以外の公共交通の整備にお金をつぎ込みます。これは自民党など与党の政策ですが、ETC利用者限定の高速道路1000円乗り放題に批判的な意見(環境、渋滞)もあるので、その環境が整うまでは、高速道路の割引はETC利用者限定の通勤割引程度にとどめてもよいのではないでしょうか? 意外と民主党の高速道路無料化を冷静に見ている人は多いのです。

 国鉄の廃止になった赤字ローカル線に並行する高速道路のような、無駄な道路は即刻中止すべきでしょうが、道路にしろ鉄道にしろ、適切な投資は今後もしないといけないでしょうね。特に日本は国土が狭く、人口密度が高いですから、鉄道に適している国です。新幹線・特急や大都市圏通勤鉄道を中心に、もっと整備をする必要があります。どこの党が政権を取ろうとも、この事実に変わりはありません。
(参考:asahi.com http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000540908070001、東洋経済オンライン http://www.toyokeizai.net/business/regional_economy/detail/AC/1fd583d8f7e20e3ae1532c138d247170/page/2/)

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北陸新幹線敦賀以西、9月に測量調査開始

 未だに敦賀以西のルートが定まらない北陸新幹線。大阪までのルートは、小浜市付近を経由する「若狭ルート」、湖西線沿いに走る「湖西ルート」、米原で東海道新幹線に接続する「米原ルート」がありますが、それぞれ一長一短があります。

 しかし、このままでは、北陸新幹線は東京と北陸だけにしか縁のない、単なるローカル新幹線です。東京方面は新幹線の開業により便利になりますが、大阪・名古屋方面は新幹線の開業により不便になってしまいます。そこで、鉄道建設・運輸施設支援機構は、9月から想定される3ルートについて、測量調査を始めることにしました。来年3月までに航空写真を撮影し、精密な地形図を作製します。この地形図は、各ルートの建設費や、所要時間を算出するときの資料となります。

 早くルートを確定させ、北陸新幹線を単なるローカル新幹線から、幹となる新幹線のひとつに格上げする必要がありますね。今のままなら、北陸新幹線は長野止まりでも一向に問題がありません。
(参考:47NEWS http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009072401000804.html)

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リニア、「南アルプスルート」でつくったほうが明らかに有利

 かなり古いニュースですが、備忘録を兼ねて書きます。

 JR東海は、7月21日、リニア新幹線の維持運営費、設備更新費、輸送需要量の3つのデータを発表しました。ルートは木曽谷、伊那谷、南アルプスの3つのルートを想定し、それぞれリニアと通常の新幹線の2つの方式について検討しています。

 結論を簡単にいえば、「南アルプスルート」のほうが「伊那谷ルート」よりも、維持運営費や設備更新費は安く、輸送需要量は増えます。明らかに「南アルプスルート」のほうが有利です。リニアと新幹線とで比べた場合は、新幹線のほうがコストは安いですが、需要は半減してしまいます。

 1時間当たり5本(4本がノンストップ便、1本が各駅停車便)の運転であることと、東京-大阪間の運賃・料金が現在の「のぞみ」より950円高い15000円であることをこの予測を行う上での仮定としています。本数は妥当とは思いますが、運賃・料金はたった1000円増で大丈夫なのでしょうか? 以前聞いた話(8番目のコメントです)では、東京-名古屋間で現在の「のぞみ」より数百円から1000円の価格アップということでしたから。大阪なら乗り換えがありますので、かなりの価格上昇になると思われます。リニアの料金は「のぞみ」の500円増し、名古屋-新大阪間の料金は「のぞみ」の半額とした場合でも1210円の価格上昇です(普通車指定席、通常期)。

 次にJR東海が出す予定のデータは、大阪までの全線が開通したときのもの。名古屋止まりのリニアでは中途半端ですから、ぜひ知りたい重要な情報です。発表は今月下旬以降となります。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000005565.pdf、朝日新聞7月22日朝刊 14版)

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リニア名古屋暫定開業と同時に「のぞみ」廃止?

