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June 2010

ETCカード持参でJR割引

 いよいよ週明けの28日(月)から始まる、高速道路の無料化。それに対抗してでしょうか、JR九州とビックカメラは、同じ28日から、「エコに乗り換えキャンペーン」を行います。

 このキャンペーンでいるのはETCカード。8月5日(木)までの間、JR九州の窓口でETCカードを提示し、1枚あたり2000円以上(1枚あたりの値段が1900円の大分-佐伯間も可。大分インター以南が無料化の対象になっているためでしょう)の「2枚きっぷ」「4枚きっぷ」「10枚きっぷ」「つばめ2枚きっぷ」などを買えば、スタンプカードがもらえます。

 「2枚きっぷ」「つばめ2枚きっぷ」なら1ポイント、「4枚きっぷ」なら2ポイント、「10枚きっぷ」なら3ポイントがもらえ、3ポイント以上になれば、豪華エコ家電(32型テレビ、5名)やビックカメラギフトカード1万円分(30名)が当たります。また、スタンプカードの右半分を切り取り、5店舗ある九州島内のビックカメラに持って行き、2000円以上の買い物をすれば、ダブルチャンスがあります。九州の人気観光地への1泊2日鉄道旅行(ペア5組)やJR九州旅行券5000円分(20名)が当たります。

 車で高速道路を利用している象徴ともいえるETC。これを逆手に取った面白い企画です。でも、高速道路は税金で無料になったり安くなったりするのに、鉄道はなかなかそういうものはありません。整備新幹線のように税金である程度つくってくれるものもありますが、道路に比べればそのスピードははるかに遅いです。

 結局は、誰も助けてくれず、自力で何とかしないといけないのが我が国の公共交通の現状なのです。昨日のJR四国の記事とも共通するところがあります。
(参考:JR九州ホームページ http://www13.jrkyushu.co.jp/newsreleaseweb.nsf/9dd28b8cb8f46cee49256a7d0030d2e6/1fdbd91989fdfc5d4925774b0057fe90?OpenDocument、http://www.jrkyushu.co.jp/norikae/index.jsp)

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JR四国、29駅を無人駅に

 普通、駅には駅員がいて、切符の販売をしたり改札業務をしたりします。しかし、利用者の少ない駅は、全く駅員のいない無人駅になることが多いです。目立った大都市圏のないJR四国の場合、257駅のうち約70%が無人駅でした。

 しかし、以前にも書いたように、休日の高速道路1000円乗り放題でJRの収益は減少しています。来週から行われる部分的な高速道路無料化で、状況はさらに悪化します。そこでJR四国は、9月1日と10月1日の2回に分けて、大歩危駅など29駅を無人駅化することにしました。これによりJR四国の駅に占める無人駅の割合は約80%となります。JR四国にとっては、約20年ぶりに無人駅化を行うことになります。また、昨年3月に行われた休日の高速道路1000円乗り放題化以降では、新駅の設置以外の理由(JR九州に2駅あります)で無人駅を増やしたのはJR四国が初めてということになります。

 今回無人駅化される29駅は、契約社員のみで窓口対応をしており、1日平均収入が10万円未満、窓口が開いている時間が午前中の5時間のみである駅が中心で、この無人駅化により年間5000万円の経費節減になるようです。無人駅化以降も券売機はそのまま残りますが、定期券や新幹線の特急券は買うことができなくなります。

 10月以降も有人駅として残るのはたったの51駅。そのうち、23駅が契約社員のみで窓口対応をしています。JR四国の駅員がいるのはたったの28駅なのです。しかも、高速道路の無料化などでさらに収益が厳しくなれば、無人駅をさらに増やすことも考えているようです。

 税金を使った高速道路の値下げで公共交通機関が苦しんでいるのです。
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819890E0E3E2E0E78DE0E3E2E4E0E2E3E29E93E2E2E2E2;p=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4EB;o=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/region/shikoku/kagawa/100622/kgw1006220244001-n1.htm)

