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April 2010

関空・伊丹経営統合

 関西3空港の問題に一定の結論が出ました。

 前原国交相と橋下大阪府知事は25日、西宮市内で会談しました。その中で、橋下知事は、伊丹と関空を経営統合し、両空港の経営権を一体として民間に売却するという国交省の成長戦略会議の案(この記事の最後のほうに載っています)について、大筋で合意しました。現在国営の伊丹は2012年4月に民営化され、両空港の資産や負債を保有する国の持ち株会社を設立します。その後、両空港の運営権を一括して民間に売却し、関空の負債を圧縮します。運営権の額は、関空は6000~8000億円、伊丹は200~300億円と言われています(ちなみに、伊丹の土地を売却しても1000~2000億円ぐらいにしかならないようです。ですから、以前当blogでは主張していましたが、伊丹の土地を売って関空の負債を埋めるという方法は採れません)。

 この運営権の数字を見て、「逆だ」と思う人もいるかもしれません。世間の固定観念でみれば、関空は路線の撤退が相次ぎ、大赤字の空港。反対に伊丹は路線が充実しており、黒字の空港だからです。しかし、冷静に考えれば、関空の赤字の原因は多額の負債が生み出す利子。利子がなくなれば黒字空港なのです。反対に伊丹は需要があってもそれに見合う供給ができない「欠陥空港」なのです。周辺には人家が密集しているので、拡張したり、早朝や夜間に航空機を飛ばしたりすることができないのです。固定観念にとらわれてはいけないのです。

 数千億円あれば、関空の利子支払いを半減させることができます。これでも十分黒字化でき、その黒字でもっと戦略的に着陸料の軽減を図ることができます。伊丹と経営統合しているので、「便利」と言われる伊丹の着陸料を上げることができます。価格メカニズムを通じて伊丹に便利さの代償としての負担を課すことができます。ただ問題は、数千億円の運営権を誰が買うかということ。数千億円をキャッシュで払えるような企業は少ないです。また、そういう公共施設運営のノウハウがあるのは外資しかないという見かたもあるようです。外資が運営権を買った場合、主要空港である関空を外資の手に委ねることが本当にいいのか、という議論も出てくるでしょう。

 またこの席で前原国交相は、初めて伊丹の廃港と関空のハブ空港化に触れました(「ようやく」という感はありますが)。以前、第一報は書きましたが、運営主体となるJR東海の収入の低迷により(原因は景気の低迷と高速道路の大幅な割引です)、名古屋までの開業が2027年と当初の予定より少し遅くなります(大阪までの全線開業は2045年と変わりません)。しかし、それでもいずれはリニア新幹線ができるでしょう。そうなると、伊丹の需要は相当減るという前原国交相の発言は妥当なところです。

 これまで前原国交相は、関空を単なる物流拠点としてしか見ていませんでした。ここでようやく関空を首都圏と並ぶ拠点空港と位置付けたのです。先ほども述べましたが、潜在能力の高い関空を活かさないわけにはいきません。投資しようにもどうにもならない伊丹より、関空のほうがはるかに重要な空港なのです。

 確かに今回の合意では、関西3空港のひとつ、神戸空港については触れられていません。そういう意味では以前の指摘は生きています。ただ、本当に関空と伊丹の空港が経営統合し、運営権が売却できるのならば、関西3空港問題はかなり前進します。関空の足かせとなっている負債の問題がクリアできるのですから。
(参考:朝日新聞4月26日朝刊 中部14版、YOMIURI ONLINE http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/h_osaka/20100426-OYO8T00384.htm、http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/h_osaka/20100426-OYO8T00409.htm、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100428-00000018-maip-bus_all)

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「子ども手当」で年収8642万円

 おはようございます。

 6月から支給される予定の「子ども手当」。内容が明らかになりますと、いろいろな問題点が浮かぎあがってきました。そのひとつが、外国人の子供が外国で居住する場合にも、「子ども手当」が支払われるということ。それが、見事に実践された例が出てきました。

 尼崎市に住む50歳ぐらいの韓国人男性。妻の母国であるタイで554人の子供を養子にしているとして、子供の名前や生年月日を記載したタイの証明書を携えて申請しました。尼崎市は厚労省に照会の上、受理はしませんでした。もしこれが受理されたら、この男性は「子ども手当」で8600万円あまりを受け取ることができたのです。

 今回の事例はあまりにも極端なので、受理はされませんでした。しかし、10人ぐらいなら間違いなく受理されたことでしょう。今回はタイの証明書を持ってきましたが、国によっては怪しいものもあります。市役所の職員が偽造を見破ることは難しいです。国内に居住する場合はともかく、外国に居住する場合は国籍要件(日本国籍を有する場合に限る)をつけるなどの条件をつけないと、このような事例は続出するでしょう。国によっては「子ども手当」だけで十分生活できるのです。

