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豆腐の危機

 豆腐は、豆乳ににがりを混ぜてつくられます。にがりには、固形のもの(塩化マグネシウム)と液体のもの(海水を煮詰めたり天日干しにしたりして塩を作った後に残るもの)とがありますが、このうちの液体のにがりについて、この春、騒動が起こりました。厚生労働省の規制が実際に行われると、特色のある豆腐が食べられなくなるのです。

 もともと天然由来の液体のにがりは、食品添加物には当たりませんでした。しかし、天然物にも食品添加物の範囲を広げたため、液体のにがりも食品添加物となりました。1995年のことです。ただ、そのときは規格が特になく、従来どおりの製造・使用が認められていました。

 しかし、厚生労働省は昨年3月、液体のにがりについて、規格を定めました。そして、今年の4月からはにがりの生産者は、添加物製造業の営業許可を受け、食品衛生管理者を置き、規格に合うものしか製造・使用できないと規制することにしました。

 これには業界は大慌て。食品衛生管理者の資格を取るためには、東京で1か月以上の講習を受けないといけません(しかも、にがりとは直接関係の内容が多いようです)。零細企業にとっては大きな負担です。そのため、廃業を考えるところが出てきました。さすがに業界からの反発が強く、厚生労働省は4月からの規制を見送りました。

 今までのところにがりで健康上の被害を起こしたことはありません。確かに食品添加物である以上、規格を定め、資格のある人を置かなければならないことはわかります。しかし、規格自体が実態にあっていないという話もありますし、資格を得るための講習は遠隔地で長期にわたって行われます。そのあたりのところを解決しないといけないでしょう。
(参考:朝日新聞4月4日朝刊 14版)

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