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November 2010

「ユリカ」、来年2月10日に発売終了

 来年2月11日から使えるICカード、「manaca」。従来の「ユリカ」と比べてどちらが有利なのでしょうか? 名鉄電車、名鉄バスについては以前に記事を書きましたが、名古屋市交通局については未定と思われていました。しかし、実は(「manaca」の利用開始日を発表した)11月11日に、マイレージポイントについても発表していたのです。

 名古屋市交通局のマイレージポイントも月単位で付与されます。名鉄と同じように1日から末日で判断するものと思われます。月に2000円以上使った場合にはじめて、マイレージポイントがつきます。名鉄みたいに1回の乗車で1000円かかるということがないため、ある程度乗らないとマイレージポイントがつかない危険性があります。名古屋市交通局のマイレージポイントの特徴としては、1000円未満の端数が切り捨てられるということ。マイレージポイントが付かず、無駄になる部分は多いです。マイレージポイントの率は、2000円以上が10%、5000円以上が12%、最高は13%です。

 名古屋市交通局は、昼間・休日用の「ユリカ」を発売しています。通常の「ユリカ」でも10%ほどの割引がありますが、昼間・休日用のはさらに割引率が高いです。地下鉄用は16.7%、そしてバス用は約30%です。「manaca」でも、その考えは引き継がれます。地下鉄を月に2000円以上使った場合、現在と同じ20%のマイレージポイントがつきます。バスは同じく月に2000円以上使った場合、30%です。地下鉄は「ユリカ」と同じ水準ですが、バスは厳しくなっています。月2000円未満の場合及び1000円未満の端数は通常の「manaca」の利用額と合算され、利用金額に応じてマイレージポイントがつきます。月2000円以上なら10~13%です。なお、現在の昼間用の「ユリカ」では、地下鉄と市バス、あるいは市バス同士を乗り継いだ場合でも乗り継ぎ割引はありませんでしたが、「manaca」ではそのような場合でも乗り継ぎ割引が受けられます。

 3種類の「ユリカ」を使い分けないといけないという問題はあるものの、ある程度乗らない限り「manaca」より「ユリカ」のほうが有利です。しかし、「manaca」の利用開始により、「ユリカ」の販売は前日の2月10日を以て終了します。当分は「ユリカ」は使えるようですので、場合によっては販売終了までに「ユリカ」を買っておいたほうがよいでしょうね。
(参考:名古屋市交通局ホームページ http://www.kotsu.city.nagoya.jp/dbps_data/_material_/localhost/_res/about/press_release/20101111.pdf)

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南海、「ラピートα」復活か?

 大阪の南のターミナル、難波と関西空港とを結ぶ南海の特急、「ラピート」。新今宮、天下茶屋、泉佐野、りんくうタウンのみに停まる「ラピートα」と、堺、岸和田にも停まる「ラピートβ」の2種類があります。1994年の関空開港とともに走りはじめました。当初は文字通りノンストップの「ラピートα」と「ラピートβ」が1時間に1本ずつ走っていましたが、現在は平日の朝に「ラピートα」が3本(いずれも関西空港行き)走るだけで、あとは全て「ラピートβ」です。「ラピートβ」は途中の泉佐野まで、「サザン」と合わせて15分間隔で運転されています。

 ところが南海は、「ラピートα」を本格的に運行することを考えているようです。背景には、全日空が関空をLCCの拠点として考えていることがあります。LCCが本格化することで関空の利用者が増えると考えているようです(ライバルのJRの特急、「はるか」の一部が毎日運転とはいえ臨時列車である現状を考えると、かなり強気で楽観的と言えますが。事実、南海が「ラピートα」を本格運行するのは、LCCにより関西空港駅の利用者がピーク時の1995年並みに増えたときです)。「ラピートβ」だと停車駅が多いので時間がかかりますが、「ラピートα」化することによって所要時間の短縮を図るようです。開港当初のノンストップ運転のときは、難波―関西空港間29分。本格運行の段階では、さらなる所要時間の短縮を目指します。今の「ラピートβ」の37分に比べるとかなり速く感じられます。

 詳しい内容が分からないので簡単にしか書けませんが、関空と伊丹の経営統合に新たな動きが出てきました(22日に国交省が地元自治体や経済団体に説明しています)。これまで国が100%出資する持ち株会社の下に関空の運営会社と伊丹の運営会社がぶら下がるかたちでの経営統合が考えられてきました。しかしこれでは短期的に利益が上がる伊丹の運営会社に課税され(伊丹の利益は約50億円ほどです。補給金90億円の半分ほどですから、収益確保のため伊丹の航空会社を含む利用者に何らかの負担を課さないといけないですね)、経営統合の効果が薄れてしまいます。そこで、経営の足枷となっている関空の負債を切り離し、関空、伊丹両空港の運営は国100%出資の会社の元で行います。運営会社は関空、伊丹両空港の事業を行うほか、伊丹空港の土地を保有します。関西空港の土地と負債を保有する関空会社には、土地賃借料が運営会社から支払われ、最終的には事業運営権を売却することで負債を完済します。

 南海本線の、特急、急行、普通が15分間隔で繰り返される現状のダイヤは、それなりによくできています(問題は、そのダイヤに車両が合っていないことです。「ラピート」にも自由席があればどれほど便利でしょう)。恒常的に「ラピートα」を運転するようになれば、どのようなダイヤになるのでしょうか? 「ラピートβ」を「ラピートα」に振り替えるのなら、ダイヤは一から作り直しです。もし、増発となると車両も増やさないといけません。そのときは、現在「ラピート」として使っている車両を「ラピートα」に充て、主要駅に停車する「ラピートβ」には「サザン」と共通して使えるような車両をつくればいいでしょう。指定席と自由席がセットになった車両です。「サザン」もデビューしてから25年。そろそろ車両の置き換えも考えないといけません。たとえ南海の試みが失敗しても、「サザン」の置き換えにはなります。

 ともかく、関空の利用者が増えて本来の姿になることは喜ばしいことであります。関空は負債とそれに伴う利子負担がなければ、安定した黒字を出すことができる空港です。おまけに伊丹のように空間と時間の制約はありません。空間と時間の制約が厳しい伊丹に将来性はありません。関空しか関西の空の玄関になれないのです。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/biz/news/20101116k0000m020093000c.html、朝日新聞11月25日朝刊 大阪13版)

