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August 2009

新聞は公的支援が必要な存在か?

 今日は衆議院選挙。国民が政権を選択する重要な機会です。その選挙に関して、メディア政策の関連から、3氏が意見を述べています。3人ともマスコミに対して甘い発言をしていますが、中でも思い切った発言をしたのは、ジャーナリストの原寿雄氏。なんと新聞に年間500億円の公的支援を求めているのです。

 確かに、インターネットの発達により、新聞が以前に比べて独占的な地位でなくなった状態であることはわかります。インターネットの発達により、私たちのような一般の人でも、意見を表明することができます。10年ほど前には考えられなかったことです。意見を表明することは、メディアの特権ではなくなったのです。

 新聞の役割は、高い分析力を持って、公権力を監視することです。政府の行動を支持してよいのは、与党系の新聞のみです。これができない限り、マスコミの役割は事実の伝達にとどまります。金を出して買う代物ではありません。このことを理解できない限り、新聞の衰退は続くことでしょう。

 一応、新聞上は3氏の「意見」という形をとっていますが、どうみても自分たちに甘いのが明白です。バランスをとるつもりなら、ひとりぐらいはマスコミに自己反省を求める意見があってもおかしくないです。

 果たして、今の新聞は公的支援が必要な存在なのでしょうか? 先にやらなければならないことが多すぎます。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090824ddm012040004000c.html)

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堺市、複数のLRT修正案を作成

 堺の交通は、南北を結ぶ軸は充実していますが、東西は弱いのが弱点です。その東西の軸を作るのがLRTなのですが、なかなか地元との話し合いがうまくいっていないのが現状です(ここを参照してください)。

 堺のLRT計画はもともと、大小路を2車線から1車線(西行きの一方通行)にして、車道と歩道の間に複線の線路を敷く(「外寄せ」方式)というものでした。しかし、一方通行になることで、車はかなり不便になります。地元での説明会でも、反対意見が多かったところです。また、「外寄せ」方式についても、LRTの利用者はバスと同じように歩道から直接利用することができ便利なのですが(歩道と兼用できるので、ホームの用地を確保しなくてもよいというメリットもあります)、荷捌きがしにくいというデメリットもあり、反対が強かったところです。

 そこで堺市は、LRTについていくつかの修正案を作成しているところです。(1)車線を2車線確保し、LRTを道路の真ん中に走らせる案 (2)歩道を確保するために、LRTを単線化する案 があるようです。前者の問題は、歩道の縮小や並木の移植が必要になる、ということ。そして、後者の問題は、単線になることにより電車の運行本数が減るかもしれないことです。堺市は、複数の修正案のメリット、デメリットを住民に示し、意見を聞いたうえで、新たな修正案をまとめる予定です。

 とにかく、堺のLRTは実現に向かって進むことが第一です。多少の修正はあっても、堺にLRTを走らせることが大切です。これから再び住民に意見を問うことになりますが、あまりのんびりとはできません。阪堺がしびれをきらせて、「執行猶予」状態の阪堺線を廃止する危険性もあります。阪堺自体、阿倍野再開発に伴う上町線の部分廃止のがありますから、余裕はありません。スピードも問われているのです。

 堺を公共交通の便利な街にするか、それとも路面電車のない不便な街にするかの選択は住民が持っています。車なら、郊外のほうがはるかに便利です。どちらが賢明かは明白です。大局的な判断をすることを期待しています。
(参考:泉州ドットコム http://www.sen-shu.com/net/news/news.cgi?mode=print&type=senshu2&no=6054)

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阪和線東岸和田駅付近、高架化着工

 20日のことですが、阪和線東岸和田駅付近高架化事業の安全祈願祭及び起工式が行われました。

 阪和線東岸和田駅付近高架化事業は、阪和線東岸和田駅付近の2.1キロにおいて行われます(高架化区間は1.5キロ)。7つの踏切がこれによって廃止され、踏切による交通渋滞の解消が期待されています。また、東岸和田駅は高架化されます。今は改札が山側にしかなく、海側にあるショッピングセンター(トークタウン)に行くのが不便でしたが、その問題も解消されるでしょう。東岸和田駅は快速停車駅にも関わらず、バリアフリーの設備は全くありませんが、この高架化によってそういう設備はそろえられるでしょう。今と同じく、東岸和田駅には島式ホーム2面が並ぶことになりますが、和歌山方面のホームが異様に狭い事態もこれで解消されるでしょう。ホームの長さは197メートルなので、9両編成の特急の停車も考慮されていると思われます。朝夕の「はるか」あたりは停まるかな?