 このような話は確定申告でもみられるようです。外国人(中国人が多いようです)の中には、本国にいる一族郎党をすべて扶養家族として申請し、納税額をゼロにするものもいるようです。国内ならチェックが利き、申告のやり直しを求めることもできますが、外国ではなかなかチェックが利きません。「子ども手当」で同様の事態が起こるのは十分想定できたのです。

 この欠陥は「児童手当」でも同様でした。しかし、対象となる児童の数が多く、金額も増えたので、問題が浮かび上がってきたのです。「子ども手当」の考えかた自体は「ベーシック・インカム」に通ずるところがあり、いいのですが(扶養控除では所得の多い人に恩恵が大きく、所得が少ない人には全く恩恵がない)、これではその長所を打ち消してしまいます。政府は選挙前の6月に支給することを狙っていますが、変なものをつくるぐらいなら、いったん立ち止まることも必要ではないでしょうか?
(参考:MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100424/crm1004241046005-n1.htm、http://sankei.jp.msn.com/life/trend/100404/trd1004040702001-n1.htm)

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県営名古屋空港から定期便がなくなる?

 名古屋には、中部空港のほかに県営名古屋空港があります。県営名古屋空港はもともと、名古屋空港という名前でしたが、2005年の中部空港の開港により名古屋の空の玄関の地位から転落し、日航系の航空会社、ジェイエアが細々と運行していました。

 しかし、会社更生手続き中で採算の取れない路線を整理しようとしている日航は、来年春までに県営名古屋空港を発着する9つの路線をすべて廃止することを愛知県などに伝えました。これにより、県営名古屋空港からは定期便がなくなることになります。代わりに中部空港からの便が増えるわけでもなく(日航は、中部空港発着の便も半数ほどの路線を廃止する意向です)、地元は強く反発しています。

 確かに中部空港に移管するならともかく、バッサリ切られるだけですから、良い話ではありません。ただ、不本意なかたちではありますが、名古屋の空の需要が中部空港に一本化されることになります。いくら名古屋空港が市街地から近く、便利なところにあるとはいえ、2つの空港が共存できるような需要はありません。設備の整っている中部空港にまとまること自体は悪い話ではありません。

 どこかの地域も設備の整っている空港に一本化すればいいのですが。
(参考:朝日新聞4月23日朝刊 中部14版)

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東北新幹線新青森行きも「さくら」も1時間に1本

 今年度は、新幹線の開業が相次ぎます。

 まず、12月初旬は東北新幹線八戸-新青森間。具体的な開業日は来月に発表する予定ですが、どうやら5日(日)になるようです。もともとは九州新幹線と同じ来年3月の開業予定でしたが、工事が順調に進み、3か月以上早い開業となる見込みです。特に寒い東北において12月は需要の少ない時期ですが、すぐに年末年始の輸送が控えます。少し肩慣らし(+初乗車を楽しむ人の輸送)をして、年末年始の輸送に備えるのでしょう。雪に強い新幹線の実力が発揮される時期です。

 東北新幹線のダイヤは8月に発表されます。新型車両のE5系のデビューは来年春以降なので、当面はE2系が走ります。現在、東京-八戸間を走っている15往復がそのまま延長され、東京-新青森間を最速3時間20分で結びます(E5系が導入されると3時間10分に短縮され、時速320キロ運転が始まる2012年度末からは3時間5分となります)。八戸発着便にはほかにも、仙台-八戸間が1往復、盛岡→八戸が1本(平日のみ、休日は運休)あります。これも新青森に延長されるでしょう。1時間に1本は妥当でしょうが、これでは八戸の始発が遅く、最終は早いです。県内の通勤需要もありますから、早朝や夜間に八戸-新青森間の区間便が設定されることでしょう。

 3月中旬には、九州新幹線も全線開通します。去年も今年もダイヤ改正は土曜日なので、この調子で行くと12日になるのでしょうか? 山陽新幹線と九州新幹線は直通運転を行います。JR西日本とJR九州は、直通列車「さくら」を1時間に1本運転する方針です。この方針も妥当なところでしょう。新大阪-鹿児島中央間は4時間かかるので、早朝や夜間は広島発着や熊本発着のバリエーションがあるかもしれません。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/biz/news/20100416ddm001020179000c.html)

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金本選手、連続フルイニング出場記録止まる

 昨日、横浜で行われた横浜-阪神戦。阪神の4番にいつもの人がいませんでした。代わりに4番に座ったのが、いつもは5番の新井選手。定位置のレフトには、葛城選手が8番に入っています。この瞬間、金本選手の連続フルイニング出場が1492で止まりました。1500を目前として。なお、金本選手は8回に代打として出たので(記録はセカンドゴロ)、連続試合出場は継続しています。今年の金本選手は打撃が低迷し(昨日時点で1割6分4厘)、守備にも精彩を欠いていました。昨日の欠場はどうやら金本選手が申し出たようです。