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神戸電鉄粟生線、2011年度に存廃判断へ

 神戸電鉄の路線のひとつに、粟生線というのがあります。鈴蘭台と粟生を結ぶ、29.2キロの路線です。

 ところがこの粟生線、10年連続で赤字が10億円を超える見込みとなっています。2009年度の神戸電鉄全体の経常赤字は12.7億円(ワンマン運転、駅の無人化、給与の30~50%カットをしてもこの数字です)ですので、かなりの部分が粟生線によるものです。粟生線はピーク時の1992年度に1420万人を運んでいましたが、その後は減り続け、今年度は半分以下の670万人になる見込みです。マイカーへの転換や少子高齢化による通学者の減少が背景にあるようです。神戸三宮に直行するバスとの競争も要因のひとつにあるでしょう。

 大手ならともかく、中小の神戸電鉄にとっては、もう粟生線を抱えるのは限界に近いです。そこで神戸電鉄は、(かなり減少したとはいえ、ローカル線としてはそれなりに利用者がいるにもかかわらず)来年度中に粟生線の存廃の判断をすることにしたのです。

 神戸電鉄は地元自治体の神戸、三木、小野市などと「粟生線活性化協議会」をつくり、利用促進策を進めています。イベントなどで利用を促進する「地域公共交通総合連携計画」を作成し、2010~2012年度にかかる約4億円の経費のうち、約2億円を国の補助でまかなおうとしました。

 しかし、6月に行われた国交省の事業仕分け・行政事業レビューで、この補助金が見直されることになりました。地域公共交通への支援は必要最低限に絞るべきとされたのです。鉄道の場合、バスにダウンサイジングすることが可能だから、「必要最低限」に当たらず、補助の対象から外れたのです。そこで、神戸電鉄への補助金も2011年度で打ち切りとなりました。これも廃止を検討する原因のようです。

(追記)
 2011年12月28日、神戸電鉄粟生線の存続に向けて沿線自治体などが協議する、粟生線存続戦略会議の最終会合が行われました。自治体側は神戸電鉄が求めていた上下分離については拒否しましたが、県主導で、2017年度までに粟生線を含む神戸電鉄全線が経常黒字となるような支援策は行う方向です。

 具体的には、県は駅や線路などの大規模修繕の支援や数十億円の無利子貸付を行います。神戸電鉄に対しては役員報酬や人員の削減という自助努力を求め、筆頭株主の阪急阪神ホールディングスに引き続き支援を要請します。神戸市は支援に対する態度を保留していますが、三木市、小野市は阪急阪神ホールディングスや県などが支援するのを条件に年間合計1億円を助成することを2011年10月の段階ですでに表明しています。

 2012年1月末までに最終的な存廃の結論を出すようです。
(参考:神戸新聞NEXT http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003637196.shtml、http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004711899.shtml)

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日根野の381系は北近畿方面へ

 振り子式車両が走っている紀勢線の「くろしお」に、振り子式ではない287系が投入されるという話は驚きをもって迎えられました。当blogでも取り上げましたが、アクセスが多いです。なお、これまで287系の最高速度は時速120キロと思っていましたが、時速130キロの性能があるようです。

 この話にさらなる驚きが加わります。「くろしお」に使われてきた381系は、287系が投入される2012年7月以降、北近畿方面の特急に使われるようです。来年春に「きのさき」「こうのとり」などに287系が投入されますが、投入されるのは46両だけなので、183系もそれなりの数が残ります。これを381系で置き換えるのです。

 この意図を解釈するのは難しいですね。北近畿方面に振り子式車両を入れるのなら、線路なども改良しないと意味がありません。線路などを改良するのなら、来年春に287系を入れる意味がありません。振り子式の新型車両を入れればいいのです。381系は新型車両(北陸新幹線金沢暫定開業で余ると予想される681系?)を入れるまでのつなぎの存在なのかもしれないですが。183系が相当老朽化しているということでしょうか? 
(参考:神戸新聞NEXT http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003635751.shtml)

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名松線、地元自治体が治山工事をすれば再開か

 名松線の家城-伊勢奥津間は、昨年10月の台風18号で大きな被害を受け、代行バスによる輸送が続いています。これまでJR東海は、家城以遠の復旧には消極的で、バスによる運行を続けていく方針でした。

 しかし、三重県や津市などの地元自治体は、名松線の利用者がごくわずかであるにもかかわらず、バスによる代行輸送に強く反発していました。そこで、中部運輸局、三重県、津市、JR東海の4者による話し合いが続けられてきました。そこで、JR東海は、地元自治体が治山工事をすることを前提に、運転再開をする方針に変更しました。ただ、復旧はかなり先です。県の予算を使うため議会への説明が必要ですし、地権者に工事の同意をしてもらう必要もあります。JR東海が行う線路工事も1年以上かかるようです。

 JR東海の求めに応じて行う、必要な治山工事の数は40。県の試算では、治山工事に約7億円を必要とします。半分は国の「自然災害防止事業」を活用します。全線復旧すればもらえるお金のようです。

 沿線自治体や住民にとっては、名松線復旧の話はありがたいでしょう。しかし、果たしてそれでいいのでしょうか?

 名松線はとっくの昔に鉄道としての使命を失った路線です。名松線はその名の通り、名張と松阪を結ぶ計画でした。しかし、建設の途中で参宮急行(現在の近鉄大阪線、山田線)が開通し、最新鋭の電車が走りはじめました。こうなったら、名松線を建設する意味はありません。伊勢奥津止まりなのはそのためです。

 しかも、名松線を運営しているのは、JR。グループで全国の幹線鉄道を運営し、株式を公開している会社です。ローカル私鉄や第三セクターのようにある程度の赤字が許されるところではありません。自らの利益で将来性のないローカル線の赤字の穴埋めをしなければならないのです。

 「新幹線や通勤路線の黒字で、ローカル線の赤字を埋めるのは当然だ」と考える人もいるでしょう。しかし、そのような論理は、ローカル線の利用者にしか通用しません。大多数の新幹線や通勤路線の利用者にとっては無駄金以外の何者でもありません。

 バスで十分な路線にわざわざお金をかけるのは無駄です。鉄道はそういう少量の輸送には適していません。株式を公開していないローカル私鉄や第三セクターなら、鉄道を残すために地元自治体が赤字を負担して残すという選択肢はあるでしょう。しかし、JRにはそれが許されないのです。

(追記1)
 名松線の復旧に当たって、まず県と市が工事を行います。県が土砂崩れを防ぐ治山工事を行い、市が水路整備を行って安全を確保した段階で、JR東海が線路の復旧工事を行います。鉄道での運行再開の目標は2016年度です。

(追記2)
 JR東海は、2013年5月30日から名松線の復旧工事を始めることを発表しました。確実に採算の取れない路線なのに復旧工事に約4.6億円をかけ、運転再開は若干早くなり2015年度の予定です。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/area/mie/news/20101125ddlk24040223000c.html、asahi.com http://www.asahi.com/travel/rail/news/NGY201012090024.html、タビリスホームページ http://tabiris.com/archives/meishosen/)

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リニア、2013年度に有料体験乗車開始?

