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October 2010

新青森・青森の乗継割引は、寝台特急は対象外

 新幹線と在来線の特急・急行を乗り継いだときに一定の条件のもとで受けられる、乗継割引。東海道・山陽新幹線では東京・品川以外の各駅と大阪(新大阪で新幹線と乗り継ぐ場合のみ)、坂出・高松(岡山で新幹線と乗り継ぐ場合のみ)で乗り継ぐ場合に受けられますが(博多南線と「かいおう」は除く)、東北・上越・長野の各新幹線は駅をかなり限定しています。八戸・越後湯沢(ガーラ湯沢方面は除く)・長岡・新潟・長野駅のみです。12月4日に東北新幹線が新青森まで延長されると、八戸が外れて、新青森と青森(新青森で新幹線と乗り継ぐ場合のみ)が加わります。

 ところが、新青森・青森での乗継割引は、寝台特急は対象外です(寝台特急と、「スーパー白鳥」など海峡線特急との乗継割引は受けられます。ただし、新幹線から乗り継いだ場合と違って、五稜郭・函館で「スーパー北斗」など函館線特急との乗継割引は受けられません)。つまり、「日本海」「あけぼの」が対象外となります。急行の「はまなす」は特急ではないので、乗継割引が受けられます。

 乗継割引はもともと、新幹線開業により直通しなくなった区間を救済する性格がありますから、大阪や上野に行く寝台車を除外することは納得できます。しかし、「日本海」「あけぼの」には寝台券がなくても乗車できる区間があります。いわゆる「ヒルネ」の区間です。列車によっても異なりますが、最大で羽後本荘以北が該当します。青森行きは立席特急券で、大阪・上野行きは指定席特急券で乗車することができます。

 このような「ヒルネ」の措置が取られた背景には、奥羽線の特急の本数が少ないということがあります。新幹線開業後は、寝台列車を除けば、「つがる」が6往復(大館発着の2往復を含む)のみです。寝台列車といえども、貴重な戦力なのです。しかし、「つがる」と寝台特急で乗継割引の適用に差がつけば、高い寝台特急は使えなくなります。

 「ヒルネ」区間だけでも、乗継割引を適用させたほうがいいのではないでしょうか?
(参考:JR西日本ホームページ http://www.jr-odekake.net/guide/stipulation/pdf2010/covenant_101020.pdf)

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「青春18きっぷ」、今年の冬も発売!

 春・夏・冬と、長期の休みがある期間に発売されてきた「青春18きっぷ」。これまでの恒例として、春の「青春18きっぷ」が始まる前に1年分の発売期間・利用期間が発表されていました。

 ところが今年は、春と夏のみが発表され、冬季は発表されませんでした。そのため、「『青春18きっぷ』が廃止になるのでは?」といううわさがかなり流れていましたが、今年の冬も発売されることになりました。

 5枚つづりの切符で、価格が11500円であることは変わりませんが、発売期間・利用期間がともに短縮されています。発売期間が12月1日から12月31日まで、利用期間が12月10日から2011年1月10日までです。後が短くなっていますので、気を付けてください。

 全国のJRの普通列車普通車自由席(グリーン車自由席はグリーン券を買えば可)とJR西日本宮島フェリーに乗ることができることも変わりません。石勝線などのように特急に乗っても特急券がいらないところは「青春18きっぷ」で乗ることができますが、奥羽線新青森-青森間は乗車券のみで特急の自由席に乗ることができるにもかかわらず、「青春18きっぷ」では乗ることができません。短距離なので影響は少ないとは思いますが、御注意ください。

 「青春18きっぷ」は皆さんも御存じのとおり、JR線以外では利用できません。新幹線開業に伴ってJRから分離された並行在来線も例外ではありません。しかし、今回からは「例外」ができるのです。それは、青い森鉄道に関する区間。青い森鉄道で八戸-青森間、八戸-野辺地間、野辺地-青森間を普通列車で通過する場合に限り、青い森鉄道の運賃を払うことなく、「青春18きっぷ」だけで乗ることができます。東北線八戸-青森間が分離されることにより、全く他のJR線と接続しなくなる大湊線のことを考えた措置でしょう。ただし、八戸、野辺地、青森以外の駅(三沢、浅虫温泉など)で途中下車した場合はこの特例が適用されず、青い森鉄道の運賃を払わないといけません。ということは、東京から東北線で真っすぐ北海道を目指す場合、「青春18きっぷ」とIGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道の盛岡-八戸間の運賃だけでいいのでしょうか?
(参考:JR四国ホームページ http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/10-10-29/01.htm)

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新潟県、貸付料についての開示を受ける(3)

 今回開示されたデータには、北陸新幹線の所要時間などのデータも含まれています。このまま使わないのももったいないので、ここで紹介します。

 今、長野新幹線は8両編成で走っていますが、以前にも書いたように、金沢まで延長されると12両になると考えられています。E2系で考えると、定員は998人と推定されています。グリーン車は1両のようです。北海道新幹線まで乗り入れてくる東京-大宮間のことを考えると、確かに8両では厳しいです。

 座席の65%が埋まるという仮定で、想定される輸送密度から考えると、設定される列車の本数は、長野までが1日27本、上越までが15本、富山までが14本、そして金沢までが13本となります。長野までが1時間に2本、長野以遠が1時間に1本というところでしょう。まぁ、実際には朝夕の混雑時には増発されますし、上越や富山で本数が減るとは考えにくく、むしろ関西・名古屋方面連絡のための富山-金沢間の区間便がいくつか設定されると考えています。

 列車は最速達、速達、緩行の3種類が考えられています。最速達は大宮、長野、富山のみに停車し、東京-金沢間2時間26分(45秒)。以前書いた記事と合います。上越に停まると3分30秒ロスするようですので、2時間30分を切るためには通過されても仕方がないでしょう。速達は上野、大宮、高崎、軽井沢、長野、上越、富山に停まり、東京-金沢間2時間36分。緩行は長野-金沢間を各駅に停まり、1時間21分かかります。