 走攻守、いずれが欠けてもできない記録。年間の公式戦が144試合なので、10年以上かけないと記録を破ることはできません。体が丈夫でなければいけませんし(金本選手は、普通の人なら当然休んだり、代打だけだったりというケースでも試合に出て、活躍したことがあります)、なかなか破ることができない偉大な記録でしょう。

 ただ、この重大な決断で、今後の起用には柔軟性が持てます。試合展開によっては、守備固めを出したり、代走を出したりすることができます。代打だけにして、体を休ませることもできます。とにもかくにも、無理をさせず、長持ちをさせることが大事なのです。まだまだ活躍していただきたい選手なのですから。
(参考:Sports@nifty http://sports.nifty.com/baseball/cs/score/npb/2010041802/1.htm、SANSPO.COM http://www.sanspo.com/baseball/news/100418/bsb1004182128016-n2.htm)

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長崎新幹線、フリーゲージトレイン断念か?

 長崎新幹線は、武雄温泉-長崎間(諫早以西は未着工)のみを新たに建設し、博多-新鳥栖間は来年3月に開業する九州新幹線に乗り入れます。それ以外の新鳥栖-武雄温泉間は在来線をそのまま使います。当然ながら、新幹線と在来線は軌間が違いますので、そのままでは直通できません。そこで国土交通省は、フリーゲージトレインを長崎新幹線に導入することを目指していました。

 しかし、フリーゲージトレインの実験を繰り返していく中で、実用化が困難な事態が起こってきました。最大の問題は、急カーブでの走行性能。一部の急カーブやポイントを通過する際、レールに基準値を超える横方向の圧力がかかったようです。脱線につながる危険性のある話です。現状では、振り子車両のようにカーブを速く走ることができません。「事業仕分け」をクリアしたこともあり、今年度もさらなる実験を続けますが、現状では2018年度(?)の長崎新幹線の開業に間に合うかは微妙なところのようです。長崎新幹線はカーブの多い肥前山口-諫早間が新幹線に移行するため問題は少ないでしょうが、投入する路線によっては、フリーゲージトレインを導入したため、かえって遅くなったという例も出てくるでしょう。

 また、新幹線区間でスピードが出ないことも問題です。目標としていた時速270キロは達成したようですが、山陽新幹線の速達列車、「のぞみ」「さくら」(九州新幹線直通列車)は時速300キロ運転。新大阪まで乗り入れようと思ったら、時速300キロの性能は欠かせません。博多止まりなら時速270キロで十分ですが、それならわざわざ機構の複雑なフリーゲージトレインを導入する意味はありません。博多まで在来線を通ればいい話です。

 1か月半ほど前の毎日新聞の報道によれば(現在、記事は検索できません)、どうやら国土交通省は、フリーゲージトレインが失敗したときを考え(今年度の試験結果を見て、フリーゲージトレインの研究を続けるかどうか判断します)、在来線の特急を走らせるケースの検討に入ったようです。

 長崎新幹線へのフリーゲージトレインの導入を断念した場合、博多へは在来線を通るか、新鳥栖で乗り換えるかの2案を検討しています。しかし、博多程度で乗り換えを迫る後者の案は、絶対に受け入れられないでしょう。「かもめ」を捨て、高速バスや車などのほかの交通手段に切り替える人が続出します。博多まで在来線で行くしかありません。また、すでに着工している武雄温泉-諫早間についてはスーパー特急方式でつくる可能性があります。ということは、場合によっては既着工区間である武雄温泉-諫早間も中止になるかもしれないのでしょうか?
(参考:「鉄道ファン」2010年5月号 交友社、asahi.com http://www.asahi.com/national/update/1226/SEB200912260005.html)

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不正乗車、百円単位でも刑事告訴へ

 後を絶たない不正乗車。JR西日本と滋賀県警は共同で、たとえ百円単位の不正乗車でも刑事告訴することにしました。早速効果は表れています。年間2件未満であった告訴の件数は今年1月からの3か月間で16件にもなりました。

 しかし、これだけの件数ではないことは明らかです。コストの都合から、昼間は有人でも、夜間は無人になる駅がたくさんあります。どこかのローカル線ではなく、アーバンネットワークで「ICOCA」が使える区間でもそういう駅はところどころにあります。そういう駅でよく不正乗車が起こっているのです。降りる駅がそういう無人駅である場合、乗車駅で隣までの安い切符を買い、そのまま降りる駅の改札を通過するのです。本来なら車掌が切符を集めるのでしょうが、電車の編成が長いのでそういうわけにはいきません。何分も停まるわけにはいかず、20以上のドアからパラパラと降りてこられたら、もうお手上げです。

