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July 2009

やまぎんレトロラインに乗ってきました(8)

 日田12:03発の田川後藤寺行きに乗る。キハ40系の2両編成、ワンマンカー。田川後藤寺で乗り継いだ小倉行きも全く同じ、キハ40系2両編成のワンマンカー。直通しないのは単なる運用の都合か?

 列車はやがて北九州市内に入るが、車窓から見る限りはとてもそのようには見えない。需要が少ないので仕方がないが、1時間に1本では使いづらい。住宅地して発展しないのは当然のことだろう。途中、激しい雨が降るが、10分ほどで止んだので一安心。

 ディーゼルカーは小倉行きだが、日豊線と合流する城野で行橋方面からの電車を先に行かせるので、そちらに乗り換える。小倉でさらに門司港行きに乗り換え。電車はいずれも813系。(続く)

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(7)

 次の列車まで1時間半ほどある。駅前のレンタサイクルで自転車を借りて、散策へ。まず最初に訪れたのが咸宜園<かんぎえん>。広瀬淡窓<ひろせたんそう>が江戸時代末期に開いた私塾だ。全国から優秀な若者が集まり、約80年の開塾期間中に、全国に68か国あるうちの66か国から約4800人もの人が集まったという。主な塾生には、蘭学者の高野長英、陸軍の基礎をつくった大村益次郎がいる。

 咸宜園は駅と豆田町の間のところにある。広瀬淡窓に因んで「淡窓二丁目」だ。さらに自転車を進め、豆田町に行く。途中からは昔の街並み風に整備されている。日田はもともと天領だったところ。幕府の九州における拠点だったようだ。そのため、商業も大いに栄えていた。日田の商人は、日田に集まった九州の物産を船で上方に送り、帰りに積んだ綿などを販売することにより利益を上げていた。日田の商人の中で最も有力なものは、「掛屋」に選ばれた。広瀬家は、久兵衛(淡窓の弟)とその子の二代にわたり、掛屋に選ばれた。掛屋は、幕府や藩の公金の管理を行うのを業としている。九州の藩にお金を貸し付け、その利子で稼ぐこともできた。

 豆田町からの帰り、どこからか鰻のにおいがしてくる。今日(19日)は土用の丑の日、ちょうどいい。はじめて聞いたが、日田も鰻で有名なところのようだ。うなぎまぶし弁当を買い求める。これは次の列車の中で食べることにしよう。

 さて、余談だが、特急が1日に6往復しかなく、列車で行くには不便な日田。でも、福岡からの高速バスは頻繁にあり、1時間に2~3本ある。バスは駅前のバスセンターに発着する。(続く)

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(6)

 博多からは9:16発の「ゆふいんの森1号」。緑に彩られた車内に入ると、まず最初に階段がある。ハイデッカー構造となっているので(隣の車両への連結部分もハイデッカーのままである)、かなり高い位置から見下ろすことができる。「ゆふいんの森1号」に使われるキハ72系には、車椅子対応の設備もあるようだが、どうやって車椅子の人は、ハイデッカーの車内に入ることができるのだろうか?

 「ゆふいんの森」には、ビュッフェがついている。かつては東北・上越新幹線などでも普通に見られた設備だが、今では本当に貴重なものになってしまった。このビュッフェを体験することも、「ゆふいんの森」に乗る大きな目的である。そのビュッフェ、久留米付近でようやく営業開始。すぐに3号車に向かったが、出遅れたようで、少々待たされる。ビュッフェでオリジナルコーヒーとマドレーヌを買って座席に戻る(ビュッフェにも狭いながらも食べることのできるスペース(椅子はなし)はあるが、混んでいたので座席に戻った)。地ビールにもひかれたが、こちらは残念ながら由布院で積み込むため、販売されないようだ。

 ビュッフェはアルコール、おつまみ、お菓子が中心で(しかも由布院に向かう「ゆふいんの森1号」は販売していないものが多い)、「売店」みたいなものだが、そういうものでも車内にあるのは貴重だ。

 筑後平野もだんだん狭くなり、平野部では駅も高速で通過していた(一線スルー改造がなされた?)「ゆふいんの森」も苦しそうに坂を上る。川に沿って走り、盆地が現れたところが日田。「指定席は満席」とのアナウンスがあったが(1週間前に切符を買ったとき、5席しか余っていなかった)、日田まで隣の客はやってこなかった。(続く)

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(5)

