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October 2009

名松線の部分バス化はやむを得ず

 2年ぶりに日本に上陸した台風18号。この台風は、松阪と伊勢奥津とを結ぶJR名松線に大きな被害を与えました。松阪-家城間は被害が小さかったこともあり、1週間ほどで復旧しましたが、家城以遠の被害状況はかなりのものでした。そこでJR東海は、家城-伊勢奥津間の鉄道での復旧をあきらめ、今後もバスによる運行を続ける方針です。

 もともと名松線は、松阪と名張とを結ぶ目的で建設された路線でした。しかし、建設途中の1930年に、大阪と伊勢とを結ぶ参宮急行電鉄(今の近鉄大阪線・山田線の一部)が開通。最新鋭の電車が名張と松阪とを通りました。こうなると名松線の建設の意義を失います。結局、名松線は伊勢奥津で止まってしまい、名張まで全線開通することはありませんでした(伊勢奥津-名張間は三重交通のバスが運行)。

 国鉄末期には大きなピンチがありました。輸送量が極めて少ないため、廃止の対象になりましたが、並行する道路が整備されてなかったことから廃止をまぬがれました。しかし、1日5.5往復運転される家城-伊勢奥津間の代行バスが、鉄道とほとんど変わらない時間(便によっては、鉄道よりも速いものもあり)で走ることを考えれば、JRになってからの20年間で道路が整備されたということになります。「並行する道路がないから鉄道を残さないといけない」という理屈は成り立たなくなったのです(このような区間は名松線だけではありません。ほかのローカル線にも見られます)。名松線家城以遠は、地形が厳しいこともあり、安全を確保するため、急カーブや急勾配ではスピードを落とし、1時間に20ミリの雨で運転を見合わせていました。幹線ならちゃんと整備をするのですが、その必要性がなかった区間でした。多額の費用をかけて復旧したとしても、また同じように被害にあう可能性があり、復旧するだけの効果がありません。

 名松線の利用者は減り続けています。JRになってからの20年余りで、名松線全区間では約60%減りました(1日当たりの各駅の乗車人員の計は700人)。特に家城以遠の落ち込みは大きく、約80%減っています(1日当たりの各駅の乗車人員の計は90人)。細かく見ると、JR発足後10年ほどは、名松線全区間も家城以遠も同じように減り、利用者は1987年に比べてほぼ半減しました。しかし、ここ10年は、全区間でみるとほぼ横ばいであるのに対して、家城以遠はまた半減しています。バスで輸送できることは明らかです。わざわざ大金をかけて復旧させる価値はないでしょう。バスでも運賃水準が変わらない以上、赤字でしょうが、それでも復旧にお金を投じる必要がないだけ安上がりだと思われます。維持費も減ると思われます。

 鉄道での運行を止める家城以遠も、運賃は現状のものが維持されます。鉄道車両が来ないとはいえ、JR東海の一路線でありますので、正式には「廃止」に当たらないとも考えられます。名松線の厳しい現状を考えると、部分バス化はやむを得ない状況でしょう。正式に廃止され、JRから切り離され、運賃が値上げされるよりかは良いと思ったほうがよいでしょう。冷静に考えると、このようなローカル線の部分バス化に反対することはできません。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/nws000410.html、「全国鉄道事情大研究 名古屋都心部・三重篇」 川島令三著 草思社)

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年末は「1000円乗り放題」なし

 今年春から実施された、休日の高速道路1000円乗り放題。通常ならば、年末の土日(12月26日、27日)もその対象なのです。

 しかし、国土交通省は、高速道路会社に、26・27の両日をその対象から外すように要請しました(年内は23日が最終日です)。年末は物流の需要が多く、これに加えて不要不急の乗用車が殺到すると渋滞がさらに激しくなるからです。代わりに平日の1月4、5日を1000円乗り放題の対象とします。正式に決定したわけではありませんが、これが実現すれば、片道は(正月になってから戻らない限り)1000円乗り放題の恩恵を受けることができません。

 高速道路が1000円乗り放題になり、高速道路の渋滞はさらに激しくなり、鉄道などから移行したことから環境にも悪いです。1000円乗り放題の効果を半減させる、この施策は素直に歓迎したいと思います。

 さらに言えば、環境税などの車の利用にかかる税金の整備を行うまで、高速道路の割引は通勤割引程度にとどめ、無料化は先送りしたほうがよいですね。この週末から打ち切るのは無茶ですが、12月末か3月末で打ち切るのは可能ですね。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091026-00001015-yom-soci)

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未着工区間及び長崎新幹線が見直しの対象に

 前の記事の続編みたいな記事です。

 民主党政権になり、あらゆる事業が見直しの対象になってきます。整備新幹線も例外ではありません。東北・北海道新幹線八戸-新函館間など、すでに着工されていて、おおよその開業時期も決まっている区間については見直しの対象にもならず継続されますが、北海道新幹線新函館-札幌間などの未着工区間については、見直しの対象になります。未着工区間が建設を希望するときは、地元が需要予測をしないといけません(これまでは国が行っていました)。また、長崎新幹線については、すでに着工されている武雄温泉-諫早間についても見直しの対象となり、長崎新幹線で導入される予定であるフリーゲージトレインについても再検討されます。

