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有価証券売却益はどこにいく?

 今回は、当blogには珍しい、会計の話。国際会計基準審議会(IASB)は、14日に会計基準見直しの草案を発表しました。

 見直しの内容はいくつかありますが、代表的なものは、企業が長期に保有している有価証券について。短期的な売却益を狙ったり、償還時期まで持ち続ける債券以外の、持ち合い株式などが対象になります。これまでの国内での基準では、これらの「その他有価証券」については、評価額が半値にならない限りは、評価損に計上する必要はなく、「純資産の部」で調整していました。資本金などが入るところです。

 しかし、企業が国の枠を超えて活動する現在、国内のみで通用する基準ではいけません。すでに日本は、国内の会計基準を国際会計基準に近づける方針を表明しています。つまり、新しい基準が出ればそれにある程度は従う必要があるのです。

 その新しい基準とは、「その他有価証券」についても短期的な売却益を狙う「売買目的有価証券」と同じカテゴリに入れるというものです。ただし、評価方法は2種類あります。ひとつは時価の変動をすべて反映させる反映型、もうひとつは全く反映させない非反映型です。

 前者については、たとえ売却していなくても、含み益や含み損をすべて損益に反映させます。今のように株価が低迷していると、多額の含み損が出ます。株式を大量に保有している生保の場合、2009年3月期の国内株式含み益は約5.6兆円減ったと言われています(国内大手4社(日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命)の計)。これをそのまま損益に反映させると、各社ともに利益は消え、大幅な赤字になります。

 それなら、後者はどうでしょう。後者は保有し続ける限り、含み益や含み損を損益に反映させる必要はありません。しかし、大きな問題があるのです。株式の配当や株の売却益についても利益に計上できないのです。参考にした記事には載っていませんが、さすがに現実に収入を得たものについてまで簿外処理にするわけにはいきませんので、「純資産の部」あたりで調整すると思われますが、これも生保にとっては困ったものです。配当収入や含み益のある株の売却で利益を出すことができなくなりますから。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/business/update/0715/TKY200907150429.html、朝日新聞7月15日朝刊)

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