 次に乗る「ゆふいんの森1号」まで時間があるので、博多南線を往復する。

 次の博多南行きは博多8:21発、500系の8両編成。「こだま」用に改造された編成だ。8両に短縮された500系に乗るのは初めて。乗るのは元グリーン車の6号車だ。「こだま」では指定席として使われているが、博多南線ではどこの席でも290円(特急料金100円を含む)で乗ることができる。JR西日本の路線なので、運賃は若干安い。

 博多南線の名無しの特急は、九州新幹線になる予定の線路を走っていたが、気が付けば本線を外れ、車庫(博多総合車両所)に続く線路に入って行った。博多南駅は、車庫の一角にある。

 博多南駅で1本落して、8:49発の便に乗る。こちらは「ひかりレールスター」だ。改札に一番近い8号車から乗ったのだが、前に並んでいた人は個室に入っていく。どうやら個室にも乗車できるようだ。私も個室に入り、「体験乗車」する。「ひかりレールスター」の700系には乗ったことがあるが、個室は初めてだ。前の個室からは、女性の話し声が聞こえてくる。地元の慣れた人たちだろう。(続く)

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(4)

 小倉で1時間ほど待って乗ったのは、「リレーつばめ3号」。博多に行くのなら、新幹線でも特急でも快速でも何でもいいのだが、「リレーつばめ3号」にしたのには理由がある。たった3席しかないDXグリーン車を狙うためだ。自由席特急券が500円のところ、特急券に加えて1600円のDXグリーン料金を払う。

 2011年に九州新幹線が全線開通すると、「リレーつばめ」「有明」は廃止されてしまうだろう。787系の車両は、現在485系で走っている「にちりん」などの置き換えに使われるだろう。しかし、「にちりん」などにグリーン車の需要はあっても、DXグリーン車や個室の需要があるとは思えない。かつて九州新幹線の部分開業によりビュッフェが廃止されたように(車両そのものは改造されて残っている。セミコンパートメントもそのまま残されている)、九州新幹線の全線開業によりDXグリーン車や個室が廃止されると見るほうが妥当であろう。

 DXグリーン車はグリーン車の前のほうにある。運転席後ろの3席だが、運転席の様子は見えないのは残念である。でも、リクライニングの角度の大きさは特筆すべきもの。ほぼ水平に倒れ、横になりながら車窓を眺めることができる。夜行列車でもないのにこのようなリッチな座りかた(寝かた?)はなかなかできるものではない。

 九州の特急のもうひとつの目玉は、高いサービスで知られる「つばめレディ」だが、車内販売は博多から始まるため、彼女たちは乗車していない。DXグリーン車ならではのサービスもあったかもしれないが、体験することができず残念である。(続く)

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(3)

 新門司港の到着が5:20と早いので、朝の食堂・風呂の営業はなし。しかし、エントランスホールの前ではおにぎりなどの軽食の販売をしているし(私は買わなかったが、買って食べている人も多かった)、シャワーの利用もできる。5:28ごろ、フェリーは新門司港に着いて、九州に上陸する。定時の到着といっていいだろう。

 新門司港には公共交通機関でアクセスすることができないため、フェリー会社(名門大洋フェリー)が門司・小倉までのバスを用意してくれている。フェリーが到着して10分ほどで発車。港のあたりは港湾施設ばかりで何もなかったが、山を登りトンネルをくぐると、住宅が立ち並ぶ。バスは坂を下りていく。門司でほとんどの客が降り、小倉まで行く人はほとんどいなかった。案内では小倉までは40分かかるとのことであったが、実際には25分で着いた。

 小倉では時間に余裕があるので、乗車券や「オレンジカード」を買い求め、帰りの高速バス乗り場を調べておく。(続く)

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(2)

 船旅のいいところは、船の中で食事や入浴を楽しむことができること。列車にも「食堂車」というものがあるが、連結されているのは豪華寝台列車ぐらいで、絶滅危機種である。大きな面積を要する風呂は、船固有の設備。列車では、シャワーがあれば上等だ。食堂は17:00の出港とともに営業を開始するが、待っている人が多く、行列ができていたので、先に風呂に入ることにする。風呂は出港前の16:00から22:00まで入ることができる。

 風呂に入った後も、デッキから明石海峡大橋を眺めるなどしばらくゆっくりしていたら、食堂から案内放送が入ってきた。18:30になってお腹も空いてきたし、食堂にもすぐ入ることができるようだ。食堂はバイキング方式のレストラン。ソフトドリンクも飲み放題だ。レジで1500円を払う。これで90分、船内で食事をすることができるのだ。移動している乗り物の中で温かい食事をとることができるのはありがたいサービスだ。1時間あまり経って食堂を出るころには、すっかり暗くなっていた。