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飯田線に117系観光列車

 JR東海は、8月1日から9月26日までの休日に、全車指定席の快速「そよかぜトレイン117」を運行します。豊橋-中部天竜間を1日1往復します。

 この臨時列車、使われる車両は117系を改造した4両編成の電車。フリースペース扱いとなる2号車は沿線の景色や自然の風を体験できるように窓を向いて木製のベンチを設置し、扉は自然を楽しめるように柵となっています。この「ウインディスペース」車両については外観も変更しています。白をベースに青や緑という寒色系をちりばめ、飯田線の山、川、風をイメージしているようです(ほかの車両は、従来通りの白地にオレンジの帯)。

 残りの3両については、座席をボックス状に配置し、ボックスの真ん中には大型のテーブルを置いています。定員は4両編成で100人です。

 なお、「そよかぜトレイン117」の運行日は、湯谷温泉の旅館で日帰り入浴の割引を行うなどのイベントがあります。これは、「そよかぜトレイン117」を利用しなくても構いません。往復乗車券の帰りの切符、「青空フリーパス」「青春18きっぷ」などの提示で割引が受けられます。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/nws000548.html)

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札幌市営地下鉄で貨物を運ぶ実験

 かなり前にソウルでの事例を紹介しましたが、8月に札幌の地下鉄で貨物を運ぶ実験を行います。実験期間は約2週間です。

 実験はヤマト運輸や北見工大などの大学教授でつくる「都市型新物流システム研究会」と共同で行います。現在、厚別区にあるヤマト運輸の輸送拠点「札幌ベース」と中央区にある都心部の集配センター「大通宅急便センター」との間を4トントラックで1日3往復しています。そのうち、昼に運行される1往復を地下鉄による輸送に切り替えます。

 今回の実験では貨車はつくらず、ヤマト運輸の社員が荷物を数台の台車に載せて運びます。1往復での輸送量は宅配分約150個と見積もられ、この実験で一般旅客に迷惑をかけないか(地下鉄は日中、7分間隔で運行されますので、その間にスムーズに載せないといけません)、配送時間に問題がないかを調査します。

 今回の実験が順調にいけば冬季においても同様の実験を行い、実用化に結びつける予定です。地下鉄と貨物の組み合わせは意外に思えますが、車での利用を抑える観点からすれば、実験がうまくいき、実用化できればいいですね。
(参考:北海道新聞ホームページ http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/237236.html)

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「さくら」で新大阪-鹿児島中央間、18000円?

 来年春にデビューする九州新幹線、「さくら」。テーブルやひじ掛けに木を使うなど「和」のテイストにあふれた車両が九州へと誘います。新大阪-熊本間を約3時間20分、新大阪-鹿児島中央間を約4時間で結びます。

 さて、この九州新幹線の運賃・料金についてですが、新大阪から熊本までは16000円程度、鹿児島中央までは18000円程度となるようです。この値段について考えてみたいと思います。

 まずは、現状から。新大阪から熊本、鹿児島中央までの運賃・料金は16840円、21300円です(「のぞみ」「リレーつばめ」「つばめ」の普通車指定席使用の場合、通常期。山陽新幹線で「ひかりレールスター」を使えば、300円安くなります)。九州新幹線が開業しても並行する在来線はJRのまま残りますので、運賃は新幹線が開業しても変わりません。それを考えると、特に鹿児島中央までが大幅に安くなります。たとえ東海道・山陽新幹線のように、博多で打ち切らずに通しで特急料金を計算してもこの水準にはなりません。一体、どのように計算しているのでしょうか?

 実際に大事なのは、通常の運賃・料金ではなく、割引切符の水準です。新大阪(大阪市内)-熊本・鹿児島中央間には「九州往復割引きっぷ」(大阪市内発)、「大阪往復割引きっぷ」(九州発)があります。いずれも7日間有効で「のぞみ」の普通車指定席が使え、正月などの多客期にも使えます(京都以東を発着とするものは期間制限があります)。大阪市内-熊本間が26800円、大阪市内-鹿児島中央間が31200円とかなりお得です。片道あたりにするとそれぞれ13400円、15600円ですから。ただ、新幹線開業により値上がりする可能性はあります。

 ライバルの航空機についても調べてみましょう。この記事を書いた日から1週間後の24日に搭乗するケースで考えます。伊丹から熊本へはJALで16600円(3日前までに予約すればいい「特便割引3」の最安値)、ANAで17600円(3日前までに予約すればいい「特割タイプC」の最安値)。鹿児島へはJALで19500円(「特便割引3」の最安値)、ANAで19500円(「特割タイプC」の最安値)です。こちらは新幹線の開業により立場が悪くなるので、値下げも考えられます。
(参考:朝日新聞6月16日朝刊 中部14版)

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やはり高速道路無料化は地方に甘い

 今月28日0時から始まる高速道路の無料化実験。今年度中に開通が予定されている東九州道の2区間(いずれも宮崎県内)も無料化の対象となります。今回、無料化される区間は地方を中心とする区間ですが、最終的な姿はどのようなものになるのでしょうか?