 JR東海は、24日、有料での体験乗車を実施することを明らかにしました。

 実験線の42.8キロへの延長は2013年度に完了するので、体験乗車はそれから後になります。体験乗車は走行実験の合間を縫って、土日などの休日に行われます。当面はL0系5両編成を用い、時速500キロの速さを体感することができます。希望者が多ければ抽選も行います。料金は未定です。

 実は、無料でのリニアの体験乗車は以前に行われていました。1998年から2007年にかけて行われましたが、年間10~20日程度だったので競争率が高く、倍率が100倍を超すこともあったようです。有料化し、体験乗車を行う日を増やすことによって乗車できる可能性は増えました。今から10年後には相模原-甲府間が部分開業するようですが、早く乗ってみたいです。もちろん、相模原-甲府間が開業すれば乗りに行くでしょうが。
(参考:47NEWS http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010112401000719.html、asahi.com http://www.asahi.com/national/update/1124/NGY201011240021.html)

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名鉄広見線の定期半額実験、利用低迷

 蒲郡線吉良吉田-蒲郡間とともに、未だに「トランパス」が使えない広見線新可児-御嵩間。来年2月に導入される「manaca」でも対象外のようで、見捨てられたような区間です。

 広見線の新可児-御嵩間は、1998年度には194万人の利用者がいましたが、利用者の減少が続き、2006年度には108万人にまで減少しています。当然ながら赤字です(2008年度で約2億円の赤字)。沿線の可児市と御嵩町が2010年から2012年度まで毎年1億円(御嵩町7000万円、可児市3000万円)ずつ補助することによって、何とか当分の間の存続が図られている状態です。

 そこで、沿線自治体でつくる「名鉄広見線活性化協議会」は、名鉄広見線の新可児-御嵩間の利用者を増やそうと、10月、11月の2か月間の期間限定で定期券半額(最大割引額17210円、犬山-御嵩間の通勤定期1か月分と同額)のモニター制度を行っています。犬山方面へ車で通勤する会社員たちに電車に乗ってもらうのが目的でしたが、どうやら、利用が低迷しているようです。「名鉄広見線活性化協議会」は、モニター制度を12月まで1か月延長し、利用を呼び掛けています。

 「名鉄広見線活性化協議会」の考えはわかりますが、名古屋ならともかく、犬山ぐらいなら大きな渋滞はないでしょう。昼間は30分に1本しか電車が来ない新可児-御嵩間でも、朝は15~20分間隔で運転されています。それでも、車の便利さにはかなわないでしょう。名古屋まで近ければその通勤輸送で何とかやっていけそうですが、1時間15分ぐらいかかるようで、それも厳しいです。

(追記)
 名鉄広見線活性化協議会は2012年7月13日、御嵩町役場で開かれました。そこで2011年の利用者数が報告されましたが、目標(110.6万人)の87%に当たる96.8万人でした。対前年比でも2.7万人減って97.2%となっています。

 広見線がないと鉄道がなくなる御嵩町は負担してでも存続させたいようですが、どうなることでしょうか?
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/travel/rail/news/NGY201011110019.html、IC CARD WORLD http://www.shopbiz.jp/ic/news/57778.html、岐阜新聞ホームページ http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20120714/201207140830_17522.shtml、毎日jp http://mainichi.jp/area/gifu/news/20120714ddlk21040019000c.html)

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「manaca」のマイレージポイントはかなりケチ?

 来年2月11日からようやく使えるようになる「manaca」。従来の「ユリカ」などのプリペイドカードのままでいくか、それとも「manaca」に切り替えるかを判断する大きなポイントは、マイレージポイントの内容。5000円分の「ユリカ」を買うと5600円使えますから、大体1割引。昼間用のカードだとさらに割引率は高いです。地下鉄用は約16.7%、市バス用は約3割引です。これが判断の基準となります。

 しかし、先日名鉄が発表した、「manaca」のマイレージポイントサービスの内容は、かなりお寒いものでした。名鉄電車は、1日から月末までの1か月間の利用金額と利用回数の両方の基準でマイレージポイントを付与します。利用金額では月に2001円以上利用しないとポイントがつきません。利用回数では月に11回以上利用しないとポイントがつきません。月に20001円以上、月に41回以上使うと最大の付与率が与えられます(ただし月20001円以上の部分にしか最大のマイレージポイントがつきません)。それでも14%です。

 名鉄バスも厳しいです。1日から月末までの1か月間の利用金額に対して2%と、月ごとの金額が2000円、5000円、10000円に達するごとにボーナスポイントがつくだけです。月に10000円使っても5%しかつきません。

 名古屋市交通局のマイレージポイントの水準がわからないので最終的な判断は出来ないですが、名鉄を見る限りではあまり期待出来そうにはないです。JR東海の「TOICA」みたいに、定期券用と割り切ったほうが良いかもしれません。
(参考:名鉄ホームページ http://www.meitetsu.co.jp/profile/news/2010/1205895_1138.html)

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阪急、ノンストップ特急復活か?

 かつては阪急京都線の特急も京阪間ノンストップでしたが、JRの新快速に敗れ、停車駅がどんどん増えていきました。今の特急はかつての急行のようによく停まります。こまめに停まることになったことにより、看板車両だった6300系は使いにくくなり、2月末をもって定期列車からは引退しました(臨時列車としては運転実績があります)。

 ところが阪急は来年5月に予定しているダイヤ改正で、河原町-梅田間に観光客誘致のための列車を運転することになりました。休日の朝夕に1日数本走らせるこの列車は、烏丸・桂・淡路・十三にしか停まりません。かつての特急とは停車駅が違いますが、京阪間ノンストップであることには変わりありません。桂は嵐山への連絡、淡路は地下鉄堺筋線への連絡を考えた停車駅でしょう。ライバルのJRにはできない芸当です。車両も往年の特急にふさわしいものです。2月末に引退した6300系の内装を改造し、京風にして、観光地への誘客を図ります。

 また、2008年の秋以降、春秋のシーズンには嵐山への直通列車が走っていましたが、今後は期間を拡大して、春秋以外でも直通列車を運転することにします。

 阪急の強みは、地下鉄堺筋線と直通することによって、大阪の南部からでも行きやすいこと。これまでも堺筋線との直通運転はありましたが、ダイヤ改正後は休日に河原町-天下茶屋間の直通列車を運行するようです。

(追記)
 阪急は5月から河原町から地下鉄堺筋線天下茶屋へ直通する列車を運行します。休日に1日30本あまり運行しますが、「準急」ではアピール度に欠けますね。淡路あたりで特急に乗り換えたほうが確実に速く、直通の意味が薄いです。
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819A96E3E5E2E3E48DE3E5E3E3E0E2E3E29E9693E2E2E2;p=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E5;o=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2、産経関西 http://www.sankei-kansai.com/2011/01/25/20110125-048797.php)

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リニア、新大阪までの全線開業前倒しを提言か?