 JR西日本としても、無人駅に臨時に駅員を置いてチェックするなどの対策をとっていますが、不正乗車の客の見極めは難しく、なかなか不正乗車は減りません。どうしても無人駅の存在は、不正乗車を誘発します。やはり、アーバンネットワークの駅ぐらいは、終日有人駅にしたほうがよさそうです。昼間は自動改札機が動いているのですから。JR西日本だけではできませんが、罰則の強化も必要です。旅客営業規則では、正規運賃の3倍の割増料金を求めることができます。しかし、不正した運賃が200円なら、たったの600円にしかなりません。有効期限の初日からの運賃を請求できる定期券による不正ならともかく、これでは割に合いません。割増料金の倍率を増やしたり、最低限の金額(1万円ぐらい?)を設定したりすることも求められるでしょう。

 基本的には有人駅のアーバンネットワークとは違い、ローカル線の場合は無人駅だらけです。乗客も少なく、駅員を置いても割に合いません。枝線の場合は、加古川駅みたいに主要駅に中間改札を置く方法もありますね。ほかの線から乗り継いできた客の切符を精算し、徴収漏れ額を減らす効果はありそうです。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100414-OYT1T00150.htm)

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「関西3空港懇談会」は何の解決もしていない

 12日の「関西3空港懇談会」において、争点をなっていた伊丹空港の廃止問題を先送りし、今後10年間は伊丹・関空・神戸の3空港を一元管理することで合意しました。

 今回の合意では、確実に需要が減ると考えられるリニア新幹線の名古屋暫定開業(2025年?)は織り込んでいません。これを考えると伊丹の廃止も議題に上げないといけません。伊丹の廃止には兵庫県が強く反対し、リニアを考えない10年の短いスパンでの話となりました。

 正直言って、これなら、わざわざ各府県知事や経済界の代表を集めてやるような話ではありません。発着する便が両手あれば数えられるようなローカル空港ならともかく、3空港はいずれも一定の利用がありますから、10年ではどこの空港も廃止できません。橋下知事の主張するように、リニアが現実的な話になっている以上、リニア暫定開業を考慮した議論をしなければならなかったのです(この場合、「伊丹廃止」にも踏み切らないといけないです)。本来、関空の借入金は国が負担すべき性質のものでしょうが(これなら関空に利息負担は発生せず、黒字になります)、国の支援に頼るだけでは話は進まないのです。結局、国にアピールできるようなものはありません。やるだけ無駄だった話なのです。当然、国(国土交通省)も国土交通省成長戦略会議もこの合意を冷ややかな目で見ています。

 そんな中、国土交通省成長戦略会議では、伊丹と関空の運営を一体化して、民間に委託する案が出ているようです。場合によっては、伊丹空港の敷地そのものを売却する案もあるようです。もっとも、神戸を含めた3空港の一元化を目指す「関西3空港懇談会」の合意とは違った話となり、最終的にはどうなるかはわかりません。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100413-00000513-san-soci、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100413-00000546-san-bus_all、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100413-00000699-yom-bus_all)

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ホームページ更新のお知らせ(10年4月13日)

 トップページの背景写真を入れ替えました。バス転換がなされた名松線伊勢奥津駅に立つ給水塔です。

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第二京阪走行記(2)

 ここで第二京阪の割引制度について触れておこう。第二京阪は、慢性的な渋滞の続く名神のバイパスとしても期待されているため、名神からの転移を促すための割引制度(ETC利用者限定)が用意されている。参考としたホームページを見ても、なかなか複雑だが(今回は休日1000円乗り放題も絡むので、最後までどうやって計算したのかが分からなかった)、どうやら「第二京阪ネットワーク割引」が適用になったようだ。例えば、阪和道松原インターから東名名古屋インターまで行く場合、名神経由だと5150円だが、第二京阪経由だと900円も高い6050円がかかる。これだと、誰も第二京阪を使ってくれない。そのため、第二京阪経由でも名神経由と同額になるように割引が行われるのだ。そういえば、門真ジャンクションを通過しているとき、ETCから音が聞こえた。自動で近畿道からの車であることを判断し、割引を適用させているのだ。このような設備は何か所かにあり、それぞれ役割を持っている。

 当初、これらの割引制度は2018年3月まで行われる予定であった。しかし、例の高速道路2000円乗り放題化に伴い、今年度で消えてしまう。確かに第二京阪がらみの割引制度は複雑だが、それだからと言ってすべてを切ってしまえば、名神と第二京阪のアンバランスは残ってしまう。和歌山方面からの利用者でさえ、料金の高い第二京阪を敬遠し、名神に流れてしまうのだ。第二京阪に限らず、ETCの割引制度の中には、高速道路ネットワークのミスした部分を補う要素がある。阪和道(松原ジャンクション-美原ジャンクション間)と南阪奈道とを連続利用した場合に適用される、「阪和道連続利用割引」もそのひとつだ。単純に切ってしまっていいものではない。

