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脳死を死とする臓器移植法改正案への違和感

 18日の衆議院本会議において、臓器移植法改正案が衆議院で可決されました。

 改正案は臓器移植がしやすくなるものから、逆に今以上に厳しくなるものまで4案出されましたが、今回可決されたのは、臓器移植が最もしやすくなるA案(その他の3案は、A案が可決されたため、採決すらされていません)。A案では、人の死を脳死と定義し、臓器提供の年齢制限を撤廃しています。また、本人の意思がわからなくても親族の意思だけで臓器の提供が可能になります。臓器移植を待つ患者にとっては待望の法案です。

 しかし、人の死を心臓の停止などではなく、脳死と変えることには違和感があります。一応、脳死を人の死とするのは臓器の提供をする場合に限られるようですが、それが徹底されない危険性もあります。脳死の段階で死を宣言し(もう治療は行わない)、親族に臓器の提供を強く求める、ということは十分に考えられるでしょう。やはり、脳死を人の死とするのはまだ社会的な合意が得られていません。親族の同意だけで臓器の提供ができるので、臓器を提供した後で実は本人は臓器の提供に反対していたことが判明するということもあり得ます。また、子供の場合は虐待の問題も考えられます。

 もっとも参議院では、急進的なA案に反対する人も多く、すんなり可決されるかは微妙なところです。死生観にかかわるため、党議拘束をかけられないこともあり、(本来は「伝家の宝刀」みたいなものである)2/3以上の圧倒的多数で再議決するのは難しいです。衆議院でもそこまでの賛成は得られていないのですから。A案はあまりにも進みすぎているので、修正の必要はあるでしょう。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/science/news/20090619k0000m040120000c.html)

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Comments

 私は、心は脳にあると考えているので、脳死=人の死という考えには違和感がないし、、、、と思っているのですが、、

 脳死を判定する事の信頼性を大いに疑っています。したがって、私は脳死判定を受けないことを意思表示しています。

 昔、聴診器を使って医師が心臓停止を確認して死亡を宣告したあとに、当時新鋭機器であった心電図計を取り付けたら、心臓はまだ動いていたって話もあります。今の脳死判定は、その当時の心臓死を巡る判定と同レベルと考えます。

Posted by: ▲ 飛遊人 | 2009.06.20 08:24 PM

 ▲ 飛遊人さん、おはようございます。

* 私は、心は脳にあると考えているので、

 そのあたりは人それぞれでしょうね。

* 脳死を判定する事の信頼性を大いに疑っています。

 まだまだ技術が確立していないのかもしれません。

Posted by: たべちゃん | 2009.06.22 05:02 AM

 結局、参議院でも、A案がそのまま可決され、脳死を以て人の死ということになりました。

 ただ私としては、脳死段階では、臓器の提供はしないですね。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090713-00000088-san-soci

Posted by: たべちゃん | 2009.07.13 10:56 PM

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まずは基本的なところで、各案の概要から【出典】 A案=脳死を人の死とし、本人の拒否の意思表示がなければ家族の同意で年齢に関係なく臓器提供を可能とする B案=臓器提供が可能な年齢を現行の「15歳以上」から「12歳以上」に引き下げる C案=脳死の定義を現行より..... [Read More]

Tracked on 2009.06.20 05:49 AM

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