 国交省は、国内の学者や産業界などの有識者約100人に対してリニア新幹線の社会的影響についてアンケートを行いました。

 アンケートは8月と10月の2回行ったのですが、10月の調査でみると、「東京-大阪間以外にもリニアを拡大すべきか」という質問に対しては48%が「東京-大阪間のみで十分」と答え、40%が「拡大すべき」と回答しています。実に9割近くが肯定的な回答を示しています。「東京-大阪間についても疑問」という回答はたったの9%でした。全体的にはリニアについては評価されているようです。

 その他の質問をみると、都市への人口の一極集中を予想する人が41%で、影響がないと考える38%をほんの少しではありますが上回っています。リニアの利用によって航空便が減少し、空いた空港の発着枠の活用が進むと考えている人が約8割います。羽田は国際線に転用するでしょうが、こうなれば関西3空港の設備の過剰が目につきます。橋下知事の懸念はもっともです。並行する東海道新幹線の停車駅が増加し、新幹線通勤が増えると考えている人も8割近くいます。以前にも書きましたが、駅が増えるかもしれないですね。

 話を本題に戻します。以前にも書きましたが、リニアは名古屋止まりでは大した効果がありません。新大阪まで全線開業して大きな効果が生まれるものなのです。有識者のアンケートではわからなかったですが、名古屋止まりだとどう評価していたのでしょうか?

 そこで交通政策審議会は、JR東海が2045年に開業することを目標としている品川-新大阪間について、前倒し開業することを提言しています。これはもっともな話です。できれば、一気に新大阪までつくるのが望ましいでしょう。

 名古屋暫定開業の場合、考慮しなければならないのは、名古屋での乗り換え(一気につくればこのような問題はあまり重要ではなくなりますし、極論すれば名古屋駅にリニアの駅を併設する必要すらなくなります。建設費の安い郊外につくってもいいのです)。新大阪まで全線開業するまでの間、多くの人がリニアと東海道新幹線を乗り換えます。JR東海はリニアの名古屋駅について、東海道新幹線のホームから真下30メートルの地下につくるようです。リニアから東海道新幹線までの乗り換え時間は3~9分。リニアの到着から新幹線の発車まで15分程度かかるようです。リニアの名古屋駅については、以前には松坂屋の跡地という話もありました。いったいどこに置くのでしょうか?

(追記)
 交通政策審議会では、名古屋-新大阪間について、独立行政法人鉄道・運輸機構が建設主体になることにより、一気に品川-新大阪間を開業させる案もあるようです。

 JR東海としては、これだと国が強く関与することになるのであまりやりたくないようです。しかし、名古屋止まりと新大阪までの全線開業では、その効果は大きく異なります。検討に値する案ですね。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/national/update/1113/NGY201011130001.html、http://www.asahi.com/business/update/1112/NGY201011120009.html、時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2010111200531、信毎web http://www.shinmai.co.jp/news/20101123/KT101122ATI090046000022.htm)

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「日光」「きぬがわ」は253系に置き換え

 1991年から「成田エクスプレス」として成田空港輸送に活躍してきた253系は、6月末を以ってその役目を後進のE259系に譲り、20年足らずしか使われていないのに廃車されています。ごく一部の3両編成2本のみが長野電鉄に行きました。長野電鉄のほうは公募により「スノーモンキー」という愛称が付けられました。地獄谷野猿公苑で雪の中、温泉につかる猿をイメージしています。

 さて、話を本題に戻します。JR東日本でも、253系をリニューアルして使うところが出てきました。新宿-東武日光・鬼怒川温泉間を結ぶ「日光」「きぬがわ」です。これまでJR東日本は485系・189系を使っていたため、100系を使う東武に対して見劣りがしていました。そこで、253系に大幅なリニューアルを行ったうえ、「日光」「きぬがわ」に投入することにしたのです。デビューは来年4月16日の予定です。

 「日光」「きぬがわ」用の253系は大幅なリニューアル(制御方式もVVVFインバータ方式になります)に伴って、1000番代になります。6両編成2本がリニューアルされるのです。普通車のみとなり、定員は290人です。リニューアル車両で目につくのは外観。車体カラーは赤、朱、黄の3色。日光の社寺や紅葉から来ています。参考にした記事にイラストがありましたが、結構派手な外観です。

 シートは偶数号車が華厳の滝や中禅寺湖にちなんで青に、奇数号車はレンゲツツジや紅葉にちなんでオレンジとなります。シートピッチは現在の1020ミリから、現在「日光」「きぬがわ」に使われている485系や東武100系と同じ1100ミリに拡大され、パウダーコーナー(化粧室)が3、4、5号車に、多目的室が2号車に設置されます。身障者用の設備も2号車です。また、日光には海外からの観光客もやってきます。案内放送や車内案内サインは日本語、英語、韓国語、中国語の4か国語に対応しています。また、2号車を除く各号車には、ベビーカーやゴルフバックなどの大型荷物を収容するスペースが設けられます。

(追記1)
 「日光」「きぬがわ」への253系への置き換えは、地震の影響により、延期されました。置き換え時期は未定です。なお、2011年3月30日現在、「日光」「きぬがわ」は運休中です。

(追記2)
 「日光」「きぬがわ」への253系への置き換えは、6月4日に行われることになりました。
(参考:鉄道ホビダス http://rail.hobidas.com/news/info/article/124167.html、http://rail.hobidas.com/news/info/article/126847.html、長野電鉄ホームページ http://www.nagaden-net.co.jp/webstation/nickname253_2.html、JR東日本ホームページ http://traininfo.jreast.co.jp/train_info/chyokyori.aspx、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/life/news/110503/trd11050302040002-n1.htm)

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新型「くろしお」は非振り子車の287系?

