阪堺に50億円支援策
昨年秋の市長選で、堺東と堺とを結ぶLRTを推進していた現職の市長が落選し、LRTに批判的だった新人が当選しました。LRTの建設によって解決するはずだった阪堺線の廃止問題が再び浮上しました。LRTと阪堺線の存続はセットだったのです。
LRTには批判的だった竹山市長も、阪堺線が消えるのをじっと見ているわけにはいきません。そこで堺市は先月末、阪堺線に今後10年間で50億円の支援を行うことにしました。堺市は市議会の了承を得て、9月末までに阪堺と存続の合意を行いたいと考えているようです。
支援策の内訳は次の通りです。来年度から10年程度の間、堺市内の阪堺線と市内中心部のバスが利用できる「ゾーンチケット」への支援、高齢者利用割引への支援、大阪市内までの運賃の200円への値下げ(現行は290円)、施設の保安・保守に要する費用の補助で毎年2億円を限度に助成します。また、低床車の導入、停留所の増設や改良、路面電車優先信号の設置、ICカードの導入などの投資に対して10年間で30億円を支援します。市が施設や車両を保有し(土地は阪堺が保有)、阪堺がその車両を借りて運行する上下分離についても協議を行います。これはなかなかの支援策で、阪堺側も満足しているようです。市議会で了承が得られれば、廃止の危機は免れるでしょう。
しかし、阪堺線の利用が低迷している根本的な原因はこれによっても解決しません。阪堺線の利用が低迷している根本的な原因は、並行して南海本線など他の線が走っていること。遅い路面電車に乗って大阪市内まで行く人はそういません。路面電車がなくても南海本線などで大阪市内に行くことができるのです。
このように充実している南北の軸に対して、極端に弱いのが東西の軸。前市長の推進したLRTは、その問題を解決するものでした。堺のLRT建設計画は、既存の阪堺線の改良を伴うものでありましたので、単に堺東と堺とを結ぶだけではなく、阪堺線にもプラスの効果を及ぼすものでありました。
堺が足らない東西の軸ではなく、充実している南北の軸に投資する意味はあまりありません。阪堺線の廃止を阻止するぐらいのものです。実は堺市が行おうとしている50億円の支援策と言うものは、前市長の推進していたLRTの計画から、LRTの建設を抜いたようなものです。LRTの建設そのものは、建設に反対して市長になった以上できないのでしょうが、そういうつまらないプライドを捨ててLRTの建設を再検討したほうがよいのではないでしょうか?
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819890E1E2E2E0888DE1E2E2E4E0E2E3E29E9693E2E2E2、堺市ホームページ http://www.city.sakai.lg.jp/city/info/_tetuki/img/kyougi.pdf)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
- 中央線のグリーン車は10月13日から(2024.09.11)
- 小田急、新型「ロマンスカー」投入(2024.09.10)
「関西私鉄」カテゴリの記事
- 一日乗車券でポテトプレゼント(2024.09.09)
- 「トムとジェリー」で阪急はバスも含めて一日乗り放題(2024.08.11)
- Osaka Metroと北大阪急行、乗継割引を拡大(2024.07.21)
- 近江鉄道で運賃の値下げを求める声(2024.05.12)
- 箕面萱野に行ってきました(2)(2024.05.08)
「路面電車」カテゴリの記事
- 万葉線で交通系ICカードを使えば、期間限定で1割引(2024.09.10)
- 函館市電、停留所の混雑解消のため乗車位置を変える(2024.09.08)
- ライトライン、沿線のショッピングセンターとコラボの一日乗車券(2024.09.04)
- 新幹線、路面電車になる(2024.08.18)
Comments
たべちゃんさんへ:
現市長の案だと、死に体の阪堺線の延命策にしか過ぎないようですね。
支援が切れたら、はいそれまでよ……です。
Posted by: パノラマハイパー | 2010.07.05 07:50 PM
パノラマハイパーさん、こんばんは。
* 現市長の案だと、死に体の阪堺線の
LRTの建設に踏み込まない限り、根本的な解決策にはならないですね。
Posted by: たべちゃん | 2010.07.05 11:09 PM