伊勢湾フェリーも廃止
鳥羽と伊良湖とを結ぶ伊勢湾フェリー。約23キロの航路を、平日は8往復、休日は9往復しています(お盆などは増便あり)。車だと名古屋を回らないといけないのですが、船だと一直線。関東や静岡からも便利なルートです。
しかし、この鳥羽と伊良湖を結ぶ航路も、9月で廃止されてしまいます。すでに2007年に鳥羽と常滑(中部空港開港前の2005年までは師崎)とを結ぶ航路が廃止されていますので、これで伊勢湾フェリーの運航する航路は無くなってしまいます。伊勢湾フェリーの会社自体が清算され、従業員も解雇されてしまいます。
鳥羽-伊良湖航路もかなり利用者が減少しました。利用者が一番多かったのは、志摩スペイン村が開園した1994年のことです。約116万人が利用しました。しかし、2009年度は1/3以下の約35万人になる見込みです。
なぜこんなにも利用者が減ったのでしょうか? ひとつのきっかけは、2004年の伊勢湾岸道の全線開通。伊勢湾岸道も名古屋を回ることには違いないのですが、南をかすめるだけなので、所要時間の短縮につながります。フェリーとの差が縮まります。そして、決定的となったのが、ETC利用者の1000円乗り放題の割引。債務が約22億円に膨れ上がり、航路の廃止に追い込まれたのです。車のみを重視する政策が航路を廃止に追い込んだのです。宇野と高松とを結ぶフェリーの廃止(後に撤回、ただし根本的な解決はなされず)と同じ構造ですね。
当分は選挙対策の車優遇政策は続くでしょう。国会議員が次の選挙を心配している間に、冷遇される公共交通の廃止や減便が続きます。次はどこが悲鳴をあげるのでしょうか?
(追記1)
伊勢湾フェリーが廃止になった原因として、ルート変更後2年で廃止になった鳥羽と常滑とを結ぶ航路の失敗を挙げる見かたもあるようです。中部空港開港に伴い、従来の師崎から常滑に移すときにカーフェリーを2隻と、空港に専用ターミナルをつくりました。この費用が伊勢湾フェリーの体力を奪ったようです。
(追記2)
ところが、その伊勢湾フェリーに大きな動きがありました。
伊勢湾フェリーの株はこれまで、近鉄と名鉄が半分ずつ所有していました。しかし、この一部を地元自治体(三重県、愛知県、鳥羽市、田原市)が引き受けることにより、航路を存続させる方向です。8月20日に開かれる「鳥羽伊良湖航路対策協議会」(地元自治体2県2市などで構成)でこの方針が了承される見込みで、伊勢湾フェリーが中部運輸局に出している事業廃止届も取り下げられることになります。
(参考:朝日新聞3月25日朝刊 中部14版、東日新聞ホームページ http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&id=31824&categoryid=1、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100807-00000014-maip-soci)
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Comments
伊勢湾フェエリーですが、伊良湖あたりに用がない限り、伊勢へ行くにはあまり便利でありません。東名をおりてからが長いし、航送運賃も高速の通行料(定価でも)に比べ安くないし、所要時間も掛かるし、、、
伊勢湾岸道の開通で運命は決まっていましたね。
Posted by: ▲ 飛遊人 | 2010.03.29 07:09 AM
▲ 飛遊人さん、こんばんは。
* 伊勢湾フェエリーですが、
それを考えると、志摩半島と渥美半島に橋を架けるのは、もっと理解できないですね。
Posted by: たべちゃん | 2010.03.29 11:46 PM