もしリニアを新幹線方式でつくったら?
東京と名古屋の間を結ぶリニア新幹線。途中のルートとしては一直線に結ぶ「南アルプスルート」、諏訪湖へ迂回する「伊那谷ルート」などがあります。先日、両方のルートの建設費、所要時間などが明らかになりました。これにより、長野県は反発していますが、前々から言われていた通り「南アルプスルート」の優位性が明らかになりました。また、車両費の試算の前提として1時間に5本運転することになっているようです(以前にも書きましたとおり、倍の1時間に10本の運転は可能な能力はありますが)。1本は各駅に停まるものでしょうから、実質的に使えるのは1時間に4本、4000人の輸送力しかないようです。
この試算では、リニアが技術上できなかったときに備えてでしょうか、東京-名古屋間をリニアではなく、新幹線でつくったときの試算も出されています。それによりますと、新幹線方式での所要時間(ノンストップタイプ)は「南アルプスルート」が79分、「伊那谷ルート」が90分です(ちなみに、東海道新幹線「のぞみ」の品川-名古屋間での最速は、89分です)。建設費(車両費を含み、中間駅にかかる分を除く)はリニアでつくったときよりもそれぞれ1兆円程度安く、「南アルプスルート」で4.18兆円、「伊那谷ルート」で4.5兆円です。
新幹線でつくったときでも、リニア方式と比較するためにルートは同じとしていますが、「伊那谷ルート」の場合は勾配を緩くしてトンネルを増やすようです。「南アルプスルート」の場合はトンネル区間の距離は変わりません。南アルプスは、スピードの制約は出るものの、許される限りの急勾配(九州新幹線で使われている、35パーミル)で乗り切るようです。なお、すでに実験線としてつくられている区間には40パーミルのところがありますが、これについては(掘りなおすのはもったいないためなのでしょうか)特例を認めてもらう予定です。
確かにスピードは遅くなりますが、お金と用地買収の手間をかければ、新大阪で山陽新幹線と直通運転をすることができる、という大きなメリットがあります。何らかの理由でリニアが使えなくても、最悪の結果にはならないようです。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000005319.pdf、信濃毎日新聞ホームページ http://www.shinmai.co.jp/news/20090619/KT090618ATI090007000022.htm)
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Comments
たべちゃんさんへ
これって、うがった見方ですが、“迂回させるなら、長野県よ!金を出せ”のJR東海からのアピールじゃないのですか?
私は、海の物とも山の物ともつかないリニアより、超高規格の400㌔㍍から500㌔㍍で走る新幹線でも良いと思います。
Posted by: 鉄ヲタ28号 | 2009.06.21 08:31 PM
鉄ヲタ28号さん、おはようございます。
* これって、うがった見方ですが、
線路を曲げると、将来にまで影響します。長野に関係しないすべての乗客に運賃の増加と所要時間の増大というかたちで迷惑がかかります。
どうしても諏訪地方にリニアが欲しければ、南アルプスのトンネル掘削が失敗するのを期待するか、長野県が自前で支線をつくったほうがよいでしょう。
* 私は、海の物とも山の物ともつかないリニアより、
新幹線だとどんなにスピードアップしても360キロが限界ですが(しかもアップダウンが多いので、スピードはあまり出ない)、新大阪での直通ができるというメリットがありますね。
Posted by: たべちゃん | 2009.06.22 05:22 AM