 ただ、想定される長野まで1時間に2本、金沢までが1本の組み合わせだと、次のパターンになると思われます。上野、大宮と停まった後は長野までノンストップとなり、そこからは各駅に停まる速達便と、長野まで各駅に停まる便の2種類です。最速達は朝夕の混雑する時間帯に運転されます。長野から各駅に停まる速達便の所要時間は2時間48分です。
(参考:新潟県ホームページ http://www.pref.niigata.lg.jp/koutsuseisaku/1287522081374.html)

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新潟県、貸付料についての開示を受ける(2)

 新潟県はこのたび開示された文書を受けて(内容は(1)を見てください)、北陸新幹線による並行在来線の赤字相当額を30年間で780億円以上と見積もっています。

 新潟県は、貸付料に含まれる並行在来線廃止による収支改善分は、並行在来線を運営する県がもらうものだとして返還を求めています。また、整備新幹線建設にあたり、県は建設費の1/3を負担しています。新潟県は、その費用負担に見合うだけの貸付料の還元を国に求めています。こちらは30年間で480億円と試算しています。

 これから整備新幹線の建設が始まる段階で主張するなら理屈が通りますが(ただしその場合は他の区間に比べて県の協力が悪いということで不利になるでしょう)、新潟県の場合はすでに着工し、開業が見えている段階です。新幹線着工の段階で、並行在来線はJRから分離させること及び並行在来線の赤字は県が負担することに同意しています。全国的なネットワークとなる貨物列車はともかく、普通列車は極めてローカルな話です。並行在来線の負担は、新幹線開業に伴う税収でカバーすると考えていたのでしょう。批判するなら整備新幹線着工を受け入れた県の前任者を批判するべきであり、今となっては国を批判することは許されません。

 新潟県の場合は、北陸新幹線が開業すれば上越新幹線は支線的な位置づけに転落し(新潟方面より長野・金沢方面のほうが運転本数が多くなる)、今は「はくたか」で稼いでいる北越急行の経営問題が出てきます。新潟県にとって北陸新幹線は、富山県や石川県のように、県の中心を貫く重要な新幹線ではありません。県の西をかすめるだけの存在です。県内に2つできる新幹線の駅(上越、糸魚川)に全列車が停まらないのも不満の種のようですが、上越といえども最速達列車は通過するのはやむを得ないでしょう。JR東日本も同じ認識です。長野や富山と比較すると全部停まる規模ではありません。

 一部の便が通過するとはいえ、県内に新幹線の駅が2つできます。新幹線ができるメリットを享受して、在来線の負担も実質的になくそうというのは虫がよすぎます。どうしても貸付料の還元を求めたいなら、駅の設置を断ればいいのです。新幹線の駅がなければ、新幹線のメリットは当然ありませんから、貸付料の還元を求める権利はあります。

 はっきり言って貸付料を新潟県が回収しようというのはわがままです。それなら、新幹線を断ればよかったのです。金沢止まりの新幹線なら、北陸へのローカル新幹線に過ぎませんから、できなくても別に問題ではないのです。余ったお金で北海道新幹線の整備を進めてもいいのです。

 北海道新幹線や北陸新幹線開業によって得られるJR東日本の「根元受益」も貸付料に反映させ、できるだけ多くの財源を確保して(当然、一般財源の確保も必要です)、札幌や大阪までの全線開業を急ぐ必要があります。新潟県の理屈に合わない、過大な要求に応じて、お金を出す余裕はありません(続く)。
(参考:新潟県ホームページ http://www.pref.niigata.lg.jp/koutsuseisaku/1287522081374.html)

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新潟県、貸付料についての開示を受ける(1)

 新潟県は、整備新幹線(北陸新幹線長野-金沢間)の貸付料の試算根拠を求めて、国に対して開示請求を行いました。県が国に対して開示請求を行うという異例の事態になりました。

 その後、9月13日に開示決定が行われました。ただし、JRの経営に関する事項が多く含まれているためか、2009年度分の北陸新幹線貸付料追加試算資料はほとんど黒塗りで、使えません。よって、新潟県は、(同時に開示された)2008年度与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームで出された貸付金試算資料をもとに分析しています。

 それによれば、北陸新幹線の貸付料相当額は、JR東日本(上越以東)が318億円、JR西日本(上越以西)が176億円となっています。合計すると494億円となり、これまで言われてきた数字(247億円)の倍になっています(注1)。ただ、この中にはすでに長野新幹線として開業している北陸新幹線高崎-長野間の収益改善効果も見込まれています(上越新幹線東京-高崎間は不明です)。いわゆる「根元受益」の部分ですが、227億円と差額に近い数字です(注2)。やはり「根元受益」についても適切に貸付料に反映させないといけないでしょう。北海道新幹線も「根元受益」を反映させれば、21億円(注1の数字)よりもっと増えます(続く)。

(注1) 2008年度与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームでは、貸付料相当額は次のようになっています。
 東北新幹線(八戸-新青森間)及び九州新幹線(博多-新八代間) 247億円
 北陸新幹線(長野-金沢間) 247億円
 北海道新幹線(新青森-新函館間) 21億円
 長崎新幹線(武雄温泉-諫早間) 10億円
 合計 525億円

(注2) すでに開業した区間の貸付料は年間約275億円です。内訳は、北陸新幹線(高崎-長野間)が175億円、東北新幹線(盛岡-八戸間)が79.3億円、九州新幹線(新八代-鹿児島中央間)が20.4億円です。

 また、建設中の区間の貸付料の見込み額には、着工時に行われた次のような試算もあります。
 東北新幹線(八戸-新青森間) 70億円
 九州新幹線(博多-新八代間) 140億円
 北陸新幹線(長野-金沢間) JR東日本80億円、JR西日本325億円、根元受益(JR東日本)390億円
 北海道新幹線(新青森-新函館間) 45億円、根元受益(JR東日本)220億円
 長崎新幹線(武雄温泉-諫早間) 精査中

