« 維持した暫定税率の使い道 | Main | 「赤福」、ネットでも販売? »

整備新幹線の苦しい財源探し

 整備新幹線を新たに着工する動きがあります。今回追加される区間はそれなりには需要のある区間ですが(もっとも、各線ごとに細かく見ると、突っ込みどころはあります)、最大の問題はお金。新規着工の話になるといつも、関係者の頭を悩ませるのが財源の問題。前回は、将来の建設費を前借しました。今回、財源として考えられているのは、JRから開業後の使用料を前借することです。

 JRはこの動きに強く反対しています。それはもっともです。整備新幹線が国家予算で作られるのは、社会的な便益があるにもかかわらず、JRに建設費を負担する能力がないからです(ただ、整備新幹線の開業後に、建設費の一部を「使用料」の形で国に支払います)。JRに資金の余裕があれば自前で造ります。資金の余裕がないのに「お金を出せ」と言われても、どうしようもありません。

 整備新幹線のそもそもの問題は、財源が乏しいこと。決して需要の少ないところにつくることではありません。道路みたいに潤沢な財源があればいいのですが、そうではないので、毎回毎回苦心して建設財源を生み出しているのです。こそこそとせず、堂々と一般財源を使えばいいのではないでしょうか?

 環境のことを考えたら、道路財源を流用するのも手でしょう。便利な鉄道が整備されたら、今まで車に乗っていた人でも、自発的に鉄道を利用してくれます。そのためには、鉄道を整備する費用が必要なのです。遅い鉄道には、客は乗ってくれないのです。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080129-00000118-mai-bus_all)

| |

« 維持した暫定税率の使い道 | Main | 「赤福」、ネットでも販売? »

鉄道」カテゴリの記事

整備新幹線」カテゴリの記事

Comments

>こそこそとせず、堂々と一般財源を使えばいいのではないでしょうか?
 環境のことを考えたら、道路財源を流用するのも手でしょう。

整備新幹線の需要は、欧州の基準なら合格点であり、できれば便利になるかもしれないが、今の日本で代替交通手段も整備されている中で、敢えて絶対にやらなければならないというほどの緊急性はないでしょう。

民間企業であるJRが運営する整備新幹線に、一般財源を投入してまでやる価値があるかは、ひとえに国民的合意があるかにかかっています。

新幹線の通らない地域の人までなぜ負担しなければならないのか、きちんとした説明をする必要があります。

Posted by: かにうさぎ | 2008.02.08 12:34 AM

 かにうさぎさん、こんばんは。

* 民間企業であるJRが運営する整備新幹線に、

 日本の場合は、沿線開発とリンクさせて収益を確保する「私鉄」が発達したために、どうしても鉄道への補助はタブー視される傾向にありますね。ただ、鉄道業は外部効果が大きいため、純粋な私企業とは切り離して考えたほうがよいでしょう。

* 新幹線の通らない地域の人まで

 道路の場合と違い、新幹線ができるところは限られてくるので、直接の便益を感じる人が少ないのはある意味欠点ですね。

Posted by: たべちゃん | 2008.02.08 11:32 PM

 結局、整備新幹線の新規着工についての結論を今年度に先送りすることにしました。

 約2兆円もの建設費に充てる財源が見つからなかったのが原因だと考えられます。道路なら潤沢が財源がある(あった)のに。
(参考:朝日新聞4月1日朝刊 14版)

Posted by: たべちゃん | 2008.04.02 09:57 PM

お邪魔します。

>こそこそとせず、堂々と一般財源を使えばいいのではないでしょうか?

 思うに一般財源では「他との競争(パイの奪い
合い)」になり、他からの鵜の目鷹の目にさらさ
れる事になります。それは避けたいのではないで
しょうか。

Posted by: ブロガー(志望) | 2008.06.28 08:27 AM

 ブロガー(志望)さん、こんばんは。

* 思うに一般財源では「他との競争(パイの奪い
合い)」になり、

 今でも整備新幹線の建設費は税金からも出ていますが、その額は意外と小さいのです(マスコミは大騒ぎしますが)。

 道路特定財源をあてにしているところは多いですね。過去の建設費の償還もあるので、どれだけ一般財源にまわせるかわからないのですが、いろいろな分野から熱い視線を浴びています。

Posted by: たべちゃん | 2008.06.29 10:36 PM

 こんばんは。

 整備新幹線の新規着工についてですが、約2.4兆円の財源の目処が立たず、2009年度の着工も難しくなっているようです。

 また、このところの一連の価格上昇が整備新幹線に悪い影響を及ぼしています。建設資材の価格高騰のため、建設中の区間の建設費が上がるようです。その金額は2000億円以上にもなるようです。
(参考:朝日新聞7月25日朝刊 14版)

Posted by: たべちゃん | 2008.07.27 12:05 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 整備新幹線の苦しい財源探し:

« 維持した暫定税率の使い道 | Main | 「赤福」、ネットでも販売? »