 ただ、整備新幹線の未着工区間は建設する価値がある区間です。北海道新幹線の場合は、スピードアップが前提ですが、羽田-新千歳間の航空機にも対抗できます。北陸新幹線は、需要の多さが魅力。関西と北陸の間を9両編成(多客期は12両もあり)の「サンダーバード」「雷鳥」が1時間に1~2本走っています。在来線時代の「あさま」とほぼ同等の数字です。北陸新幹線は西に行けばいくほど需要が増えますので、金沢止まりにするほうがもったいないのです。北海道新幹線や北陸新幹線(大阪までの全線をつくることが前提ですが)は、国の骨格となる新幹線。国も地方の需要予測作りに協力をする必要があります。これまでの整備新幹線の予測は、厳しい目にさらされ、適切なものになっていますから。失敗したものはありません。

 長崎新幹線も5~6両編成の「かもめ」が1時間に1~2本とそれなりに多いですが、部分的な建設にとどまるため、所要時間の短縮はそれほどでもありません。実現が疑わしいフリーゲージトレインの導入を前提としているのも大きなマイナスです。北海道新幹線や北陸新幹線とは違い、「幹」から外れているのも低い評価にとどまる原因です。

 新幹線が開業すると在来線の乗客が減ることを否定的にとらえる民主党議員もいますが、在来線の利用者が減るのは当たり前のことです。もともと在来線は、特急の利用者で稼いでいたのです。普通列車は採算の取れない部門です。その普通列車だけで採算を取ろうとすると、どうしても運賃が上がってしまいます。ちょっとのお金を出せば、新幹線に乗れるのです。たとえば、盛岡-八戸間のIGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道の運賃は2960円。これに対して、新幹線は特急料金(立席、空いていれば座ることができます)を加えても3410円です。たった450円しか変わりません。盛岡-二戸間で比較しても、両者の差は870円です。長距離の客は、まず新幹線に移行します。在来線をJRのまま維持したければ、運賃を値上げして、新幹線利用者にも薄く広く負担してもらうしかないのです。長野新幹線の場合、在来線の賃率を幹線から地方交通線に値上げすれば、在来線はJRのままで維持できた、という話もあります(特殊な区間の横川-軽井沢間はともかくとして)。この場合、営業キロが在来線のものをそのまま利用したとしても、東京-長野間の新幹線の運賃の上昇はありません。ルートの都合上、新幹線のほうが若干遠回りであることと、営業キロの区切りの関係からです。

 結論としては、(1)北海道新幹線・北陸新幹線は、全線開業を前提に建設を進める。北陸新幹線金沢暫定開業で不便になる大阪方面については、特急の富山までの直通は維持する。(2)長崎新幹線は、オリンピックが来ない限り、(1)が完成するまでの間、建設はしない。オリンピック招致に成功したら、フル規格で急いで建設する。 この方針でよいのではないでしょうか?
(参考:47NEWS http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102001001037.html、NIKKEI NEThttp://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091023AT3S2301123102009.html、asahi.com http://www.asahi.com/politics/update/1023/TKY200910230268.html、「未来鉄道2020年 新線鉄道計画徹底ガイド 西日本編」 川島令三著 山海堂)

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整備新幹線、新函館止まりや金沢止まりでいいのか?

 今月15日に締め切られた来年度の概算要求において、整備新幹線については、今年度と同額の706億円を要求しています。予算案となり、国会を通過するまでまだ時間があるので、これで確定したわけではないのですが、少なくても前年と同額を維持しているということは、公共事業の中では恵まれた部類でしょう。今建設中のところは、北陸新幹線など問題のあるところもありますが、順調にいきそうです。

 しかし、北海道新幹線新函館-札幌間など、未着工区間には厳しいものとなっています。昨年の段階で、北海道新幹線長万部-札幌間など、未着工区間の一部について今年度に着工するというがありました。しかし、来年度の概算要求では新規着工区間の調査費(7億円)は盛り込まれなかったのです。政権が変わったので、自民党時代に行われた話は消えてしまったのです。これらの区間を着工するかどうかは、年末の予算編成までに結論を出すようです。自民党時代なら、いずれは着工されるでしょうが、今は民主党の時代。今までの「常識」は通用しません。でも、新幹線が新函館止まりや金沢止まりのままでよいでしょうか?

 確かに自民党時代の計画はあまりにも細切れでした。長万部-札幌間だけをつくって、新幹線を走らせるとは誰も思っていません。そのうちに、新函館-長万部間も着工され、新函館-札幌間が一気に開通するというシナリオが簡単に予想されます。

 しかしこのことは、北海道新幹線を否定する理由になりません。北陸新幹線にも当てはまることですが、どちらも新幹線をつくるだけの需要があるのです(詳しくは次の記事で書きます)。北海道新幹線に話を戻しますが、途中にそこそこの規模の町がない以上、一気に札幌までつくるしか解はあり得ないのです。しかも、望まれるのはスピードアップ。盛岡-札幌間を時速260キロでチンタラ進んだら、東京-札幌間が5時間近くかかってしまいます(宇都宮-盛岡間は時速320キロ運転)。しかし、盛岡以北を時速320キロ運転すれば東京-札幌間は4時間30分程度、大宮以北を時速360キロ運転すれば東京-札幌間を3時間50分程度で結んでしまいます。世界有数の利用者を誇る航空機の羽田-新千歳間に対抗できます。まさに「革命」です。整備新幹線を時速360キロ対応にできるか、資金をどうやって出すか(国? JR?)、など課題はたくさんありますが、やってみる価値はあるでしょう。スピードアップした分だけ、北海道新幹線の価値は増えます。

