北陸新幹線、沿線県が意見対立
整備新幹線の建設が進むと、軌道、電気、駅舎などの設備工事(追加工事)が必要になってきます。国は沿線自治体(県)に意見を聞き、この追加工事への認可を出します。普通、新幹線が欲しい沿線各県はこの追加工事には同意します。北陸新幹線の場合、長野・富山・石川はすでに同意しています。ところが、新潟はまだなのです。そのため、国や長野など3県は、新潟県に対して、開業が遅くなるのを防ぐために、軌道などの追加工事に同意するよう求めてきました。新潟県がなぜ同意しないのかといえば、建設負担金の増額(約220億円)などに異議を唱えているからなのです。新潟県は、県内の駅にすべての列車を停めることを求めていますが(5番目のコメントです)、いい返事がもらえないことも面白くないようです。
そのような状況の中、8日、長野・新潟・富山・石川の4県の知事が、前原国土交通相大臣と意見交換を行いました。意見交換の内容は北陸新幹線に関してのものですが、長野・富山・石川の各県と新潟県は立場が違いました。長野など3県は北陸新幹線長野-金沢間の2014年度末の開業に必要な追加工事を進めることを求めたのに対し、新潟県はそれに対して否定的な立場をとりました。結局、前原大臣は9日、北陸新幹線の追加工事を認めました。これに対して、泉田新潟県知事は、追加工事認可の撤回を申し入れたり、予算の執行の凍結(2009年度の未執行分は104億円)をしたりすることを検討するようです。
新潟県が整備新幹線沿線であるにもかかわらず、北陸新幹線を歓迎していないのは、特有の事情があるからです。富山県や石川県は、北陸新幹線の成否は県を左右します。(すでに「長野新幹線」のかたちで長野まで開業している)長野県についても、北陸新幹線ができれば、便利になります。金沢まで増えれば、(北陸へ行く分だけ)新幹線の本数が増えます。大宮-長野間をノンストップで結ぶ便も増えるでしょう。
これに対して新潟県にとって北陸新幹線は、県の西のほうを少しかすめるだけの線。県内の大部分にとっては重要ではありません。メインはあくまでも上越新幹線です。しかも、北陸新幹線が開業すると上越新幹線の地位が低下します。今は上越新幹線には北陸へのアクセス機能もありますが(反対に長野新幹線は長野へのローカル新幹線)、北陸新幹線の開業後は単に新潟(+山形県庄内地方)に行くだけのローカル新幹線です。地位が逆転するのです。今まで「はくたか」で黒字であった北越急行が(新幹線開業によって)経営が悪くなる問題や、並行在来線の問題も抱えます。北陸新幹線ができなければ、こういうややこしい問題は発生しません。
これだけをみると、新潟県の行動はわがままなようにも見えますが、(敦賀から先のルートが確定していない現状では)北陸新幹線は単なる東京と北陸を結ぶだけのローカル新幹線。同じ整備新幹線でも東北・北海道や九州と違い、「幹」にはなりえません。日本海側へのアクセスとして役立った上越新幹線のほうが価値は高いです。大阪までできない限り、北陸新幹線が単なる一地域の利便性のためのローカル新幹線であるという評価は変えられないでしょう。
それを考えたら、新潟県の行動はマクロ的に見ればよいことかもしれません。急ぐべきは札幌までを結ぶ北海道新幹線。北陸新幹線がまず最初にしなければならないことは、大阪までの全線開業への道筋をつけることなのです。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091010-00000007-san-l15、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091010-00000069-mailo-l15、毎日jp http://mainichi.jp/area/niigata/news/20091009ddlk15010009000c.html?inb=yt)
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