 ただ、ここの高架が完成しても、阪和線の高架化区間はほかには大阪市内しかありません(ただ、三国ヶ丘付近など他線との立体交差の都合などで、踏切のない区間はほかにもあります)。昼間でも1時間に特急が3本、快速が6本、普通が6本通る阪和線では、まだまだ足らないというのが現状です。並行する南海は、既存の市街を走ることもあり、高架化工事が進んでいます。現在着工されている区間を含めると、難波から泉大津まではほぼ高架化され、そのほかにも岸和田付近、泉佐野付近で高架化されています。

(追記)
 2013年4月になって、新駅舎の基本デザインが決まりました。

 デザインコンセプトは、「『祭都』岸和田の文化をつなぐ架け橋となる駅」。入口はだんじり祭をモチーフにスピード感・力強さを表現しています。ひさしがだんじりの屋根に似ています。
(参考:岸和田市ホームページ http://www.city.kishiwada.osaka.jp/soshiki/3/higashikishiwada-kouka.html、JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/2013/04/page_3643.html)

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富山ライトレール、部分複線化へ

 2006年4月にJRの路線を転用して開業した、富山ライトレール。もともとは1時間に1本しか来ない、赤字ローカル線でしたが、LRT化によって本数が1時間に4本に増え、また駅も増えたので、利用者は飛躍的に増えました。

 そこで、当初から準備工事はなされていましたが、富山ライトレールの一部の区間で複線化を行うことになりました。複線化される区間は、併用軌道区間の奥田中学校前電停から富山駅北方面へ約250メートルの区間。複線化される区間はたった250メートルですが、それでもダイヤの改善には役立つようです(併用軌道区間の富山駅北-奥田中学校前間でダイヤ通り5分で走るのは難しく、朝の10分間隔のダイヤのネックとなるようです)。また、複線化区間の西端に当たる八田橋東側に新たな停留所を設けるようです。

 富山ライトレールの部分複線化及び新駅の設置のためには、道路の拡幅が必要となります。対象となる地権者は32人いますが、2人を除いては契約済みであったり、買収の了承を得ていたりしているようです(6月時点)。先に道路の拡幅を行い、その後にライトレールの改良を行いますので、部分複線化などの完成は3年後となります。

 富山ライトレールは、新しい時代の路面電車のモデルケースとなる路線です。すべての場所でこのような成功が約束できるわけではありませんが、このような成功の可能性が高いところもあるでしょう。「安かろう、悪かろう」のJRに固執する都市近郊のローカル線沿線、目先の損得しか考えずにLRT建設に反対する沿線にはぜひ参考にしてほしいです。
(参考:谷口富山市議ホームページ(富山新聞の記事もあり) http://www.t-toshikazu.net/img/pdf/1247452659.pdf、「路面電車を考える館」 http://www.urban.ne.jp/home/yaman/news90.htm##547)

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ジェイアール東海バスの路線バスに乗ってきました

 これも18日のできごとです。

 

 尾張瀬戸で降りて、バス乗り場に向かう。尾張瀬戸のバス乗り場は、市の施設「パルティせと」の裏側にある。少しわかりにくい。

 瀬戸に行ったのは、ジェイアール東海バスの路線バスに乗るため。以前にも書いたが、瀬戸地区の路線バスは9月末で廃止される。かつてはジェイアール東海バスの路線バスもあちこちで走っていたが、どんどん廃止されて、最後に残ったのが瀬戸地区。その最後の瀬戸地区も、間もなく廃止され、ジェイアール東海バスから路線バスがなくなるのだ。瀬戸地区はほかのローカル線のように誰も乗っていないということはないので、経営資源の集約化の意図があるのだろう。

 4分ほど遅れて、瀬戸駅前10:35発の品野行きが来た。品野方面のバスは、上品野まで行くのが1時間に1本、途中の品野止まりが間に入ることが多い。つまり、品野までは30~60分に1本が運転される。瀬戸駅前で乗り降りがあり、10人ほどで発車。途中のバス停でも、乗り降りが共にあり、意外と乗客が減らない。

 陶器工場が見えてきたら、品野の町。その入口にある品野坂上で下車。ここまでの運賃は200円。まだ数人は乗っていて(バスファンらしき人はいない)、とても廃止間近のローカルバスとは思えない。この時点で6分遅れ。品野の市街は渋滞していて、さらに遅れそうだ。

 帰りのバスまでまだ20分以上あるので、歩いて尾張瀬戸に戻ることにする。途中でジェイアール東海バスか名鉄バス(赤津方面から)が来たら、それに乗ればいいだろう。バスが通る国道248号線はダンプの通行が多く、排ガスはひどい。

 古瀬戸からは、名鉄バスの路線も加わる。しかし、赤津からの名鉄バスは、壊滅的な状態になっていた。10年ほど前は確か、名鉄バスセンター発着の便が1時間に2本(それと古瀬戸は通らないが、瀬戸と赤津の間は、藤が丘からの便が1時間に1本あった)あったが、今では1日に6本(平日)あるのみ。もうひとつの一里塚経由も1日に11本(平日)だけ。朝夕は1時間に1、2本あるが、昼間は5時間ほど運転されない。名鉄が2008年3月末での廃止を申し出た影響だろうか? 瀬戸地区のジェイアール東海バスは、春日井にあるものを含めて名鉄バスに引き継がれる。瀬戸の場合は、赤津方面の名鉄バスを含めて若干の増発がなされるようであるが、これが減ったり、廃止されたりしないように、あらゆる立場から支える必要があるだろう。市民が乗ることも重要な支えだ。
(参考:瀬戸市ホームページ http://www.city.seto.aichi.jp/dbps_data/_material_/seto/3010/21_3_2.pdf、http://www.city.seto.aichi.jp/dbps_data/_material_/seto/3010/21_2_8.pdf 春日井市ホームページ http://www.city.kasugai.lg.jp/dbps_data/_material_/localhost/11000/t1102000/koho210801/koho210801p10.pdf)

