厚生年金も安心できない
会社勤めをしている人は、厚生年金に入ります。従業員と会社が半分ずつ支払い、老後の生活のために蓄えます。しかし、その掛け金がちゃんと社会保険庁に納付されているとは限らないのです。
当然、社会保険庁は保険料を滞納している会社に対しては、ちゃんと納めるように指導します(するはずです)。しかし、お金のない会社にとっては、従業員から預かった保険料は貴重なお金。当座の運転資金に回したいところです。そこでどうするか。会社が存続しているのに解散したことにしたり、給料を低くして申告したりするのです。
しかも、社会保険庁自身、これを黙認しています。正式な記録はないのですが、経営状態の悪い会社に対して、会社を解散したことにしたり、従業員に払う給料を低く申告したりすることを勧めているところもあるようです。そうすれば滞納額も減るので、会社も社会保険庁も大助かり。従業員にはばれないように、保険料は今までどおりの額を徴収します。もらえる年金の額が少ないことに気づく人もいるかもしれないですが、万が一それがあったとしてもかなり先の話。余ったお金は会社の運転資金に回せます。また、会社が倒産してしまったら従業員が気づいても取り返すことができません。
それでは、税金で補填すべきでしょうか? 従業員にとってはいい話かもしれませんが、そういう会社がたくさん出てくれば、厚生年金そのものが成り立たなくなってしまいます。掛け金と給付がリンクしている以上、掛け金が少ないところは給付が少なくても当然ともいえます。この原則が働き、なかなか政治的に救済を図ることができませんでした。
やはり、(掛け金と給付がリンクする)保険料方式ではなく、消費税を増税して、それで国民に最低限の給付を行うのがよいのでしょうか?
(参考:朝日新聞12月5日朝刊 14版)
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Comments
>やはり、(掛け金と給付がリンクする)保険料方式ではなく、消費税を増税して、それで国民に最低限の給付を行うのがよいのでしょうか?
そういうことですね。
既に故人となったM・フリードマン教授は、「負の所得税」という提案をしている。
つまり、所得のない人には、反対に所得税を還付するというもの。
これで退職して所得のない人も、生活保護者も一律に最低限の所得を保障できるこになります。
退職後も一定以上の生活を確保したいと考えるなら、在職中にしっかり貯金するなど、生活設計は自己責任で行えということです。
今の年金制度は、「人間は、在職中に強制的に保険料の形で拠出させなければ先の事を考えないで浪費するから」という考え方に立っている。
かと言って、今積み立てた保険料は、将来の給付に貯金されているわけでなく、現在の老人への年金給付に使われている。
自分がもらう時点での支払原資は、その時の勤労者が支払った基金である。
だから、将来人口が減少すれば、自分が老後を迎えた時、支払われる保証がない。
これでは詐欺も同然ということだ。
年金制度自体を廃止し、負の所得税に一本化、老後の生活設計は自己責任で、若い時浪費して老後に困ってもそれは自己責任、といった具合に頭を切り替える必要がある。
Posted by: かにうさぎ | 2007.12.09 10:41 AM
かにうさぎさん、こんにちは。
* 既に故人となったM・フリードマン教授は、
税と社会保障を統合する、「負の所得税」は検討に値するアイデアですね。最低限のものだけ国で保証し、後は自分でやればいいのです。制度もシンプルなものになります。
* かと言って、今積み立てた保険料は、
今はせっせと保険料を支払っていても、将来もらえる保証はありません。次の選挙のみを考えて、高齢者に大盤振る舞いしている余裕はありません。
Posted by: たべちゃん | 2007.12.09 02:41 PM
こんにちは~
会社勤めの人は、おのずと保険料は納めているし
疑いもしませんよね。
それが、業績の悪い会社は納めていなかったり
倒産してしまえば、今までの経緯も闇に消えてしまいます。
納めていたものが貰えない理不尽さ。
それも、今までは申告主義と言う都合の良い制度
だったから、自分の年金額が相当低い人も沢山
いたことでしょう。
取る時は強制的で、貰う時は申告主義。
そういうやり方で、今までは随分泣き寝入りして
来たのでしょう。
これが国のあり方だとしたら、詐欺みたいなものですね。
Posted by: まるこ姫 | 2007.12.09 04:59 PM
まるこ姫さん、こんばんは。
* 会社勤めの人は、おのずと保険料は納めているし
保険料の場合は、掛け金と給付がリンクしているので、このような問題が起きてきますね。
* それも、今までは申告主義と言う都合の
今回の厚生年金の話は、「申請主義」とは直接の関係はありません。市町村から、強制的に年齢や収入のデータを提供させるような法的な手段がないと難しいでしょう。
ただ、受給(予定)者から自主的に「申請」を促すようなPRが足らなかったことは事実ですね。
Posted by: たべちゃん | 2007.12.09 08:32 PM