 北陸新幹線も、終点が福井や敦賀にとどまるうちは、東京と北陸を結ぶだけのローカル新幹線。しかも、敦賀あたりになると、以前にも書いたとおり、所要時間短縮のメリットはありません。ブレイクスルーは、大阪まで伸ばして発生します。北陸からは、東にも西にも需要があります。それを上手に取り込むには、大阪までの全線開通が欠かせません。どちらも中途半端ではいけないのです。
(参考:時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/zc?k=200910/2009101501114)

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暫定税率廃止&高速無料化は時期尚早

 与党となった民主党は、来年度の概算要求に、高速道路の無料化の試行を盛り込みました。また、来年度の税制改正で、揮発油税等の暫定税率の廃止を行う予定です。これにより高速道路が一部区間で無料になったり、ガソリンの価格が1リットル当たり約25円下がったりすることになります。

 地方の場合、「高速道路はガラガラだが、並行して走る国道は渋滞している」という話もあります。国道から高速道路にシフトすれば、渋滞が消え、温室効果ガスの発生はむしろ減ります。それを考えると、ETCの通勤割引は理にかなっているといえます。もともと地方圏では通勤は車がメイン。不便なので、鉄道は高校生の通学ぐらいしか使われません。高速道路を通勤時間帯に限り割引したり、無料にしても、鉄道からの移行はそれほど大きくはないでしょう。ある程度利用者の多いところは、バスを走らせたりするといいのですが。

 反対に、今行っている1000円での乗り放題や、これから行おうとしている無料化は、鉄道がそれなりに力を持っている長距離の需要を奪ってしまいます。こちらはマイナスの影響が大きいです。民主党は来年度の予算(概算要求段階)で6000億円(首都高速、阪神高速を除いた高速道路収入の1/3)の費用をかけて無料化の実験を行おうとしていますが、すでに1000円乗り放題である程度の結果が見えています。単に高速道路の値下げだけを行うのは、弊害が大きいです。高速道路収入の穴埋めのためにも、車のユーザーでの負担がいるでしょう。車の利用度合いに応じて負担するのなら、それが高速道路料金のかたちになっても、揮発油税等のかたちになってもかまわないです。車のユーザーの負担になるとはいっても、使わない車にもかかる自動車税の増税は良くないです。地球環境のためには、車をできるだけ使わず、できるだけ公共交通にシフトさせたいのですから、「固定費」みたいなものはできるだけ少なくしたほうがよいです。

 暫定税率の代わりに環境税などの新たな税金の設計を行うまで、暫定税率の廃止は先送りしたほうがよいのではないでしょうか? もっとも、暫定税率を従来通り道路建設に充てていては、意味がありません。一応は、揮発油税等などの道路特定財源は一般財源化されているのですから、今のままでも道路以外の事業に充てることができます。今の日本の財政は厳しく、国債の発行高はなかなか減りません。来年は新政権になったことから、新規施策も多く、国債の発行高はむしろ増加の見込みです。あらゆる方法で増税を図らないといけないのに、減税をする余裕はどこにもありません。

 ただ、揮発油税等にしろ、環境税にしろ、全額道路とはまったく関係のないところに入れるのも理屈が通らないかもしれません。課税対象が汚染物質なのですから。その場合、使い道として意義があるのは、公共交通の充実。しかも、ローカル線ではなく(ガラガラのローカル線だと、それ自体が環境が悪いこともあります)、新幹線などの主要幹線の整備。東京-大阪間なら、トラックのための貨物鉄道もよいでしょう。遅くて不便な乗り物に乗るのは高齢者・子供・鉄道ファンだけでしょうが、車よりも文句なしに速い乗り物なら黙っていても使ってくれます。
(参考:時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/zc?k=200910/2009101501114、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091009-00000077-san-bus_all、国土交通省道路局ホームページ http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-funds/minaoshi.html)

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JR四国、高速無料化で廃線の危機?

 JR四国は、高速道路を無料化した場合、44億円の減収になると試算しています。2008年度のJR四国の鉄道収入は252億円。しかし、今年春からの高速道路の1000円乗り放題で、2009年度は14億円の減収が見込まれています。景気の低迷などの高速以外の減収要素(10億円)もあるので、今年度の鉄道収入は228億円を見込んでいます。もし、高速道路の無料化が実現した場合、他の要素を無視しても、鉄道収入が198億円に減少します。もとの規模を考えたら、大きな数字です。9月30日に行われた同社の記者会見でも、危機的状況をはっきりと述べています。

 ところで、今回の1000円乗り放題の割引は、いわゆる「埋蔵金」、財政投融資特別会計の積立金を使っています。この積立金は本来、国債の償還に充てるためのものです。これを高速道路に使うことによって、国債の償還がその分だけ遅れます。つまり、国債を発行して大幅な割引を行っているのです。道路特定財源ならばまだ、車のユーザーのお金で成り立っているといえますが(もっとも、新たな区間の建設費や本四架橋などの特殊な区間の料金引き下げではないのに、民営化した高速道路会社に税金を投入して、料金を下げることに対することの是非はありますが)、それですらないのです。自動車交通は大量輸送には向かず、資源を浪費するので(省エネ技術は進むでしょうが、道路を必要とすることには変わりません)、実際の受益以上の過重な負担を課してもよいと考えられます。道路特定財源で以て、鉄道などの公共交通の整備に充てたりするのも容認できます。

