新快速の終点、敦賀駅。大半の特急が停まる主要駅ですが、駅舎は古いまま。バリアフリーにも対応していません。さすがに、駅舎の建て替え工事の計画はあります。ところが、とある事情により、工事に踏み切ることができないのです。
それは、北陸新幹線の建設工事。新幹線の建設が決まらないと、駅の建て替えができないのです。せっかく建て替えても新幹線によって無駄になる部分が出る可能性があるからです。福井県などの地元自治体は、新幹線の敦賀までの新規着工を期待していますが、地元の住民は新幹線に対して否定的です。新幹線ができても、東京までの所要時間は変わらないからです。
はっきり言って、東京との時間短縮しか考えない「敦賀新幹線」なら、つくる価値は全くありません。途中の停車駅を絞った最速タイプでも、北陸新幹線東京-敦賀間の所要時間は3時間10分程度かかります。米原経由だと現状の「ひかり」と「しらさぎ」の乗り継ぎでも3時間です。しかも、リニアの開業で「ひかり」がスピードアップする可能性もあります。そうなるとさらに北陸新幹線の価値が減少します。北陸新幹線のほうが速いのは、福井までです。
しかし、このことは、北陸新幹線の建設が無意味であることを意味しているのではありません。東京方面のみに目が行きがちですが、関西方面に行く人、関西方面から来る人も北陸新幹線を使うのです。現在、「サンダーバード」「雷鳥」を使う人が新幹線に移行してくれるのです。「サンダーバード」「雷鳥」は1時間に1、2本運行されますから、それだけでも十分に採算がとれる区間です。名古屋方面の利用客もしますし、福井以東なら東京方面の利用客もいます。先細りになるのではなく、東西にいろいろな流れがあるのが北陸新幹線の強いところなのです。
東京だけ見ていては北陸新幹線の価値は見えてきません。北陸新幹線の価値を高めるには、大阪まできちんとつくることが何よりも肝心です。
(追記)
結局、国の補助金の絡みもあり、2010年に北陸新幹線の着工を待たずに、当初の計画より幅を縮小して(将来利用者が増えれば、拡幅もできるようです)各ホームをまたぐ跨線橋を設け、その跨線橋からエレベーターなどで各ホームに行くことができるようにしました。2012年12月16日から供用されています。
総事業費は約19億円で、そのうち敦賀市が約11億円を負担しました。
(参考:朝日新聞11月27日朝刊 14版、福井新聞ホームページ http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/38367.html)
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