 最終的に無料となる区間は、今回の社会実験の結果を踏まえて決定されます。ただ、前原国交相の8日の就任会見でも明らかになったように、首都高速や阪神高速のように交通量の多いところは、無料にするとさらに混雑が激しくなります。渋滞ばかりで、高速道路を走るメリットがありません。こういう高速道路は無料の対象にならないのです。

 首都高速や阪神高速のみが有料として残るわけでもありません。大都市周辺のように、無料化すれば渋滞が激しくなるようなところは無料化の対象から外れます。東京外環道、名古屋環状二号線のようにこれからつくる高速道路も有料が前提です。今回の無料化実験と同様、地方のそれほど利用者がいない高速道路のみが対象になるとも考えられます。

 確かに、利用者の多い高速道路を無料化すると、激しい渋滞が起こり、高速道路を使う意味がなくなります。すでに1000円乗り放題で激しい渋滞が起きているところもあります。すべての高速道路を無料化する必要はありません。本格的に無料化するなら、揮発油税等の値上げのように自動車交通に対して適正な負担を課すべきでしょう。しかし、地方のみの無料化なら、大都市の住民は(すでに償還し終わったはずの)高速道路料金を負担し続け、地方の住民だけが無料化の果実を得ます。税金でこれからも必要な維持費を負担してくれるのです。公平性を欠きます。地方のみを無料化するのなら、幹線で得た料金収入は幹線でのみ使うなど、受益と負担がリンクするかたちでないといけません。

 以前のコメントにも書きましたように、地方の高速道路だけを無料化するのなら、トンネルなどの短い有料道路で実例があるように、地元自治体の負担で建設費の未償還部分を賄う必要があるでしょう。それならある意味納得できます。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100615-OYT1T00103.htm、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100611-00000016-rps-soci)

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馬籠にスマートIC構想

 文豪、島崎藤村の出身地として知られる馬籠。もともとは長野県でしたが、市町村合併により県を越えて、日常的なつながりの強い岐阜県中津川市に合併されました。

 さて、その馬籠に車で出かけようと思ったら、かなり離れた中津川インターから一般道を走らなくてはいけません。30分弱かかります。しかし、馬籠の近くに高速道路がないわけではありません。馬籠から歩いて20分ほどのところに高速道路があり、パーキングエリア(神坂パーキングエリア)があるのです。しかも、そのパーキングエリアには高速バスのバス停があり、新宿や名古屋から利用することができます。

 そこで、この恵まれた立地を利用して、ETC専用のスマートICを建設する構想が起こっています。2日には地元住民に加え、市なども参加した設置準備会が発足しました。今年の秋にはスマートIC設置のための「地区協議会」を発足させ、2015年の利用開始を目指しています。

 馬籠は誰でも知っている観光地であるだけに、それなりの効果はあるでしょう。スマートICの開設により、馬籠への所要時間が東京方面からは20分、名古屋・関西方面からは10分短縮されます。問題は、この付近の地形が険しいため、建設費が通常の倍の20億円かかると考えられていることです。市ではここを圧縮することが課題と考えられているようです。
(参考:中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20100606/CK2010060602000014.html)

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小野田線雀田駅で簡易ホームかさ上げ

 地方のJRの駅のホームは、高さが十分でないことが多いです。昔の客車に合わせてホームの高さが設定されたケースが多く、今の電車とは合わないです。ホームと電車との間に段差があると、電車の乗り降りのたびにかなりの注意を払う必要があります。

 この段差の問題を解決するには、ホームを今の電車に合うように高くすればいいのです(JR東日本のE721系のように、電車の高さを低くするという解決策もあります)。しかし、ホーム全体をかさ上げすると、それなりの費用がかかります。幹線ならともかく、ローカル線にそういう予算は回ってきません。優先順位が低いです。