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名鉄瀬戸線、吊り掛け車に乗ってきました

 少し遅めの夏休みを取っています。昨日(18日)、瀬戸に出かけてきました。


 古い車両が多かった名鉄瀬戸線もようやく新しい車両が投入されることになり、ステンレスの新型車両(4000系)が投入されつつある(私はまだ乗ったことはないが)。今まで走っていた車両はすべて廃車されるか、ほかの名鉄線で走ることになる。

 矢田9:56発の尾張旭行きに何とか間に合った。これは吊り掛けでもステンレスでもない、普通の電車。終点の尾張旭まで行く。いつの間にか尾張旭には車庫ができていた。

 尾張旭で少し待って、尾張瀬戸行きの電車を待つ。次に来た急行は、なんと吊り掛け車。全国的にも珍しい車両で、「絶滅危機種」だ。大手私鉄で吊り掛け車が残っているのは、ここと近鉄の特殊狭軌線(ここはレールの幅が狭すぎて、吊り掛け車でないと無理らしい)ぐらいだ。

 電車は発車する。特徴のあるモーターの音が鳴り響く。このモーターの音を聴く機会はないかもしれない。これなら、小幡で急行に乗り換えたほうがよかったかな? 駅を通過する時の様子も楽しめるのだから(名鉄の急行は、尾張旭以遠各駅に停車)。

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ホームページ更新のお知らせ(09年8月14日)

 トップページの背景写真を入れ替えました。夜明け前の新門司港に入港する直前の様子です。フェリーから撮りました。リンクの変更も行いました。

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民主党政権で交通政策はどうなるのか?

 あと半月で選挙になります。今回は、「自民党中心の政権がよいか、民主党中心の政権がよいか」という選択が大きな課題となっています。自民党政権の場合はこれまでの継続でしょうが、もし、民主党が政権を取った場合、交通政策はどのようになるのでしょうか?

 今、マニフェストや街頭演説などで公表されているもので考えた場合、自動車のユーザーにとっては歓迎することが多いです。揮発油税等に課されている暫定税率がなくなり、ガソリン代が安くなります。高速道路が無料化され、車でのお出かけのコストが減ります。

 これに対して、鉄道に対しては関心がないのか、主だった記述はありません。ただ、公共投資でなされるものについては、すべて見直しの対象になるようです。ということは、(今まで失敗した例がないのになぜかマスコミに叩かれる)整備新幹線も見直しの対象になります。現在、着工している北陸新幹線金沢までは遅れずに開業させるでしょうが、それ以降は開業が遅れたり、凍結されたりする危険性もあります。もっと危ないのは北海道新幹線。岡田幹事長は、5月下旬に帯広で演説をしましたが、そのときに北海道新幹線の無理解さを示す発言をしました。今は新幹線で北海道に行くことは考えられませんが、たとえ盛岡以遠を時速260キロとトロトロ走っても、5時間で札幌まで着くのです。直通需要はなくても、東京-新函館、仙台-札幌という需要を積み重ねることは可能でしょう。

 公共事業の見直しは結構なことですが、整備新幹線は今まで失敗した例はないですし(在来線は利用者が減ったのですが、あれはあくまでも特急がなくなることによってローカル線に転落しただけです。貨物さえなければバスでも十分なところもあります)、現状計画されている路線は1時間に1本以上の特急があるため、失敗はないと考えられます。整備新幹線の推進は当然のこととして、むしろ建設のペースを速めるのが正しいでしょう。鉄道が便利になれば、車から鉄道へのシフトが起こり、これまた民主党が推進している温室効果ガスの削減に貢献します。

 高速道路の無料化も、理想論としては正しいでしょうが(参考となる記事はここ)、環境が整わない限りは延期してもよいでしょう。つまり、道路特定財源としての揮発油税等はやめますが、その代わりに環境税を設定し、今の暫定税率以上の負担をさせるのです。一部は道路建設に充てられますが、それ以外の公共交通の整備にお金をつぎ込みます。これは自民党など与党の政策ですが、ETC利用者限定の高速道路1000円乗り放題に批判的な意見(環境、渋滞)もあるので、その環境が整うまでは、高速道路の割引はETC利用者限定の通勤割引程度にとどめてもよいのではないでしょうか? 意外と民主党の高速道路無料化を冷静に見ている人は多いのです。

 国鉄の廃止になった赤字ローカル線に並行する高速道路のような、無駄な道路は即刻中止すべきでしょうが、道路にしろ鉄道にしろ、適切な投資は今後もしないといけないでしょうね。特に日本は国土が狭く、人口密度が高いですから、鉄道に適している国です。新幹線・特急や大都市圏通勤鉄道を中心に、もっと整備をする必要があります。どこの党が政権を取ろうとも、この事実に変わりはありません。
(参考:asahi.com http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000540908070001、東洋経済ONLINE http://www.toyokeizai.net/business/regional_economy/detail/AC/1fd583d8f7e20e3ae1532c138d247170/page/2/)