(追記3)
 2015年3月13日、北陸新幹線長野-金沢間の貸付料は、JR東日本が運営する長野-上越妙高間が165億円、JR西日本が運営する上越妙高-金沢間が80億円と決まりました。

 東北新幹線八戸-新青森間が70億円、九州新幹線博多-新八代間が81.6億円なので、北陸新幹線金沢開業時点での貸付料の合計は671.3億円ということになります。
(参考:新潟県ホームページ http://www.pref.niigata.lg.jp/koutsuseisaku/1287522081374.html、風間ひさし公明党参院議員ホームページ http://www.kazama-hisashi.net/09page_sinkansen_yotou_project.htm、整備新幹線問題検討会議等の開催状況について https://www.pref.nagano.lg.jp/kikaku/koutuu/heikou/scheme/220318/020.pdf、レスポンスホームページ http://response.jp/article/2015/03/13/246531.html、「鉄道ジャーナル」2015年7月号 鉄道ジャーナル社)

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キハ181系「はまかぜ」は年内までの運転か?

 以前にも書いたように、新型キハ189系「はまかぜ」のデビューがあと半月後になりました。定期列車3往復については、11月7日からキハ189系で運転されます。

 今シーズンの「はまかぜ」の臨時列車は、年末年始のみに運転される「はまかぜ89号・88号」と、それ以外のカニシーズンに運転される「かにカニはまかぜ」があります。「はまかぜ89号・88号」は新型のキハ189系で運転されます。これに対して「かにカニはまかぜ」は年内(12月23日までの運転)がキハ181系での運転、年始(1月8日からの運転)がキハ189系での運転となります。つまり、キハ181系が使われるのは、12月23日までとなるようです。

 また、「はまかぜ3号・6号」の浜坂延長の内容から判断して、定期列車を3両編成から6両に増結する取り扱いも行われると考えられます。

(追記)
 キハ181系は、「かにカニはまかぜ」で使われなくなってからも、団体用の貸し切り列車として来年3月まで運行されます。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2010/10/15/1_20101015_fuyurin_fukuchiyama.pdf、JRおでかけネット http://tickets.jr-odekake.net/shohindb/view/consumer/ekiplan/pamph.html?shnId=310000810&pamphId=PT10000158、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101223-OYT1T00549.htm?from=y10)

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近鉄、2012年3月に準急廃止?(各論)

 昨日のの続きです。ここでは、各線ごとに簡単に見ていきます。


(1)大阪線(日中のダイヤパターン:ノンストップ特急1本、特急3本、急行3本、準急3本、普通5本)
 ここは急行と準急の役割分担がはっきりしていて、河内国分に急行が停まってからも、準急は近鉄八尾などへの速達列車として機能しています。ですから、準急を単純に廃止するわけにはいきません。

 大阪線の問題は、普通が1時間に5本なので、パターンが組みづらいこと。準急のうち1本が高安止まりであることも、話をややこしくしています。急行も近鉄八尾などに停め、10分間隔のわかりやすいパターンにしたほうがよさそうです。本数の増加が気になるなら、日中の準急を近鉄八尾以遠各駅停車にしてもよさそうです。

(2)名古屋線(日中のダイヤパターン:ノンストップ特急1本、特急3本、急行3本、準急2本、普通3本)
 かつての準急は、(近鉄名古屋に近いがゆえに急行が停まらない)近鉄蟹江へのサービス列車でした。しかし、近鉄蟹江に急行が停まるようになったため、急行の存在意義はありません。今の準急は近鉄蟹江か富吉に用事がない限り、使えない列車なのです。少なくとも日中は廃止になっても何ら問題はありません。

(3)奈良線(日中のダイヤパターン:快速急行3本、急行3本、区間準急3本、普通6本)
 ここは急行を東花園に停めることにより、急行と区間準急の統合を果たすことができそうです。東花園で緩急接続するようにダイヤを調整すればいいでしょう。

 日中の快速急行も停車駅を増やすことによって急行に統合すれば、急行と普通が10分間隔で走る、非常に分かりやすいダイヤになります。

(4)京都線(日中のダイヤパターン:特急4本、急行4本、普通4本)
 京都線の準急は朝夕のみの運転で、通過駅は3つしかありません。朝夕の運転されている時間帯でも、影の薄い存在のようです。

 京都線は特急・急行・普通が1時間に4本ずつ運転されていますが、途中の竹田からは地下鉄直通の列車が1時間に4本増えます。奈良への急行2本と新田辺への普通が2本。輸送力過剰なような気がします。

(5)南大阪線(日中のダイヤパターン:特急1~2本、急行2本、準急6本、普通6本)
 準急は橿原神宮前発着が2本、近鉄長野発着が4本です。急行が河内松原と藤井寺に追加停車するのを条件に、橿原神宮前発着の準急を削減する可能性はありますね。近鉄長野発着はそのまま残るでしょう。古市以東へは、ワンマンカーの普通を増発すればいいでしょう。


 さて、この各論は当たるのでしょうか?