 そこで考え出されたのが、扉付近だけをかさ上げする方法。舞台は小野田線の雀田駅。かつてクモハ42が活躍した、長門本山への支線が分岐する駅です。雀田駅を通る電車で2両編成なのは朝のラッシュ時の2本だけで、あとはすべて1両のみです。しかも、ここは無人駅なので、かさ上げするのは1両だけでいいのです。そこで、1両目の前扉付近と後扉付近の2か所(長さ6メートル、幅2メートル)を20センチかさ上げしました(3扉以上の電車でも、無人駅である雀田駅で扉が開くのは1両目の一番前と後のみです)。かさ上げしたところのうち1か所は、車椅子でも使えるようにスロープが付いています。もともと利用者の少ない駅(1日平均約340人)ですので、車椅子での乗降はめったにありません。もし車椅子の利用者が来た場合でも、1か所で行うと割り切っているのでしょう。

 普通にホーム全体をかさ上げすると、工期は約3週間、費用は約500万円かかります。しかし、今回のかさ上げ工事では、JRの社員や協力会社から延べ80人が参加した結果、たったの2日で完成し、費用も材料費のみの約200万円で済みました。

 より少ない金額でそれなりの効果を上げる方法として検討してもいいでしょう。
(参考:中国新聞ホームページ http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201005290048.html、山口新聞ホームページ http://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/news/digest/2010/0531/10p.html)

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成田にLCCはもったいない?

 成田国際空港会社は、LCC(格安航空会社)専用の旅客ターミナルをつくることを検討しています。

 LCC専用の旅客ターミナルが置かれるのは、整備地区。芝山鉄道の芝山千代田駅が最寄りになりそうです(既存のターミナルとの間に連絡バスが走るとは思いますが)。ここに自家用ビジネスジェット用の施設も併せて建設するそうです。

 LCC専用の旅客ターミナルが検討されるきっかけは、成田空港の年間発着枠が現在の22万回から30万回に増える方向であること(地元と協議中です)。成田空港会社はすでにLCC約20社から就航希望の聞き取り調査を行っており、9月にロンドンで行われるLCC会社の会議の結果によって、建設するかどうかを決定します。

 しかし、東京から遠くない場所に、今年3月に開港した茨城空港があります。LCCなら、そこを使えばいいのです。普通の航空機ならともかく、LCCなら東京の空港としても許される立地です。成田の役割は、世界中どこにでも行くことができる、日本の玄関。羽田の国際空港化で一部の便は羽田に流れるかもしれませんが、到底羽田では国際線需要を賄うことはできません。首都圏の航空需要は今後も増えるでしょうから、成田をLCCに使うのはもったいないような気もします。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/national/update/0606/TKY201006050368.html)

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「ビスタカー」の硬い椅子

 5日のことですが、リニューアルされた「ビスタカー」に乗ってきました。指定された階上席の座席に座った途端、背中から腰にかけて違和感を感じたのです。あまりにも椅子が硬く、座り心地が悪かったのです。しばらくすると「こんなものか」とも思いましたが、あれなら急行や普通のロングシートのほうが座りやすいです。

 さて、今回のリニューアルで大きく変わったのは、階下席部分。「ビスタカー」の階下席部分は、車両真ん中の扉の前後に定員6名ずつの区画がありました。これまで、ここ階下席部分も通常の座席と同じく、1席ずつ販売していました。しかし、今回販売方法が変わり、3~5人のグループにのみ販売することにしました(リニューアルについてはこの記事を見てください)。

 その階下席も見てきました。階段を降りたところにあるその部屋は、入口が狭くなっているため扉付近からは見えにくく、半個室みたいな雰囲気があります。半透明のガラスが階段を降りたあたりにあるのが大きいです。真っ青なソファの椅子は6、7人でも座れそうで、真ん中には大きな木のテーブルがあります。家族連れやグループには最適ですね。

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神奈川県寒川町に新幹線新駅建設か?