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「電波オークション」

 地デジへの移行時期が、あと2年を切りました。

 今のテレビがアナログから地デジに移行することにより、今テレビ用に使っている電波の枠が空きます。これは貴重な枠なので、多額のお金を出してでも欲しいという企業はあります。現在総務省は、書類審査等で審査し、適当な業者に電波を割り当てていますが、これをオークション方式に変えるというアイデアを出している政党もあります。民主党がそうなのです。ちなみに、その動きに強く抵抗しているのは総務省です。

 欧米では一般的な、オークション方式の一番の魅力は、お金。現状でも毎年「電波利用料」を放送局や携帯電話会社などに請求していますが、その金額はさほど高くはありません。国有財産の有効活用策として、「電波オークション」はいいアイデアかもしれません。

 少なくとも、オークション方式だと、今のテレビのままでも何とか見ることのできる、チューナーを各企業や各家庭に配るぐらいのお金は得ることができそうですね。「立ち退き料」ぐらいは出せそうです。
(参考:朝日新聞8月5日朝刊 14版)

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排出する温室効果ガスは、携帯で払えます

 全日空は、9月10日から、羽田発の一部の路線において、「カーボン・オフセットプログラム」を始めます。これは、携帯電話によるカード決済を行った客を対象に、航空機を利用することによって発生する温室効果ガスの量に見合う金額(羽田-伊丹間の場合、500円)を支払うものです。ここで得たお金は、音楽家として有名な坂本龍一氏の主宰する一般社団法人と提携して、北海道や高知などでの間伐プロジェクトを行う費用などに充てられます。なお10月からは、国内線の全便に拡大します。

 この「カーボン・オフセットプログラム」は、利用者の自由意思で行われる制度ですが、将来的には、車も電車も飛行機も、すべての交通機関で排出する温室効果ガスの量に応じてかかるような制度にするのが好ましいでしょう。(公共交通ではない)マイカーの利用者に対しては、高い税を課してもよいでしょう。

 このあたりの環境整備を行ってから、高速道路の無料化をすればいいのではないでしょうか? 何も対策をしないまま、高速道路の無料化だけをすると、車の需要が増え、環境には逆効果をもたらすことが目に見えています。
(参考:ANAホームページ http://www.ana.co.jp/pr/index.html)

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空港の採算性には意味がない

 日本国内には約100の空港がありますが、それらの空港は採算がとれていますでしょうか? 国土交通省は7月31日、国内の空港のうち、国が管理する26の空港について2006年度の営業収益(税金投入分を含まず)と営業費用(空港整備費を含む)を発表しました。

 黒字の空港は26のうちたった4つ。一番黒字額が大きいのは伊丹空港。2番目は新千歳空港です。そして、一番赤字額が大きいのは福岡空港。2番目は那覇空港です。ただ、福岡・那覇の両空港は営業収益もそれなりにあります。営業収益に対する営業費用の割合の高さからみると、一番高いのは稚内空港と考えられます(営業収益1億円、営業費用10億円。ただし、参考にした記事では、営業収益・営業費用は億単位は切り捨ててあるので、あまり正確ではありません)。

 福岡空港や那覇空港は赤字額が大きいのですが(どちらも赤字の原因は地代が高いため)、「無駄な空港」という人は誰もいないでしょう。九州、沖縄の玄関としての拠点性は誰もが認めるところです。大体、羽田空港も赤字です。営業収益は509億円、営業費用が529億円なので、20億円の赤字。4番目に悪い数字です。設備投資の減価償却がかさんでいるのでしょう。

 反対に黒字額が最も大きいところは、伊丹空港。就航する便が多いのに、1970年以来大幅な投資がなく、減価償却費が少ないからです。本来なら需要に見合うように投資を行えばよいのですが、ここの最大の問題は騒音問題。21時でもう使えなくなる状況では、拡張することができません。それどころか、騒音対策に1970年以来、6600億円もつぎ込んできたことを考えると、トータルでは赤字になります。「黒字」と胸を張っていられるような状況ではありません。

 これらの状況から見ても、単純に「黒字だからいい、赤字だからダメ」というように単純化するわけにはいきませんね。
(参考:朝日新聞8月1日朝刊 13版)

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大学進学率は親の年収に比例する?

 100%当てはまるわけではありませんが、学力があれば将来的にも有利になる可能性は高いといえます。そのためには、大学、できれば一流大学に行ったほうがいいです。でも、大学の進学率と親の年収との関係を調査したところ、両者には相関関係があることがわかりました。

 東大の大学経営・調査研究センターが調査した結果によれば(2005年度に全国の高校3年生約4000人を抽出して、3年間追跡)、年収200万円未満の家庭の4年制大学進学率は28.2%。これに対して、年収1200万円以上の家庭では62.8%でした。この差は、私立大学への進学率によるものです。学費の安い国公立大学の進学率はほとんど変わりません。反対に、就職した人の割合は200万円未満が35.9%、1200万円以上が5.4%と逆の結果になっています。専門学校に進学した人も、親の年収が上がるにつれ、減っていきます。

 それでは、学校での成績はどうでしょうか? これも全国学力調査の結果をお茶の水大学耳塚副学長の研究班が分析したところ(2008年度、小学6年生約6000人について調査)、親の年収が上がるにつれ、よくなっていきます。例えば、知識を問う国語Aの場合、年収200万円未満の正答率が56.5%であるのに対して、1200万円以上1500万円未満は78.7%でした。ほかの科目でも同じような傾向が出ました。