 道路を優遇した、その結果がJRの不振。ほかにも旅客の分野では、バス会社やフェリー会社が被害をこうむっています。公共交通を税金で邪魔しているのです。

 JR四国は2両編成を1両だけにするなど、普通列車の長さを短くして対応していますが、その努力もいつかは限界が来ます。そのうち本数が減り、最終的には廃止に追い込まれる危険性もあります。廃止になるのは、高速道路に並行している路線ではありません。それなりに特急が通り、減るとはいっても需要はあるからです。廃止になるのはローカル線。ローカル線をJRで維持すべきかという話はともかくとして(個人的には、特急の通らない地方のローカル線は、JRで維持すべきではないと考えています)、高速道路無料化の犠牲になるわけです。

 特にJR四国はJRグループで唯一、開業している新幹線も建設中の新幹線もありません。車に対抗するためには、車よりはるかに速いスピードが必要ですが、そのような抜本的な改良策はありません。四国新幹線ができればよかったのですが、その計画も消えてしまいました。明石海峡大橋が鉄道に対応していないためですが、それなら次善の策として瀬戸大橋に新幹線を通して、岡山から松山に新幹線をつくってもよかったですね。この区間なら「しおかぜ」が1時間に1本通りますから、それなりの価値はあるでしょう。
(参考:四国新聞社ホームページ http://news.shikoku-np.co.jp/kagawa/economy/200910/20091009000087.htm、Business Media 誠 http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0908/07/news021.html)

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リニア、ようやく2045年に全線開業

 東京(品川)と名古屋を結ぶ予定のリニア新幹線。2025年に名古屋まで開業しますが、誰の目にも中途半端なのは明らかです。せっかくリニアをつくるなら、大阪(新大阪)までの全線開業が欠かせません。その新大阪まで開業したときの予測は、8月末に出るといわれていましたが、なかなか出ませんでした。

 13日になって、待ちに待ったその予測が出ました。今回も、7月に出されたものと同じように、木曽谷、伊那谷、南アルプスの3つのルートを想定し、それぞれリニアと通常の新幹線の2つの方式について検討しています。なお、運転本数は、(新大阪まで伸びることによって需要が増えるため)増えると想定しています。名古屋のみに停まるノンストップ便が1時間に7本、各駅に停まるものが1時間に1本運転されるとしています。リニアの駅は、名古屋以西も各県1駅の原則が維持されるようです。名古屋-新大阪間の途中の駅は、亀山とけいはんなあたりでしょうか?

 ここにおいても「南アルプスルート」の優位性は明らかです。「南アルプスルート」の場合、品川-新大阪間の所要時間は67分(リニアの場合、途中名古屋のみに停車。以下同じ)。これに対して、「伊那谷ルート」は74分と余計に7分かかります。輸送需要量も416億人キロと392億人キロで、「南アルプスルート」のほうが良い数字です。工事費(車両費を含む)は、8.4兆円と9.1兆円で「南アルプスルート」のほうが安いです。維持運営費、設備更新費も「南アルプスルート」のほうが安いです。「南アルプスルート」しかありえません。

 リニアが大阪まで開業したらどのようになるのでしょうか? まず考えられるのが、航空機から鉄道への転移。リニアの輸送需要量のうち、6割強の257億人キロは東海道新幹線から転移しますが、航空機からも30億人キロが転移します(数字は「南アルプスルート」でリニア方式にてつくった場合)。これにより、現在、首都圏と近畿圏の交通機関別のシェアは、2007年度の新幹線:航空機=81:19から、89:11に変わります。

 リニアによる品川-新大阪間の所要時間の短縮は、山陽方面にも影響を与えます。新大阪での乗り換えは15分かかると考えられるため、品川-岡山間は2時間7分、品川-広島間は2時間42分、品川-博多間でも3時間45分で結ばれます(山陽新幹線はN700系の「のぞみ」のスピードで算定。停車駅は、新神戸・岡山・広島・小倉)。新大阪での乗り換えはありますが、かなりの所要時間短縮です。1時間あまりも短縮されるのですから。このことにより、岡山や広島でも、航空機からリニア+新幹線に乗り換える人が出てきます。JR東海は、現在航空機を利用している人のうち、2割強がリニア+新幹線に転移すると考えています。

 さて、気になる全線開業の時期は今から36年後の2045年。気が遠くなる数字です。ここまでは既存の東海道新幹線に頼らざるを得ないですから、少なくとも名古屋以西では大改修はできません。開業から80年は東海道新幹線一本に頼ることになります。名古屋暫定開業の段階では、乗り換えの手間もかかり、JR東海が狙っている航空機からの転移は進まないでしょう。

 暫定開業の段階では、名古屋での乗り換え設備は充実させておく必要がありますが、新大阪まで伸びればほとんど使われなくなります。名古屋に近接して車庫をつくる必要もありません。新大阪までの全線開業を2045年としたのは、10年と見込んでいる新大阪駅の建設期間のほかに、建設に伴う債務の償還を考えてのことです(JR東海は、名古屋以西も全額自己負担で建設するようです)。でも、リニアは大阪までの全線できて効果を発揮するもの。名古屋までの暫定開業では、既存の東海道新幹線からの転移だけで、それほどの価値はありません。大阪まで一気につくるに越したことはありません。一時的には国からの融資を受けてでも(整備新幹線方式? 無利子融資?)、大阪までの全線開業の時期を早める必要があるのではないでしょうか?
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000006377.pdf、朝日新聞10月14日朝刊 14版)