 デッキに出て船が瀬戸大橋を通過するのを見てから、寝ることにした。小さな振動が続くので、完全には熟睡できなかった。(続く)

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(1)

 九州に行くのに最初に乗ったのが「アーバンライナー」。九州へ行く直通の夜行バスもあるのだが(帰りは乗った)、例の高速道路1000円乗り放題の影響で、渋滞に巻き込まれる危険性もある。フェリーならそのような渋滞はないだろう。そこで、夜行バスなら夜になってから出かければいいのに、半日かけて近鉄で大阪まで行き、そこからフェリーに乗ることを選択したのだ。

 フェリー乗り場には、なんばから四つ橋線、ニュートラムで行けばよいのだが、いつもの習慣で(南海との乗り換えに便利な)東側に出てしまった。御堂筋線で大国町まで行き、そこから四つ橋線に乗り換える。

 ニュートラムのフェリーターミナルで下車。長い橋を渡る。フェリーターミナルでインターネットで予約したときに出てくる乗船申込用紙を渡し、乗船手続きを行う。インターネット割引(繁忙期を除いて2割引き)やら「ワンランクアップキャンペーン」(2等洋室の値段で特2等洋室が利用できる)で、たった5700円で済んだ(定価は8300円)。

 フェリーターミナルでは聞きなれない言葉が行き交っていると思ったら、韓国からのツアー客。待合室から彼らが出ていくと(時刻表で見る限り、韓国行きの便はないようだ。どこ行きの船に乗ったのだろうか?)、とたんに静かになった。

 指定された特2等洋室は、8人個室。左右に2段ベットが並び、ユースホステルの相部屋のよう。上段が割り当てられたが、柵は小さく、寝相の悪い人なら落ちてしまいそうだ。(続く)

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(0)

 みなさん、おはようございます。

 3連休の間に(18~20日)、4月に開業したやまぎんレトロラインに乗ってきました。また、往復には船と高速バスを使い、違いを確かめてきました。

 明日から何回かに分けて、そのときの乗車記を書きます。

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有価証券売却益はどこにいく?

 今回は、当blogには珍しい、会計の話。国際会計基準審議会(IASB)は、14日に会計基準見直しの草案を発表しました。

 見直しの内容はいくつかありますが、代表的なものは、企業が長期に保有している有価証券について。短期的な売却益を狙ったり、償還時期まで持ち続ける債券以外の、持ち合い株式などが対象になります。これまでの国内での基準では、これらの「その他有価証券」については、評価額が半値にならない限りは、評価損に計上する必要はなく、「純資産の部」で調整していました。資本金などが入るところです。

 しかし、企業が国の枠を超えて活動する現在、国内のみで通用する基準ではいけません。すでに日本は、国内の会計基準を国際会計基準に近づける方針を表明しています。つまり、新しい基準が出ればそれにある程度は従う必要があるのです。

 その新しい基準とは、「その他有価証券」についても短期的な売却益を狙う「売買目的有価証券」と同じカテゴリに入れるというものです。ただし、評価方法は2種類あります。ひとつは時価の変動をすべて反映させる反映型、もうひとつは全く反映させない非反映型です。

 前者については、たとえ売却していなくても、含み益や含み損をすべて損益に反映させます。今のように株価が低迷していると、多額の含み損が出ます。株式を大量に保有している生保の場合、2009年3月期の国内株式含み益は約5.6兆円減ったと言われています(国内大手4社(日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命)の計)。これをそのまま損益に反映させると、各社ともに利益は消え、大幅な赤字になります。

 それなら、後者はどうでしょう。後者は保有し続ける限り、含み益や含み損を損益に反映させる必要はありません。しかし、大きな問題があるのです。株式の配当や株の売却益についても利益に計上できないのです。参考にした記事には載っていませんが、さすがに現実に収入を得たものについてまで簿外処理にするわけにはいきませんので、「純資産の部」あたりで調整すると思われますが、これも生保にとっては困ったものです。配当収入や含み益のある株の売却で利益を出すことができなくなりますから。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/business/update/0715/TKY200907150429.html、朝日新聞7月15日朝刊)

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地方優遇の高速道路無料化

 おはようございます。

 来月末にようやく行われる(方向で進んでいる)衆議院選挙。政権を狙う民主党は、そのマニフェストの中で、高速道路の無料化を掲げています。首都高速や阪神高速、東名や名神などの都市部や主要路線を除き、利用者の少ない路線から順次始めるようです。早いところでは、来年度から無料化が始まります。

