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「関西3空港懇談会」は何の解決もしていない

 12日の「関西3空港懇談会」において、争点をなっていた伊丹空港の廃止問題を先送りし、今後10年間は伊丹・関空・神戸の3空港を一元管理することで合意しました。

 今回の合意では、確実に需要が減ると考えられるリニア新幹線の名古屋暫定開業(2025年?)は織り込んでいません。これを考えると伊丹の廃止も議題に上げないといけません。伊丹の廃止には兵庫県が強く反対し、リニアを考えない10年の短いスパンでの話となりました。

 正直言って、これなら、わざわざ各府県知事や経済界の代表を集めてやるような話ではありません。発着する便が両手あれば数えられるようなローカル空港ならともかく、3空港はいずれも一定の利用がありますから、10年ではどこの空港も廃止できません。橋下知事の主張するように、リニアが現実的な話になっている以上、リニア暫定開業を考慮した議論をしなければならなかったのです(この場合、「伊丹廃止」にも踏み切らないといけないです)。本来、関空の借入金は国が負担すべき性質のものでしょうが(これなら関空に利息負担は発生せず、黒字になります)、国の支援に頼るだけでは話は進まないのです。結局、国にアピールできるようなものはありません。やるだけ無駄だった話なのです。当然、国(国土交通省)も国土交通省成長戦略会議もこの合意を冷ややかな目で見ています。

 そんな中、国土交通省成長戦略会議では、伊丹と関空の運営を一体化して、民間に委託する案が出ているようです。場合によっては、伊丹空港の敷地そのものを売却する案もあるようです。もっとも、神戸を含めた3空港の一元化を目指す「関西3空港懇談会」の合意とは違った話となり、最終的にはどうなるかはわかりません。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100413-00000513-san-soci、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100413-00000546-san-bus_all、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100413-00000699-yom-bus_all)

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飛行機、空港」カテゴリの記事

Comments

>本来、関空の借入金は国が負担すべき性質のものでしょうが

成田も中部も、国の金は一部入っているが、基本的には建設費は営業収入で償還することになっています。
なぜ関空だけ他人の財布をあてにするのか。
たかが関空ごときの分際で、特別扱いを認めるほどの国家的重要性はありません。

>そんな中、国土交通省成長戦略会議では、伊丹と関空の運営を一体化して、民間に委託する案が出ているようです。

こういうのは最悪でしょう。赤字のところと黒字のところをセットにして押しつける手法は規制時代と変わらない。

Posted by: かにうさぎ | 2010.04.17 11:14 AM

 かにうさぎ さん、おはようございます。

* 成田も中部も、国の金は一部入っているが、

 ターミナルなどの建築物は収益で返済すべき性質でしょうが、海上を埋め立てた土地は別物でしょう。

 とは言っても、財政事情が厳しいですから、国が関空に1兆円をポンと出して、累積赤字を埋めてくれるわけではありません。伊丹空港を廃止してその売却額で返済するか、伊丹利用者に負担を課して利子の穴埋めをしないといけないでしょうね。

* 赤字のところと黒字のところを

 統合先が成田や中部なら話はわかりますが、相手は関西の空港問題がこじれた諸悪の原因である伊丹です。伊丹に負担を課すことは、許されることでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2010.04.18 06:49 AM

>海上を埋め立てた土地は別物でしょう。

埋立地空港である羽田・中部でも税金投入という話は出ていません。
こんなことを主張しているのは関空だけです。

>相手は関西の空港問題がこじれた諸悪の原因である伊丹です。

問題の根本は、関空自体の競争力のなさです。
関空自体が失敗作と言われるのは、

・そもそも建設地選定の間違い
・関西自体の経済的地位の低下による国際線の撤退
・上記にも関わらず、2期工事まで強行したこと

3空港問題というのは、関空の失敗のツケをどう処理するかという問題だ。

無論、関空の失敗は国だけでなく、推進した地元にも責任ある話だ。

伊丹廃港という形で、関空のツケを払うのか、それとも地元負担を覚悟してでも3空港を維持するのか、究極の選択を迫られているということです。

Posted by: かにうさぎ | 2010.04.18 06:23 PM

 かにうさぎさん、おはようございます。

* 埋立地空港である羽田・中部でも

 羽田は完全な国営空港だから赤字でも関係ないですし、中部空港とは時代背景が異なります。何らかの工夫ができたであろう2期工事はともかく、1期の段階では伊丹の騒音を解決するのが先決でした。

* 問題の根本は、関空自体の競争力のなさです。

 関空だけに責任を押し付けるのは話が簡単です。しかし、何も生み出しません。何もないところから都市計画ができるならともかく、騒音問題の解決が主眼であった当時の現状を考えると、関空は少なくてもベターな解答です。

 問題の根本は、身内で足を引っ張っていることですね。

* 伊丹廃港という形で、関空のツケを払うのか、

 伊丹はもともと消える空港ですから、当初の計画通り廃港にするか、暫定的に(関空の利子をカバーする程度の)高額のペナルティ料を伊丹に負担させるのはよろしいことですね。

Posted by: たべちゃん | 2010.04.20 05:01 AM

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Tracked on 2010.04.16 10:30 PM

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