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羽田ハブ空港化への大転換

 「質より量」という言葉がぴったりと当てはまる日本の航空行政。地方空港がやたらと整備されますが、乗り入れる便は少なく、閑古鳥が鳴いています。ちょっと大きくなれば、「おらが県にも国際空港」とばかり、国際線が就航します。しかし、ひとつしかない行先は必ずといってもいいほど、ソウル(仁川)。韓国にとっては泣いて喜ぶような話です。日本が仁川のハブ空港化に協力しているのですから。日本はと言えば、首都圏には羽田と成田という大空港が存在しますが、それぞれ国内線、国際線主体の空港に役割分担され、乗り継ぎは不便です。第二の都市圏の関西圏も、関空の開業によって廃止されるはずの伊丹空港が残ってしまい、おまけに神戸空港までできてしまい、せっかくの関空の機能が活かせていません。日本にはハブ空港というものはなく、むしろソウルの仁川がそれに該当するというのが、残念ながら現実でありました。

 しかし、12日、前原国交相大臣は、泉佐野市内で橋下大阪府知事と会談したときに、羽田をハブ空港とする趣旨の発言をしました。これまでの羽田と成田の役割分担を変えようとするのです。

 羽田は都心に近く、理想的ですが、ハブ空港になるには、キャパが小さいです。来年にD滑走路ができますが、さらに兆のお金をかけて滑走路を増設しなければ、需要は満たせないでしょう。滑走路を増設しないならば、地方空港をつぶすのを覚悟で、羽田からの地方便を削り(赤字の地方路線を削れば、JALの再建には役立ちますが)、その枠を転用させないといけません。巨額の公共事業を行ったり、地方空港をつぶしたりする「度胸」はあるのでしょうか?

 これまで国際線を担っていた成田との役割分担の難しさもあります。羽田をハブ空港化した場合、成田の役割はどのようになるのでしょうか? 今までは、「国内線は羽田、国際線は成田」と言えばよかったのですが、羽田がハブ空港化すれば、両空港のすみわけは至難の業です。成田に大半が残れば、羽田はハブにはなりませんし、大量に羽田に移せば、成田は閑古鳥が鳴いてしまいます。

 成田は羽田に比べてかなり遠いように思えますが、来年の7月には成田高速鉄道が開業し、東京(日暮里)と成田空港(空港第2ビル)との間が36分で結ばれます。運営するのがJRではなく京成なので、運賃・料金もそれほど高くないでしょう。「スカイライナー」は、北総鉄道・成田新高速鉄道を経由するとはいえ、両端のターミナルが京成なので、従来の京成船橋経由と区別できません。運賃は現状の「スカイライナー」と変わらず、料金も現状より大幅に上がるとは考えにくいです。

 再拡張ができない、地方空港も大幅には削れない、となった場合、次善の策としては、関空や中部といった国内のほかの主要空港を使うしかありません。羽田をハブ空港化するという「理想」からは外れますが、肝心のキャパがない以上は仕方がないでしょう。その意味では、「関空もハブにすべき」という橋下知事の考えはそう外れてはいないことになります。国の中心のハブ空港ではないにせよ、国の基幹空港として位置づける必要はあるでしょう。もっとも、その橋下知事、前原大臣が関空のハブ空港化に触れていないのに怒り、関空への税金の投入をやめる趣旨の発言をしましたが、激怒するのは橋下知事の戦略の一環でもあるので、文字通りに受け取らないほうがよいでしょう。ちゃんと府庁の中では、幹部に関空をハブ空港にするにはどうすればよいのか理論武装するように指示していますから。

(追記)
 前原大臣と森田千葉県知事は、14日、国土交通省内で会談しました。森田知事はこれまで、(成田空港の地位低下を招きかねない)羽田のハブ空港化に強く反発していましたが、羽田・成田の両空港を一体的に活用することで合意しました。

 前原大臣の説明によれば、羽田は2010年のD滑走路完成により、新たに年間11万回の発着枠が生まれます(発着枠は滑走路が完成しても一気に増えず、徐々に増えていきます)。すでに国際線に3万回、国内線に2万回割り当てることが決まっていますので、残りについてできるだけ国際線に回したい意向のようです。

 森田知事が会談後の様子からみてもわかりますように、羽田をハブ空港化するといっても、成田の機能をごっそり移すわけではないのです。両方の空港が並立するのです。大きく騒いだ割には、大したことはないのです。「理想」にはほど遠く、両空港の役割分担の話が表面化したときには、さらに事態はややこしくなりそうです。
(参考:MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/politics/local/091012/lcl0910121134000-n1.htm、朝日新聞10月14日朝刊 14版、朝日新聞10月15日朝刊)

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広島・長崎オリンピックなら見てみたい

 東京が国民の支持を得られなかったため、2016年夏季オリンピックの誘致に失敗したことは記憶に新しいところですが、今度は違う都市が2020年夏季オリンピックに立候補しました。