 特急においても旧型の国鉄型車両が多く残っていたJR西日本ですが、新型に置き換えつつあります。来年春に「きのさき」「こうのとり」(「北近畿」から改称)などに287系が投入され、先日「はまかぜ」用の新車キハ189系がデビューしたばかりです。ブルートレインと北陸新幹線金沢暫定開業で廃止になると思われる「北越」を除くと、残る旧型特急は、振り子式の381系を使う「くろしお」「やくも」ぐらいです。そのうちのひとつ、「くろしお」について大きな動きがあるようです。

 JR西日本は、「くろしお」に287系車両51両(6両編成6本、3両編成5本)を投入します。営業開始時期は51両がそろう、2012年7月以降となるようです。基本的な設備は「きのさき」などの北近畿方面への特急に使われるものと同一ですが、南紀に向かう特急だからでしょうか、真っ白な車体に細い青(オーシャングリーン)の帯を巻いています。安全対策の強化、女性専用トイレ・多目的室・車いす対応トイレやモバイル端末用のコンセント(グリーン車の全座席と普通車の一部)が設置されるのも同じです。

 ただ、先ほども述べたように、「くろしお」の381系は旧型とはいえ振り子式。新型ならカーブでも多少は速く走れ(振り子式でなくてもカーブでの通過速度が緩和されているケースはあります)、一時期走っていた485系のようなことにはならないでしょうが、「オーシャンアロー」のようなスピードは期待できないですね。特に白浜以南の差は大きいでしょう(最速列車で比べると、白浜以北では、283系(「オーシャンアロー」)と381系(「スーパーくろしお」)の差は3分しかありません。しかも、後者は海南に停まります)。本来なら283系を改良して増備すべきところです。

 鉄道の命はスピード。暴走はいけませんが、線路や車両の改善によってスピードアップを目指さなければ(その究極のかたちが新幹線なのですが)、競争に負けてしまいます。紀勢線においても高速道路が整備され、南紀田辺まで延伸されました。かつては国道42号線しかなかったのですが、かなり整備されています。目に見えるコストがガソリン代と高速道路代だけの車とは違い、鉄道はどうしてもそれなりに高い料金が目につきます。そのハンディは速さでカバーしないといけないのです。スピードアップに対する不断の努力を続けない限り、鉄道は死んでしまうでしょう。そういう意味では、287系の導入は良い策ではありません。

 あと気になることがもうひとつ。日根野電車区にある381系は合計126両。「くろしお」編成が6両編成7本と増結用3両編成7本、「スーパーくろしお」編成が6両編成5本と増結用3両編成3本、旧国鉄色が6両編成4本です(そのほかに日根野電車区には283系が6両編成2本と3両編成2本あります)。今ある381系を置き換えるには到底足らないです。
(参考:鉄道ホビダス http://rail.hobidas.com/news/info/article/124177.html、Hanwa Network Station http://hanwanetworkstation.web.fc2.com/hensei/jrw/hineno.html)

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滋賀県、北陸新幹線通過は容認するが資金は負担せず

 未だに決まらない北陸新幹線敦賀以西のルート。ここが北陸新幹線最大の問題であることは前原前国交相も指摘しているとおりです。大阪まで行くか、それとも北陸止まりかによって北陸新幹線の重要度が大きく変わります。

 敦賀以西のルートは3つ考えられます。未だに技術的に確立していない、フリーゲージトレイン導入が前提と考えられる「湖西ルート」は論外としても、「若狭ルート」「米原ルート」の2つがあります。後ほど述べますが、それぞれ優劣があり、どちらがいいかは難しいところであります。

 そんな中、滋賀県の嘉田知事は16日の記者会見で、滋賀県内を通る「米原ルート」について、県内を通過するのは容認するが、(約3700億円という建設費から考えると、1/3の約1200億円ともいわれる)財政負担はできないという見解を示しました。これに関しては、橋下大阪府知事も理解を示しています。また、橋下知事は12日の近畿ブロック知事会議において、北陸新幹線によって大阪府は利益を受けるので、費用の負担をしなければならない旨の発言をしています。

 なにしろ、240億円の南びわ湖駅を蹴った滋賀県です。血眼になって新幹線を誘致しようとする地方の県からは考えられないようなことをする県です。「米原ルート」の弱点のひとつとして、(高速鉄道に対する理解がない)滋賀県を通るというリスクがあることが挙げられていました。ですから、負担金はともかくとして、北陸新幹線の県内通過を容認するだけでも少しは前進なのかもしれません(滋賀県の場合、北陸線もアーバンネットワークのひとつとなるので、並行在来線問題は起こらないと考えられるのも、容認の原因のひとつかもしれません)。当然、県内には(長浜などに)北陸新幹線の駅ができないのは話の前提です。県内に新幹線の駅が2つできるのに、貸付料を回収しようとする新潟県とは事情が違います。新潟県の貸付料は、北陸新幹線の全線開通という大きな目標のためにも使われるのです。県からの負担が見込めないため、着工の順序は遅くなるでしょうが(北海道新幹線全線及び北陸新幹線敦賀以東の完成後につくる)、「おらが県に新幹線」という大義名分がない北陸新幹線敦賀-米原間は、100%国費でも許される路線です。たった3000億円程度でローカル新幹線から脱却できますから。

 「米原ルート」はコストが安く、「若狭ルート」では不可能な、京都や名古屋にも直通できるというメリットがあります(ただし、名古屋駅への直通は、米原駅の大幅な改良が必要です。リニア名古屋暫定開業の段階でできるとは思いますが、名古屋駅に折り返しの設備も必要です)。しかし、米原で乗り換えさせるわけにはいきませんので、頻繁に新幹線が走るJR東海の協力を取り付ける必要があります。「若狭ルート」ならJR西日本が収入を独占できますが、「米原ルート」の場合は米原以北の分しかお金が入りません。関ヶ原の雪によるダイヤの乱れを北陸新幹線に持ち込むリスクもあります。一長一短があり、難しいところです。

 ただ言えることは、だからと言って敦賀以西の建設から逃げるわけにはいかないということです。北陸止まりなら、不要不急の単なるローカル新幹線になってしまいます。50キロあるかないかという短い距離をケチったがために、新幹線の価値を大きく減じてしまうのですから。
(参考:MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/politics/local/101116/lcl1011161722002-n1.htm、http://sankei.jp.msn.com/politics/local/101116/lcl1011161938003-n1.htm、中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20101117/CK2010111702000122.html)

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九州新幹線開業後も「有明」存続

 今までのパターンから考えると、新幹線が開業すれば、それまで在来線を走っていた特急は廃止になりますが、代わりに普通列車が増えます。これまで特急を最優先にしないといけなかったので、そのしわ寄せが普通に来たのですが、そういうことがなくなるからです。

 しかし、来年3月に開業する九州新幹線は、事情が異なります。基本的には特急は廃止になる方向ですが、一部は残ります。存続を検討している区間は博多-大牟田、荒尾、玉名間。通勤通学客の多い朝夕や福岡空港からの早朝便を考慮して本数を検討するようです。名前は「有明」が有力視されていますが、変わる可能性もあります。

 一部とはいえ、特急を残す理由は、新大牟田駅のように、既存の駅と離れている場合があること。新幹線は一直線に結ぶため、街の中心から離れたところに駅ができます。特に大牟田は西鉄の終点でもあるため、このまま特急がなくなって普通列車一本になってしまったら、競争に勝てません。九州は高速バスが強い、という事情もあります。今は玉名行きがなくても、いざとなればできるかもしれません。
  
 JR九州は料金面でも特殊な事情があります。「2枚きっぷ」などの格安な切符があるからです(新幹線ができても、在来線のほうは値上げしないでしょう)。普通列車と大して変わらない値段で快適な特急に乗ることができるのです。他の地域では快速になるケースでしょうが。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/travel/news/SEB201011130053.html)

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「タンゴエクスプローラー」、北近畿タンゴ鉄道線内特急に転用か?