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近鉄、2012年3月に準急廃止?(総論)

 以前にも書いた、近鉄の2012年減便の話。どうやら進んでいるようです。2012年3月に抜本的なダイヤ改正(改悪?)を実施し、電車の運転本数を削減します。これにより、保有している車両(2010年3月現在で1952両)を1割ほど減らし、無人駅も拡大させます。近鉄がこのように電車の本数などを大幅に減らすのは戦後初めてのようです。

 ダイヤ改正の主な内容は、準急を廃止して急行に振り替えること。急行の停車駅は増やします。場合によっては本数は減らさずに電車の長さを短くしたり、逆に本数が減ったのをカバーするために電車を長くしたりするケースもあるようです。もっとも、近鉄は早速準急廃止などの報道を否定する文書を出しましたが、すぐに反応すること自体が(減便改正を)事実と認めていることの証拠でしょう。ある程度の方向性は当たっているはずです。

 近鉄が減便をする背景には、大幅な輸送人員の減少。ピークの1992年3月期には約8.1億人運んでいましたが、2010年3月期には約5.8億人と3割減っています。それなのに、電車の運転本数などはそれほど変わらずにここまで来たのです。近鉄も営利企業ですから、総論として減便をせざるを得ないところは、やむを得ないでしょう。

 なぜ準急がターゲットになったのでしょうか? 多くの路線を保有している近鉄は、急行といえども遠距離へのサービスが求められます。そのため、近鉄は伝統的に、大阪などの大都市近郊ではそれなりの駅であっても急行が通過します。大阪線の急行がかつては五位堂まで停まらなかったのはその典型例です。近鉄八尾などの主要駅は準急がカバーしていました。近鉄の準急は、他社における急行みたいな役割を果たしていたのです。しかし、最近は急行が河内国分や(名古屋線の)近鉄蟹江にも停まるようになり、準急の必要性が薄れているところもあります。

 それでは実際に準急は廃止できるのでしょうか? 現在、近鉄で準急(区間準急を含む)が走っているのは、大阪線・名古屋線・奈良線・京都線(朝夕のみ)・南大阪線。昼間時間帯を中心に、次回、各線区ごとに見ていきます。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/kansai/news/20101016ddn001020008000c.html、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101016/biz1010161206005-n1.htm、近鉄ホームページ http://www.kintetsu.jp/news/wfiles/20101018ichibuhodo.pdf)

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下関でも「SUGOCA」

 ICカード乗車券はとても便利。小銭を準備する必要なく、ICカードを改札機にコツンと叩けば、電車に乗ることができます。

 さて、本州最西端の下関。関門トンネルをくぐると九州です。九州に入ると、JR九州のICカード「SUGOCA」が使えます。しかし、悲しいことに下関はJR西日本のエリア。九州との人の行き来は結構あるにもかかわらず、会社の壁に阻まれ、下関ではICカードを使うことができませんでした。

 ところが、2011年の春(「ICOCA」と「SUGOCA」の相互利用開始日)に合わせて、下関でも「SUGOCA」が使えるようになります。ただ、下関では「ICOCA」も「SUGOCA」も販売せず、「SUGOCA定期券」も、JR九州のみどりの窓口で買わないといけません。

 山口県内では現在、広島に隣接する、和木・岩国・南岩国の3駅しか「ICOCA」を使うことはできません。それを考えれば、下関で「SUGOCA」が使えるようになるのは、現実的な判断と言えるでしょう。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1175021_799.html)

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山陽・九州新幹線直通最速達列車、「みずほ」に決定!

 先日取り上げた「みずほ」の名前について、大きな動きがありました。

 JR西日本とJR九州は20日、来年3月12日の九州新幹線全線開業に伴い運転を開始する直通列車のうち、新大阪-鹿児島中央間を3時間45分で結ぶ最速達列車を「みずほ」とすることに決めました。「みずほ」は朝夕に4往復運転され、途中、新神戸・岡山・広島・小倉・博多・熊本のみに停まります。佐賀県からは新鳥栖に「みずほ」を停めることを求められていましたが(九州島内のほかの沿線自治体からも停車要望が相次ぎました)、それは全部断ったのです。誰もが納得できる、最速達列車にふさわしい停車駅です。熊本までで考えると2時間59分と3時間を切ります。「熊本まで2時間台」というと、インパクトがありますね。

 これで、九州新幹線には3つの列車名が使われます。「みずほ」「さくら」「つばめ」です。役割分担は次の通りです。「みずほ」は新大阪-鹿児島中央間の最速達タイプ。「さくら」は山陽・九州新幹線直通列車のほか、九州島内の主要駅停車タイプ。「つばめ」は九州島内のみの各駅停車タイプです。山陽・九州新幹線直通列車は、「みずほ」が1日4往復、「さくら」は「みずほ」が運転されない時間帯に1時間に1本程度運転されます。九州島内のみ運転される列車は、博多-鹿児島中央間が1時間に1本程度、博多-熊本間が1時間に2本程度運転されます。九州島内のみの「さくら」「つばめ」は、博多で「のぞみ」(1時間に2~3本程度)か「ひかりレールスター」(1時間に0~1本程度)に接続します。博多では、できるだけ同じホームで接続し、階段の上り下りがないように配慮します。

 所要時間は、新大阪-鹿児島中央間が「みずほ」3時間45分、「さくら」約4時間。博多-熊本間が「みずほ」34分、「さくら」約40分、「つばめ」1時間弱。博多-鹿児島中央間が「みずほ」1時間20分、「さくら」約1時間半、「つばめ」2時間弱。このことから考えると、「さくら」は九州新幹線内で熊本以外に2~3駅追加停車すると考えられます。「さくら」の停車を求める地元との調整は難航しそうです。

 さて、何回も取り上げた(最近の記事はここ)九州新幹線の運賃・料金なのですが、まだ決まっていません。それどころか、国交省への申請が11月以降にずれ込む可能性もあるようです。あくまでも新幹線は観光列車ではなく都市間列車ですから、変にぼったくろうとはせず、常識的なところで落ち着いてもらいたいところです。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1175023_799.html、http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1175022_799.html、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101020/biz1010201915026-n1.htm、asahi.com http://www.asahi.com/national/update/1020/OSK201010200100.html)

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「福井新幹線」はいらない、北陸新幹線が必要なのだ

 「サンダーバード」や「しらさぎ」などがひっきりなしに通るにもかかわらず、なかなか新幹線が着工されない金沢以西。なかなか新幹線が来ない福井県は新幹線を新規着工させようとしています。しかし、地元の中には新幹線に反対する人もいます。新幹線が開業すると北陸線が第三セクターになり、東京までの時短効果も短いからです。