 それは広島と長崎。両市が主導する平和市長会議(世界で3147都市が加盟しています)において、核廃絶の目標として定めている2020年にオリンピックを開催しようとしているのです。スポーツに政治を持ち込むことの是非は問われますが、平和のイメージのあるオリンピックにはふさわしい土地ですね。都知事の野望ばかりが目立つ、東京よりはるかに魅力的です。

 確かに課題は多いです。オリンピックは原則として1つの都市で行うことにしています。しかも、落選した東京がそうであったように、その都市の中でも、狭い地域内にコンパクトにまとめるのがよいとされています。11日に両市の市長が広島市役所で行った記者会見によれば、広島・長崎のほかにも周辺の他都市(福岡あたりを念頭に置いている?)でも開催地に加わるように呼びかけていることから、さらに分散化します。競技は2都市(+α)で分けるでしょうが、IOCの役員の移動の問題が出てきます。両都市を乗り換えなしで結ぶ交通機関はありません。鉄道も飛行機もバスも直通しないのです。オリンピック開催が決まれば、長崎新幹線がフル規格でできるのかもしれません。新大阪-長崎間を直通する列車(平和にちなんで「はと」?)に乗れば、広島-長崎間が2時間程度で結ばれます。

 夏季オリンピックが大都市で行われることが多いのは、競技場の問題のほかに、ホテルの問題があります。半径50キロ圏内に4万室のホテルが必要とされています。この基準は、人口145万人の福岡市でようやく満たすことができるほど。広島市でも厳しいです。財政問題も重くのしかかります。

 確かに単純にオリンピックをするなら、インフラが整っている東京のほうが有利かもしれません。東京の大きなマイナスポイントは、国民の支持が得られなかったことであり、計画そのものの評価は高かったです。でも、広島・長崎オリンピックには、応援したくなる「何か」がありますね。東京では、逆立ちしても得られるものではありません。
(参考:朝日新聞10月12日朝刊 14版)

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北陸新幹線、沿線県が意見対立

 整備新幹線の建設が進むと、軌道、電気、駅舎などの設備工事(追加工事)が必要になってきます。国は沿線自治体(県)に意見を聞き、この追加工事への認可を出します。普通、新幹線が欲しい沿線各県はこの追加工事には同意します。北陸新幹線の場合、長野・富山・石川はすでに同意しています。ところが、新潟はまだなのです。そのため、国や長野など3県は、新潟県に対して、開業が遅くなるのを防ぐために、軌道などの追加工事に同意するよう求めてきました。新潟県がなぜ同意しないのかといえば、建設負担金の増額(約220億円)などに異議を唱えているからなのです。新潟県は、県内の駅にすべての列車を停めることを求めていますが(5番目のコメントです)、いい返事がもらえないことも面白くないようです。

 そのような状況の中、8日、長野・新潟・富山・石川の4県の知事が、前原国土交通相大臣と意見交換を行いました。意見交換の内容は北陸新幹線に関してのものですが、長野・富山・石川の各県と新潟県は立場が違いました。長野など3県は北陸新幹線長野-金沢間の2014年度末の開業に必要な追加工事を進めることを求めたのに対し、新潟県はそれに対して否定的な立場をとりました。結局、前原大臣は9日、北陸新幹線の追加工事を認めました。これに対して、泉田新潟県知事は、追加工事認可の撤回を申し入れたり、予算の執行の凍結(2009年度の未執行分は104億円)をしたりすることを検討するようです。

 新潟県が整備新幹線沿線であるにもかかわらず、北陸新幹線を歓迎していないのは、特有の事情があるからです。富山県や石川県は、北陸新幹線の成否は県を左右します。(すでに「長野新幹線」のかたちで長野まで開業している)長野県についても、北陸新幹線ができれば、便利になります。金沢まで増えれば、(北陸へ行く分だけ)新幹線の本数が増えます。大宮-長野間をノンストップで結ぶ便も増えるでしょう。

 これに対して新潟県にとって北陸新幹線は、県の西のほうを少しかすめるだけの線。県内の大部分にとっては重要ではありません。メインはあくまでも上越新幹線です。しかも、北陸新幹線が開業すると上越新幹線の地位が低下します。今は上越新幹線には北陸へのアクセス機能もありますが(反対に長野新幹線は長野へのローカル新幹線)、北陸新幹線の開業後は単に新潟(+山形県庄内地方)に行くだけのローカル新幹線です。地位が逆転するのです。今まで「はくたか」で黒字であった北越急行が(新幹線開業によって)経営が悪くなる問題や、並行在来線の問題も抱えます。北陸新幹線ができなければ、こういうややこしい問題は発生しません。

 これだけをみると、新潟県の行動はわがままなようにも見えますが、(敦賀から先のルートが確定していない現状では)北陸新幹線は単なる東京と北陸を結ぶだけのローカル新幹線。同じ整備新幹線でも東北・北海道や九州と違い、「幹」にはなりえません。日本海側へのアクセスとして役立った上越新幹線のほうが価値は高いです。大阪までできない限り、北陸新幹線が単なる一地域の利便性のためのローカル新幹線であるという評価は変えられないでしょう。

 それを考えたら、新潟県の行動はマクロ的に見ればよいことかもしれません。急ぐべきは札幌までを結ぶ北海道新幹線。北陸新幹線がまず最初にしなければならないことは、大阪までの全線開業への道筋をつけることなのです。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091010-00000007-san-l15、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091010-00000069-mailo-l15、毎日jp http://mainichi.jp/area/niigata/news/20091009ddlk15010009000c.html?inb=yt)