 来年春のダイヤ改正で廃止になる、「タンゴエクスプローラー」。どうやら、来年春以降は、北近畿タンゴ鉄道線内特急になるようです。

 北近畿タンゴ鉄道では、11月12日から25日までの間、北近畿タンゴ鉄道線内のみを走る特急について、新しい愛称を募集しています(京都や大阪からの直通列車は、従来どおりです)。これまで北近畿タンゴ鉄道線内のみを走る特急については、使用する車両から「タンゴディスカバリー」と名付けられていましたが、来年春からは全く別の愛称になります。北近畿タンゴ鉄道は、タンゴディスカバリー車両、タンゴエクスプローラー車両ともに使える愛称を求めています。

 愛称の応募資格は、北近畿タンゴ鉄道線沿線の市町に在住しているか、あるいは勤務している人のみで、私を含めて大半の人には資格がありません。ですから、外からじっと成り行きをみているだけですが、高速道路の無料化に負けずに、京阪神からの観光客を誘致できるような、いい名前を付けてもらいたいです。
(参考:北近畿タンゴ鉄道ホームページ http://ktr-tetsudo.jp/information/archives/010378.php)

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京成「シティライナー」、減便や廃止の方向で見直しか?

 7月17日の成田スカイアクセスの開通まで、京成の看板列車だった、「スカイライナー」。成田スカイアクセスの開通後は、「シティライナー」に名前を変え、慣れた京成本線経由で昼間を中心に1日7往復しています。

 しかし、京成の花田社長によれば、「シティライナー」の利用者がかなり減っているようです(「スカイライナー」は見込みより若干少ない程度のようで、特段の心配はしていないようです)。現時点では具体的な計画はありませんが、将来的には減便や廃止もあり得るようです。

 確かに8月に乗ったときもガラガラでした。特急料金が920円と高く、遅いのでは、通しの客が乗らないのは当たり前です。座席が普通のロングシートで、途中の青砥で乗り換えがいるとはいっても(日中)、無料のアクセス特急と所要時間がほぼ同じとあっては、有料特急に乗るメリットはありません。おまけに、「シティライナー」は京成本線を迂回している間に、まっすぐ成田スカイアクセスを走る「スカイライナー」に抜かれてしまいます。

 こうなったら、方向を転換しないといけません。これまで成田空港へのアクセスを重視しなければならなかったために、有料特急のサービスができなかった京成佐倉などの途中駅に停め、細かく集客を図らないといけないでしょう。私が乗ったときも、京成船橋からの乗客はそれなりにいました。東京から離れている京成佐倉ぐらいなら、京成上野・日暮里からの客も利用してくれるでしょう。新たな局面を切り開くのです。

 もちろん特急料金は500円ぐらいが妥当でしょう。今までの「スカイライナー」の時代とは違います。成田空港アクセスではなく、沿線特急としては、これぐらいなら乗る気になります。
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C889DE3EAE2E7E2E3E1E2E3E3E3E3E0E2E3E29EEAE1E2E2E2;p=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E7;o=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2)

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「manaca」は来年2月11日から

 他の地域よりかなり遅れている名古屋の鉄道ICカード。ようやく「manaca」が来年2月11日から使えるようになります。

 「manaca」が使えるところは、名古屋市交通局(地下鉄・市バス)、あおなみ線、ガイドウェイバス、名鉄、名鉄バス、豊橋鉄道の6事業者。切符としての機能のほかに、サークルK、サンクス、地下鉄や名鉄の売店などで電子マネーとしても順次使えるようになります。「manaca」の発売開始も、2月11日です。当面は名古屋近郊でしか使えませんが、将来的には「TOICA」や「Suica」とも電子マネー機能を含めて相互利用することができます。「manaca」には定期券の機能を付けることができ、定期券区間を乗り越しても改札機で自動精算することができたり、どこの地下鉄の駅でも定期券を購入したりすることができます(現在は主要駅のみ)。

 地下鉄・名鉄など6事業者に乗車するとマイレージポイントがもらえ、このマイレージポイントは6事業者で使うことができます。また、市バス同士、市バスと地下鉄を90分以内で乗り継ぐと80円(子供は40円)割引になります。あおなみ線と地下鉄・市バス、ガイドウェイバス高架区間と地下鉄・市バスとの乗継でも割引になります。

 もっとも、マイレージポイントの水準がどれくらいになるか具体的にわからない限り(概要は2年ほど前に明らかになっていますが)、「manaca」に切り替えるべきか「ユリカ」のままで行くべきなのか、判断がつかないです。詳細な情報を待ちましょう。
(参考:名古屋市交通局ホームページ http://www.kotsu.city.nagoya.jp/info/2007/006523.html)

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「はやぶさ」は来年3月5日デビュー!

 11日、JR東日本から、「はやぶさ」のダイヤなどについての発表がありました。

 「はやぶさ」の運転開始日は来年の3月5日。九州新幹線の全線開業と同じ、12日と思っていたので、意外な結果になりました。後で詳しく述べますが、「はやぶさ」の運転開始によって大幅なダイヤ改正になるわけではないので、同日でないほうが宣伝効果があるのでしょう。新型車両E5系により、宇都宮-盛岡間において時速300キロ運転をします。

 「はやぶさ」は東京-新青森間を1日2往復、東京-仙台間を1日1往復します。時速300キロ運転することにより、東京-新青森間の所要時間は3時間10分に短縮されます。12月4日の東北新幹線新青森開業時は3時間20分ですので、10分短縮することになります。ただ、ダイヤを分析すると、スピードアップの主な要因は「こまち」を併結しないことによる盛岡の停車時間の短縮(4~6分→1分)と八戸通過(4分)によるものであり、時速300キロ運転によるスピードアップの効果はほとんどありません。東京-盛岡間が2時間20分なので、1分速くなっただけです。1日に3往復と少ないので、余裕時間に振り当てているのでしょうか? 「はやぶさ」の停車駅は大宮、仙台、盛岡、八戸(「はやぶさ4号」のみ)です。