 東海道新幹線では、駅と駅との距離が2番目に長い、新横浜-小田原間(一番長いのは、米原-京都間)。その中間の寒川町に、新幹線の駅を設ける話があります。かなり前から、JR相模線との交点に当たる倉見駅周辺に新幹線の駅を誘致する動きはありましたが、JR東海もリニア開業後に「こだま」のみが停まる新駅の開設を検討しているようです。

 今は「のぞみ」中心の東海道新幹線ですが、リニアが開業すると「のぞみ」の利用客を中心にリニアに移行すると考えられています。これまでは、駅をつくって「こだま」を増発すれば「のぞみ」の運行に影響を及ぼすので、新駅の設置には否定的でした。リニアの開業により、これまで力を入れることができなかった、「ひかり」や「こだま」を充実させることができるのです。

 しかし、駅の設置にかかる負担は県や周辺の市町。それなりの負担があります。一番駅間距離が長い米原-京都間に設置予定だった南びわ湖駅のように、一時的な負担を嫌って失敗した例もあります。しかも、停まるのは「こだま」のみ。東京へ通勤するビジネス客を見込んでのことですが、東京までは隣に新横浜があるので、自由席特急料金でも1680円と高くなります。定期券(「FREX」)の割引率にもよりますが(自由席特急料金が安い新横浜までの定期券の割引率は、小田原以遠と比べて低いです)、高いですね。

 大金をかけて駅をつくるなら、関西方面への需要も狙って、一部の「ひかり」も停めないといけないですね。
(参考:47NEWS http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010060201000276.html)

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長野県知事、リニアのルートに柔軟姿勢を見せる

 これまで諏訪湖近辺に迂回するルートを強く主張してきた、長野県。しかし、その長野県に軟化の兆しがあるようです。

 4日、国土交通省内で行われた交通政策審議会中央新幹線小委員会に出席した村井県知事。会議の後県知事は、交通政策委員会の議論により専門的な見解が得られれば、これまで長野県が主張してきた、諏訪湖近辺に迂回するルートにこだわらないと発言しました。

 長野県の態度に変化が見られるようになったのは、次の要因があると考えられます。まず、JR東海がリニア沿線の各県にひとつずつ駅を置く方針であること。長野県の主張通り諏訪湖近辺に迂回することができたとしても、駅がひとつでは意味がありません。「南アルプスルート」なら駅は飯田で決まりですが、「伊那谷ルート」では駅の位置をめぐって、諏訪と飯田で激しい争いが起きます。鉄道は駅があるから意味があるのです。各県1駅の方針は、経済性の悪いルートを排するという意味では意味があったのです。

 もうひとつの要因は、山梨県の態度。甲府より西は、「南アルプスルート」にするか「伊那谷ルート」にするかによって、大きく変わります。その山梨県は、4日の同じ会議で、「南アルプスルート」が望ましいことを明言しました。「伊那谷ルート」の場合は、甲府盆地の市街地を通るので用地買収が難しく、騒音などの環境問題が出てきます。また、甲府以西でも中央線と並行するため、「あずさ」が減便される危険性があります。これらの理由により、山梨県は「南アルプスルート」を支持したのです。

 ついに長野県は外堀を埋められたかたちになったのでしょう。しかし、長野県にも飯田には駅ができます。決して県内に駅ができないわけではありません。

(追記)
 国交省幹線鉄道課によれば、整備新幹線の場合は、新幹線の建設費用の1/3を地元自治体が負担します。それを考えると、駅建設費の約350億円で済む、リニア沿線の負担はむしろ軽いとも考えられます(神奈川県のように地下駅になれば、負担は約2200億円と重たくなり、何らかの手当てはしないといけないでしょうが)。場所にもよりますが、並行在来線の問題も出てきます(ただ、リニアでも並行在来線が維持されるとの保証はありません。中央線への影響が少ない「南アルプスルート」だから問題がなかったという側面もあります)。

 既存の新幹線に駅をつくることに比べれば高いですが、整備新幹線よりは安い。地元自治体の負担はどれぐらいが適当かは、見かたによってはいろいろありそうです。地元自治体の同意を得るためにはある程度の駅もいりますし、非常時用の設備という側面もありますから。
(参考 毎日jp http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100605k0000m040071000c.html、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090128-945707/news/20100603-OYT1T00268.htm、日経ケンプラッツ http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20100604/541602/?P=1)