 いくら個人の能力が高ければ、活躍の場が増えるといっても、それが親の年収に影響されているのでは、格差の固定につながります。年収が多い家庭のほうが子供にとって勉強しやすい環境であることは否めませんが、奨学金の拡充などで、少なくとも年収によって大学の選択の幅が狭くなるようなことはないようにしないといけないですね。
(参考:朝日新聞7月31日朝刊 14版、朝日新聞8月5日朝刊 14版)

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「ひこにゃん」に類似品

 一時はトラブルになったものの、穏便に解決したと思っていた「ひこにゃん」をめぐる、彦根市ともへろん氏とのトラブル(そのときの記事はここ)。ところが最近、新たな問題が出てきました。「ひこにゃん」そっくりのキャラクターが出回っているのです。彦根市は先月27日、市内のグッズ販売業者に対し、「ひこにゃん」に類似している「ひこねのよいにゃんこ」は、市の持つ「ひこにゃん」の著作権及び商標権を違法に侵害するとして、販売中止を求める文書を出しました。

 さて、「ひこにゃん」そっくりの新しいキャラクターは、「ひこねのよいにゃんこ」。作者は「ひこにゃん」と同じ、もへろん氏です。2007年の和解により、もへろん氏は、絵本「ひこねのよいにゃんこ」の創作活動を続けることなどを認められました。新しいキャラクターは、ここから出てきたのです。和解により、「ひこにゃん」には「座る」「はねる」「刀を抜く」の3つのポーズ以外は認められません。服装も含めて自由に創作できる「ひこねのよいにゃんこ」はその点、グッズ販売業者にはありがたいものです。

 確かに両者は似ていて、紛らわしいです。もへろん氏は、金銭的にはともかく(彦根市に採用されるときには、誰もここまでヒットするとは思いませんでした)、「ひこにゃん」の作者としての地位と名声は得ました。まだ若いだけに、ここでドロドロとしていたら、将来に影響が出るような気もします。

(追記)
 もへろん氏が考案した「ひこにゃん」類似したキャラクター、「ひこねのよいにゃんこ」が商標権などを侵害したとして、彦根市がグッズの販売差し止めなどを求めた訴訟が和解することになりました。

 大阪地裁が示した和解案では、「ひこにゃん」の商標権、著作権が彦根市側にあることを改めて確認するとともに、彦根市にイラストの二次利用権を認めます。また、彦根市はもへろん氏が彦根市の広報活動に多大な貢献をしたことを高く評価することを明らかにします。もへろん氏側は「ひこねのよいにゃんこ」の販売を止め、この商品を扱った4社は解決金370万円を支払うことになりました。
(参考:朝日新聞2009年7月28日朝刊 14版、2012年11月8日朝刊 14版)

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天王寺駅前-浜寺駅前間直通路面電車に乗ってきました

 以前の記事にも書きましたように、阪堺は7月4日にダイヤ改正を行い、堺市内に直通する便は原則として天王寺駅前発着になりました。8日(土)にその天王寺駅前-浜寺駅前間直通路面電車に乗ってきました。


 少し前に浜寺駅前行きが出たので、12分待って次の天王寺駅前15:36発のに乗ることにする。乗客は40人ほど。立っている乗客もいる。ちょうど間にある15:30発の住吉公園行きもそれなりの乗客を乗せて、発車していった。

 松虫までは併用軌道。片側一車線なので、道路は渋滞している。電車も車に気を使いながらゆっくりと進む。でも、道路が渋滞するからと言って路面電車を廃止してしまうと、上町線の存在意義はなくなる。並行する路線がなく、しかも大阪の主要ターミナルのひとつである天王寺に接続しているからこそ上町線の価値があるのであって、松虫止まりでは、そのうち全線廃止は免れない。松虫から少し歩けば、地下鉄の阿倍野に着くかもしれないが、天王寺と阿倍野では、利便性に格段の差がある。阿倍野の再開発に合わせて上町線の部分廃止を行う、というもあるが、避けなければならないだろう。

 北畠あたりで再び併用軌道になる。とはいっても、地元に住んでいる人しか使わないような道なので、車の通行はほとんどない。このあたりで下車する人は多いが、それでも席は大体埋まっている。

 阪堺線に入ってからは降りる客が増え、車庫のある我孫子道で9人降りた(ここで運転士も交代)。恵美須町方面からの客であろうか、7人乗ってきて、25人ほどで大和川を渡る。住吉で乗ってきた大きなカメラを抱えた3人組などもいるから、上町線からの直通客は15人ほど。恵美須町方面より多く、堺市内からの直通を恵美須町発着から天王寺駅前発着に変えたダイヤ改正は、妥当な判断だ。以前の発言と矛盾するかもしれないが、LRTが開業しても、天王寺への直通は残しておきたいところだ。

 堺市内に入ると降りる客が目立つ。阪堺線は南海本線と並行するので、あまり存在価値がないのであろう。やはり東西を結ぶ路線が必要だ。堺東に一番近い、大小路で下車。ダイヤ通り、天王寺駅前から30分で着いた。