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阪神、最終戦でクライマックス・シリーズ逃す

 阪神は大事な試合での勝負弱さ(?)を発揮したのか、昨日のヤクルト戦で敗れ、クライマックス・シリーズ進出を逃しました。クライマックス・シリーズ進出を逃すのは、2007年に制度が導入されてからは初めてのことです。つまり、5年ぶりのBクラスです。後半はそれなりに健闘しましたが、あと一歩及びませんでした。反対に、対戦相手のヤクルトは初めてのクライマックス・シリーズ進出です。おめでとうございます。

 今年も目に付いたのは若手があまり育っていないこと。能見投手、久保投手、狩野選手、桜井選手ぐらいが目立つ程度です。来年の課題は、活躍を続けること。2年連続で活躍して、ようやく一人前です。狩野選手も桜井選手も2007年にはそこそこ活躍しましたが、2008年はあまり試合に出ることができませんでした。今年のオフは練習です。

 かといって、ベテラン勢が活躍したわけでもありません。年棒ダウンは覚悟です。4年も不振が続く今岡選手のように、戦力外通告・トレードのかたちでチームを追い出される選手もいるでしょう(今岡選手は戦力外通告されるようです)。終盤、早々とノックアウトされた安藤投手を使い続けたことに象徴されるように(実績がない投手なら先発どころか、二軍行きでしょう)、真弓監督の采配にもベテラン重視の様子がうかがえました。矢野選手のケガがあったとはいえ、守備に不安のある狩野選手をメインの捕手として使っていったように、将来のことを考えて若手を起用したほうがいいのではないのでしょうか? 金本選手も例外ではありません。来年も中心選手として活躍するでしょうが、フルイニング出場のこだわりを捨て、状況に応じて守備固めを出してもよいのではないでしょうか? 選手として長く活躍してもらうことが大切です。

 外国人も大外れでした。メンチ選手は全くと言ってもいいほど打ちませんでした。結局、元西武のブラゼル選手を急遽呼んできてしのぎましたが、外国人野手は奇跡といってもいいほど当たらないですね。打つのは他の日本のチームで働いていた人だけです。外国人による補強は手っ取り早い対策なのに、これでは勝てないのは当然です。スカウトが悪いのでしょうか?

 来年もベテラン、若手のバランスが取れた巨人は強いでしょう。クライマックス・シリーズ狙いに徹するなら、巨人戦はあきらめ、他のチームによい投手をぶつけるのも手ですが(2位、3位の中日、ヤクルトは巨人には負け越しています。他のチームに勝って稼いでいるのです)、それでは美しくはありません。やはり巨人に勝ってこその阪神です。

 来年は真弓監督も2年目。結果が問われる年です。来年こそは優勝の美酒を味わいたいですね。
(参考:朝日新聞10月10日朝刊 14版)

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大分のホーバークラフト、今月末で廃止

 大分の空の玄関、大分空港へのアクセスは、バスのほかにホーバークラフトがあります。ホーバークラフトは、1970年に空港が大分市内から現在の場所(国東市)に移転して以来、その速さを武器にバスに対抗してきました。大分駅前から出ている連絡バスで16分のところにある乗り場から、30分で空港に着きます。トータルで約50分です。これに対してバスは値段は約半額の片道1500円(ホーバークラフトは連絡バスを含めて、片道3140円)で済むものの、60分かかります。

 しかし、道路の整備(ホーバークラフトとバスの所要時間の差は10分しかありません)や空港利用者そのものの減少により、売り上げは減少。1996年度まで9億円台あった売り上げが、2008年度には6.2億円にまで減少しました。この時点で5000万円の債務超過に陥ったのです。今年度も赤字の見込みで、回復の見込みもありません。しかも、ホーバークラフトのメーカーから2016年度に部品の供給を停止するとの連絡があり、9月30日に運営会社の大分ホーバーフェリーは、民事再生法の適用を申請しました。今月末で運航を停止し、会社は清算する方針です。

 少し前、テレビでホーバークラフトを見ましたが、一度ぐらいは乗ってみたかったですね。大分ホーバーフェリーは、そういう人のために、往復乗船券も売っています。空港や大分市内に5時間しか滞在できませんが、料金は格安の2800円。片道運賃より安いです。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090930-00000018-nnp-l44、大分ホーバーフェリー株式会社ホームページ http://www.oitahover.co.jp/index.html)

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「北近畿」などへ287系投入

 以前、「北近畿」などに新型車両を投入するを書きましたが、その続報です。

 新型車両の名称は287系。2011年春ごろに大阪・京都-城崎温泉・天橋立・東舞鶴間などで運転開始する予定です。参考とした記事に添付されているイラストをみると、「サンダーバード」などに使われる683系とそっくりの車両です。安全性向上のために、オフセット衝突対策や衝撃吸収構造の採用を行います。また、新たに設けられる客室設備としては、急病の乗客の休憩や授乳などに利用できる多目的室の設置、車いす対応トイレや女性専用トイレの設置が挙げられます。シートピッチも拡大し、一部の座席(グリーン車の全座席と普通車の車両最前部・最後部)にはモバイル用コンセントを設置します。新型「はまかぜ」(形式名称未定)と違って、こちらにはグリーン車が付くようです。ただ、記事にまったく記載がないことから、高速化の類は行われないのでしょう。(新型「はまかぜ」はJR神戸線を走ることもあり、時速130キロで運転します)。高速道路がますます整備されることを考えると、最高速度のアップなり、振り子対応にするなりの改善が欲しかったところです。