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長野電鉄、253系を譲り受ける

 「成田エクスプレス」は1991年に誕生した、東京と成田空港とを結ぶ特急列車。東京側ではJRの路線網を活かして横浜や池袋にも足を伸ばし(後に大船や大宮、高尾にも延長)、ライバルの京成の空港特急「スカイライナー」と激しい争いを見せました。車両は、「成田エクスプレス」専用に253系を製造。白、灰色、赤、黒の4色でまとめられた独特のペイントは印象的でした。また車内について言えば、グリーン車は個室も用意され、通常の(個室でない)座席も1列+1列の豪華なシートのものもありました。荷物棚が航空機みたいにふたのついたものになったり、特急にも関わらずボックスシートが採用されたりという変わった特徴もありました(後にかなり改造されています)。

 しかし、昨年から後継のE259系が投入され(6月末で置き換えは完了します)、253系は20年足らずで追い出されることになりました。一部はすでに廃車されています。そのような状況の中、長野電鉄はJR東日本から2編成6両の譲渡を受けました。長野電鉄はこの2編成についてワンマン改造をして、来年春から長野-湯田中間で特急列車として走らせます。253系の3両編成のバージョンは、後の改造によってグリーン個室と普通車から成り立っています。グリーン個室はどうなるのでしょうか? 253系は、元小田急ロマンスカーの1000系「ゆけむり」(乗車記はこちら)と同じく、長野で第二の人生(車生?)を歩むこととなります。代わりに、製造されてから50年が経つかつての看板列車2000系(今なお一部の特急列車に使われます)が2011年中に引退します。引退の時期(あくまでも予定で、変更の可能性があります)は、マルーンのA編成が2011年3月下旬のイベント臨時列車(定期列車としての運行は2011年2月12日までです)、赤とクリームのD編成が2011年8月ごろ(定期列車としての運行は2011年2月25日までです)です。

 253系も「ゆけむり」も製造されてからまだ20年ほどしかたっていないので、まだまだ看板列車として活躍できそうです。

(追記)
 東日本大震災の影響により、当初2011年3月26・27日に行う予定だった臨時貸切特別ツアーを取りやめました。代わりに、A編成引退企画として、3月27日に、D編成とともに定期特急として1日中走り続けました。
(参考:長野電鉄ホームページ http://www.nagaden-net.co.jp/webstation/news_index.html、http://www.railfan.ne.jp/nagaden/、http://www.nagaden-net.co.jp/sayonara2000/、座席探訪 253系成田エクスプレス http://www62.tok2.com/home/tsubame787/seat_253.html、信毎web http://www.shinmai.co.jp/news/20100604/KT100603SJI090010000022.htm)

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東京-茨城空港間、たったの500円

 今年3月にオープンしたばかりの茨城空港。発着するのはソウル(仁川)と神戸への便しかありません。それぞれ1日1往復です。

 そのような茨城空港ですが、先月27日から関東鉄道グループの関鉄観光による高速バスが走り始めました。行先は東京駅。茨城空港から東京駅へは2時間30分、逆に東京駅から茨城空港へは1時間40分かけて、1日3往復します。驚きは運賃の安さ。航空機を利用した人は、東京駅までたったの500円です(航空機を利用しない人でも1000円です)。明らかに安すぎる運賃設定なので、どこかから補助金が出ているのでしょう。

 現状では1日4回しか発着しないので、「無駄な空港」と言えるでしょう。ただ、ここが怖いのは首都圏にあること。首都圏の航空需要は今後も増え続けるでしょうから、羽田や成田でこぼれた需要を掬いあげることができます。首都圏なら3つの空港があっても成り立っていけるかもしれません。

 茨城空港の狙いはLCC(格安航空会社)。茨城空港は東京から2時間程度で行くことができるので、そう無茶苦茶遠いわけではありません。LCCなら東京の空港のひとつとして値段次第では勝負できるかもしれません。ただ、そのためには県のプライドを捨てて、空港の名前は変えておいたほうがよいでしょう。「茨城」がどこにあるかわかる外国人はめったにいませんが、「東京」なら誰もが知っていると言ってもよいでしょう。いっそのこと「北東京空港」などと名乗ったほうがよいかもしれません。以前の発言と矛盾するかもしれないですが、東京の空港と誤解させてLCCに乗り入れさせるのです。
(参考:関鉄観光ホームページ http://www.kantetsu.co.jp/kankan/ibaku/ibaku.html)