 ここからは歩いて堺東に行く。LRTができる予定のところだが、住民の反対で前には進んでいないようだ(参考となる記事はここ)。このままでは、「執行猶予」状態の阪堺線は廃止され、堺は路面電車のない街になる。当然ながら、堺の中心部に核をつくることはできない。堺の路面電車は2(阪堺線、東西鉄軌道)か0(廃止)の二択なのだ。LRTは政令指定都市堺にとって重要な路線、早期の開業が望まれる。

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北陸新幹線敦賀以西、9月に測量調査開始

 未だに敦賀以西のルートが定まらない北陸新幹線。大阪までのルートは、小浜市付近を経由する「若狭ルート」、湖西線沿いに走る「湖西ルート」、米原で東海道新幹線に接続する「米原ルート」がありますが、それぞれ一長一短があります。

 しかし、このままでは、北陸新幹線は東京と北陸だけにしか縁のない、単なるローカル新幹線です。東京方面は新幹線の開業により便利になりますが、大阪・名古屋方面は新幹線の開業により不便になってしまいます。そこで、鉄道建設・運輸施設支援機構は、9月から想定される3ルートについて、測量調査を始めることにしました。来年3月までに航空写真を撮影し、精密な地形図を作製します。この地形図は、各ルートの建設費や、所要時間を算出するときの資料となります。

 早くルートを確定させ、北陸新幹線を単なるローカル新幹線から、幹となる新幹線のひとつに格上げする必要がありますね。今のままなら、北陸新幹線は長野止まりでも一向に問題がありません。
(参考:47NEWS http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009072401000804.html)

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リニア、「南アルプスルート」でつくったほうが明らかに有利

 かなり古いニュースですが、備忘録を兼ねて書きます。

 JR東海は、7月21日、リニア新幹線の維持運営費、設備更新費、輸送需要量の3つのデータを発表しました。ルートは木曽谷、伊那谷、南アルプスの3つのルートを想定し、それぞれリニアと通常の新幹線の2つの方式について検討しています。

 結論を簡単にいえば、「南アルプスルート」のほうが「伊那谷ルート」よりも、維持運営費や設備更新費は安く、輸送需要量は増えます。明らかに「南アルプスルート」のほうが有利です。リニアと新幹線とで比べた場合は、新幹線のほうがコストは安いですが、需要は半減してしまいます。

 1時間当たり5本(4本がノンストップ便、1本が各駅停車便)の運転であることと、東京-大阪間の運賃・料金が現在の「のぞみ」より950円高い15000円であることをこの予測を行う上での仮定としています。本数は妥当とは思いますが、運賃・料金はたった1000円増で大丈夫なのでしょうか? 以前聞いた話(8番目のコメントです)では、東京-名古屋間で現在の「のぞみ」より数百円から1000円の価格アップということでしたから。大阪なら乗り換えがありますので、かなりの価格上昇になると思われます。リニアの料金は「のぞみ」の500円増し、名古屋-新大阪間の料金は「のぞみ」の半額とした場合でも1210円の価格上昇です(普通車指定席、通常期)。

 次にJR東海が出す予定のデータは、大阪までの全線が開通したときのもの。名古屋止まりのリニアでは中途半端ですから、ぜひ知りたい重要な情報です。発表は今月下旬以降となります。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000005565.pdf、朝日新聞7月22日朝刊 14版)

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リニア名古屋暫定開業と同時に「のぞみ」廃止?

 5日、JR東海の葛西会長は、都内で講演をしました。その講演によれば、リニア新幹線が東京-名古屋間で開業した段階で、「のぞみ」を廃止させるようです(山陽新幹線についてはわかりません)。東海道新幹線は、「ひかり」と「こだま」だけになり、小田原・三島・静岡・浜松・豊橋などでは「ひかり」の停車本数が増えるようです。「ひかり」そのものが増えるのかどうかはわかりませんが、たぶん増えるのでしょう。

 以前からリニア開業後の東海道新幹線は、「ひかり」「こだま」中心の体系になることはわかっていました(記事はここです)。いずれリニアは新大阪まで伸びるとはいえ、東海道新幹線は東京-大阪間を移動する乗客だけのものではありません。東京-広島間や名古屋-博多間など、山陽方面まで直通する客はいます。「のぞみ」停車駅でも、京都のように、リニアの駅が遠く離れているケースもあります。

 そう考えると、リニアが新大阪までの全線を開業したとしても、東海道新幹線の速達需要が完全になくなるとは考えにくいです。「ひかり」を増発して、これまで恩恵を受けることが少なかった静岡などに停車する「ひかり」の本数を増やすことは必要でしょうが、ある程度の「のぞみ」はいるでしょう。しかも、葛西会長の話によれば、「のぞみ」を廃止するのは名古屋暫定開業の段階です。時間のかかる名古屋での乗り換えを嫌って直通する人も多いでしょうから、どう考えても早すぎますね。

(追記)
 JR東海の葛西会長は、7日のインタビューにおいて、リニア開業後の東海道新幹線のダイヤについて、「のぞみ」は1時間当たり6本(または5本)、「ひかり」は4本(または5本)、「こだま」は2本を基本として考えていることを明らかにしました。5日の講演とは全く違いますが、どちらが正しいのでしょうか?
(参考:時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2009080500654、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090807-00000211-jij-biz)

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「北近畿」などに新型車両投入か?

