民主党政権で交通政策はどうなるのか?
あと半月で選挙になります。今回は、「自民党中心の政権がよいか、民主党中心の政権がよいか」という選択が大きな課題となっています。自民党政権の場合はこれまでの継続でしょうが、もし、民主党が政権を取った場合、交通政策はどのようになるのでしょうか?
今、マニフェストや街頭演説などで公表されているもので考えた場合、自動車のユーザーにとっては歓迎することが多いです。揮発油税等に課されている暫定税率がなくなり、ガソリン代が安くなります。高速道路が無料化され、車でのお出かけのコストが減ります。
これに対して、鉄道に対しては関心がないのか、主だった記述はありません。ただ、公共投資でなされるものについては、すべて見直しの対象になるようです。ということは、(今まで失敗した例がないのになぜかマスコミに叩かれる)整備新幹線も見直しの対象になります。現在、着工している北陸新幹線金沢までは遅れずに開業させるでしょうが、それ以降は開業が遅れたり、凍結されたりする危険性もあります。もっと危ないのは北海道新幹線。岡田幹事長は、5月下旬に帯広で演説をしましたが、そのときに北海道新幹線の無理解さを示す発言をしました。今は新幹線で北海道に行くことは考えられませんが、たとえ盛岡以遠を時速260キロとトロトロ走っても、5時間で札幌まで着くのです。直通需要はなくても、東京-新函館、仙台-札幌という需要を積み重ねることは可能でしょう。
公共事業の見直しは結構なことですが、整備新幹線は今まで失敗した例はないですし(在来線は利用者が減ったのですが、あれはあくまでも特急がなくなることによってローカル線に転落しただけです。貨物さえなければバスでも十分なところもあります)、現状計画されている路線は1時間に1本以上の特急があるため、失敗はないと考えられます。整備新幹線の推進は当然のこととして、むしろ建設のペースを速めるのが正しいでしょう。鉄道が便利になれば、車から鉄道へのシフトが起こり、これまた民主党が推進している温室効果ガスの削減に貢献します。
高速道路の無料化も、理想論としては正しいでしょうが(参考となる記事はここ)、環境が整わない限りは延期してもよいでしょう。つまり、道路特定財源としての揮発油税等はやめますが、その代わりに環境税を設定し、今の暫定税率以上の負担をさせるのです。一部は道路建設に充てられますが、それ以外の公共交通の整備にお金をつぎ込みます。これは自民党など与党の政策ですが、ETC利用者限定の高速道路1000円乗り放題に批判的な意見(環境、渋滞)もあるので、その環境が整うまでは、高速道路の割引はETC利用者限定の通勤割引程度にとどめてもよいのではないでしょうか? 意外と民主党の高速道路無料化を冷静に見ている人は多いのです。
国鉄の廃止になった赤字ローカル線に並行する高速道路のような、無駄な道路は即刻中止すべきでしょうが、道路にしろ鉄道にしろ、適切な投資は今後もしないといけないでしょうね。特に日本は国土が狭く、人口密度が高いですから、鉄道に適している国です。新幹線・特急や大都市圏通勤鉄道を中心に、もっと整備をする必要があります。どこの党が政権を取ろうとも、この事実に変わりはありません。
(参考:asahi.com http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000540908070001、東洋経済ONLINE http://www.toyokeizai.net/business/regional_economy/detail/AC/1fd583d8f7e20e3ae1532c138d247170/page/2/)
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Comments
こんばんは
空港整備にあれだけのお金をかけるのなら、鉄道網を充実したほうがよほど良かったですね。
この狭い国土で、100にも届くほどの空港があることが驚きです。
そのほとんどが赤字と来ては。。。。
今から思うと、返す返すも税金の使い道を間違えていたと言う事になりますかね。
Posted by: まるこ姫 | 2009.10.09 08:26 PM
まるこ姫さん、おはようございます。
* 空港整備にあれだけのお金をかけるのなら、
特別会計でお金があったというのもありますが、それならそれで国際空港の整備をすればよかったですね。離島や北海道のような遠隔地を除けば、空港は各ブロックに1つずつを基本にして、10程度で十分です。
高速道路も鉄道もそれなりにあるのに、単なるライバル意識で空港ができました。国際線もあるにはありますが、ソウルばかり。ソウルのハブ空港化に協力しているのですから、韓国が泣いて喜びます。日本にとって有害無益です。
* 鉄道網を充実したほうがよほど良かったですね。
日本は鉄道に適した国です。マスコミによく叩かれる整備新幹線ももっと推進したほうがよいでしょう。高速道路と違い、補正予算が凍結されなかったのはよいことです(路線によっては言いたいことはありますが)。
(参考:朝日新聞10月10日朝刊 14版)
Posted by: たべちゃん | 2009.10.10 10:06 AM
空港数100は、国土面積比で見れば、主要国に比べて格段に多いわけではありません。
日本の国土は南北に細長いこと、離島が多いことを勘案すれば、なおさらでしょう。
平成になって作られた空港の多く(但馬等)は必要性が乏しいことは事実ですが、全国に10でよいというのは、極論でしょう。
例えば、四国は高松だけにすれば、松山や高知へはそこから2時間半もかけて鉄道で向かえということでしょうか。四国には、新幹線計画もありません。
Posted by: かにうさぎ | 2009.10.10 09:43 PM
かにうさぎさん、おはようございます。
* 平成になって作られた空港の多く(但馬等)は
理想論ととしてはともかく、現実論としては、もうすでに空港がある以上、便が少なくてもなかなか廃止はできません。福井空港みたいに、JALやANAが飛ばなくなって定期便がなくなる空港はごく僅かにとどまるでしょう(それでも施設は残っています。遊覧飛行やチャーター便の運航を行っています)。
(参考:福井空港振興協議会 http://www4.ocn.ne.jp/~fukui-ap/index.html)
Posted by: たべちゃん | 2009.10.11 06:51 AM