 「はやぶさ」の新設により、新青森始発の「はやて12号」が盛岡始発になり(「はやぶさ4号」が八戸に停まるのは、「はやて12号」の短縮をカバーする目的があります)、逆に「はやて36号」が新青森発となります。ただし、「はやて36号」は開業日の12月4日からずっと臨時列車扱いながら毎日運転されるので、見た目は何も変わらないことになります。八戸を通過することも変わりません。逆にいえば、それ以外の列車は変わらず、むしろ「スーパー白鳥」などの接続列車も「はやぶさ」の新設を見越して設定した要素が見受けられますので、東日本エリアは小幅なダイヤ改正になるでしょう。

 「はやぶさ」の料金についても発表されました。「はやぶさ」で大宮-盛岡間を利用する場合、「のぞみ」や「みずほ」と同じように追加料金が課されます(東京-大宮間や盛岡-新青森間は立席・特定特急券の場合を含めて「はやて」などと変わりません)。東京-仙台間で300円、東京-新青森間で500円です。申請では「はやぶさ」が停車しない、仙台以北の各駅についても設定がなされています。仙台-盛岡間の各駅でも「はやて」や「やまびこ」より100~200円高くなっています(ただし、隣接駅相互間、古川-一ノ関間、一ノ関-北上間、北上-盛岡間で立席を利用する場合は、「はやて」と同額です)。E5系はこれからも導入が進み、仙台以北は各駅に停まる「はやて」や、早朝や深夜に仙台-新青森間で運転される「はやて」も、「はやぶさ」になるでしょう。こういう列車にも盛岡以南では追加料金が課されることになるのです。仙台以北の追加料金に関しては再考を促したいところですね。

 さて、「はやぶさ」には豪華車両「グランクラス」ができます。この料金も発表されました。その値段は、グリーン車の5000円増し。グリーン車なら1000円で済む(別途運賃、特急料金は必要です)盛岡-八戸間でも、「グランクラス」なら6000円かかります。なかなか手が出せない、「高嶺の花」になりそうですね。
(参考:JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/press/2010/20101107.pdf、http://www.jreast.co.jp/press/2010/20101106.pdf)

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年末年始も「ファミリー新幹線」運行!

 毎日多くのビジネス客が利用している東海道新幹線。どうしてもじっとしていない、子供連れには厳しいところです。

 そこでJR東海は、この夏に続いて年末年始にも、子供連れ専用の「ファミリー新幹線」を運行することにしました。ピークを外した12月25~28日と1月5~10日に、東京-新大阪間で、「のぞみ」「こだま」を1日1往復(9日の新大阪行き「のぞみ」は除く)ずつ走らせます。2日間だけだった夏より、大幅に増加することになります。「のぞみ」は普通車指定席の6号車が、「こだま」はグリーン車の8号車が子供連れ専用車両となります。利用する区間により、「のぞみ」になるか「こだま」になるか決まり、自由に選択できるわけではありません。また、この「ファミリー新幹線」は旅行商品ですので、設定区間も制限がありますし(短距離では利用できない)、小学生以下の子供1名以上と大人1名以上を含むグループでないといけません。

 「のぞみ」の場合、人数分の座席のほか、荷物用に1席が無料でプレゼントされます。「こだま」の場合、普通車指定席並みの値段でグリーン車に乗ることができます。いずれも飲み物の引換券がつき、50名に「プラレール」が当たる抽選があります。ただ、乳幼児でも子供料金が必要ですので御注意ください。

 この「ファミリー新幹線」は今日(11日14時)から発売されます(購入期限は出発日の1週間前まで)。主要駅にあるジェイアール東海ツアーズの支店で買うことができます。ジェイアール東海ツアーズの電話窓口(「旅の通販デスク」)でも可能です。
(参考:朝日新聞11月11日朝刊 中部14版、JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000009468.pdf、http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000009469.pdf)

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JR西日本、九州、ブルートレイン車両などを海外に売却

 かつて、全国各地に夜行列車が走っていましたが、今では絶滅危惧種。ほんのわずかしか残っていません。ブルートレインとして使われた車両は余ってしまいます。

 日本では40年近く走り続けてきた車両なので、かなり古いですが、国によってはまだ使えるところもあります。そこでJR西日本は、かつて急行「銀河」や夜行快速「ムーンライト」などで使われた車両8両(14系客車7両、24系寝台車1両)をマレーシア鉄道公社の要請を受けて譲渡します。JR西日本がマレーシアに車両を譲渡するのは初めてのようです(タイにはこれまで126両を譲渡しています)。譲渡される車両は、15日から16日にかけて下関地平コンテナ基地から下関港に陸路で運ばれ、そこから船でマレーシアに運ばれます。

 なお、JR九州もブルートレイン車両6両をマレーシアに譲渡する予定です。「はやぶさ」「富士」が廃止された後、イベント列車として何回か運行されてきましたが、今月23日の運転が最後となります。その車両を譲渡するのでしょう。
(参考:Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101105-00000632-san-soci、毎日jp http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101106mog00m040001000c.html、マイコミジャーナル http://journal.mycom.co.jp/news/2010/10/13/043/index.html、JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1175054_799.html)

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高速道路無料化、政策コンテストでも不評

 菅内閣は2011年度予算において、1兆円を超える規模の「元気な日本復活特別枠」を設けています。各省庁は「これだ」と考える事業を要望し、公開の「政策コンテスト」で優先順位が決まります。各省庁が要望した事業は189、金額にして約2.9兆円。これに対して国民から約36万件もの意見が寄せられました。

 高速道路の無料化の社会実験もそのひとつ。約3500件の意見の中で、肯定的な意見はたったの9.5%でした。それに対して否定的な意見は87.6%もありました。最下位です。意見の具体的な内容をみれば、渋滞の発生を危惧する意見や、受益者負担の原則から高速道路は有料が望ましいという意見が多くみられました。

 国民に意見を求めることはよくありますが、実際は業界団体の大きな声が反映されることが多くあります。今回の「政策コンテスト」でも、文部科学省関係の意見が多く(約8割が文部科学省関係です)、しかも95%もの意見は事業に肯定的な意見でした。教育関係者が一般の国民のふりをして、せっせと意見をしていったのでしょう。ほかのものも似たり寄ったりかもしれません。ごく一部の熱心に賛成している人だけが肯定的な意見を書き込んでいるのです。国民の意見としては怪しいです。

 中には、本来なら特別枠ではなく、既存の予算で要求すべき内容も入っています。教員の給与などです。義務的なものであり、どうやっても削れるわけがありません。本来の趣旨を逸脱した、アンフェアなものです。こういうものは、本来の予算を削るなどして対応すべきところでしょう。

 話を本題に戻します。否定的な意見が圧倒的に強い高速道路の無料化は、民主党がマニフェストで掲げたものではありますが、ここまで否定的な意見が強いならば、撤回の方向で見直さないといけません。財源がないのに(消費税などの増税もしないのに)、ばら撒きできるわけがないのです。

