« 羽田ハブ空港化への大転換 | Main | JR四国、高速無料化で廃線の危機? »

リニア、ようやく2045年に全線開業

 東京(品川)と名古屋を結ぶ予定のリニア新幹線。2025年に名古屋まで開業しますが、誰の目にも中途半端なのは明らかです。せっかくリニアをつくるなら、大阪(新大阪)までの全線開業が欠かせません。その新大阪まで開業したときの予測は、8月末に出るといわれていましたが、なかなか出ませんでした。

 13日になって、待ちに待ったその予測が出ました。今回も、7月に出されたものと同じように、木曽谷、伊那谷、南アルプスの3つのルートを想定し、それぞれリニアと通常の新幹線の2つの方式について検討しています。なお、運転本数は、(新大阪まで伸びることによって需要が増えるため)増えると想定しています。名古屋のみに停まるノンストップ便が1時間に7本、各駅に停まるものが1時間に1本運転されるとしています。リニアの駅は、名古屋以西も各県1駅の原則が維持されるようです。名古屋-新大阪間の途中の駅は、亀山とけいはんなあたりでしょうか?

 ここにおいても「南アルプスルート」の優位性は明らかです。「南アルプスルート」の場合、品川-新大阪間の所要時間は67分(リニアの場合、途中名古屋のみに停車。以下同じ)。これに対して、「伊那谷ルート」は74分と余計に7分かかります。輸送需要量も416億人キロと392億人キロで、「南アルプスルート」のほうが良い数字です。工事費(車両費を含む)は、8.4兆円と9.1兆円で「南アルプスルート」のほうが安いです。維持運営費、設備更新費も「南アルプスルート」のほうが安いです。「南アルプスルート」しかありえません。

 リニアが大阪まで開業したらどのようになるのでしょうか? まず考えられるのが、航空機から鉄道への転移。リニアの輸送需要量のうち、6割強の257億人キロは東海道新幹線から転移しますが、航空機からも30億人キロが転移します(数字は「南アルプスルート」でリニア方式にてつくった場合)。これにより、現在、首都圏と近畿圏の交通機関別のシェアは、2007年度の新幹線:航空機=81:19から、89:11に変わります。

 リニアによる品川-新大阪間の所要時間の短縮は、山陽方面にも影響を与えます。新大阪での乗り換えは15分かかると考えられるため、品川-岡山間は2時間7分、品川-広島間は2時間42分、品川-博多間でも3時間45分で結ばれます(山陽新幹線はN700系の「のぞみ」のスピードで算定。停車駅は、新神戸・岡山・広島・小倉)。新大阪での乗り換えはありますが、かなりの所要時間短縮です。1時間あまりも短縮されるのですから。このことにより、岡山や広島でも、航空機からリニア+新幹線に乗り換える人が出てきます。JR東海は、現在航空機を利用している人のうち、2割強がリニア+新幹線に転移すると考えています。

 さて、気になる全線開業の時期は今から36年後の2045年。気が遠くなる数字です。ここまでは既存の東海道新幹線に頼らざるを得ないですから、少なくとも名古屋以西では大改修はできません。開業から80年は東海道新幹線一本に頼ることになります。名古屋暫定開業の段階では、乗り換えの手間もかかり、JR東海が狙っている航空機からの転移は進まないでしょう。

 暫定開業の段階では、名古屋での乗り換え設備は充実させておく必要がありますが、新大阪まで伸びればほとんど使われなくなります。名古屋に近接して車庫をつくる必要もありません。新大阪までの全線開業を2045年としたのは、10年と見込んでいる新大阪駅の建設期間のほかに、建設に伴う債務の償還を考えてのことです(JR東海は、名古屋以西も全額自己負担で建設するようです)。でも、リニアは大阪までの全線できて効果を発揮するもの。名古屋までの暫定開業では、既存の東海道新幹線からの転移だけで、それほどの価値はありません。大阪まで一気につくるに越したことはありません。一時的には国からの融資を受けてでも(整備新幹線方式? 無利子融資?)、大阪までの全線開業の時期を早める必要があるのではないでしょうか?
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000006377.pdf、朝日新聞10月14日朝刊 14版)

| |

« 羽田ハブ空港化への大転換 | Main | JR四国、高速無料化で廃線の危機? »

鉄道」カテゴリの記事

整備新幹線」カテゴリの記事

Comments

リニアは名古屋止めで良いと思います。
むしろ、在来線(関西線等)の標準軌or三条軌への
改軌をするほうが良いでしょう。その理由はやはり
地域密着により、地域経済の活性化です、
関西線等には「こまち型」を進入させればよいでしょう。以下、路線改良区間と新設区間をあげます。

改軌(標準軌)名古屋ー四日市・河曲ー加茂
  (路線新設)蒔田ー(四日市市内)-河曲
        加茂ー(旧大仏線)-奈良
        奈良ー天理ー桜井ー五条
三条軌     五条ー和歌山
「四日市市内詳細:蒔田ー(市道富田阿倉川線)ー
         芝田ー(市道堀木p日永線)-
         笹川通りー(内部線)-内部ー
        (采女ヶ丘中央通り)-河曲

この路線にて名古屋ー和歌山間に身に新幹線を
導入できます     以上
  

Posted by: 脱リニア(名古屋以西) | 2014.06.25 07:49 AM

 脱リニア(名古屋以西) さん、おはようございます。

* リニアは名古屋止めで良いと思います。

 名古屋止まりのリニアなら、つくる必要がありません。大阪までの全線をつくって効果が表れるものです。

* むしろ、在来線(関西線等)の標準軌or三条軌への

 なぜ名古屋-和歌山間にミニ新幹線をつくらないといけないのか(それだけの需要があるのか)、とても疑問です。

Posted by: たべちゃん | 2014.06.26 05:55 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference リニア、ようやく2045年に全線開業:

« 羽田ハブ空港化への大転換 | Main | JR四国、高速無料化で廃線の危機? »