 久御山ジャンクションで京滋バイパスに入る。ここは名神の京都付近を迂回する高速道路なのだが、最大の欠点は休憩施設がないこと。ガソリンスタンドが(京滋バイパスでは通らない)大津サービスエリアから(京滋バイパス経由でも使える)草津パーキングエリアに移されたのはいいことだが、全く休憩施設がないのは問題だ。巨椋のあたりは土地があるようだから、そこにそれなりの規模のパーキングエリアを置けばいいのではないだろうか?
(参考:第二京阪道路ホームページ http://www.daini-keihan.jp/charge_b.html、国土交通省ホームページ http://www.mlit.go.jp/common/000112017.pdf)

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第二京阪走行記(1)

 近畿道門真ジャンクションから第二京阪道路に入る。片側3車線の広い道路。住宅地が多いためか、大阪府内は遮音壁が建てられていて、外の景色は見づらい。ガラガラというほどではないが、車は少ないので、快適に走行できる。

 第二京阪は3つの料金区間(京都側から「A区間」「B区間」「C区間」とされている)に分けられているはずだが、料金所がない。交野南を過ぎると「B区間」になり、追加料金がかかるのだが、それでも料金所がない。そう思いながら走っているうちに、第二京阪唯一の休憩施設、京田辺パーキングエリアに到着した。第二京阪に入って15分も経っていない。それなのに、もう京都府に入ったのだ。車を停めることにする。

 全長27キロあまりの第二京阪の距離を考えると、休憩施設の数は妥当なところであろう。問題は、その質だ。京田辺パーキングエリアは、トイレと自販機しかない。うどん、丼、カレーなどの軽食を食べることができるスナックコーナーや売店がないのは意外だ。その意味では不満が大きい。

 もっとも、京田辺パーキングエリアのすぐ近くには学研都市線の松井山手駅がある。歩いて10分もかからない。パーキングエリアの中には関空へのリムジンバスのバス停があるので(京都からの便が発着する)、それを使って外へ出ることができる(公式にはそのような使いかたはできないことになっているが)。駅の周りにはショッピングセンターもあるし、飲食店もある。パーキングエリアに飲食施設ができるまでは、こうやって割り切るしかないだろう。地理に詳しい人しかこういうことはできないが。

 私も松井山手駅近くのショッピングセンターの中で昼食を食べ、再び車を走らせる。しばらく行くと、ようやく料金所が出てきた。ここで払うのは一番西の「C区間」のみ。「A区間」「B区間」は出口(今回の場合は、名古屋インター)で払うのだ。(続く)
(参考:第二京阪道路ホームページ http://www.daini-keihan.jp/charge.html)

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第二京阪走行記(0)

 みなさん、おはようございます。

 昨日(11日)のことですが、大阪から名古屋に行くときに、先月20日に全線開通したばかりの第二京阪道路を通ってきました。

 明日からそのときの状況を書いていきます。

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高速道路2000円乗り放題で新規着工?

 昨日、国土交通省から高速道路の新たな料金割引についての発表がありました。

 それによりますと、ETC利用者1000円乗り放題などの料金割引は廃止され(通勤割引などは今年度のみ3割引で残ります)、法案の成立後6月中から単純化した割引制度になります。複雑であった割引制度は簡素化され、普通車の場合は上限2000円、ETCを持たない人も同様に割引を受けることができます。国土交通省のホームページを見ると、いいことだらけの改正です。ETCに投資したお金が無駄となり、通勤で高速道路を使っていた人は料金が倍になるわけですから、とてもそのようなものではないですが。ETCの普及が止まることにより、料金所の渋滞も増える危険性があります。

 首都高速、阪神高速は大きく変わります(変更時期は地方議会の議決がいりますから、年末から年始にかけての見込みです)。首都高速も阪神高速も現在、3つの料金圏に分かれていますが、それがひとつにまとまります。そして、料金には幅ができ、500~900円となるようです。首都高速も阪神高速もこれまで均一だったので、入口にしか料金がないことが多いです。そのため、ETCのない車は、900円の均一料金となります。以前の疑問は解決されました。ETCを持っているメリットがある、数少ないケースです。ETCがなくても、料金圏をまたぐのであれば基本的には安くなります(ただし、これまで休日は3割引だったので、ETCのある車は料金圏をまたいでも値上げになるケースが出てきます)。

 そして、料金割引を大幅に変えた結果、これまで割引に税金を投入していた部分が浮きます。そのお金で高速道路を建設したり、車線を増やしたりするのです。追加で建設されるのは、外環道(関越道と東名とを結ぶ部分)と東名阪名古屋西インターと伊勢湾岸道飛島インターとの間です。この2つの高速道路が、最後につくられる有料の高速道路のようです。東関東道(潮来-鉾田間)や日沿道(酒田みなと-遊佐間)は無料の高速道路としてできます(日沿道はすでに着工済み)。4車線化されるのは、上信越道、館山道、東海北陸道、高松道の一部区間。結局、阪和道と長崎道の一部区間の4車線化をのぞいては、自民党時代と変わりがないことになりました。外環道は東京都心の渋滞の解消のために必要でしょうが、名古屋のほうはそれほど必要とは思えないです。それよりも東名阪の四日市ジャンクション-亀山ジャンクション間の6車線化のほうが優先すべき課題です。新名神の開通以来、四日市は全国レベルの渋滞の名所になりましたから。

