JR四国、高速化構想&ICカード導入?
規模が小さく、新幹線の計画もないJR四国。高速道路の1000円乗り放題で利用者の減少を招き、経費の削減のため今月から無人駅の数を増やしています。
今年就任した泉社長の話によれば、JR四国に必要なのは高速化。航空機や車との競争に打ち勝つには、やはりスピードが大切なのです。私も同じ認識です。速くないとお金を払って乗ってくれません。
しかし、泉社長も指摘していますが、鉄道は昔の技術でつくられ、急カーブがいたるところに存在します。山脈でもトンネルで貫く高速道路とは大きな違いです。泉社長はこの問題を解決するには新幹線の導入がベストと考えています。並行在来線を切り離すという条件なら、松山までならそれなりの需要があり、新幹線も採算が取れるでしょう。しかし、新幹線は予算がないのですぐにはできません。北海道新幹線や北陸新幹線が完成してからになります。何十年も先の話です。
次善の策としてJR四国が考えているのが、線路の改良。時速160キロ運転ができるぐらいに改良するのが目標のようで、そうなれば新大阪と松山の間を2時間半で結ぶことができるようです。現状では最速でも3時間40分ぐらいかかりますので、大幅な所要時間短縮です。本当に線路改良だけでこれだけ短縮できるかは疑問ですが。
参考にした記事にある地図を見れば、松山に伸びる路線が今治を通らず、ショートカットしているように見えます。確かにここをつくれば30分程度は所要時間の短縮ができそうですが、30キロ以上の線路をつくればかなりの費用がかかります。JR四国の見込んでいる費用1500億円はそれだけで吹っ飛んでしまいます。
JR四国は、高速化を考えている路線として、予讃線(高松-松山間)のほかに、土讃線(高松-高知間)、高徳線(高松-徳島間)を挙げています。いずれも振り子式の特急が1時間ごとに走っており、線路の改良が求められるところです。
1500億円と見込んでいる費用については、国に頼むことになります。記事ではやや否定的に書かれているところもありますが、中距離の輸送は鉄道の得意分野であり、高速道路を税金を使って無料にするよりはよほど有用な使い道とも言えます。
泉社長はICカードについても触れています。お隣の岡山では「ICOCA」が使えますので、それを高松近郊で導入しようとも考えたようですが、20~30億円の費用がかかるようです。高松近郊以外ではICカードの導入は考えられないでしょうが、高松近郊では使えるようにしたほうがいいでしょうね。当然、会社の壁を越えて岡山でも使えるのが話の前提です。
(追記1)
2012年5月に判明した話ですが、土讃線に関しては、新たにトンネルを掘って直線化を図り、それによって所要時間の短縮を図る構想があります。すでにJR四国のほかに四国4県の行政関係者も加わっての「高速化検討委員会」も開かれています。しかし、想定されている大杉-土佐山田間(24.1キロ)だけでも事業費は1000億円を超えます。JR四国は整備新幹線の手法で整備することを考えているため、負担の生じる高知県は現段階ですでに慎重な姿勢を示しています。整備新幹線の場合、地元の負担は1/3。事業費を1000億円として、建設に10年かかるならば、単年度負担は33億円程度になるのですが。
(追記2)
四国の高速化に関連して書きますが、徳島県は、四国新幹線の必要性を訴えています。山陽新幹線が被災したときの代替として四国新幹線を位置付けています。四国新幹線は1973年に大阪-徳島-高松-松山-大分のルートで構想されましたが、実現のめどが立たないため2008年度に地質調査の予算が打ち切られました。2012年5月に、2013年度の国の予算編成についての政策提言を行い、その中の重要項目として四国新幹線を取り上げました。
確かに新幹線のスピードは圧倒的で、車に対抗できる最大の武器となります。理想的な改良方法です。先にも書きましたが、松山までならそれなりの需要は見込めそうです。しかし、整備新幹線の財源が厳しい中、四国までできるのは非常に先のことになりそうです。このままのペースでは50年後でも難しいでしょう。
(参考:asahi.com http://mytown.asahi.com/kochi/news.php?k_id=40000001009250002、高知新聞ホームページ http://www.kochinews.co.jp/?nwSrl=288132&nwIW=1&nwVt=knd、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/travel/rail/news/OSK201205280134.html)
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