名古屋発東北経由粉河行き(6)
立石寺は、約1150年もの歴史を誇る、由緒正しい寺。江戸時代の俳人、松尾芭蕉が訪れた寺として知られている。入口にある根本中堂<こんぽんちゅうどう>には、駅から歩いて7分ほどで着くが、せっかくだから奥の院まで行ってみたい。体調は最悪だが(38度近い熱があった)、拝観料300円を払い、登ることにする。
山にお寺がへばりついている。ふもとのほうを見下ろすと気持ちいい。ところどころで売られている玉こんにゃく(醤油ベースであっさりしている)を食べるのもいい。木立の中で電車の音が響いてくる。残念ながら、岩に染み入るのはセミの声ではなく、電車の音だった。
山寺駅の掲示では、立石寺(奥の院)までの往復に2時間かかるということであったが、なぜか1時間余りで戻ってきた。時間が余ったので、駅の裏にある山寺芭蕉記念館に行く。もっとも、閉館まで30分ほどしかなかったので、慌しい見物ではあったが。
ついでにここで晩御飯も食べておこう。山形といえば、芋煮。本来は秋の料理だが(ニュースで河原に大勢の人が集まり、クレーンでかき回している光景を見た人もいるであろう)、年中食べることができるのだ。山寺駅前の食堂で初めて芋煮を食べる。
山寺から乗った電車は新車のE721系。交流電車には珍しくステップがないので、車椅子でも簡単に乗ることができる。なぜホームをかさ上げしたわけでもないのに、ステップがないのか? それはほかの電車と一緒に並べばよくわかる。かなり床が低くなっているのだ。(続く)
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