 確かに、1000円乗り放題などの今までの割引制度の大半は、高速道路会社の経営努力ではなく、国からの税金を財源としています。本来、政府の仕事はインフラの整備であり、実際に完成した後は民間に任せればよいのです。本四架橋やアクアラインのように、異常に通行料金が高い道路はともかく、一般の高速道路についてまで税金を投入して割引を行う必要はありません。

 その考えからすれば、過度の高速道路の割引を縮小して、その分で整備に充てるというのはある意味正しい方向でしょう。しかし、新しい割引制度は無茶苦茶ですし、浮いたお金は税金なのですから、道路以外に充ててもいいわけです。環境対策を考えたら、公共交通の整備も忘れてはいけないでしょう。

 高速道路をめぐる一連の動きは、どこからかの「天の声」によって動いているような感じですね。我々が昨年、期待したこととは全く違いますが。
(参考:国土交通省ホームページ http://www.mlit.go.jp/common/000112017.pdf)

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新餘部鉄橋、8月12日デビュー!

 架け替え工事が進む餘部鉄橋。工事は順調に進み、新しいコンクリート製の橋への供用開始予定日が8月12日と決まりました。お盆の直前です。当初、今年の秋に完成といわれていましたが、少し早くなったようです。

 開業以来風雪に耐え、今まで使われてきた餘部鉄橋は、7月16日を以って役目を終えます。新しい餘部鉄橋がデビューするまでの間、つまり7月17日から8月11日の間(26日間)は、香住-浜坂間を全面運休させて、バスなどによる代行運転を行います。なお、1日2往復ある特急「はまかぜ」は、香住-鳥取間が運休区間となります。

 運休する期間は夏休みにあたります。かつては、京阪神から海水浴用の列車がたくさん出て、書き入れ時でした。しかし、今では通学の高校生のほうが大事なお客さんなのです。山陰のシーズンは何と言ってもカニのある冬。夏は車でも行くことができますが、雪が降ったり路面が凍結したりする冬は、車で行くのは危険です。京阪神の人は雪道には慣れていません。そのため、鉄道が選択されるのです。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174781_799.html)

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JR西日本、赤字ローカル線をバス転換へ

 5日に行われた記者会見でJR西日本の佐々木社長は、赤字ローカル線の一部を廃止し、バスに転換する方針であることを明らかにしました。記者会見では具体的にどの路線が廃止になるかは明らかにしませんでしたが、すでに一部の自治体には、廃線とバスへの転換を受け入れるかどうか打診しているようです。

 国鉄からJRに移行するとき、赤字ローカル線はかなり廃止されましたが、JRになってから20年、乗客は減り続けました。半分以下になってしまい、(国鉄末期に廃止された)特定地方交通線レベルになってしまった路線もたくさんあります。道路は整備されているのに、鉄道は整備されずにいたからです。しかし、JRを非難することはできません。JR西日本など本州3社は、国からの補助なく運営していかなければなりません。赤字ローカル線だからといって補助をしてくれるわけではありません。新幹線や大都市の通勤路線での収益を、今後も成長が見込めないローカル線部門につぎ込むかたちで維持していたのです。本当なら収益が見込める幹線に投資したり、純粋な株式会社ですから株主に配当したりすべきお金が、そういうある意味無駄な分野に流れていたのです。幹線の枝線としての機能があればいいですが、そういう機能も期待できません。正直言って、今まで存続できたのが不思議なぐらいです。

 高速道路無料化などの車優遇政策により、ドル箱の幹線の収益も下がっています。赤字ローカル線の廃止はやむを得ないところでしょう。
(参考:Sankei Biz http://www.sankeibiz.jp/business/news/100406/bsc1004060505004-n1.htm)

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福知山線脱線事故「賠償交渉の会」の意図が分からない

 少し前の話になりますが、先月27日、JR福知山線脱線事故の遺族でつくる「賠償交渉の会」とJR西日本との非公開の会合が、伊丹市で行われました。その会合の中で、「賠償交渉の会」は、一般的に賠償で用いられている、交通死亡事故の判例などを基にした基準を拒否し、被害者の価値を一番知る遺族が賠償額を決めるものだと主張しています。つまり、遺族の言い値で賠償しなければならないというのです。もちろん、JR西日本側は、すでにほかの遺族との交渉が進んでいることから、「賠償交渉の会」を特別視することなく、ほかの被害者と同様の対応で行う方針です。

 賠償額は、被害者の収入などを基に、加害者側と被害者側が決めるものです。この基準は、交通事故などで蓄積がなされています。あるいは公平な立場に立つ裁判所などが決めるものです。交渉事なので、高い金額を主張するのは戦術としてはあるかもしれませんが、決して被害者側の言い値が100%通るものではありません。

 どうやら遺族側は、JR西日本はぼろ儲けをしていると思っているようで、「いくらでも金をとれる」という考えがあるのかもしれません。現実には、首都圏輸送のあるJR東日本や東海道新幹線のあるJR東海とは違い、JR西日本は本州三社の中ではあまりよくありません。アーバンネットワークや山陽新幹線はそれほどのドル箱ではありませんし、中国地方のローカル線のように鉄道として存続するのが信じられないような路線もあります。そもそも、賠償額は儲かっている会社だから多く取れる、というものではありません。つぶれそうなローカル私鉄で同じような事故を起こした場合、遺族はあきらめるでしょうか?