 私たちはマニフェストを忠実に遂行するために民主党を支持したのではありません。今までのしがらみから脱却する、新しい政治をつくるために民主党政権を誕生させたのです。ところがやっていることは何ら変わりません。このしっぺ返しは次の選挙で行われます。実績ある議員はともかく、民主党ブームに乗って当選した小沢チルドレンあたりはまず再選しないでしょう。

 思いっきり揮発油税等を上げれば話は変わるかもしれませんが、現状で考えると、高速道路で料金を徴収することにはある程度のコンセンサスが得られています。無理に無料にして、公共交通機関にマイナスの影響を与えてはいけません。車、鉄道、航空機にはそれぞれ適性があり、目先の票によってゆがめてはいけないのです。

(追記)
 散々な評価だったはずの高速道路無料化ですが、マニフェストに掲げた政策ということもあり、最終的には4段階中、上から2番目のB判定となりました。一部減額して予算化されることになります。
(参考:朝日新聞11月4日朝刊 中部14版、11月5日朝刊 中部14版、12月2日朝刊 中部14版、Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101104-00000122-jij-pol、THE WALL STREET JOURNALホームページ http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_140508)

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リニアの費用対効果について考える(2)

 昨日のの続きです。


(4)経済成長率の変化
 (1)の基本パターンでは経済成長率を1%としていますが、これが変化すればどうなるでしょうか? 2%と0%のケースで考えます。まず2%の場合は、便益は10.96兆円となり(費用は変わらず)、費用便益比は1.99となります。伊那谷ルートでも費用便益比は1.63となります。反対に、0%の場合は、便益が6.33兆円にとどまり、費用便益比は1.15となります。リニアの建設には経済成長が必要なのです。

(5)高速道路料金の影響
 高速道路料金の値下げは、各地の鉄道にマイナスの影響を与えていますが、リニアの場合はどうでしょうか? 実は、リニアの場合は高速道路料金を半額にしてもほとんど影響はありません。南アルプスルートの場合で便益は0.08兆円減るだけです。費用便益比は1.50です。伊那谷ルートでも費用便益比は1.22です。リニアと高速道路では速度が違いすぎ、競合関係にはならないのでしょう。LCCの普及により、航空運賃が下がることのほうが影響があるのではないでしょうか?

(6)開業時期の前倒し
 新大阪までの開業年度は2045年とされていますが、これを10年前倒しすればどうでしょうか? 結果は明らかです。便益は9.69兆円と大幅に増えるのに対して、費用は6.14兆円とそれほど増えません。費用便益比は1.58です。2045年という開業時期はJR東海の資金繰りから考えられたものであります(JR東海は、増資ではなく、社債や借入金で建設費を賄う計画です)。このように効果が大きいのなら、国から無利子で借り入れるなどして一気に完成させるのが望ましいです。一気に完成すれば、名古屋駅にこだわる必要がなく、名古屋近郊につくることも許されるのです。コストの削減につながります。

(7)名古屋暫定開業のケース
 最後に、2027年に名古屋暫定開業した場合のことをみましょう。費用便益比が1を超えるのは南アルプスルート・リニア方式のみです。便益が4.88兆円、費用が4.07兆円で、費用便益比は1.20です。伊那谷ルートなら費用便益比は0.94となります。新幹線方式ならさらに悪く、南アルプスルートでも0.86、伊那谷ルートなら0.69となります。明らかに新大阪までできるならともかく、そういう確信がない限りは名古屋までつくっても意味がありません。やはり新大阪まで一気に開業させるのが望ましいです
(参考:日経ケンプラッツ http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20101020/543895/、REUTERSホームページ http://www.worldtimes.co.jp/news/bus/kiji/2010-10-28T130957Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-178633-2.html)

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リニアの費用対効果について考える(1)

 10月20日に行われた交通政策審議会の中央新幹線小委員会(第9回会合)で、リニアのルートごとの費用便益分析の結果が公表されました。その結果はどのようなものだったでしょうか?


(1)まずは基本ケースから
 基本的なケースは、南アルプスルートで2045年度に首都圏(品川?)から近畿圏(新大阪?)までが開業(リニア方式)、経済成長率が1%、高速道路料金が現状のままとした場合です。この場合、便益は8.35兆円、費用は5.52兆円なので、費用便益比は1.51となります。

(2)伊那谷ルートの場合
 リニアが伊那谷ルートをとった場合はどうでしょうか? この場合は、便益が7.49兆円、費用が6.05兆円で、費用便益比は1.24となります。南アルプスルートとの優劣は明らかです。技術的にトンネルを掘ることができないとか、南アルプスルートをとることにより深刻な環境問題が発生するなどの事情がない限り、南アルプスルートで行くべきでしょう。

(3)新幹線方式で建設した場合
 リニアに何らかの問題があり、技術的に確立している新幹線方式でつくった場合はどうでしょうか? この場合、南アルプスルート、伊那谷ルートともに費用は下がりますが、便益も減ります。南アルプスルートの場合は、便益が4.57兆円、費用が4.06兆円で費用便益比は1.12。伊那谷ルートの場合は、便益が3.87兆円、費用が4.33兆円で、費用便益比は0.89となります。かなり悪い数字になってしまいます。

 長くなるので、いったんここで切ります(続く)。
(参考:日経ケンプラッツ http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20101020/543895/)

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L0系、2013年度にデビュー

 JR東海は、2027年に品川―名古屋間での開業を目指しているリニア新幹線用の試験車両として、L0系を2013年度末までにデビューさせます。

 L0系の「L」とは、「リニア(Linear)」の意味。そして、「0系」は新幹線の初代車両0系にちなんでいます。4代目のこの試験車両は、「0系」の名を使っていることから、営業にも使えるものを目指しているようです。車内は4列シートで、先頭車には24人、中間車には68人乗ることができます。定員は12両編成で728人、16両だとちょうど1000人になります。先頭車のデザインは、空気抵抗を減らすため、先がとがったかたち。くちばしのような先端は、約15メートルにもわたります。車内空間もこれまでの半円筒形から角形になってやや広くなり、居住性が増しています。

 L0系は2015年度までに先頭車4両、中間車10両の合計14両つくられます(2013年度末の時点では、先頭車2両、中間車3両のみ製作)。これで営業運転を想定した、最大12両編成での運転ができます。JR東海はこのL0系で振動や乗り心地などの最終的な走行試験を行います。L0系は山梨県にあるリニアの実験線が現在の18.4キロから42.8キロに伸びる、2013年度末から走行実験を開始するようです。
(参考:西日本新聞ホームページ http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/205900、JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/nws000625.html)

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