名松線で名張へ(3)
次に乗る名張行きのバスは2時間以上後。それまで駅の近くで過ごすことになるが、駅の周りには店がない。伊勢奥津はかつて伊勢本街道の宿場町だったが、食堂もパン屋もない。こういう事態も予測して松阪でうどんを食べてきたので、最悪の事態は免れたが。
少し歩くと1軒、店があった。地元商工会婦人部がやっている店で、「かわせみ庵」という。古い民家を改装して昨年オープンしたが、名松線の部分代行バス化で利用者が減ったとの話。鉄道があったときは最終を除いて全部伊勢奥津まで行っていたが、代行バスになってからは日中の2往復が家城止まりになったのも影響しているのだろう。バスは1台あればいいダイヤだから、問題は運転士のほう。地元自治体は名松線の部分代行バス化に反対し、鉄道の復旧を強く望んでいるようだが、単に要求するだけでは通らない。家城以遠の利用者が極めて少ないことは事実だから、代行バス化を受け入れ、その中でいかに改善を図るかが重要だろう。増便、停留所の増設、学校や病院があればそこに寄るなどの改善ができればよい。話を元に戻す。「かわせみ庵」は土日の8:30から15:00まで営業している。ここで山菜おこわを買い、電子レンジで温めてもらい、店の中で食べる。
いよいよ奥津駅前14:52発名張行きのバスに乗る。バス停は駅からほんの少し下ったところにあるが、時刻表を見て驚いた。これから乗るバスは、4月1日のダイヤ改正で消えてしまうのだ。名張に行くのは、通学用の朝の便たった1本しかない状況になるのだ(途中から本数が増える)。休日のみ運転されている(平日は途中の停留所止まり、ただし乗り継いで名張に行くのは可能)奥津駅前14:52の便が廃止になるのだ。そうなると1日で名松線を使って松阪から名張に行くことができなくなる。反対側はダイヤ改正後も名張から松阪まで1日で行くことが可能だが、名張を出るのが17:15(発車時刻は奥津駅前の隣のバス停、川上口の発車時刻から推定)の1本だけなので夏でも松阪に着いたときには真っ暗だ。確かに伊勢奥津を出たときには、私以外誰も乗っていなかったので、朝夕の通学需要に特化するのはやむを得ないことだが。
バスは国道368号線を進むのだが、とても国道とは思えない区間が多い。すれ違うことが困難なところが多いのだ。バスはいったん奈良県宇陀郡御杖村に出て、再び津市に入る。ここ太郎生<たろう>地区は、いったん名張市か御杖村に出ないとほかの津市内に行くことができないという、事実上の飛び地だ。集落の停留所から3人が乗ったが、しばらくするとひとりずつ降りていった。
バスは名張市に入る。しばらくすると、いくつかの停留所で客が乗り、名張に数分遅れで到着したときには、10人も乗っていた。
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Comments
たべちゃんさんへ
鉄道ファン3月号に名松線のルポ記事が載ってましたが、私の昔居た職場の後輩が鉄ちゃん(乗り鉄、撮り鉄、集め鉄)で、約10年前に、名松線に乗った印象を話してくれました。
彼の言い分では、名松線存続がきまってから、名松線存続のモティベイションが下がりつつあり、マイレールの意識が稀薄になってきていると、言っておりました。
JRさんは、早く廃止に持ち込みたいから、全く、路線復旧工事をしていないですね。
ただ、沿線では、駅舎を建て替えたりしてますから、その辺で、JRさんの方針に反発しているのでは?
名鉄谷汲線は、村が谷汲駅舎を建て替えてから直ぐに廃線にしたから、猛烈に反発してましたが。
名松線自体、存続継続が困難な“限界鉄道”じゃないでしょうか。
地元の利用者にとりましては、寝耳に水なんでしょうが。
Posted by: パノラマハイパー | 2010.03.19 09:21 PM
パノラマハイパー さん、こんばんは。
* 彼の言い分では、名松線存続がきまってから、
新幹線で儲かっているJR東海だから、どんな赤字線でも維持するのは当然だと思っていたのでしょう。
地元としての思いはともかく、鉄道としての維持ははっきり言って困難でした。
Posted by: たべちゃん | 2010.03.20 08:23 PM