JR東海の松本社長は、8日に行われた「リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会」において、リニア新幹線の駅を各県に1駅ずつ置くことを改めて表明しました(昨年からそのような話はありましたが)。JR東海としては東京と名古屋をノンストップで結びたいところなのですが、さすがにそれでは話が通りません。各県に1駅ずつ置くのは妥当なところでしょう。
この考えに対して、岐阜県は素直に喜んでいるようですが、そのような県ばかりではありません。強く反発しているのは、長野県。リニアを迂回させ、複数の駅を置きたいようです。しかし、ルートを直線ではなく、諏訪湖近辺へ迂回させると、建設費が直線でつくった場合の約5.1兆円(車両費を含む)から、さらに6400億円増えるといわれています。距離が長くなるので(286キロ→346キロ)、所要時間も増えます(40分→47分)。諏訪湖に迂回した場合、トンネル部分以外の区間が長くなりますので、大都市圏ほどではありませんが用地買収の手間も増えます。諏訪湖近辺に果たしてそれだけの価値があるのでしょうか? 諏訪湖へ迂回することが認められるのは、何らかの技術的な理由で南アルプスにトンネルを掘ることができなかったときだけです。
逆に考えれば、1県に1駅しか置かないのならばわざわざ諏訪湖に迂回させる必要がありません。せっかく諏訪湖に迂回したのに、長野県内に1つしか駅を置くことができないのならば、駅の位置をめぐって激しいバトルが起きます。JR東海が1県1駅の原則を維持することは、無駄に長いルートを建設することを防ぐためにも有効でしょう。
話は変わりますが、山梨県も複数の駅の設置を希望しています。甲府盆地のほかに、都留にも置きたいのでしょうか? でも、都留にも置くと、ほかの地域からも新駅設置の希望が次々と出されます。1駅で納得している岐阜県も黙ってはいないでしょう。県内に全くリニアの駅がないのは酷かもしれないですが、2駅も欲しがるのは贅沢です。
中間駅の建設費は、乗客が利用するホームなどを地元に負担させるようです。JR東海としても、非常時のために待避線などの施設は何箇所か必要と考えていると思われます。もし地元がお金を払わなかったら、(JR東海負担で、乗り降りができない)「信号場」になるのでしょうか? でも、東京(品川?)や名古屋のターミナルについても部分的に地元負担を求めるとは、調子に乗りすぎているような気もします。東京都や愛知県、名古屋市が拒否したらどうするのでしょう。東京、名古屋、大阪(新大阪?)のターミナル駅ぐらいは自腹でつくらないといけないでしょう。
(参考:朝日新聞6月9日朝刊 14版、朝日新聞6月12日朝刊 14版、毎日jp http://mainichi.jp/life/money/news/20090618k0000e020042000c.html?link_id=RLH03(建設費用などにつき、6月19日に追記))
Recent Comments