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暫定税率廃止と「環境税」の創設はセット商品

 税制というものは毎年変わっていきます。特に来年度は、政権が変わったこともあり、今までの自民党政権では出来なかったこともできるようになります。

 そのひとつがいわゆる「環境税」。自民党政権では経済界に配慮してできないものでしたが、そういうしがらみがない民主党政権なら可能です。毎年「環境税」の創設を要望していた環境省にとっては大きなチャンスです。

 温室効果ガスの削減は地球の将来のためにも避けては通れません。目標は2020年の段階で、1990年に比べて25%の削減です。これを税金で行おうと思ったら、2兆円規模のものになるようです。これだけの規模の税金はなかなかありません。そこで出てきたのが、揮発油税等の暫定税率を「環境税」(「地球温暖化対策税」という名称が考えられています)に振り替えるというアイデア。暫定税率が2.5兆円なので、規模的には良く似ています。「環境税」の創設に強く反対している経団連でさえ、暫定税率を振り替えるかたちでの「環境税」の創設は容認しています。負担がトータルで変わらないことから、企業活動への影響が小さいからです。それなのに鳩山総理は、このようなかたちでの「環境税」創設には否定的な考えを示しています。

 暫定税率を「環境税」に振り替えるということは、暫定税率を廃止するという民主党のマニフェストに合致します。税収の維持が図れます。道路に使わなくても良いので(いくら一般財源化したとはいえ、過去の経緯から道路と関係のない分野だけに投入することは難しいでしょう)、道路の整備の抑制が図れます。ガソリンの値段が変わらないことから、環境対策にもなります(揮発油税の暫定税率撤廃と高速道路無料化の組み合わせは、温室効果ガスの増大を招き、環境に逆行します)。揮発油税の暫定税率の来年度廃止にこだわるなら、いい案です。

 確かに、増税は国民の理解が必要だ、という鳩山総理の考えは正論かもしれません。しかし、暫定税率の廃止だけが先行し、後になってから「環境税」を創設してガソリン代を元に戻すのは、困難を伴います。多額の公債残高を抱えている現状では、増税に頼らずに財政の再建はできません。それを解決するために消費税の増税の必要性が叫ばれていますが、選挙を恐れて先延ばしにされ、なかなかできません。増税には膨大なエネルギーが必要なのです。特に民主党は、暫定税率の廃止のほかに、「子ども手当」の創設など、新しい施策があります。社会保障も増加の方向に進むので、歳出は膨らむ一方です。新しい施策を行うなら、増税やら今までの事業の中止など、何らかの財源を確保しないと公債残高は膨らむ一方でしょう。

 それを考えれば、暫定税率の廃止と「環境税」の創設はセット商品です。どうしても来年度に暫定税率を廃止したいなら、不完全でも「環境税」は実施しないといけません。「環境税」を国民の理解を得た後で、ガソリン以外にも幅広く課税(ガソリン以外の化石燃料にも幅広く課税)したいのなら、暫定税率は当分維持したほうが良いでしょう。

(追記)
 小沢環境相は、来年度からの導入を要望していた「地球温暖化対策税」(いわゆる「環境税」)について、来年度からの導入を見送る考えを示しました。

 いったん暫定税率を廃止し、ガソリンが安くなったことを実感させてから、国民の合意を得たうえで「地球温暖化対策税」を導入するという考えですが、そんな悠長なことでよいのでしょうか? それなら、暫定税率を維持したほうがよっぽどマシです。野党時代のように、人気取りに走っている暇はありません。
(参考:朝日新聞10月31日朝刊 13版、時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2009103000393、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091105-00000044-san-bus_all)

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Comments

11月14日に高速道路の無償化問題をテーマとしたシンポが堺市内で開催されます。阪堺線も論議されそうです。

Posted by: めざす会 管理者 | 2009.11.06 10:16 PM

 めざす会 管理者さん、こんにちは。

* 11月14日に高速道路の

 当日は参加できませんが、活発な会になればいいですね。

Posted by: たべちゃん | 2009.11.07 02:49 PM

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