神戸電鉄粟生線、2011年度に存廃判断へ
神戸電鉄の路線のひとつに、粟生線というのがあります。鈴蘭台と粟生を結ぶ、29.2キロの路線です。
ところがこの粟生線、10年連続で赤字が10億円を超える見込みとなっています。2009年度の神戸電鉄全体の経常赤字は12.7億円(ワンマン運転、駅の無人化、給与の30~50%カットをしてもこの数字です)ですので、かなりの部分が粟生線によるものです。粟生線はピーク時の1992年度に1420万人を運んでいましたが、その後は減り続け、今年度は半分以下の670万人になる見込みです。マイカーへの転換や少子高齢化による通学者の減少が背景にあるようです。神戸三宮に直行するバスとの競争も要因のひとつにあるでしょう。
大手ならともかく、中小の神戸電鉄にとっては、もう粟生線を抱えるのは限界に近いです。そこで神戸電鉄は、(かなり減少したとはいえ、ローカル線としてはそれなりに利用者がいるにもかかわらず)来年度中に粟生線の存廃の判断をすることにしたのです。
神戸電鉄は地元自治体の神戸、三木、小野市などと「粟生線活性化協議会」をつくり、利用促進策を進めています。イベントなどで利用を促進する「地域公共交通総合連携計画」を作成し、2010~2012年度にかかる約4億円の経費のうち、約2億円を国の補助でまかなおうとしました。
しかし、6月に行われた国交省の事業仕分け・行政事業レビューで、この補助金が見直されることになりました。地域公共交通への支援は必要最低限に絞るべきとされたのです。鉄道の場合、バスにダウンサイジングすることが可能だから、「必要最低限」に当たらず、補助の対象から外れたのです。そこで、神戸電鉄への補助金も2011年度で打ち切りとなりました。これも廃止を検討する原因のようです。
(追記)
2011年12月28日、神戸電鉄粟生線の存続に向けて沿線自治体などが協議する、粟生線存続戦略会議の最終会合が行われました。自治体側は神戸電鉄が求めていた上下分離については拒否しましたが、県主導で、2017年度までに粟生線を含む神戸電鉄全線が経常黒字となるような支援策は行う方向です。
具体的には、県は駅や線路などの大規模修繕の支援や数十億円の無利子貸付を行います。神戸電鉄に対しては役員報酬や人員の削減という自助努力を求め、筆頭株主の阪急阪神ホールディングスに引き続き支援を要請します。神戸市は支援に対する態度を保留していますが、三木市、小野市は阪急阪神ホールディングスや県などが支援するのを条件に年間合計1億円を助成することを2011年10月の段階ですでに表明しています。
2012年1月末までに最終的な存廃の結論を出すようです。
(参考:神戸新聞NEXT http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003637196.shtml、http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004711899.shtml)
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Comments
なんだかんだと2020年まで赤字増やし続けずるずるきてる。このままだと他の路線も共倒れになる。
会社自体がつぶれては意味がない。粟生線は早く廃線にすべき。
Posted by: 神鉄ガンパレ | 2020.02.22 09:24 PM
神鉄ガンパレさん、こんばんは。
* なんだかんだと2020年まで赤字増やし続け
粟生線の問題点としては、赤字路線としては需要が多すぎることです。
2014年度のデータですが、輸送密度が2000人を割っているのは、小野-粟生間のみです。それ以外の区間はほぼ4000人を超えていて、バスに委ねるのは厳しいところです。
ただ赤字が出ていることには間違いないので、地元自治体の支援は不可欠でしょう。
(参考:日本民営鉄道協会ホームページ https://www.mintetsu.or.jp/association/mintetsu/pdf/56_p12_21.pdf)
Posted by: たべちゃん | 2020.02.22 11:05 PM