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北新地駅にホーム柵設置へ

 最近、地下鉄や新交通システムを中心に、ホームに柵を設けるところが増えています。ホームに柵があれば、線路への転落による事故を防ぐことができ、安全性の向上につながります。JR西日本でも、JR東西線の北新地駅のホームに柵を設置することにしました。設置の時期は、2011年の春です。

 安全性の向上のためにはいいことずくめのように聞こえるホームへの柵の設置ですが、なかなか難しいところがあります。ホームに柵を設置するために求められる条件のひとつが、ホームの幅に余裕があること。ホームに柵を設置すると、旅客などが移動できる幅が狭くなってしまいます。もともとホームを広めにつくっているところでないと難しいです。

 それと重要なのが、車両のドアの位置を統一させる必要があること。地下鉄や新交通システムで導入が進むのは、もともと同じタイプの車両になっているか、あるいは合わせるのが容易だっただからです。様々なタイプの電車が走るJRは不利です。北新地駅のあるJR東西線は、207系や321系という通勤型の4扉の車両がメイン。それだから、ほかのJR線に比べて早くホームへの柵の設置ができるのです。

 しかし、物事には例外があります。JR東西線を走る車両の中には、1日たったの4往復ですが、扉の数が違うものがあります。尼崎と奈良との間を結ぶ「直通快速」、223系6000番台が使われます。3扉車です。しかし、先ほども述べたように、北新地駅のホームに柵を設置すると、車両のドアの位置を統一させないといけません。当然、大多数の207系や321系に合わせます。「直通快速」も通勤型車両に置き換えられるのでしょうか? それとも、そういう列車自体が消えてしまうのでしょうか?

(追記1)
 尼崎と奈良とを結ぶ「直通快速」は、2011年3月12日のダイヤ改正から207系または321系で運転されます。北新地を通る電車はすべて4扉車で統一されるのです。

(追記2)
 北新地駅の柵は2011年3月12日から使用します。最初はドアの部分が開いた固定柵ですが、27日からは電車が来ると柵が開く可動柵となります。その後、2011年度中に大阪天満宮駅にも可動式ホーム柵を設置します。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174837_799.html、http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1175201_799.html、毎日jp http://mainichi.jp/kansai/photo/news/20100529oog00m040007000c.html、「鉄道ダイヤ情報」 交通新聞社 2011年2月号)

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淡路屋、大阪駅の駅弁に「昇格」か?

 電車の旅に欠かせないのが駅弁。普通のコンビニ弁当の倍ぐらいして高いですが(大体1000円ぐらいが相場)、各地の名物が入っていたりして、舌でも旅を楽しむことができます。デパートの駅弁大会などで全国各地の駅弁が手に入りやすくなったとはいえ、やはり現地で買うのがよいことには変わりありません。

 大阪駅にも当然、駅弁がありました。「水了軒」という名前で、100年以上の伝統を誇っていました。大阪駅のほかにも、新大阪駅や天王寺駅で駅弁を販売していました。天王寺はもともと別の業者が駅弁を販売していたのですが、そこも倒産して水了軒が引き受けたのです。しかし、主力となる駅弁が幕の内弁当主体だったこともあり(「八角弁当」などは結構評判が良かったようですが)、4月に破産しました。新幹線のある新大阪駅での販売場所に恵まれなかった(いい場所はJR東海に抑えられた?)要因も決して表には出てきませんが陰ではあるようです。JR西日本のおひざ元の大阪駅から駅弁が消えるピンチです。

 しかし、JTB時刻表の6月号を見ると、(かつて水了軒が販売していた)大阪・新大阪・天王寺の各駅で売られている駅弁が変わっていました。一部ですが三ノ宮・新神戸・西明石などと同じものが入っています。そうです、淡路屋の駅弁なのです。淡路屋の駅弁はもともと委託販売のかたちで大阪駅などでも販売されていました。ここが大阪駅などの駅弁に「昇格」するのは妥当なところでしょう。

 神戸牛や明石の蛸をメインとした駅弁で知られた淡路屋。将来的には、水了軒のレシピを引き継ぐなどして、大阪ならではの駅弁も充実させたいところですね。
(参考:JTB時刻表2010年6月号、淡路屋ホームページ http://www.awajiya.co.jp/、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100420/biz1004202048032-n1.htm)

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