 一般道にしても、高速道路にしても、建設にはお金がかかります。そのお金は、一般道は税金というかたちで薄く広く、高速道路は料金というかたちで利用者が負担しています。高速道路の無料化は、この負担の違いを解消します。つまり、どちらも税金というかたちで薄く広く負担します。高速道路の無料化は、あるべき姿といえばあるべき姿です(過去に書いた記事はこちらです)。

 しかし、高速道路の無料化だけをやってしまうと、大きな問題が起こります。この春から、ETC利用者に限り、休日の高速が都市圏を除き1000円乗り放題となりましたが、渋滞が激しくなっています(参考となる記事はここ)。鉄道やフェリーの利用者が減っています。値下げの恩恵を受けないトラックの被害も深刻です。車の利用が増えることにより、排気ガスが増え、地球温暖化など環境にはマイナスです。高速道路を無料化するなら、揮発油税等を増税するなどの対策が求められます(揮発油税等の増税を以て、高速道路無料化の財源以上のものを賄います。余った分は、公共交通の改善や環境対策などに充ててもいいでしょう)。

 民主党の高速道路無料化でもう一つ気になるのが、無料になるのが地方の路線に限られること。首都高速や阪神高速、東名や名神などの都市部や主要路線は無料化の対象外です。これらの路線を無料化すると激しい渋滞を招くことを理由として挙げています。地方とは違い、大都市圏では一般道は遅くて使えず、有料の高速道路を使う価値はあるでしょう。

 でも、高速道路無料化に伴う税金負担は薄く広く。決して地方の人だけが負担するのではありません。大都市の人も負担します。つまり、大都市圏の税金で地方の高速道路の無料化をするのです。地方優遇でアンフェアな話です。

 渋滞の影響を考えて、大都市圏などの高速道路の無料化を見送るのなら、大都市圏の高速道路の通行料は、大都市圏内の高速道路の建設・改良に充てるなどの対策を取らないといけないでしょうね。また、地方のこれからつくる高速道路については、採算性を見極め、無駄につくらない努力が必要でしょうね。
(参考:朝日新聞7月17日朝刊 14版)

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ICカード定期は便利!

 事情があって、JR東海の定期を持つことになりました。「TOICA」が使える範囲だったので、定期券もICカードにすることにしました。定期券代に500円を追加すると、ICカードの定期券になります(500円はデポジットなので、払い戻し時には戻ります)。

 ICカードは便利ですし、何よりありがたいのが紛失してもわずかの手数料で再発行できること。定期券をなくしても1000円払えば、翌日以降に定期券を再発行してくれます。磁気の定期券にはないサービスです。定期券の金額は高いので、こういうサービスは万が一のときにはありがたいですね。定期券をなくさないことが第一なのですが。

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阪神、早くも自力V消滅

 週末の巨人3連戦で、2敗1分に終わった阪神タイガース。まだ半分しか試合をしていないのに、自力Vが消滅しました。こんなに早く自力Vが消滅するのは何年ぶりのことでしょうか?

 しかも気になるのは、不振にもかかわらずベテランを使い続けること。サードにコンバートされた新井選手がその代表例です。新井選手がサードにコンバートされた理由はよくわからず(ファーストしか守れないブラゼル選手が加入したことにより、新井選手のサードコンバートは結果オーライ、というかたちになっていますが)、いくら過去に守っていたポジションとはいえ、昨年のファーストに比べて守備の負担は重いかもしれませんが、それを差し引いても打撃の不振は言い訳できません。

 ここ数年、阪神は優勝争いを続けたため、若手を使う機会はあまりありませんでした。しかし、今年は幸か不幸か優勝の可能性は低いです。クライマックス・シリーズの権利が得られる3位に入るのも至難の業です。こういうときだからこそ、将来に備えて若手を起用すべきではないでしょうか?
(参考:デイリースポーツonline http://www.daily.co.jp/tigers/2009/07/13/0002121096.shtml)

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「ムーンライト九州」、復活ならず

 これまで学校が休みの時期を中心に、京都-博多間(時期により運転区間の変動あり)を運行していた夜行快速「ムーンライト九州」。寝台車はないものの、大きくリクライニングする座席が魅力的な夜行列車でした(この車両はもともと「シュプール号」用に改造された車両です。ですから運行開始初期は夏季を除き、普通の客車を使っていたこともあったようです)。客車の割にはスピードもそれなりにあり、「青春18きっぷ」ユーザーにはありがたい列車でした。私も何回か使ったことがあります。