 「北近畿」などに使われる183系は、かなり老朽化していますが、その置き換えはまだ先のことだと思っていました。あと5年ほどしたら北陸新幹線が金沢まで開業し、「はくたか」に使われている681・683系が転入してくると想定されていました。

 ところが、多くの人の予想を覆す(であろう)決定がなされました。「北近畿」など、大阪・京都から北近畿方面へ走る特急が新型車両に置き換えられるのです。2011年6月までに新型車両は投入されます。

 「雷鳥」も2011年までには新型車両(681・683系)に置き換わります。「北近畿」などに投入される新型車両がどのようなものになるのかという期待とともに、北陸新幹線部分開業で余る681・683系はどこに行くのか、という点にも興味が持たれます。

 実は、北陸新幹線部分開業によって余る681・683系は「北近畿」などの置き換えに回り、足らない車両だけをつくるのかもしれません。これなら、それほどお金はかかりません。それとも北陸の普通列車がどうにもならない状態になって、681・683系の足回りに、223系タイプの車体を載せて走らせるのかもしれません。あるいはこれ以外のことをするのかもしれません。
(参考:神戸新聞NEXT http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0002156472.shtml)

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智頭急行はJR西日本ではありません

 3月に書いた記事なのに、未だにアクセス数が多い「西日本パス」についての記事。切符もヒットし、先月下旬までに約24万枚売れました。その「西日本パス」にあるところから横槍が入りました。

 横槍を入れたのは、公取委。今週中に景品表示法違反(優良誤認)で排除命令を出す予定です。大阪から鳥取に行くには、事実上第三セクターの智頭急行を通る必要があります(JR線だけで行く方法もありますが、時間がかかりすぎて実用的ではありません)。しかし、「西日本パス」のパンフレットには智頭急行に乗るには別料金を払わないといけないことが小さな文字でしか書いていないため、不当な表示に当たるというのです。

 これを受けて、JR西日本は4日(昨日)から、智頭急行やJR九州(全線)も利用できる、新しい「西日本パス」を販売しました。利用できる期間は8月21日(金)から10月26日(月)までの金~月曜日のうち、連続する2日間か3日間(5連休期間の、9月18日(金)から21日(月)の間は除きます)。ただし、値段は上がります。普通車2日間用が12000円から18000円に上がります。一番高いグリーン車3日間用は20000円から22000円に上がります。また、北近畿タンゴ鉄道・土佐くろしお鉄道など、その他の第三セクターは今までどおり別払いです。

 このblogを読んでいる人なら、大阪と鳥取を結ぶ「スーパーはくと」は途中、第三セクターの智頭急行を通る(切符の種類によっては別払いが必要なこともある)ことは常識ですが、一般の人にとってはそこのところはわかりにくいかもしれません。もっとも、小さい字とはいえ、パンフレットには書いているので、公取委が介入するような話ではないとは思うのですが。公取委も暇なのでしょうか? そんなに暇なら、一人旅を締めだす姿勢のほうを追及してもらいたいです。「西日本パス」はあくまで切符であって、旅行商品ではないのですから。

 本当なら、智頭急行など、JRの幹線鉄道ネットワークの一部となる路線は、JRに編入するのが正しいやり方でしょうが、これをやりだすと逆の動きも当然起こさないといけないでしょうね。大都市近郊や特急が通る路線を除けば、何もJRが運営する必要はありません。第三セクターで運営したほうがいい路線はたくさんあります。JRはどうしても利益を追求しないといけないので、ローカル線については「安かろう、悪かろう」路線になってしまいますが、第三セクターなら利益の追求はさほど要求されません。住民へのサービスが第一の目標となります。それどころか、鉄道としての使命は失い、バスで十分なところもありますね。
(参考:日経ネット関西版 http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news001163.html、JR西日本ホームページ http://pamph.jr-odekake.net/view_pamph2.php?client_id=jrwest&book_id=nishinihon_pass)

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(12)

 小倉では祇園太鼓をやっていた。バスの発車まで時間があるので、いくつかの祇園太鼓を見学する。しかし、太鼓を叩くのは22時までと決められているようで、その時間が近づくとお開きになっていった。

 名古屋行きの高速バスは22:05の発車だが、その前に西鉄天神バスセンター行きがやってきた。天神行きのバスは、一見すると路線バスのような前面。さすがにドアは運転士横の1か所だけだし、座席も観光バスのように前向きの座席が並んでいるが。

 天神行きのバスの後に、今晩の宿、名古屋行きの「どんたく号」がやってきた。今日の便は西鉄が担当。夜行バスだというのに、明かりがついている。まるで昼行のバスみたいだ。2号車が指定されたが、乗客はまばら。

 高速に入って、ちょっと走ったと思ったら、関門橋を渡る手前のめかりパーキングエリアで休憩。めかりパーキングエリアは、ガソリンスタンドがない(ガソリンスタンドは、もうひとつ大阪側の王司パーキングエリアにある)ことを除けば、サービスエリア並みの施設がある。なお、反対側の鹿児島方面にはパーキングエリアはない(壇ノ浦にある)。