 もちろん、大切な人を失った悲しみは計り知れないでしょうし、その償いは金銭でしかできません。しかし、「JR西日本はいくら叩いてもよい」と考えるのは、大きな間違いです。自らの立場を貶めるものなのです。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100327-00000552-san-soci)

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水着を着て入るのはプール

 下呂温泉の源泉は、益田川の河原。「噴泉池」と呼ばれるその場所は、ちょうどいいお湯がわき出ていて入ることができます。昔下呂に行ったとき、入ったことがありますが、周りに遮るものはなく、開放的でいい露天風呂でした。

 しかし、今ではそれができません。2月から、水着の着用が義務化されたのです。参考にした記事に写真が載っていますが、いつの間にか周りに囲いが設けられているようです。

 水着着用のきっかけとなったのが、昨年に起きたタレントの公然わいせつ事件。「下呂でそういう事件が起こったのか?」と思っていたら、どうやら、SMAPの話のようです。当然、下呂での話ではありません。それなのに、入浴姿が見えるのが問題だとしてクレームをつける人がいるのです。下呂は有名な温泉地のはずなのですが。

 確かに「噴泉池」は近くの橋から丸見えです。それが気になるなら入らなければ(見なければ)いいだけですし、女性に関して言えば以前から水着を着て入ることが認められています。世の中、どうでもよいことにクレームをつける人がいますね。こういうのに対応しなければならない役所や観光関連業界も大変です。

 はっきり言って、水着を着て入るのは、プールです。温泉ではありません。もちろん、混浴露天風呂ならではのマナーを守る必要はありますが。
(参考:岐阜新聞ホームページ http://www.gifu-np.co.jp/hot/20100115/201001150959_3712.shtml)

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東海道新幹線、車内でも指定席発行が可能に

 JR東海はこの4月1日から、東海道新幹線の車内でも指定席の発行ができるサービスを試験的に導入しました。

 これまでは、車内で指定席を発行する場合は、いったん列車内の乗務員室に戻り、東京にある指令に専用の電話で問い合わせる必要がありました。その手続きは面倒で時間がかかります。ですから実際には、乗客を近くの空席に座らせることになります。しかし、その席にも指定席の予約が入ることがあります。途中駅から乗ってくる客が予約をするのです。途中駅でその客が乗り込んでくると、当然ながら座席を譲らないといけません。

 ところが1日からは、車掌の手元の端末で指定席の変更ができるようになります。自由席が満席の場合は、差額の料金を払えば指定席を発行することができます。

 JR東海としては、飲み物がこぼれるなどして座席が使えない状態になったときに活用することを想定しています。しかし、現実の東海道新幹線で圧倒的に多いのは、ビジネスマンが予約した便より前の便に乗るケース。ビジネスマンは(時間の読めない)出張からの帰り、確実に乗ることのできる遅い便をとりあえず予約します。でも、仕事が早く終わった場合、1本でも早い便で帰ることが多いです。東海道新幹線はたくさん運転されていますので、そういうことができるのです。本当は「みどりの窓口」などで早い便に変更してくれればいいのですが、「みどりの窓口」は混んでいますし、経験則で指定席には必ず空席があることが分かっています。指定席を予約した人の中には、少し早い便で帰る人が必ずと言ってもいいほどいますから。「みどりの窓口」で並ぶなら、まっすぐホームに向かい、早い便に乗るほうが賢明なのです。車内で指定席の変更を行うことによって、元々予約していた列車の指定を取り消すことも可能です。東海道新幹線の実態を考えたら、望まれるサービスです。

 でも、こういうビジネスマンの要望に応じていれば、車掌の仕事は明らかに増えます。それを防ぐためには、比較的空いている指定席券売機に誘導させたり(ビジネスマンなら機械には抵抗感がないでしょうし、何らかの割引をつけてもいいでしょう)、JR東日本のグリーン車のように車内で切符を買う場合は高い料金設定にしてもいいでしょう。手数料を設けるのです。
(参考:朝日新聞4月2日朝刊 中部14版)

