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減り続ける「総合選抜」

 公立高校の合格者を決める方式として、「総合選抜」というものがありました。いくつかの学校をグループにして、数校のグループ全体で合格者を決めたのち、成績順などで各学校に均等に割り振るものです。1981年の段階では、一部でも「総合選抜」を取り入れたのは14都府県にも上りました。

 この「総合選抜制」により、学校間の格差がなくなりました。しかし、この制度には重要な欠点がありました。優秀な生徒が公立高校には来ず、私立に流れるようになったのです。大都市圏ほどその傾向は強く、かつては東大に何人もの生徒を出していた伝統校も壊滅状態になりました。お金持ちの家の子は私学に行けばいいですが、貧しい家の子にはそういう機会はありません。格差は世代を超えて固定する危険性が高まります。その反省から、「総合選抜制」を取り入れるところはどんどん減っていきました。現在も残っているのは京都府と兵庫県のみ。その兵庫県も、2010年度には廃止予定です。

 また、公立高校の入試問題は県内ならどこも同じだと思いがちですが、最近は事情が異なるようです。進学校を中心に、独自の問題を取り入れるところが出ています。共通の問題ならみんなできてしまうので、差が付きにくいからです。

 親の世代の格差を完全になくすことは資本主義である以上できませんが、格差が世代を超えて固定することは好ましくありません。その点でも、公立の進学校をつくり、逆転のチャンスを与えることは好ましいことだと思います。
(参考:朝日新聞11月9日朝刊 14版)

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