 ただ、冷静に考えると、あまりにも運賃が安い普通列車では、アーバンネットワークでない限り、赤字になってしまうのは明白な事実です。福井県にはローカル私鉄の福井鉄道やえちぜん鉄道があります。どちらも運賃はJRに比べると高いです(特にえちぜん鉄道)。北陸線と並行している福井鉄道でもJRに比べると2割ほど高いです。車両は中古車が使われ(JRなら新快速レベルのものが要求されます。現に北陸で投入が進められているのは223系の交直流版ともいえる521系です)、トイレもありません。株式会社とはいえ第三セクターみたいなものなので、配当を求められる必要もありません。(バス程度の需要しかないローカル線でも)新幹線やアーバンネットワークの利益をつぎ込めと言われるJRに比べると恵まれた条件です。そもそも、北陸新幹線が金沢まで伸びた段階で、金沢以東の北陸線は第三セクター化されてしまいます。この時点で貨物のネットワークは深刻な事態になるわけです。福井の話をしても意味がないのです。

 確かに東京までの所要時間の短縮効果も薄いです。でも福井なら、北陸新幹線経由のほうが速いでしょう。金沢まで1時間に2本運転されるなら、停車駅の少ない速達便が福井まで延長してくれるでしょう。リニアができたらリニアのほうが速くなるかもしれませんが、乗り換えの手間がかかりますし、値段も高くなります。北陸新幹線を運営するJR東日本・西日本にとっては、福井の乗客も北陸新幹線を使ってくれたほうがありがたいので、格安の切符で乗客の誘致を図ることでしょう。対するJR東海のほうは東京-大阪間の輸送に手いっぱいで、北陸方面の乗客を無理に集める必要はありません。敦賀になれば、北陸新幹線ができても米原で東海道新幹線に乗ったほうが速いですが。

 だからと言って、福井に新幹線を通すことが無駄ではありません。北陸線は「サンダーバード」「しらさぎ」などが1時間に2~3本通る、需要の多い区間です。車が使える名古屋方面はともかく、現状でも関西は鉄道が強いところです。ここに新幹線を通せば、さらに磨きをかけることができます。長野新幹線がいい例でしょう。

 北陸新幹線は福井の事情で左右されるようなものではありません。東京と福井を結ぶのが目的の、「福井新幹線」ではつくる意味がありません。東京から長野、北陸を通って大阪まで行く北陸新幹線だから価値があるのです。大阪までできれば、勝手に福井は通ってくれます。中途半端に金沢で止めていいわけではありません。全線できてネットワークは有意義なものになるのです。

 福井県がしなければならないことは、福井の重要性を訴えることではなく、大阪までの道筋をつけること。福井の重要性を訴えても、誰も反応しません。大阪までの道筋をつけることは、前原前国交相が指摘した問題です。本当なら、北陸(金沢)にフル規格新幹線をつくる段階で解決しておかなければならなかった問題です。これができない限り、福井には新幹線は来ないでしょう。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/area/fukui/news/20101009ddlk18040562000c.html)

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高速道路2000円乗り放題法案、廃案に

 当初は6月に行われる予定だった高速道路の2000円乗り放題。7月の参院選で負けてもその実現を目指していたようですが、与党の中からも新料金案には実質的には値上げだとして反対が相次ぎ、参議院で与党が過半数割れをしているという「ねじれ国会」の現状では成立の見込みが薄く、政府・与党は法案の成立をあきらめたようです。廃案になります。

 高速道路の料金そのものは国会が決めることではなく、高速道路会社が政府に申請するだけのものです。それなのになぜ国会での審議が必要かと言えば、高速道路休日1000円乗り放題などに使われている割引財源を、外環道などの建設・上信越道などの4車線化に振り替えるためなのです。法案が廃案になったことで、高速道路休日1000円乗り放題や通勤割引は継続されます。2000円乗り放題法案には通勤割引など車の特性を活かせる、短距離割引が消える側面もあり、廃案のほうがベターでしょう。高速道路ネットワークの欠陥を補う割引もそのまま残るでしょう。もっとも、休日1000円乗り放題も問題点が多く、決して評価できるものではないですが。

 高速道路の休日1000円乗り放題も来年3月で終了します(個人的には、休日1000円乗り放題を止め、通勤割引などの短距離の割引を維持するのが望ましいと思っています)。そこで国交省は新しい料金案を考え、与党に再提示する方針です。また、外環道などの整備についても新たな財源を探すことが必要になります。
(参考:時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2010101800817&j1、nikkansports.com http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20101019-691777.html)

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やはり「みずほ」は最速達列車にふさわしくない?

 当初、山陽・九州新幹線直通列車の名前は、公募で最多得票を獲得した「さくら」が選ばれました。

 ところが、九州新幹線沿線の自治体から「さくら」を停車させる要望が相次いだからでしょうか、「さくら」より速い列車が考えられるようになりました。山陽新幹線では、例外はあるでしょうが、福山や新山口にも基本的には停まる(JR西日本が設置する相互直通運転開始までの日数カウントダウン表示設置駅から判断。新大阪、新神戸、岡山、福山、広島、新山口の6駅に設置されます)「さくら」とは違い、「のぞみ」全列車停車駅のみに停まるタイプなので、料金設定の都合上、別の名称にしなくてはいけません。

 新大阪-鹿児島中央間を3時間47分で結ぶ、その名前は、「みずほ」です(ただし、「みずほ」はあくまでも仮の名称であり、正式に決まったわけではありません)。ビジネス客の多い朝夕に2往復ずつ運行の見込みです。九州新幹線内では、熊本のみに停車する予定です。これに対して「さくら」は、旅行客の多い日中に1時間に1本ほどの割合で運行されます。停車駅も、観光地の最寄り駅(どこのことを指しているのでしょうか?)に柔軟に停車させるようです。鹿児島中央まで約4時間で走るとのことですが、山陽新幹線でも福山のように追加の停車駅があることを考えると、あちこちに停める余裕はありません。

