南海、「ラピートα」復活か?
大阪の南のターミナル、難波と関西空港とを結ぶ南海の特急、「ラピート」。新今宮、天下茶屋、泉佐野、りんくうタウンのみに停まる「ラピートα」と、堺、岸和田にも停まる「ラピートβ」の2種類があります。1994年の関空開港とともに走りはじめました。当初は文字通りノンストップの「ラピートα」と「ラピートβ」が1時間に1本ずつ走っていましたが、現在は平日の朝に「ラピートα」が3本(いずれも関西空港行き)走るだけで、あとは全て「ラピートβ」です。「ラピートβ」は途中の泉佐野まで、「サザン」と合わせて15分間隔で運転されています。
ところが南海は、「ラピートα」を本格的に運行することを考えているようです。背景には、全日空が関空をLCCの拠点として考えていることがあります。LCCが本格化することで関空の利用者が増えると考えているようです(ライバルのJRの特急、「はるか」の一部が毎日運転とはいえ臨時列車である現状を考えると、かなり強気で楽観的と言えますが。事実、南海が「ラピートα」を本格運行するのは、LCCにより関西空港駅の利用者がピーク時の1995年並みに増えたときです)。「ラピートβ」だと停車駅が多いので時間がかかりますが、「ラピートα」化することによって所要時間の短縮を図るようです。開港当初のノンストップ運転のときは、難波―関西空港間29分。本格運行の段階では、さらなる所要時間の短縮を目指します。今の「ラピートβ」の37分に比べるとかなり速く感じられます。
詳しい内容が分からないので簡単にしか書けませんが、関空と伊丹の経営統合に新たな動きが出てきました(22日に国交省が地元自治体や経済団体に説明しています)。これまで国が100%出資する持ち株会社の下に関空の運営会社と伊丹の運営会社がぶら下がるかたちでの経営統合が考えられてきました。しかしこれでは短期的に利益が上がる伊丹の運営会社に課税され(伊丹の利益は約50億円ほどです。補給金90億円の半分ほどですから、収益確保のため伊丹の航空会社を含む利用者に何らかの負担を課さないといけないですね)、経営統合の効果が薄れてしまいます。そこで、経営の足枷となっている関空の負債を切り離し、関空、伊丹両空港の運営は国100%出資の会社の元で行います。運営会社は関空、伊丹両空港の事業を行うほか、伊丹空港の土地を保有します。関西空港の土地と負債を保有する関空会社には、土地賃借料が運営会社から支払われ、最終的には事業運営権を売却することで負債を完済します。
南海本線の、特急、急行、普通が15分間隔で繰り返される現状のダイヤは、それなりによくできています(問題は、そのダイヤに車両が合っていないことです。「ラピート」にも自由席があればどれほど便利でしょう)。恒常的に「ラピートα」を運転するようになれば、どのようなダイヤになるのでしょうか? 「ラピートβ」を「ラピートα」に振り替えるのなら、ダイヤは一から作り直しです。もし、増発となると車両も増やさないといけません。そのときは、現在「ラピート」として使っている車両を「ラピートα」に充て、主要駅に停車する「ラピートβ」には「サザン」と共通して使えるような車両をつくればいいでしょう。指定席と自由席がセットになった車両です。「サザン」もデビューしてから25年。そろそろ車両の置き換えも考えないといけません。たとえ南海の試みが失敗しても、「サザン」の置き換えにはなります。
ともかく、関空の利用者が増えて本来の姿になることは喜ばしいことであります。関空は負債とそれに伴う利子負担がなければ、安定した黒字を出すことができる空港です。おまけに伊丹のように空間と時間の制約はありません。空間と時間の制約が厳しい伊丹に将来性はありません。関空しか関西の空の玄関になれないのです。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/select/biz/news/20101116k0000m020093000c.html、朝日新聞11月25日朝刊 大阪13版)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
「飛行機、空港」カテゴリの記事
- 「WEST EXPRESS 銀河」、関空開港30周年で関西空港に乗り入れ(2024.08.05)
- 成田空港への鉄道が複線化?(2024.04.26)
- 西九州新幹線でライバルの高速バスの利用者が増えた?(2024.02.28)
- 成田空港新ターミナルで鉄道も移設?(2024.02.13)
- 「Peachひがし北海道フリーパス」等がリニューアル(2023.04.22)
「南海・泉北」カテゴリの記事
- 南海、昼間の半数を「ラピートα」に置き換え(2024.11.14)
- 南海と泉北は合併しても、ダイヤは変更せず(2024.11.02)
- 南海電鉄、鉄道事業を分社化(2024.10.31)
- 銚子電鉄、南海2200系をもう1編成譲受(2024.08.28)
Comments
以前のラピートαは難波を出ると関空まで停まらなかったので車内が実に落ち着いた感じでした。αが復活だと嬉しいですね。
関空の利用者がピーク時以上に増えるという前提で、無謀な提案をすれば、
現行ラピート車両ははラピートαとしてピーク時30分間隔、オフ時1時間間隔。
サザンと同様に自由席+指定席のラピートβ車両の新製して、30分間隔。ラピートβへの自由席連結と引き替えに空港急行を廃止。
というのはどうでしょうね。
Posted by: ▲ 飛遊人 | 2010.11.29 11:24 PM
▲ 飛遊人 さん、おはようございます。
* 以前のラピートαは難波を出ると関空まで停まらなかったので
乗客が増えれば、ノンストップと主要駅停車型を両立させることができますね。
* ラピートβへの自由席連結と引き替えに空港急行を廃止。
私も同じような案を考えていますが、空港急行は残したほうがよいでしょう。遠方の人がわかりやすいように。具体的なダイヤがどうなるかにもよりますが、一番無駄なのは、(乗り通す人がいない)難波から関空まで直通の普通です。
Posted by: たべちゃん | 2010.12.01 05:21 AM