 287系は、4両編成7本と3両編成6本のあわせて46両が制作されます。しかし、現在、「北近畿」などで使用されている183系は86両。40両足りません。足らない分は北陸新幹線部分開業によって余る681系・683系を転用させるのでしょうか? 現状では、183系の6両編成(6本)を置き換えることができません。

 この「北近畿」などへの新型車両の投入によって、JR西日本の特急もかなり新型車両が多くなりますね。「はまかぜ」も新型に置き換えられますし、ブルートレインや北陸新幹線部分開業で廃止になるであろう「北越」はともかくとして(「トワイライトエクスプレス」ぐらいは残るかな?)、残る旧型車両は振り子の「くろしお」「やくも」ぐらいですね。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174397_799.html、両丹日日新聞ホームページ http://www.ryoutan.co.jp/news/2009/10/03/001235.html、福知山運転所183系情報局 http://homepage3.nifty.com/hashidate-monju/index.htm)

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2016年オリンピック、東京落選!

 おはようございます。

 2日(日本時間では3日未明)、コペンハーゲンで国際オリンピック委員会(IOC)総会が行われました。その総会で、2016年夏季オリンピックは、ブラジルのリオデジャネイロで行われることが決まりました。多くの人が予想し、期待もしていた(?)通り、東京は落選したのです。

 「本命」とも言われたシカゴが一番に落ちたのは意外でしたが(1996年のアトランタから20年経っていますから、「そろそろ」と思っていました)、東京の落選はまぁ、当然でしょう。確かに治安は良く、開催に必要なインフラは整っているのでしょうが、一番大事な国民からの支持が欠けているのが最大の欠点でした。この欠点については、以前から指摘されていましたが、結局解消されないまま総会を迎えてしまいました。50年前と違い、東京で行われるオリンピックに「夢」を抱けなくなったのです。石原都知事の思いつきで行われただけですから、東京に共感をもて、というほうが無理です。むしろ、国内予選で落選した福岡のほうが、共感はもてたでしょう。

 当選したリオデジャネイロは、治安が悪いという問題がありますが、南米初めてのオリンピックです。3度目の挑戦で、ようやく悲願をかなえました。明るさと情熱で、大いに成功することを期待しています。
(参考:朝日新聞10月3日朝刊 14版)

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竹山氏(新堺市長)、路面電車の代わりに地下鉄?

 堺東と堺とを結ぶLRTの計画を白紙撤回する公約を掲げて当選した、竹山氏。当選後に新聞社が行ったインタビューでも、撤回の考えに変わりがないことを示しています。

 そして、堺から西については、新たなアイデアを出してきました。大阪市営地下鉄四つ橋線を堺方面に延伸させることを考えているようです。四つ橋線を堺方面に伸ばすことによって、大阪湾岸を貫く鉄道の整備がなされるというのです。地下鉄は大阪市のものなので、当然のことながら大阪市と話をする必要がありますが、平松大阪市長とも話をしたいと考えているようです。

 しかし、地下鉄はすでに十分に整備されている南北を結ぶ軸。近くには南海本線があります。地下鉄ができれば、南港方面には便利でしょうが、それほど急ぐものではありません。一番の支援者であった橋下知事が推進する、府庁のWTCへの移転を想定してのことでしょうが、一般市民が府庁に行く、ということはそうありません。堺にとって必要なのは、足らない東西の軸であって、十分に足りている南北の軸ではありません。

 もちろん、四つ橋線が堺を経由して、堺東に行けば、太い東西の軸になります。しかし、地下鉄の建設はLRTに比べて、格段にお金がかかります。もちろん、10倍近いお金をかけただけあって、輸送量は格段に大きくなり(堺にとっては大きすぎる?)、道路が(LRT建設によって)狭くなるということもありません。しかし、LRTのようにきめ細かく駅を設けることができません(堺東と堺の間にできる駅は1つぐらいでしょう)。LRTのように道路上で乗り降りできず、地下まで階段を下りる必要があります。距離が短いので、駅での乗り降りにかかる時間は大きなロスです。地下鉄にはもうひとつ、大きな弱点があります。LRTのように、路面電車である阪堺線との直通ができないのです。「面」になるLRTとは違い、地下鉄は単なる「線」なのです。大阪市のような大都市とは違い、堺市の規模ではLRTがちょうどいいサイズです。

 LRTについては明確に「No」と言った、竹山新市長も、阪堺線については、残したい意向をもっています。支援策も検討したいと考えています。しかし、堺市内の廃止も検討されている阪堺線にとって、最大の支援策はLRTの建設だったのです。阪堺電気軌道は、LRTができるかどうかみるため、廃止を留保していたのです。阪堺線の赤字をすべて市がかぶる覚悟はないようですから、阪堺線の廃止は避けられないでしょう。

(追記)
 四つ橋線堺延伸の事業主体について、大阪市側と堺市側で考えが異なるようです。大阪市側は堺市が主体になるべきだと考え、堺市側は大阪市が主体になるべきだと考えています。

 大阪市のほうに理がありますね。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20090929-OYT8T00067.htm、20091121-OYT8T00044.htm、NIKKEI NET Kansai http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news002146.html)

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