 しかし、その「みずほ」の愛称に異論が相次いでいます。もともと「みずほ」は東京-熊本・長崎間のブルートレインでしたが、「はやぶさ」や「さくら」を補完する役割の列車だったこともあり、早い時期(1994年)に廃止されています。イメージとしては格下の列車です。

 異論を唱えているのは、鉄道ファンばかりではありません。鹿児島県知事もそうなのです。鹿児島県の伊藤知事は9月の定例会見で、「みずほ」が熊本止まりの列車だったことを理由に不快感を示しています。

 先ほども述べたように、「みずほ」は仮の名前です。JRサイドとしても、「みずほ」の名前に強い反対があった場合には、名前の再検討を考える余地があることをほのめかしています。最速達列車の名前が決まるのは年末のことです。

 確かに、「みずほ」は豊かでみずみずしい稲穂を意味する、日本の国の美称であり、いいイメージです。特急列車にはふさわしい名前です。しかし、ブルートレインの補完列車というイメージが強く、九州方面の最速達列車としては違和感があります。個人的には、米どころの北陸新幹線用に取っておきたかった名前です。

 そういう意味では、東北新幹線で公募第7位の「はやぶさ」が使われるのは痛かったですね。「はつかり」(公募第1位)や「みちのく」(公募第3位)、今まで通りの「はやて」(公募第5位)があるにもかかわらず。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174977_799.html、YOMIURI ONLINE http://kyushu.yomiuri.co.jp/entame/railway/news/20101016-OYS8T00502.htm、http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090128-945707/news/20100511-OYT1T00921.htm、毎日jp http://mainichi.jp/select/today/news/20101016k0000e040016000c.html、JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/press/2010/20100504.pdf)

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「たこフェリー」、11月15日で休止

 以前にも当blogで取り上げた「たこフェリー」ですが、明石市などが支援を要請していた「淡路ジェノバライン」との交渉がうまくいかず、来月15日限りで運行を休止することになりました。従業員約70人は全員解雇されます。

 「たこフェリー」の経営が悪化したのは、高速道路の1000円乗り放題。2007年度では約10億円の売り上げがあったのですが、1000円乗り放題が行われた2009年度には約半分の約4.8億円に半減しました。かなりの打撃です。

 「たこフェリー」は、「淡路ジェノバライン」の協力のもとで運行再開を目指しています。しかし、肝心のフェリーはすでに1隻を海外に売却し、もう1隻も売却する方針です。船がなくなった状態でどうやって運行を再開するのでしょうか? また、「淡路ジェノバライン」は、明石淡路フェリー(「たこフェリー」の運行会社)の約4000万円の負債の解消が、支援の前提条件としています。誰がそのお金を出すのでしょうか?

 そう考えると、明るい展望が見えては来ません。地元自治体が赤字を負担しない限り、運行再開は難しいでしょうね。
(参考:47NEWS http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010101501000950.html)

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名古屋-大和西大寺間直通特急、2月まで運転期間を延長

 11月7日まで平城京跡で行われている「平城遷都1300年祭」。名古屋方面からのアクセスとなる名古屋-大和西大寺間直通特急には乗りましたが(乗車記はこちら)、肝心の祭りには結局行けずじまいに終わりそうです。

 さて、その直通特急ですが、好評だったようで、来年2月末まで延長されることになりました。現在と同じダイヤ(近鉄名古屋8:30発、大和西大寺16:30発)で、土休日ダイヤで運転される日(ただし、12月26日、12月30日~1月3日、1月8日~1月10日、2月26日を除く)に運行されます。年末年始や天理教の月次祭があるときは運転されませんので、御注意ください。また、この直通特急の特急券はインターネットや自動券売機では発売していません。有人の窓口で購入する必要があります。

 鉄道で直通することのできない名古屋と奈良。休日だけでも定期列車として定着すればいいですね。

(追記)
 2011年についても、春(4月2日~6月25日)と秋(9月3日~11月23日)の休日に、名古屋-大和西大寺間直通特急が運転されます。22600系が使用され、西ノ京にも停車します。インターネットでも予約できます。
(参考:近鉄ホームページ http://www.kintetsu.jp/news/files/tokkyuressyaenntyou20101006.pdf、http://www.kintetsu.co.jp/chokutsu/index.html)

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九州新幹線、新大阪-鹿児島中央間21000円台後半か?

 このblogで何回か取り上げた九州新幹線の料金の話(記事1記事2記事3)。東北新幹線のときとは違い、今までの「常識」が通用しないので、なかなか難しいです。どうやら、この問題がややこしくなった背景には、観光客の利用を狙い、「できるだけ安くしたい」と考えているJR西日本と、「現在よりも高くしたい」とするJR九州との対立があったようです。

 ただ、方向性は固まってきたようです。今月中に国交省に認可申請しますが、「さくら」の新大阪-鹿児島中央間の運賃・料金(普通車指定席)は21000円台後半になるようです(現在は、「ひかり」「リレーつばめ」「つばめ」の組み合わせで21000円。以下同じ)。「みずほ」はさらに数百円高くなります。運賃は通しで計算しますが、特急料金は博多で打ち切り計算となります。しかも、九州新幹線の特急料金はほかの新幹線よりも高くなります。現在「リレーつばめ」と「つばめ」を乗り継いだ場合、博多-鹿児島中央間の運賃・料金は9420円となります。九州新幹線の特急料金が東海道・山陽新幹線の「ひかり」と同じと仮定した場合(新八代以南の価格水準は東海道・山陽新幹線の「ひかり」と同じです)、博多-鹿児島中央間は9120円となります。それが1万円を若干超える水準になるわけですから、かなり特急料金は高くなるわけです。ほかの同じぐらいの距離の新幹線に比べて、1000円ぐらい高くなるのです(もっとも、参考にした西日本新聞の記事では、「数百円加算する方針」とあり、見かたによっては21000円台前半に収まるという見解もあるようです)。