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メリットの見えない、高速道路2000円乗り放題

 6月から今のETC利用者限定の高速道路1000円乗り放題をやめ、新しい高速料金制度が始まります。以前にも書きましたが、ETCのない車も車種に応じて上限が設けられます。上限は車種によって異なり、軽自動車やエコカーは1000円(ただし、エコカーは、認定作業があるため、6月の時点では上限は1000円にならないようです。普通車などの上限が適用されるようです)、普通車は2000円、大型車は5000円、特大車は10000円になるようです。また、首都高速、阪神高速については少し前に書いたように、現在の均一料金から上限付きの「対距離料金制」に移行します(でも、首都高速や阪神高速は入口のみに料金所があるケースが多いです。どうやって距離に応じた料金を設定するのでしょうか?)。料金変更には出資者である自治体の同意が必要なため、これも7月以降の実施となる見込みです。

 これに伴い、ETC利用者限定の高速道路1000円乗り放題は当然のこととしても、ETCに関するすべての割引が消えてしまいます。それなりのお金をかけてETCを持つメリットがなくなってしまうのです。いくら料金所をスムーズに通過することができるといっても、ETCの設置にはお金がかかります。高速道路が首都高速、阪神高速を含めて完全に無料になるのなら話はわかるのですが、無料になる区間は地方を中心としたごくわずかな区間です。依然として高速道路は有料が原則である以上、ETCは今後も普及したほうが望ましいものなのです。なぜその普及にブレーキをかけるのか、理解できません。

 ETCの割引が消えるということは、通勤割引も消えてしまうということです。新しい高速料金制度は、短距離の利用に厳しく、長距離の利用に甘いものです。車は短距離の利用に向いている交通機関ですが、その得意とする短距離に厳しくなっています。反対に、鉄道などが得意とする中長距離の需要を食ってしまい、公共交通機関の経営を脅かす事態になる危険性もあります。すでにバス会社鉄道会社フェリー会社が悲鳴を上げています。この動きにさらに拍車がかかることでしょう。短距離の割引がないことにより一般道の渋滞が増え、2000円で頭打ちになることにより公共交通からマイカーへの移行が出てしまいます。環境面でも望ましくありません。むしろ、短距離の高速料金を安くして、長距離を上げるほうがよいでしょう。

 どう考えてもメリットが見えてこない、高速道路2000円乗り放題ですね。

(追記)
 廃止されるETCの割引制度のうち、従来5割引であった通勤割引(地方に適用)と夜間割引(大都市圏に適用)については、2010年度に限り、激変緩和措置として3割引となります。本州四国連絡道路はフェリーに配慮して、普通車の上限を3000円とします。
(参考:朝日新聞4月1日朝刊 中部14版、毎日jp http://mainichi.jp/select/science/news/20100402ddm005020003000c.html)

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なにわ筋線、建設費は最低2000億円

 騒音問題が深刻な社会問題となった伊丹空港を廃止し、関西の空の需要を関西空港にまとめるためには、関西空港へのアクセス改善が求められるところです。そこで出てきたのが、なにわ筋線の計画。そのなにわ筋線について、国土交通省近畿運輸局は26日、建設費用や時間短縮効果についての試算を検討会に報告しました。

 建設費用についていえば、南海側の目的地をどこにするかと駅をいくつつくるかによって大きく変わります。一番安いのは、難波で接続し北梅田以外の駅はつくらないケースで、約2000億円かかります。一番高いのは、汐見橋で接続し5か所(中津、福島、中之島、西本町、西大橋)に中間駅をつくるケースで、約4000億円かかります。目的地をどこにするかで数百億円の差が(汐見橋の場合、駅自体の地下化を前提としているため、建設費がかかるようです)、中間駅をつくるかどうかで千数百億円の差が出るようです(もちろん、駅の数を絞ればかかる建設費は減らせます)。中間駅を省略すれば建設費は抑えられますが、大阪市に負担を求めることが難しくなりますね。なお、この建設費の試算には、JR新大阪駅から北梅田までの建設費は入っていません。貨物線の地下化はなにわ筋線とは関係なく行われるからです。

 所要時間については、中間駅に一切停車しない場合、北梅田から関空まで41分で結ぶことができます。現状は「関空快速」で大阪駅から1時間以上かかるので約2/3になるのですが、この時間短縮は貨物線の地下化で達成できます。今は梅田近辺を通りながら素通りであった貨物線に駅をつくれば完成なのです。ここの駅を少々遠くても「大阪駅」としておけば、40分程度で関空に行くアクセスは完成です。なにわ筋線経由の場合、JR難波駅を通過すれば関空まで30分台で行くことも可能ですが、通過するのは無茶でしょう。難波地区に駅ができるのは、JR西日本にとってなにわ筋線を使うメリットですから。これ以上のスピードアップは、阪和線や南海線の改良が求められます。103系のような低性能車両を追い出し、新型車両に入れ替えるとともに、部分的に複々線にすることもいるかもしれません。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/business/update/0327/OSK201003270006.html、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100326/biz1003262327050-n1.htm)

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