 5日、JR東海の葛西会長は、都内で講演をしました。その講演によれば、リニア新幹線が東京-名古屋間で開業した段階で、「のぞみ」を廃止させるようです(山陽新幹線についてはわかりません)。東海道新幹線は、「ひかり」と「こだま」だけになり、小田原・三島・静岡・浜松・豊橋などでは「ひかり」の停車本数が増えるようです。「ひかり」そのものが増えるのかどうかはわかりませんが、たぶん増えるのでしょう。

 以前からリニア開業後の東海道新幹線は、「ひかり」「こだま」中心の体系になることはわかっていました(記事はここです)。いずれリニアは新大阪まで伸びるとはいえ、東海道新幹線は東京-大阪間を移動する乗客だけのものではありません。東京-広島間や名古屋-博多間など、山陽方面まで直通する客はいます。「のぞみ」停車駅でも、京都のように、リニアの駅が遠く離れているケースもあります。

 そう考えると、リニアが新大阪までの全線を開業したとしても、東海道新幹線の速達需要が完全になくなるとは考えにくいです。「ひかり」を増発して、これまで恩恵を受けることが少なかった静岡などに停車する「ひかり」の本数を増やすことは必要でしょうが、ある程度の「のぞみ」はいるでしょう。しかも、葛西会長の話によれば、「のぞみ」を廃止するのは名古屋暫定開業の段階です。時間のかかる名古屋での乗り換えを嫌って直通する人も多いでしょうから、どう考えても早すぎますね。

(追記)
 JR東海の葛西会長は、7日のインタビューにおいて、リニア開業後の東海道新幹線のダイヤについて、「のぞみ」は1時間当たり6本(または5本)、「ひかり」は4本(または5本)、「こだま」は2本を基本として考えていることを明らかにしました。5日の講演とは全く違いますが、どちらが正しいのでしょうか?
(参考:時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2009080500654、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090807-00000211-jij-biz)

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もしリニアを新幹線方式でつくったら?

 東京と名古屋の間を結ぶリニア新幹線。途中のルートとしては一直線に結ぶ「南アルプスルート」、諏訪湖へ迂回する「伊那谷ルート」などがあります。先日、両方のルートの建設費、所要時間などが明らかになりました。これにより、長野県は反発していますが、前々から言われていた通り「南アルプスルート」の優位性が明らかになりました。また、車両費の試算の前提として1時間に5本運転することになっているようです(以前にも書きましたとおり、倍の1時間に10本の運転は可能な能力はありますが)。1本は各駅に停まるものでしょうから、実質的に使えるのは1時間に4本、4000人の輸送力しかないようです。

 この試算では、リニアが技術上できなかったときに備えてでしょうか、東京-名古屋間をリニアではなく、新幹線でつくったときの試算も出されています。それによりますと、新幹線方式での所要時間(ノンストップタイプ)は「南アルプスルート」が79分、「伊那谷ルート」が90分です(ちなみに、東海道新幹線「のぞみ」の品川-名古屋間での最速は、89分です)。建設費(車両費を含み、中間駅にかかる分を除く)はリニアでつくったときよりもそれぞれ1兆円程度安く、「南アルプスルート」で4.18兆円、「伊那谷ルート」で4.5兆円です。

 新幹線でつくったときでも、リニア方式と比較するためにルートは同じとしていますが、「伊那谷ルート」の場合は勾配を緩くしてトンネルを増やすようです。「南アルプスルート」の場合はトンネル区間の距離は変わりません。南アルプスは、スピードの制約は出るものの、許される限りの急勾配(九州新幹線で使われている、35パーミル)で乗り切るようです。なお、すでに実験線としてつくられている区間には40パーミルのところがありますが、これについては(掘りなおすのはもったいないためなのでしょうか)特例を認めてもらう予定です。

 確かにスピードは遅くなりますが、お金と用地買収の手間をかければ、新大阪で山陽新幹線と直通運転をすることができる、という大きなメリットがあります。何らかの理由でリニアが使えなくても、最悪の結果にはならないようです。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000005319.pdf、信濃毎日新聞ホームページ http://www.shinmai.co.jp/news/20090619/KT090618ATI090007000022.htm)

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