堺LRT、本当に2年後にできる?
おはようございます。
来年度中に開業予定の堺のLRT。今のところ、全く建設の動きはなく、「本当に2年後にできるのか?」と思えるほどです。もっとも、今年度中に着工すれば、用地買収の手間がかからないために(公道を使用するため)、予定どおりに開業できるようです。
それでは、堺市はLRTについて何をしているかといえば、住民への説明会をしています。ただ、それはうまくいっていないようです。バスで十分だという声が強いです。堺と堺東を結ぶバスは頻繁に運転されており(平日の昼間は6分間隔、休日の昼間は8分間隔です)、現に今住んでいる人にとってはそれでもいいですが、バスは路線網がわからないことが多く、鉄道に比べて使いづらいです。鉄道は地図にも確実に載りますので、他の地域から来てもらうには有効です。
道幅が狭くなることにも不満の声を上げていますが、道が整備されたからといって堺の中心部に車で行く人はそういません。そういう人は郊外のショッピングセンターに向かいます。中心部の店が寂れたのは魅力的なものがないためであり、そこを何とかしないと商売は上向きません。第一、ドライバーの目には小さな店は入りません(見ていたら、わき見運転です)。全国どこでもみられますが、旧市街の商店街の負のスパイラルに陥っています。
新しくLRTをつくるというモデルケースがないため、わかりにくいという面はあります。堺の人にとって路面電車とは阪堺電車のイメージしかありません。並行して走る南海本線に比べて遅いため、使いものにならないです。ただ、南北を結ぶ鉄道(南海本線、高野線、阪和線、地下鉄御堂筋線)は整備されているのに、東西を結ぶのは弱いのは堺の長年の課題です。この軸が弱いために、堺を素通りして大阪市内へ行ってしまうとの問題が起こっています。今回、LRTをつくらなければ永遠にこの問題は解決できないでしょう。それどころか、阪堺線の堺市内の廃止が出てくるでしょう。このときになって「廃止反対!」と叫んでも、もう遅いです。堺にLRTをつくらないということは、阪堺線の廃止を容認することと同じことだといっても言い過ぎではないでしょう。
公共投資には住民の合意が必要だ、とよくいわれますが、現状で満足している住民の説得にはいくら時間があっても足りません。そういう姿勢だったから旧市街の衰退を招いたのです。また、LRTは堺と堺東を結ぶ住民だけのものではありません。すでにある阪堺と直通することにより、それ以外の地域でも効果が期待できます。現状では「線」だけの路面電車が、「面」になるのです。
堺のLRTは、堺が単なる大阪の衛星都市からの脱皮を目指すために不可欠な乗り物です。堺市の説明力のなさを指摘する声もありますが、単にそれを批判するだけでは何も生み出しません。車の環境対策は年々進みますが、車を走らせるためには十分な土地が必要であることには変わりありません。狭い国土に多くの人が住んでいる日本にとって、鉄道などの公共交通機関の充実は必要です。LRTはその方法のひとつです。車社会からの転換を目指すためにも、堺のLRTの建設は積極的に推進すべきでしょう。
(参考:asahi.com http://mytown.asahi.com/osaka/news.php?k_id=28000000904070003)
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Comments
この問題について今日も某所で話題になりましたが、「環境」という側面で物事を見る必要があるかと思いますね。
環境税を取ることで、「車を使ったら税金がいるから不満だ」みたいな形で、諸外国のように環境を盾に無理やり車生活の不満を募らせるみたいなやり方があってもいいかと思います。
Posted by: うえしょう | 2009.04.27 12:07 AM
うえしょうさん、おはようございます。
* この問題について今日も某所で話題になりましたが
確かに車に環境税をかけるのは有効なことだと思います。揮発油税の増税のかたちをとればいいでしょう。
ただ、参考にした記事にもありますように、(輸送量は小さいですが)電気自動車なら環境への負荷は相対的に小さくなります。車の技術の発展性を考えると、「環境」を前面に押し出すのも、あまり得策ではないかもしれません。
Posted by: たべちゃん | 2009.04.27 05:03 AM
電気自動車というと自家用車みたいな印象が受けますね(参考には「電気バス」と書かれていますが)。
電気バスなら確かにそれなりの効果があると思います。
蓄電式のバスも技術が発達すればありかも知れません。ただ、トロリーバスならせっかく線路があるのだから高速性に優れたLRTの方がいいような気がします。
Posted by: うえしょう | 2009.04.28 12:59 AM
うえしょうさん、おはようございます。
* 電気バスなら確かにそれなりの効果があると思います。
完全にバッテリーで動き、化石燃料を使わないバスをイメージしているのでしょう。架線から電気を取るトロリーバスではありません。
そもそも、堺で導入を目指しているLRTも、駅以外では架線がないのです。
Posted by: たべちゃん | 2009.04.28 05:29 AM
>公共投資には住民の合意が必要だ、とよくいわれますが、現状で満足している住民の説得にはいくら時間があっても足りません
半年後に市長選挙を控えた現在では
理解を得ぬまま進めると滋賀県の二の舞
になるリスクがありますから
理解を得てから進めるのも必要でしょう
Posted by: XXX | 2009.04.28 10:20 PM
XXXさん、おはようございます。
* 半年後に市長選挙を控えた現在では
選挙では争点になるでしょうから、そう慌てなくてもよいですね。現職が勝てばLRTが支持されたといえるでしょう。
反対に現職が負ければ、事実上「阪堺電車を廃止してよい」という意思表示をしたことになります。そのあたりもよく考えたいですね。
Posted by: たべちゃん | 2009.04.29 07:08 AM
「都市創生交通ネットワーク@関西」のブログ管理者です。堺LRT計画に関するご見解は非常に的を得た説得力のあるご見解であると思います。
お許しいただけるならば、当方のブログ転載とリンク設定をお許しいただけないでしょうか。
Posted by: KOALA 管理者 | 2009.06.06 09:36 AM
KOALA 管理者さん、はじめまして。ブログ転載とリンク設定は承諾しました。
* 堺LRT計画に関するご見解は
ありがとうございます。
堺にとっては最後のチャンスでしょう。LRTが堺の町で誕生することを期待しています。
Posted by: たべちゃん | 2009.06.06 01:18 PM
>ただ、参考にした記事にもありますように、(輸送量は小さいですが)電気自動車なら環境への負荷は相対的に小さくなります
LRTがバスに対し優れているのは、広島市電でやっているように、連結運転が可能なことです。LRTは中量輸送機関として位置付けられています。それなりの需要がある地域ではバスより優位に立てるでしょう。
また郊外部は専用軌道を走ることで渋滞の影響を受けない。
Posted by: かにうさぎ | 2009.06.07 05:48 PM
かにうさぎさん、おはようございます。
* LRTがバスに対し優れているのは、
バスの2両編成は特殊な構造になりますが、鉄道のは全国を当たり前のように走っていますね。
* また郊外部は専用軌道を走ることで
広島電鉄の広電宮島口方面はそのようなタイプですね。
Posted by: たべちゃん | 2009.06.09 05:26 AM