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地方優遇の高速道路無料化

 おはようございます。

 来月末にようやく行われる(方向で進んでいる)衆議院選挙。政権を狙う民主党は、そのマニフェストの中で、高速道路の無料化を掲げています。首都高速や阪神高速、東名や名神などの都市部や主要路線を除き、利用者の少ない路線から順次始めるようです。早いところでは、来年度から無料化が始まります。

 一般道にしても、高速道路にしても、建設にはお金がかかります。そのお金は、一般道は税金というかたちで薄く広く、高速道路は料金というかたちで利用者が負担しています。高速道路の無料化は、この負担の違いを解消します。つまり、どちらも税金というかたちで薄く広く負担します。高速道路の無料化は、あるべき姿といえばあるべき姿です(過去に書いた記事はこちらです)。

 しかし、高速道路の無料化だけをやってしまうと、大きな問題が起こります。この春から、ETC利用者に限り、休日の高速が都市圏を除き1000円乗り放題となりましたが、渋滞が激しくなっています(参考となる記事はここ)。鉄道やフェリーの利用者が減っています。値下げの恩恵を受けないトラックの被害も深刻です。車の利用が増えることにより、排気ガスが増え、地球温暖化など環境にはマイナスです。高速道路を無料化するなら、揮発油税等を増税するなどの対策が求められます(揮発油税等の増税を以て、高速道路無料化の財源以上のものを賄います。余った分は、公共交通の改善や環境対策などに充ててもいいでしょう)。

 民主党の高速道路無料化でもう一つ気になるのが、無料になるのが地方の路線に限られること。首都高速や阪神高速、東名や名神などの都市部や主要路線は無料化の対象外です。これらの路線を無料化すると激しい渋滞を招くことを理由として挙げています。地方とは違い、大都市圏では一般道は遅くて使えず、有料の高速道路を使う価値はあるでしょう。

 でも、高速道路無料化に伴う税金負担は薄く広く。決して地方の人だけが負担するのではありません。大都市の人も負担します。つまり、大都市圏の税金で地方の高速道路の無料化をするのです。地方優遇でアンフェアな話です。

 渋滞の影響を考えて、大都市圏などの高速道路の無料化を見送るのなら、大都市圏の高速道路の通行料は、大都市圏内の高速道路の建設・改良に充てるなどの対策を取らないといけないでしょうね。また、地方のこれからつくる高速道路については、採算性を見極め、無駄につくらない努力が必要でしょうね。
(参考:朝日新聞7月17日朝刊 14版)

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道路、車」カテゴリの記事

Comments

 ここだけとればアンフェアですが、今まで、地方の人も負担している税金で大都市部のインフラ整備をやってきたわけで、「次は地方」というだけの話じゃないですかね??
 都市部の方が人が多いので、同じ事をやっても「地方優遇」と言われますが、、、地方に住む者にとっては不愉快な論理です。

Posted by: ▲ 飛遊人 | 2009.07.18 11:37 PM

こんばんは、たべちゃん

高速道路を建設当時は40年間で無料になるといわれていました。
今や、40年を過ぎてもどこも無料にはならず、かえって料金が上がっています。
ETCをつけた車だけ恩恵を受けると言うのも、すごい不公平感がありました。

民主党の言うように、地方から無料にして行き、様子を見るというのもいいと思います。
そして、暫定税率の一部を環境対策費とか、補修費に当てるのも一策だと思います。
道路も、優先順位をつけて本当にいるかどうか、有識者で精査をする必要があるのではないでしょうか。
とにかく、何が何でも道路ありきの今までの発想は時代にあっていない事は確かですね。

Posted by: まるこ姫 | 2009.07.19 10:58 PM

 ▲ 飛遊人さん、おはようございます。

* 今まで、地方の人も負担している税金で

 欲を言えばきりがないですが、それなりには整備が進んでいるのではないでしょうか?

 どんどんパイが拡大している世の中ならともかく、パイは縮小の方向に向かっているので、どこまでも地方の人の要求をかなえるわけにはいきません。

Posted by: たべちゃん | 2009.07.20 09:48 AM

 まるこ姫さん、おはようございます。

* 高速道路を建設当時は40年間で

 当初はそれぐらいあれば「必要な高速道路」はすべて建設できると考えていたのでしょう。

 しかし、「必要な高速道路」がどんどん増えていけば、無料化の時期は遅くなりますね。

 なお、ETC利用者に対するある程度の優遇はあるべきだと考えています。ETCを持つということは、それなりに利用する意志の現れでしょう。

* 民主党の言うように、地方から

 すでにいくつかの有料道路が行っているように、地方の金を投入して建設費を償還し、無料化することには異議はありません。問題は、それが大都市の人にも負担させることなのです。

Posted by: たべちゃん | 2009.07.20 09:58 AM

仮にこれから道路を作らなくても、現在の道路の借金を返すのに40年程度かかる。
つまり、それまでは無料化は無理でしょう。

しかも、その頃には大規模補修の時期を迎え、また金が要る話です。

いずれにしても、何らかの形での負担は必要です。これを一般財源で賄うのは、車を利用しない人には不公平です。

通行料金かガソリン税増税で賄うべきでしょう。

民主党の主張には財源に明確な言及がない。単なる人気取り政策と疑われかねない。

もっとも、現在のような料金プール制では、無駄な道路が永久に作られ続ける。
金が入れば、使ってしまえということになるからである。

そういうことを断つには、無料にするというのも一策であるが、それには今までの行政の仕組みを変える必要があります。

Posted by: かにうさぎ | 2009.07.22 08:44 PM

 かにうさぎさん、こんばんは。

* 仮にこれから道路を作らなくても、

 現状で無料化するには、税金で償還しないといけないですね。

* 民主党の主張には財源に明確な言及がない。単なる人気取り

 どこの党も目先の人気取りに走っていますね。はっきり言って、ある程度の負担増はやむを得ないです。

Posted by: たべちゃん | 2009.07.23 02:47 AM

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