空港の採算性には意味がない
日本国内には約100の空港がありますが、それらの空港は採算がとれていますでしょうか? 国土交通省は7月31日、国内の空港のうち、国が管理する26の空港について2006年度の営業収益(税金投入分を含まず)と営業費用(空港整備費を含む)を発表しました。
黒字の空港は26のうちたった4つ。一番黒字額が大きいのは伊丹空港。2番目は新千歳空港です。そして、一番赤字額が大きいのは福岡空港。2番目は那覇空港です。ただ、福岡・那覇の両空港は営業収益もそれなりにあります。営業収益に対する営業費用の割合の高さからみると、一番高いのは稚内空港と考えられます(営業収益1億円、営業費用10億円。ただし、参考にした記事では、営業収益・営業費用は億単位は切り捨ててあるので、あまり正確ではありません)。
福岡空港や那覇空港は赤字額が大きいのですが(どちらも赤字の原因は地代が高いため)、「無駄な空港」という人は誰もいないでしょう。九州、沖縄の玄関としての拠点性は誰もが認めるところです。大体、羽田空港も赤字です。営業収益は509億円、営業費用が529億円なので、20億円の赤字。4番目に悪い数字です。設備投資の減価償却がかさんでいるのでしょう。
反対に黒字額が最も大きいところは、伊丹空港。就航する便が多いのに、1970年以来大幅な投資がなく、減価償却費が少ないからです。本来なら需要に見合うように投資を行えばよいのですが、ここの最大の問題は騒音問題。21時でもう使えなくなる状況では、拡張することができません。それどころか、騒音対策に1970年以来、6600億円もつぎ込んできたことを考えると、トータルでは赤字になります。「黒字」と胸を張っていられるような状況ではありません。
これらの状況から見ても、単純に「黒字だからいい、赤字だからダメ」というように単純化するわけにはいきませんね。
(参考:朝日新聞8月1日朝刊 13版)
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