 ただ、新幹線開業後の新大阪-熊本間が18000円前後(現行:16540円)、博多-熊本が4000~5000円(現行:3940円)であることを考えると、九州新幹線の特急料金は東海道・山陽新幹線などの既存の新幹線とは違う、かなり変則的なかたちになります。比較的短距離の博多-熊本間などは東海道・山陽新幹線の「ひかり」と同じ水準ですが(こうしないと新大阪・博多-熊本間の運賃・料金が説明できないです)、博多-鹿児島中央間の全線を乗り通すとこれまでの新幹線に比べてかなり高くなります。

 なお、実際に利用する人が多い往復切符などの割引切符は、新大阪-鹿児島中央間は20000円を切る水準、博多-鹿児島中央間は10000円を切る水準になると見込まれています(認可申請後に決めます)。正規の料金より5~10%安く設定します。航空機の割引(「特便割引3」(JAL)、「特割タイプC」(ANA))と同じ程度の水準ですね。
(参考:西日本新聞ホームページ http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/202097、熊本日日新聞ホームページ http://kumanichi.com/news/local/main/20101008002.shtml)

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特急「北近畿」、「こうのとり」に改称か?

 新大阪と福知山・城崎温泉とを福知山線経由で結ぶ特急「北近畿」。1986年の福知山線電化によりデビューし、183系車両により1日10.5往復しています。

 この「北近畿」ですが、以前にも書いたように、来年3月に287系への置き換えが行われます。46両が投入されます。すべてではありませんが、過半数は新型です。これに合わせて、名前も変わるのです。

 新しい特急の名称として検討されているのが「こうのとり」。国の特別天然記念物に指定された鳥です。コウノトリの野生復帰事業に取り組む豊岡市などが名称の変更を要望したようです。

 九州新幹線の全線開業が最大の目玉の来年3月のダイヤ改正。北近畿方面では、「北近畿」の「こうのとり」への改称のほかにも、大きな話があります。大阪から北近畿タンゴ鉄道に乗り入れる「タンゴエクスプローラー」「文殊」が廃止になるようです。高速道路の無料化が影響したのでしょうか? 京都からの「タンゴディスカバリー」「はしだて」の状況を見ないと何とも言えないのですが、天橋立などの北近畿タンゴ鉄道沿線の観光施設に行きにくくなる危険性もあります。北近畿タンゴ鉄道はかなり無理をして福知山-天橋立間の電化を行いましたが、せっかくの設備があまり使われなくなると言う危険性があります。

(追記)
 大阪から北近畿タンゴ鉄道への直通特急は来年3月のダイヤ改正で廃止になりますが、多客期には福知山発着の「こうのとり」を天橋立まで延長させます。
(参考:神戸新聞NEXT http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0003516118.shtml、JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2011/01/21/20110121_fukuchiyama.pdf)

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松江の社会実験は特急料金無料

 松江市は、今月、公共交通の利用促進、渋滞の緩和、CO2排出量削減を目的に、交通社会実験を行います。

 舞台は山陰線。今月の平日に限り、特急「スーパーまつかぜ4号」が玉造温泉・宍道駅に、快速「通勤ライナー」が玉造温泉駅に臨時停車します(もちろん、玉造温泉・宍道駅には無料駐車場を設け、パークアンドライドに対応します)。これにより、7時台には玉造温泉・宍道の両駅から松江方面に5本の列車が停まります。玉造温泉からだと最速5分、宍道駅からでも最速13分の高速通勤・通学です。帰りの時間はまちまちですが、行きは大体決まっています。時間が決まっているので、道路は渋滞しやすいです。朝はわずかな時間でも貴重なので、朝を狙って利便性を高めるというのは、方向性としては合っているのでしょう。

 しかし、いくら駅に特急が停まると言っても、特急に乗れば特急料金がかかります。松江-玉造温泉間の運賃は190円、松江-宍道間は320円ですが、特急料金(自由席)は6枚つづりの回数券でも1枚あたり約500円します。運賃が異様に安く、それを特急料金等で埋め合わせるため、バランスが悪くなっています。山陰線に限らずJRの運賃・料金制度の大きな問題点で、(鉄道としての使命を失った)超赤字ローカル線や並行在来線の問題の根本的な原因なのです。しかも、特急がない超赤字ローカル線の赤字を補てんするのは、その線とは全く縁のない新幹線や大都市の通勤電車の客なのです。受益と負担が全く合っていないのです。

 話を本題に戻します。今回の社会実験では、決められた列車の特急料金を無料にします。朝7時台の特急列車(「やくも8号」「スーパーまつかぜ4号」)に玉造温泉・宍道駅から乗り、松江駅で降りた場合、特急料金が無料になるのです。改札口付近で係員から特急券をもらって、乗ればいいのです。松江市側がJRから自由席特急券を買い、利用者に渡しているのでしょう。
(参考:松江市ホームページ http://www1.city.matsue.shimane.jp/matidukuri/koututomatidukuri/kotumachi/kotsujikken/kotsujikken.data/jr-jikkenn2.pdf、JRおでかけネット http://tickets.jr-odekake.net/shohindb/view/consumer/tokutoku/detail.html?shnId=110000262&uniquekey=12b86ca6780)

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JR西日本、六甲道-灘間に新駅

 JR西日本は、JR神戸線六甲道-灘間に、新たな駅をつくるようです。灘駅から東へ900メートル、灘区灘南通四丁目の東灘信号場あたりで、駅名は「まや」を予定しています。「まや」は漢字で書くと「摩耶」になりますが、難しいので平仮名にしたのでしょうか? 2016年春の開業を目指しています。

 駅予定地の南200メートルには阪神の西灘駅、北500メートルには阪急の王子公園駅があります。JRは普通と言ってもかなり速いので、これらライバル鉄道会社から乗客を奪うことになります。

