リニアの費用対効果について考える(1)
10月20日に行われた交通政策審議会の中央新幹線小委員会(第9回会合)で、リニアのルートごとの費用便益分析の結果が公表されました。その結果はどのようなものだったでしょうか?
(1)まずは基本ケースから
基本的なケースは、南アルプスルートで2045年度に首都圏(品川?)から近畿圏(新大阪?)までが開業(リニア方式)、経済成長率が1%、高速道路料金が現状のままとした場合です。この場合、便益は8.35兆円、費用は5.52兆円なので、費用便益比は1.51となります。
(2)伊那谷ルートの場合
リニアが伊那谷ルートをとった場合はどうでしょうか? この場合は、便益が7.49兆円、費用が6.05兆円で、費用便益比は1.24となります。南アルプスルートとの優劣は明らかです。技術的にトンネルを掘ることができないとか、南アルプスルートをとることにより深刻な環境問題が発生するなどの事情がない限り、南アルプスルートで行くべきでしょう。
(3)新幹線方式で建設した場合
リニアに何らかの問題があり、技術的に確立している新幹線方式でつくった場合はどうでしょうか? この場合、南アルプスルート、伊那谷ルートともに費用は下がりますが、便益も減ります。南アルプスルートの場合は、便益が4.57兆円、費用が4.06兆円で費用便益比は1.12。伊那谷ルートの場合は、便益が3.87兆円、費用が4.33兆円で、費用便益比は0.89となります。かなり悪い数字になってしまいます。
長くなるので、いったんここで切ります(続く)。
(参考:日経ケンプラッツ http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20101020/543895/)
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