 しかし、JR発足直後からシーズンには走っていたこの列車、年末の運転を最後に登場しなくなりました。春の運転が見送られ、夏も何の音沙汰のありません。そしてついに10日、「ムーンライト九州」用の車両が廃車処分されることが決定したようです。

 JR西日本は「ムーンライト九州」の運転を取りやめた理由を乗客減と車両の老朽化としていますが、本音は別のところにあるのでしょう。旅慣れた「青春18きっぷ」のユーザーが多く、単体での収益がとても見込めないことが原因だと思われます。車両の老朽化にしても、車齢35年ぐらいの車両はごろごろしています。アーバンネットワークの阪和線ぐらいには、掃いて捨てるぐらいあるでしょう。継続させる気があるならば、旧型特急電車の485系を投入してもよかったのですが、それすらしないのはやる気がない証拠です。他社とのまたがりのややこしさを気にするのなら、下関止まりでもいいでしょう。

 JRとしては、これまで「ムーンライト九州」を利用していた乗客には、新幹線を利用してもらいたいと思っているでしょうが、世の中そんなに甘くはありません。ほかの交通機関(車、バス、フェリー)に乗り換えるか、旅行そのものを取りやめるかです。「ムーンライト九州」の利用者は採算の取れない客なので、まったくいなくなってもいいと考えているかもしれないですが、それは大きな誤りでしょう。将来の顧客を失うかたちでしっぺ返しを食らうでしょう。夜行列車が衰退したように、宿泊や観光を伴う旅行の手段として鉄道を選択するということが頭からなくなっていくことでしょう。
(参考:YOMIURI ONLINE http://kyushu.yomiuri.co.jp/entame/railway/news/0907/ne_907_09071101.htm)

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コンビニ決済に挑戦!

 5月に計画していながら、延び延びになっていた九州旅行。3連休中に行くことになりました。

 昨晩のうちに行きのフェリー(名門大洋フェリー、大阪南港→新門司港間)、やまぎんレトロラインのトロッコ列車、帰りのバス(名鉄バス、小倉駅前→栄)の切符はインターネットで予約しました。フェリーは当日、港で現金で払えばよいのですが、あとの2つはコンビニ決済です。バスはカード決済でもよかったのですが、やまぎんレトロラインがローソンでの支払い限定(「Loppi」端末でのみ支払可)なので、バスもローソンで支払うことにしました。コンビニでの決済は初めてです。

 今朝、暑くならないうちに最寄りのローソンに行きます。大曽根駅前のローソンです。JRの指定券も買わないといけなかったので、好都合です。「Loppi」端末で支払いの手続きをします。やまぎんレトロラインの切符はすぐにできましたが、バスは手間取りました。「Loppi」端末から出たレシートみたいな紙をレジに持って行き、現金を払えば決済は終了です。1、2分ほどで、切符が渡されます。バスは、ローソン専用の台紙に印刷されています。やまぎんレトロラインの切符は、どこかのコンサートチケットみたいな紙に印刷されて出てきました。「鉄道の切符」というイメージからすると、違和感がありますね。初めてのこともあり今回は時間がかかりましたが、次回からはスムーズにいくでしょう。

 そうなったら目立つのが、JRの切符の不便さ。未だに(会員にならない限り)インターネットで指定券を買うことができません。私の場合幸いにも近いのですが、駅や旅行会社の窓口に行かないといけません。大きな差です。

 ただ、指定券がインターネットで買うことができても、まだ問題は残っています。乗車券もいるのです。バスや航空機などと違い、JRの路線網は複雑です。切符を買いやすいものにするには、運賃制度の見直しも必要になってくるかもしれません。金券ショップで売られている新幹線の回数券のように、乗車券とのセットをメインにするなどの方法です。大都市圏以外の(特急の利用が当たり前の)区間の運賃を高くし、簡単なセットの割引切符の利用を促すのです。特急が通らない、1時間に1本程度のローカル線は分社化するのも手でしょう。運賃計算は簡単になりますし、(改良を前提とした)地元からの補助金の受け入れもしやすくなります。「安かろう、悪かろう」路線からの脱却です。

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「スルッとKANSAI」偽造団、逮捕

 関西の私鉄や地下鉄で使える「スルッとKANSAI」の5000円のカードを8000枚、中国で偽造し、それを暴力団に密輸していた韓国人の偽造団が、韓国ソウルの警察当局に摘発されました。偽カードは1枚1500円で売られ、1200万円の利益を上げたといわれています。