 学生のころこのあたりに住んだことがありますが、駅周辺には商店街のようなものはありません。地元からの要望に基づくものではないので、駅の設置費用約40億円はJR西日本の負担です。一見すると40億円をかけてまで駅をつくるほどのところではなさそうですが、ここは先ほども述べたように、東灘信号場。かつて神戸港への貨物線の分岐点でしたが、貨物線が廃止されたので、土地は余っています。それを利用して、約730戸の分譲マンションを建てるのです。マンションの建設は、三井不動産レジデンシャルと共同で行います。土地の売却収入で駅の建設に充てるという手法は、JR西日本では初めてのようです。

 ただ、まや駅は、ライバル会社との競争とマンションのためにつくる駅ではありません。ダイヤが乱れたときに折り返しが可能な線路を設け、運転を整理する機能があるようです。最近の新駅は、さくら夙川のように内側線にのみホームがありますが、運転整理のことを考えると(日ごろは停車する列車がない)外側線にもホームを設けると推測されます。

(追記1)
 12月14日、JR西日本からJR神戸線六甲道-灘間に新駅(駅名は書かれていません。単に「新駅」とあるだけです)を設置するとの発表がありました。ホームは8両編成の島式ホーム1本だけです。神戸方面には折り返し設備が設置され、異常時に対応することができます。

(追記2)
 2016年春に開業予定の新駅の名前が、摩耶と決まりました。漢字で書くことになります。普通列車のみが停まる予定で、1日16000人の利用を見込んでいます。

(追記3)
 西明石方面からの折り返し設備は摩耶、灘と連続します。摩耶は快速の折り返し用(営業運転は三ノ宮まで)、ホームの短い灘は普通の折り返し用です。新快速は設備の都合上、運休します。
(参考:MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101006/biz1010062005038-n1.htm、神戸新聞NEXT http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003512914.shtml、http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201510/0008450697.shtml、http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201603/0008923029.shtml、JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1175103_799.html、レスポンスホームページ http://response.jp/article/2015/10/02/261266.html)

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京阪も2011年に減便か?

 以前、近鉄が減便を検討しているという内容の記事を書きましたが、京阪も同じことを考えているようです。

 減便改正は、淀駅の京都方面ホームが高架に切り替わる来年5月と、駅周辺の工事が終わる2013年度の2回に分けて行います。具体的な内容は決まっていませんが、交野線や宇治線など利用者が減っている支線が見直しの対象となるようです(どちらもJRに利用者が食われているものと思われます)。現在は両線とも昼間は10分間隔で運転されています。15分間隔にすると本線の特急などと間隔が合いません。どれぐらい減らすのでしょうか?

 従業員も減らします。利用者の少ない駅を無人化したり、駅員のいない時間帯を増やしたりするようです。駅係員がいなくても主要駅から遠隔操作できる「他駅サポートシステム」を約30億円かけて開発し、2012年度には全駅で導入する予定です。もちろん、電車の本数が減れば運転士なども減ります。現在2000人あまりいる駅係員や乗務員を、採用抑制や定年退職で、2013年度までに1800人にします。10億円以上のコスト削減につながります。

 2010年3月期まで3期赤字続きだったタクシー事業は、大手タクシー会社の第一交通産業に売却されます。バスやタクシーは鉄道会社にとって駅からのアクセスを補完する役割がありますが、例外ではないようです。

 反対に積極的に投資する分野もあります。鉄道以外の事業です。ライバルのJR学研都市線住道駅前に京阪百貨店を開業させ、渋谷ではビルを賃借して若者向けのファッションブランドを誘致します。福岡市内で京阪ホテルを出店する考えもあります。

 ただ、鉄道以外の事業はそう大きくありません。そういう意味ではまだまだあてにすることは難しいのです。
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C9381E2E09E968AE2E38DE2E3E3E2E0E2E3E29E9693E2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E5)

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竹山堺市長、東西鉄軌道の有用性を認める

 阪堺廃止阻止のために出された、堺市の50億円の支援策。今年度分の支援費として7500万円がいります。9月30日、この7500万円の支援費を盛り込んだ一般会計補正予算案が可決されました。支援策の主な内容は、(1)毎月6日間、65歳以上の市民に対して堺市内の運賃を200円から100円に値下げ (2)大阪、堺両市にまたがる場合の運賃を290円から200円に値下げ (3)低床式車両や路面電車優先信号の導入、停留所の増設 (4)老朽化した設備の改修 です。一般会計補正予算案は全会一致で可決されましたが、(1)支援の状況を定期的に検証し、費用対効果を見極める (2)阪堺線単独の公有民営化には慎重に対応する などを要望する決議が出され、可決されています。要望は出されたものの、市議会で支援策が可決されたので、すぐに阪堺が廃止される危険性は減るでしょう。存続の正式決定は、堺市と阪堺電軌が合意文書を交わすことによって行われます。

 実は、この市議会の中では、特筆すべきことがありました。9月13日の建設委員会で、竹山市長は、「東西方向の鉄軌道の導入が有効」と発言したのです。昨年の選挙でバッサリ切り捨てた東西鉄軌道ですが、ようやく東西鉄軌道の重要性を認識したのでしょうか? 阪堺の廃止の話が再浮上して、あわてたのでしょうか? 本来なら、東西鉄軌道が阪堺の廃止問題とリンクしていることは、選挙の前に認識しておくべきですが。竹山市長も市民も、「東西鉄軌道はいらない」ということは「阪堺を廃止してもよい」と同義だったことを知らなかったのです。堺市に限らず、交通問題に限らず、イメージに流されずに、しっかりと物事を理解することが大切なのです。

 まぁ、誤った考えを改めること自体は悪いことではありません。かなりの遠回りになりましたが、東西鉄軌道計画を復活させることが、堺にとって重要なのです。50億円の支援策は、阪堺線の延命策に過ぎません。堺にとって決定的に不足している東西の軸をつくることこそが重要なのです。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/feature/osaka1208015297682_02/news/20100927-OYT8T00056.htm?from=nwlb、http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20101001-OYT8T00068.htm?from=nwlb)

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