 ここでの休憩中に、バスは夜行仕様に変わる。西鉄バスは変わっていて、通路と通路の間にカーテンを通す。つまり、ほかの人とはカーテンで仕切られ、寝顔を見られることはないのだ。西鉄バスはこのようなカーテンの仕切りかたを「フェイスカーテン」と言っている。個室ほどではないにせよ、開放寝台クラスのプライバシーは保たれる。この時点で窓のカーテンも閉められる。

 乗務員交代のためいくつかのパーキングエリアに停まったのち、御在所サービスエリアで朝の休憩。夜と朝にちゃんと休憩があるのはありがたい。5分ぐらい遅れているようだが、まず定時と言ってもいいだろう。ここでカーテンを開け、昼行仕様になる。めかりパーキングエリアまでやっていたビデオ放映(映画?)も再開され、窓から景色も眺めることができる。夜行バスは朝になってもカーテンを開けてくれないため、(景色を見ることができず)不満だったが、これはいいシステムだ。「フェイスカーテン」同様、ほかのバス会社にも取り入れてもらいたい。ただ、今回に限って言えば、東名阪は車で何回も走ったことのある道路なので、ありがたみは少なかったが。

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(11)

 コンビニに併設している切符売り場で乗船券を買い、門司港行きの船に乗る。桟橋は浮いているので、よく揺れる。門司港への船は高速船だが、小さいため、その停まっている船もよく揺れる。

 唐戸を出た船は、門司港に向かう。波をものともせず。ときどき、波しぶきが窓ガラスにかかる。門司港にはたった5分で着いた。

 夕食は、門司港名物の焼きカレー。御飯の上にカレー、チーズ、卵などを載せ、グラタン風にオーブンで焼く料理である。現在、門司港では少なくとも25もの店で焼きカレーを提供している。こういうハイカラな料理が名物になっているのは、門司港が九州の玄関口(戦前は、関門トンネルはなく、下関から連絡船で門司港に渡っていた)、海外との貿易の拠点だった証だろう。もっとも、焼きカレーの誕生は、戦後、1960年ごろのようだ。

 行きの船と違って、帰りのバスには当然ながら風呂はない。駅員に教えてもらって、門司駅の北側(歩いて10分ほど)にあるスーパー銭湯に行く。750円と少々高いが、風呂に入らずに一晩過ごすわけにはいかない。(続く)

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(10)

 関門海峡めかりからは、「めかり絶景バス」に乗る。運行している会社は西鉄バス北九州。ICカード(「nimoca」)での利用もできる。

 バスは海沿いの道をしばらく走っていたが、山のほうに曲がると、そこは急坂の連続。一気に山を登っていく。いくつかの停留所を過ぎ、めかり第二展望台で10分間の停車。ここから関門海峡を眺めることができる。

 バスは出発地の関門海峡めかりに戻った。せっかくだから、徒歩で関門海峡を渡ることにする。国道の関門トンネルには、車道のほかに、歩行者や自転車が使う人道も整備されている。和布刈<めかり>神社に近い入口から、エレベーターに乗って地中奥深くまで行く。その深さ、約60メートルだ。トンネルの長さは780メートル。楽々と歩いていける距離。これぐらいなら、泳いで渡ることも出来そうな気もするが、潮の流れが速いため、それは難しいらしい。

 本州側に着く。帰りは唐戸から船に乗るので、御裳川<みもすそがわ>からバスに乗る。下関行きのバスは頻繁に出ているが、パターンは全くない。2、3分で続けてくるときもあれば、15分ぐらい全く来ないときもある。どうやら今回は後者のようだ。(続く)

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やまぎんレトロラインに乗ってきました(9)

 今回の旅のメインは、4月に開業したやまぎんレトロラインに乗ること。やまぎんレトロラインは、観光に特化する目的でつくられた、特殊な鉄道だ。ただし、線路はすでにあった貨物線を流用している。

 この路線、「やまぎんレトロライン」と言われているが、路線や駅の名前を付ける権利は、「ネーミングライツ」というかたちで企業等に販売された。お金を出せば、2012年3月まで自由に名付けることができる。線名は山口銀行に売却されたので、「やまぎんレトロライン」と名付けられている。駅名も終点以外の3駅は企業等に売却され、それぞれ名付けられている。例えば、門司港駅に隣接する「九州鉄道記念館」は、ネーミングライツを手に入れたJR九州が名付けたものである。

 門司港で少し散策したのち、予約していた九州鉄道記念館15:45発の列車に乗る。2両の真っ青なトロッコの前後に、これまた真っ青なディーゼル機関車が前後につく。ディーゼル機関車は客車に比べてとても小さい。実はこの機関車、南阿蘇鉄道で活躍したものである。中に挟まれたトロッコは島原鉄道のものだ。指定券を持たない人の中には、立っている人もいる。どうやら、空いているスペースに立って乗ってもいいようだ。当然のことながら、指定席は埋まっている。ボランティアスタッフに見送られて、列車は発車。

 「潮風号」と名付けられた列車は、ゆっくりと門司港レトロ地区を進んでいく。途中、出光美術館、ノーフォーク広場の2駅に停まるが、そこでもボランティアスタッフの見送りを受けた。ノーフォーク広場を過ぎると、トンネルに入る。天井が青く光る。関門海峡にいる魚が映し出されているのだ。10分で終点の関門海峡めかりに着き、「完乗」のタイトルを維持。(続く)

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