 テレホンカードやハイウェイカードでも起きたように、プリペイドカードの偽造は時々出てきます。どうやら、偽造はそれほど難しくはないようです。根本的な解決は、ICカードしかありません。関西の私鉄もICカードの「PiTaPa」がありますが、「PiTaPa」には重大な欠点があります。

 それは、「PiTaPa」がポストペイ方式をとっていること。プリペイド方式の他のICカードとは違い、後払いなので、クレジットカードのように支払い能力の審査が必要になるのです。誰にでも発行できるわけではありません。敷居が高いので、なかなか普及しないのです。

 もし、「スルッとKANSAI」をなくし、ICカードに移行させたいと思うならば、プリペイドタイプのベーシックなICカードをつくる必要があるでしょう。ICカードの便利さを認識してもらうのです。それともう一つは、魅力的な商品づくりです。「PiTaPa」を使う人には魅力的な割引制度を設けたりするのも手でしょう。わざわざ個人情報をさらすからには、それなりの特典がいるのです。
(参考:YOMIURI ONLINE http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20090710-OYO1T00304.htm)

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福知山線脱線事故、社長起訴に思うこと

 2005年4月25日に福知山線(JR宝塚線)尼崎-塚口間で起きた脱線事故は、107人もの人が死亡する大惨事となりました。

 神戸地検はこの事故の原因を、JR東西線開業に合わせて線路を付け替えた際、現場付近が急カーブになったにもかかわらずATSをつけていなかったこととしました。そこで、当時のJR西日本常務取締役だった山崎JR西日本社長を、業務上過失致死傷の罪で在宅起訴しました(事故を起こして死亡した運転士や、付け替え当時の社長などは不起訴に終わっています)。山崎社長は当時、安全管理責任者である鉄道本部長でした。山崎社長は、起訴されたことを受けて、JR西日本社長の職を辞しましたが、裁判については争う姿勢を見せています。

 検察は、鉄道会社幹部を起訴するという極めて異例のことを行いましたが、山崎社長を有罪にできるという確証はないようです。刑事で有罪にするには、事故が起きることを予見できることが欠かせないのですが、事故が起きるまではすべての電車が何の問題もなく通過しています。事故を起こした運転士は、よく問題を起こしていました。そういう質の悪い運転士が起こした事故とも言えます。ある意味、配置転換でもクリアできた話なのです。「普通の運転士なら問題はなかった。あんなスピードオーバーをするとは常識的に考えられない」と判断され、無罪になる可能性もあります。肝心のATSについても、当時の基準を満たしていれば、罪には問えないという見方もあります。第一、付け替え前の線路は尼崎駅の直前で急カーブになっています。付け替えによってそこは解消されているのです。

 また、刑事事件の特性上、事件の真相が明らかにされにくくなるという問題はあります。被告となった山崎社長はできれば無罪、少なくても実刑は避けたいところです。法廷戦術によっては、事件について黙秘を貫く可能性もあります。事件の真相究明の観点からすると、希望する方向とは逆の方向に向かう危険性もあります。

 山崎社長は事故当時は、子会社にいました。ところが事故の後、安全対策に詳しいことが評価され、JR西日本の社長になりました。山崎社長は安全対策を熱心に行い、その点については評価する声もあるようです。この姿勢が裁判にも影響するかもしれません。

 JR西日本は、事故が起きるまでは利用者の利便のために積極的な攻勢をかけていましたが、事故のあとはともすれば「安全」を大義名分にサービスの改善をさぼるという面も見られます。安全も大事ですし、利便性の向上も大事です。両方をバランスよくとることが大事でしょう。マスコミを中心に事故以前のJR西日本の「儲け主義」を批判する声も見られますが、企業である以上、ある意味儲からないと安全への投資もできません。税金で1000円乗り放題にしてくれる高速道路とは違い、鉄道会社にはなかなか税金は投入してくれないのです。

(追記)
 2010年3月26日に行われた神戸第1審査会は、付け替え当時の社長であった井出元相談役、事故当時の会長、社長であった南谷元会長、垣内元社長の3人について、2度目の起訴議決を行いました。これにより、井出元相談役など3人は起訴されることになりました。

 なお、一般の刑事事件は検事が起訴しますが、改正検察審査会法に基づき起訴する場合は、裁判所が指定した弁護士が検事役となって行います。
(参考:朝日新聞7月9日朝刊 14版、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100326-00000583-san-soci)

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